今日は動産について書いていきます。まずは動産物権変動についてです。
動産の物件譲渡は引渡しがなければ第三者には対抗できません。また動産の物件譲渡は、当事者の意思表示のみによって効力を生じます。
ここでいう第三者とは、「引渡しの欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者」になります。欠缺を~お馴染みの内容ですね。要はここでの第三者とは、引渡しの不備を主張することによって、何らかの利益を得る者になります。
引渡しの方法には次の4つのパターンがあります。
①「現実の引渡し」といい、占有移転の合意と事実的支配を移転することです。A○→B●になります(ここでは○を元あった場所、●を新たに置かれる場所とします)
②「簡易の引渡し」といい、事実的支配が譲受人Bにある場合に、AB間の占有移転の合意だけでなされます。A→B○●になります
③「占有改定」といい、事実的支配を譲渡人Aに残し、Aが以降Bのために占有する旨の意思表示をすることです。A○●→Bになります
④「指図による占有移転」といい、譲渡人Aが現在動産を占有している代理人Cに対して、以降譲受人Bのために占有する旨を命じ、Bがこれを承諾した場合です。この場合は占有している代理人Cの承諾は必要ありません。Bのみの承諾があれば問題ありません。以上によって占有が移転します。次は即時取得というものについて見てみましょう。
「即時取得」とは動産を、「取引行為によって平穏にかつ公然と動産の占有を始めた者は、善意でありかつ過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」というものです。
たとえ取引した相手が無権利者であっても、その者を真の権利者として信頼して取引した場合には、真の権利者とは関係なくその取引は成立するというものです。動産の真の権利者からしたらたまったものではないですが、これは公信の原則と呼ばれ、取引の安全性を確保するために作られた制度です。
即時取得の成立要件として次のものが挙げられます。
①目的物が動産であることです。不動産には登記制度があるため即時取得は成立しません
②取引相手が無権利者であることです。その者が真の権利者として信頼した場合ではなく、その者に代理権があると信頼した場合は、即時取得ではなく表見代理の方が問題となります
③有効な取引が存在していることです。相続の場合は適用されません
④取引者が、平穏・公然・善意・無過失であることです。裏を返せば、真の権利者が動産の権利を主張するためには、即時取得者の悪意有過失を証明しなければならないということになります
⑤取得者が占有を取得したこと
です。ここで問題になることは、引渡しがなされても、引渡しの方法によっては即時取得が成立しない場合が出てくることです。それは占有改定の場合です。占有改定では即時取得が成立しません。似たような場合でも、指図による占有移転の場合は成立します。
なお即時取得の特例として、取引相手が無権利者であっても、その動産が盗品または遺失物であった場合には、盗難または遺失のときから2年間に限って被害者や遺失者はその動産を取り戻すことができます。この場合には対価は必要ありません。しかし現在の動産占有者がその動産を市場を通じて善意で買い付けた場合には、その代価を弁償することが必要になってきます。
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今日は本題の普通方式の遺言について書いていきます。通常作成される遺言のほとんどはこの普通方式になります。
普通方式には「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類がありますが、公正証書遺言は平成29年には110,191件作成されており、年々増加しています。それに対し秘密証書遺言の作成は、わずか130件にとどまります。
一方、自筆証書遺言については裁判所が受理した「検認」数でしか確認することはできませんが(2年以内に法務局による保管制度が開始されます)、その数は16,708件にとどまります。
新規作成された件数と相続が開始した件数とで比較対象が異なりますが、昨今は遺言の役割が理解され始め、手近な自筆証書遺言が作成される機会が相当増加していると思われます。すでに公正証書遺言の作成数を上回っているとさえ言われている中で、自筆証書遺言による方式の不備や内容の偏りや不明確さによるトラブルも危惧されています。
先に触れてしまいましたが、それではそれぞれの種類について、作成方法やメリット・デメリットについて見ていきましょう。
先に書きました、民法に規定される「普通方式」の遺言については、3種類の方式が定められています。各方式、厳密な作成ルールが規定されており、内容に不備があると法的効果が得られないことになります。3種類の方式は、①自筆証書遺言(民法968条)②公正証書遺言(同969条)③秘密証書遺言(同970条)になります。
まず①の自筆証書遺言について見ていきましょう。
「自筆証書遺言」の作成方法は、いたってシンプルです。遺言者本人が、遺言書の全文、日付および氏名を自書し、捺印して作成します。
全文には財産目録などすべてを含みますが、今回の民法改正によって、平成31年1月13日から目録については自書でなくても良いことになりました。財産が多い場合などは書く事が負担であった財産目録は、パソコンなどで作成しても良いことになります。時流に合わせた改正になりました。
ここで言う自書とは文字通り遺言者みずからが自分の手で記述することをいい、口述であったり他人が手を添えることも原則認められていません。
日付については、明確に作成した当日の日付を自書します。西暦であっても元号であっても構いませんが、日付印であったり特定されない日付、例えば9月吉日等の場合は無効となります。判例からは、遺言者自身の70歳の誕生日に書いたとか、11月末日に書いたという記載があれば、それは自書した日を特定できるということになります。
遺言は撤回することも書き直しすることも自由にできます。しかし法的効果を有する遺言が複数見つかった場合は、内容が矛盾する部分については必ず後の遺言が有効になります。ですので、遺言が書かれた日付というものが極めて重要になるのです。
次の氏名については、これも当然自書しなければなりません。しかし氏名は戸籍上の氏名である必要はなく、遺言者が誰であるか疑いのない程度の表示がなされていれば良いこととされ、ペンネーム等の通称でも問題ありません。また氏や名のどちらか一方のみであっても、他人との混同が生じない場合には有効とされます。これらは民法に直接の記載はありませんが、判例から確認されます。厳密な規定と言いながら腑に落ちない部分ではありますが、余計な問題を起こさないように、必ず自分の本名を自書するようにしましょう。
次は押印についてです。印を押す場合には捺印という言葉も使われますが、雑学として、一般的には自分で書いた名前(自書)に印を押す場合は「捺印」、自書以外に印を押す場合は「押印」と言うようです。「押捺」という場合には拇印も含むようです。ここでは名前に印を押す場合ばかりではないので、「押印」という言葉を使います。
押印する印については実印を押すという規定はないため、いわゆる認印や拇印でも良いとされています。しかしトラブルを防ぐ意味からも、実印や銀行印で押印することをお勧めします。
押印する場所も特に決まっていないので、どこに押しても構いませんが、やはり自書した上か横に押すのがセオリーでしょう。どちらにしても遺書本紙に押印することが必要で、封印した封筒のみへの押印は無効になります。
ここでもう一つ問題になることは、遺言が複数に渡った場合の押印は、各紙面に必要かどうかということです。通常契約書などの場合は、例えば1枚目と2枚目のあいだに後から作成された用紙が差し込まれないように、1枚目と2枚目のつなぎ目に「契印」というものを押します。「契印」は1枚目と同じ印を使用します。ここもトラブルがないように、契印を押しておきましょう。
次に訂正があった場合の方法について説明します。「加除訂正」と言いますが、遺言書の加除訂正の要件は、
①遺言者自身によりなされること
②変更の場所を指示して訂正した旨を付記すること
③付記部分に署名すること
④変更箇所に押印すること
です。
余白に文言を後から付け加えた場合もこの方法に則ります。この加除訂正の方式に間違いがあった場合は、その加除訂正自体が無効となりますが、遺言書全体は当然無効にはなりません。加除訂正される前の元の内容が判別できれば元の内容が生きることとなり、判別不能な場合はその部分が一切記載されていないものとして扱われます。
加除訂正は非常に面倒な手続きですし、誤りも発生しやすいものですので、変更等がある場合は新たに書き直された方が良いと考えます。またその際はトラブル防止のために、必ず前の遺言書は破棄しましょう。なお自筆証書遺言は日本語に限られず、外国語で作成することもできます。
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今日は債務不履行が発生した場合の、債権者の権利について書いていきます。
債務不履行の際に債権者が債務者に請求する方法としては、
①履行されていない債務を強制的に行わせること
②更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する
この2通りが考えられます。
まず債務を強制的に行わせることについて見てみましょう。債務不履行とは債務者が履行を完全に行わない場合に発生しますので、これを強制的に行わせましょうということになります。これを「強制履行」といいます。強制履行の方法としては次の3つになります。
①直接強制
②代替執行
③間接強制
です。
直接強制とは、裁判所への請求などによって、国家権力(執行機関)が債務者の意思にかかわりなく、直接的に債務内容の実現を図る方法になります。
代替執行とは、債権者や第三者によって、債務者に代って債務内容を実現させることです。特にこの場合は、実現にかかった費用は債務者から強制的に取り立てることとなります。
間接強制とは、債務の履行をさせるために一定額の支払いを命じて、その心理的な圧迫によって履行をさせようという方法になります。例としては、一定期間内に目的物を渡さない場合に、一定額の支払いを命じる場合などがあります。
次に、更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する方法について見てみましょう。
損害賠償とは、履行されなかった契約で生じた損害分の埋め合わせをさせるものであり、これを目的として金銭を請求できる権利を「損害賠償請求権」といいます。損害賠償請求は、特に特定のものを指定する意思表示がない場合は、通常は金銭に換算して行われます。これを金銭賠償の原則といいます。
埋め合わせをする損害の範囲ですが、これは「通常生ずべき損害」とされています。債務不履行が原因で直接失われた損害分を指します。
例外としては、当事者が予見したりまたは予見することができた「特別な事情」から生じた損害も含めることができます。履行が行われていたら、土地の値上がりによってさらに利益が得られた場合などがこれに当たります。
なお特別な事情とはあくまで発生するであろう事実をいうものであって、その時点で特別な損害が発生している必要はありません。
債務不履行に関しては債権者に過失がある場合も考えられますが、債権者に過失があった場合はその過失分を賠償額から差し引くことができます。この制度は「過失相殺」といいます。
過失相殺の制度は交通事故などの不法行為の場合にも適用されますが(歩行者の飛び出し等)、不法行為の場合の過失相殺はこれが行われてもその行為自体が免責されるものではなく、責任が軽減されるに過ぎません。また過失割合についても必ず相殺されるものではなく、事案によって任意的に決められる性質のものとなります。
一方この債務不履行に関する過失相殺については、債務者の損害賠償責任自体を免責することもでき、また過失割合についてはすべての事案について必要的に、必ず適用されます。
債務不履行による損害賠償については事後的に算出されるものだけでなく、「違約金」などの名目で契約によって、あらかじめ当事者間で金額を決めておくこともできます。これを「賠償額の予定」といいます。この額を定めていた場合は、債権者は損害額を証明する必要はなくなり、当事者はこの額に拘束されることとなります。
債務不履行における債務については、いろいろなものがあります。例えば家の建築を請け負った場合なども、この請負は「債務」になります。また特に債務が金銭によるものである場合は、特別なルールが定められています。
金銭は万能であり融通性が非常に高いために設けられたルールで、これを「金銭債務の特則」といいます。「金銭債務の特則」とは次の3つになります。
ひとつめは、金銭債務が不履行と言われる場合は常に「履行遅滞」の状態にあるとされ、「履行不能」の状態にはならないことです。この特則によって債務者は、弁済の義務から免れないこととなります。
2つめは、債権者側の損害の有無は問題とされず、債権者は債務不履行の事実さえ立証すれば良いとされることです。これによって損害額のみならず、その期間の利息も当然に賠償する義務が発生します。
3つめは債務者は、「不可抗力をもって抗弁とすることができない」ということです。これは自分に過失がないことを証明しても、責任からは免れることは許されないという意味です。
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今日は民法の意思表示について書いていきます。
法律用語の場合、前回の善意・悪意のように独特の表現や意味が使われています。その説明においても独特の微妙な解釈の出来る言い回しがされる場合が多いです。心理留保を「うそ」というように噛み砕いて平易な言葉で説明される場合もありますが、それだとかえって範囲が狭まってしまう場合もありますので、基本的には遠まわしでも回りくどい言い方を使っていきます。
私も行政書士のホームページで主要業務の説明をしていますが、例えば建設業許可など建設業法という法律で決まっていることなので、文として読みやすくこそすれ基本的には表現をあまりいじることなく書いています。グーグル対策なのか個性を出すためかわかりませんが、無理に表現をこねくり回しているものも多く見られますが、そこに意味を見い出せませんでしたのでそういう体裁で作りました。グーグル対策的には良くないことなのかな?まあよいので、話を続けます。
意思表示とは一定の法律効果を期待して、意思を外部に表示する行為のことです。意思表示は、
①効果意思
②表示意思
③表示行為
という段階を経ますが、③の表示行為がなされても、①②の意思を欠く場合には、意思表示があったとはいえないとされています。これを意思主義と言いますが、ここでの効果意思とは、一定の効果の発生を期待してする意思のことであり、表示意思とは意思表示のことでもありますが、効果意思を表示しようとする意思のことです。表示行為はそれらの行為を行うことです。
意思主義では単に行為を行っただけでは意思表示とは言えず、期待する効果が存在しており、またそれを表に出したいという意思がないと意思表示には当たらないということです。
民法を含む私法には、
①権利能力平等の原則
②私的所有権絶対の原則
③私的自治の原則
という3大原則があり、私的自治の原則からは意思主義が望ましいとされています。
効果意思を欠く場合を意思の不存在といい、効果意思を作る状況に瑕疵がある場合を瑕疵ある意思表示といいます。ちなみに「瑕疵」もよく使われる言葉ですが、これは本来備わっているものが備わっていない状況をいう概念です。単純に言えば「きず」のことですかね。
先ほどの効果意思を欠く場合を意思の欠缺(けんけつ)といいます。欠缺とは、ある要件が欠けていることを言います。
意思主義の対義語に表示主義がありますが、発信する側から見た場合には意思主義が有効とされますが、商売などにおいて相手方は表示をのみを見て判断するする場合が多くなります。その場合には効果意思や表示意思は推測でしかありませんので、相手方を保護するという立場から、表示そのものを重視する表示主義も認められています。
ではこれらの意思表示の中でも、法律で無効とされたり取り消されたりする意思表示について見ていきましょう。これらには、
①心理留保
②通謀虚偽表示
③錯誤
④詐欺
⑤脅迫
の5つがあります。心理留保は相手方を保護する表示主義に基づいたものであり、他の4つは意思主義の意思の欠缺によるものとなります。
まず「心理留保」とは、表意者が表示行為に対応する真意のないことを知りながらする単独の意思表示のことです。平たく言えば冒頭の「うそ」のようなものです。表示主義に基づいていますのでその意思表示は有効となります。効果意思や表示意思がなくとも成立します。相手方を保護するものですね。
しかしこれはあくまでも相手方が善意であった場合に限られ、相手方が表意者の真意でないことを知っていた場合や知ることの出来た場合、いわゆる悪意の場合はその意思表示は無効になります。保護される必要がないということになります。
次の「通謀虚偽表示」とは複数の者が、相手方と通謀してする真意でない意思表示のことです。通謀とは、あらかじめ申し合わせて企むことです。これが成立する要件は、
①意思表示が存在すること
②表示と具体的に期待する法律効果が不一致であること
③真意と異なる表示をすることについて、相手方と通謀している
ということです。当事者間では保護されるべきものではありませんので、無効となります。
ここに関与してくる第三者に関してですが、表示後に登場した第三者には対抗できません。「第三者」というのは「当事者および包括承継人以外のもので、虚偽表示の外形を基礎として新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者」を言います。めんどくさい表現ですが、法律できちんと定義されているんだから仕方がありません。これは覚えどころで、私も記述の試験対策で覚えました。新たに云々の前には、それぞれの法律の場面に関与してくる第三者の状況が入ってくることになります。
行政書士の勉強は合格基本書と過去問があれば独学でも問題ないと思いますが(私もそうでしたが)、自分でノート(バインダー式)を作ることと、記述式の想定問題集(私はLECのものを買いましたが、試験に出るまで何年でも使えますよ)は買ったほうが良いと思います。バインダー式であれば、別の参考書からの違う観点を追記したりできますし。
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今日は寄託契約というものについて書いていきます。
「寄託」とは、当事者の一方が相手方のために「特定物」の保管をすることを約束して、その特定物を受け取ることによって効力を生じる契約を言います。保管する者を「受寄者」、預ける側を「寄託者」と言います。
寄託は無償で行う場合と有償で行う場合がありますが、無償で寄託を受けた場合は、"自己の財産に対するのと同一の注意義務"で保管すれば良いとされています。無償の場合は、日常自分の物を管理するのと同じくらいの注意で足りるということです。
一方有償の場合は、"善良な管理者の注意義務"、いわゆる「善管注意義務」を負います。
この2者の違いですが、前者は重過失の場合には損害賠償責任を負いますが、軽過失の場合は責任を負いません。これに対して善管注意義務がある場合は、軽過失でも責任を負うこととなります。
前回委任契約の義務について触れましたが、保管するのに必要な費用については委任の規定が準用され、寄託者に対して請求することができます。なお受寄者は寄託者の承諾なしには寄託物を使用することも第三者に保管させることもできません。無償であっても有償であっても同様です。
寄託契約は寄託物が返還されれば終了します。
返還についてですが、寄託者側は、たとえ当事者同士で返還の時期を定めた場合であっても、いつでも返還を請求することができます。一方の受寄者においては、返還の時期の定めがある場合には、やむを得ない事由がない限り期限前に返還することはできません。
では返還の定めがない場合はどうでしょうか。寄託者はいつでも返還の請求をすることができますし、受寄者においてもいつでも返還することができます。
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今日は特別養子縁組について書いていきます。
「特別養子縁組」とは「普通養子縁組」の場合とは異なり、養子とする子に特別な事情が存在する場合の縁組になります。
その子が一定年齢に達しておらず、かつ実親による保護が事実上困難な場合に、家庭裁判所の審判により行われる縁組になります。では具体的に特別養子縁組の成立要件や効果について見ていきましょう。要件は次の3つになります。
①養子の要件
②養親の要件
③父母の同意
です。
①について、特別養子となる子は原則、縁組の申し立て時に6才未満であることが必要です。ただし例外として、養親となる者に6才前から看護養育を受けていた子は、8才未満まで認められます。
②について、養親になるには配偶者がある必要があります。また夫婦の一方が他方の嫡出子(連れ子)の養親となる場合を除き、原則夫婦共同で養親となります。また養親となる者は原則として25才以上でなければなりません。この場合も夫婦の一方が25才以上であれば、他方は20才に達していれば認められます。
③については、原則特別養子となる子の父母が同意していることが必要となります。この場合も後述の一定の理由がある場合は同意も不要になります。
縁組の方式は、養親となる者の申し立てに基づいて行われ、家庭裁判所の審判によって成立します。この際の審判の基準は次の2つになります。
①父母の子に対する監護が著しく困難であり、あるいは不適当であること
②その他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に必要があると認めるとき
です。
これらの場合に、養親となる者が養子となる者を6ヶ月以上試験養育した内容で認められることとなります。
特別養子縁組の効果は次のとおりになります。
①普通養子縁組同様、縁組の日から養親の嫡出子たる身分を取得し、その血族とも法定親族関係を有することとなります。
②実の父母およびその血族との親族関係は終了します。これによって普通養子縁組とは異なり、実の父母方の相続権は消滅します。
③特別養子縁組の離縁については、原則認められません。ただし例外として、養子の利益のために特に必要であると認められる場合は、家庭裁判所の審判による方法を取ることができます。
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今日は民法の中の物権変動というものについて書いてみます。
物権とは先日の記事に書きましたが、民法では債権並ぶ財産権です。「物」を支配する排他的な権利であり、代表的なものには所有権があります。
物権は先に対抗要件を具備したものが優先となります。また物権は債権に優先しますが、例外として対抗要件を備えた不動産賃借権は物権と同様の扱いになります。
物権には占有権が発生しますので、占有を阻害された場合にはこれを取り除く権利が発生します。これを物権的請求権と言いますが、具体的には次の3つがあります。
①返還請求権であり、占有回収の訴えにより目的物の返還を請求するもの
②妨害排除請求権であり、占有保持の訴えにより妨害の除去や妨害行為の禁止等を求めるもの
③妨害予防請求権であり、占有保全の訴えにより将来の妨害の原因を除去して未然に防ぐもの
です。物権変動とは、物権の発生や変更、消滅のことを言います。変動の原因は当事者の意思表示のみによるものであり、 契約等は必要ありません。また時効や相続によっても変動します。
変動の時期は当事者双方の意思表示が合致した時点であり、その時点をもって権利が移転します。
物には特定物(NO999のこの車)と不特定物(お店にあるレクサス)がありますが、特定物の売買における変動の時期は、特約がなければ契約と同時に所有権が移転し、特約があれば特約で定めた時期に移転します。不特定物の売買における変動の時期は、目的物が特定したときになります。
では次に不動産物件の変動を見てみましょう。不動産は物権変動をしても、登記がなければ第三者には対抗できません。登記とは不動産における公示のことです。公示とはそれをすることによって、その事実を公衆一般に知らしめることです。ですので不動産登記制度は、その土地の所有者や債権者を公にする制度になります。
不動産の所有権を主張するものが複数いる場合では(二重譲渡の場合等)、その優劣は登記の先後によります。不動産は登記を行わないと、完全に排他性のある物件を取得できないことになります。ここでこの不動産の物権変動の条項に出てくる用語について触れておきます。
まず「第三者」とは、これは本試験においても重要な事項ですが、「当事者もしくはその包括承継人以外の者で、登記の欠缺(けんけつ)を主張するにつき正当な利益を有する者」のことです。この場合の第三者には単純悪意者は含みますが、背信的悪意者は除外されます。
「背信的悪意者」とは物権変動の事実を知っており、かつ登記を備えていない者に対してその不存在を主張することが信義に反する者のことです。具体的な例としては、AさんがB土地を最初に購入しかつ未登記であった場合に、それをネタにAさんに高値で売る目的でB土地を二重に購入したCさんがこれに当たります、この者に対しては登記なくして対抗できます。
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今日は時効について書いてみます。時効というと刑事ドラマなどでよく耳にする言葉ですが、法律では「ある一定の事実状態が一定の期間継続した場合に、その事実の法律上の根拠に合致するかどうかを問わずに、その事実状態を尊重して権利を認める」制度を言います。
時間の経過で証拠能力が希薄になる一方、その事実が継続している場合はそれ自体が重いということを尊重して制定された条項です。
では民法における「時効」について見てみましょう。時効完成の要件は、一定の事実状態が一定の期間継続することです。また時効が完成しその利益を得るためには、その意思表示をしなくてはなりません。「時効の援用(えんよう)」と呼ばれるものです。
時効の援用は時効の利益を受ける旨の意思表示であり、援用して時効の利益を受けるかどうかは個人の意思になります。時効を放棄することもできますが、時効が完成する前にあらかじめ放棄を行うことはできません。時効が完成してから放棄することになります。また放棄ではありませんが、時効が完成してもそれを知らずに債務を承認してしまった場合などは、もう援用をすることはできません。
時効の利益を受ける者は援用権者である当事者に限られますが、判例ではその者を「時効に因り直接に利益を受くべき者」としています。時効の効果は遡及効といって、最初の起算点にさかのぼって効果を発生することになります。
民事上の時効には一定の期間を経ることによって権利を取得する「取得時効」と、一定の期間を経ることによって権利を失う「消滅時効」があります。ではまず取得時効から見てみましょう。
「取得時効」とは、物の占有の継続に対して真実の権利を認める制度になります。他人の物であっても一定の期間占有をしていれば、その事実を尊重して権利が移転するという制度です。取得時効の要件は次の5つになります。
①「他人の物」を占有していること(場合によっては自分の物でも可とした判例もあります)
②所有の意思を持って占有していること(自主占有といいます)
③平穏かつ公然と占有していること
④一定期間占有を継続していること
⑤時効援用の意思表示がされること
になります。なお④の期間は、条件によって変わってきます。その物(不動産も含みます)の占有を開始した時に善意無過失であった場合は10年です。善意無過失でない場合(悪意または有過失)は20年になります。
善意無過失の判定はあくまでも最初の占有者が占有を開始した時点が起算点になりますので、前の占有者から占有を引き継いだ場合も(占有の事実が重要となりますので、占有する者が変わっても問題ありません)、引き継いだ時の善意無過失が問題になるわけではありません。最初の占有者が善意無過失であれば、取得時効の条件は10年になります。
なお②③の所有の意思についてですが、これは「占有者は所有の意志をもって、善意で、平穏にかつ公然と占有をするものと推定する」(占有の推定)とされています。ですので占有の事実があれば、所有の意思は推定されるものとされています。
時効取得の対象は、「所有権」と「所有権以外の財産権」になります。所有権以外とは、地上権・永小作権・地役権などです。一般債権の時効取得はできませんが、不動産における賃貸借権は例外として、要件が揃えば時効取得できます。
では次にもうひとつの「消滅時効」について見てみましょう。消滅時効とは、一定期間の経過によって債権などの権利が消滅してしまう制度を言います。消滅時効の要件としては次の4つがあります。
①権利不行使が一定期間継続すること
②法定中断のないこと
③時効援用の意思表示をすること
です。①の期間については、債権については10年で消滅し、債権または所有権以外の財産権は20年で消滅します。商法などに規定されている商事債権などの場合はより短い期間で消滅します。なお所有権については取得時効の対象とはなりますが、消滅時効の対象にはなりません。
時効については「中断」という制度も設けられています。時効が継続している場合であっても、
①請求
②差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分
③承認(債権者に権利があることを認めること)
によって時効の進行が止まり、そこが起算点となってまた時効の進行が始まります。中断の効力は基本的には当事者およびその承継人に対してのみ生じますが、保証人や物上保証人に生じる場合もあります。
中断自由の請求については裁判上で行ないます。もしそこで却下や取り下げがあった場合は、中断の効力は失われます。なお裁判外で行う場合は「催告」と呼ばれ内容証明郵便等でされますが、その場合の効力は時効を停止させるにとどまり、中断の効果を得るためにはそこから6ヶ月以内に裁判上の請求を行う必要があります。消滅時効に関しては2020年施行の改正民法で見直しがなされていますので、確認ください。
https://www.gyosei-suzuki-office.com/category8/category10/entry36.html
https://kouseishousho-gunma.com/category7/entry18.html
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今日は相殺というものについて書いていきます。
「相殺」とは、2人のものがお互いに同種類の債権債務を有している場合に、その債権債務を対等額で消滅させる、相殺する側の一方的な意思表示のことを言います。
相殺の効果は債権債務の現実の履行を省略することにあり、相殺適状を生じた時にさかのぼって抗力を生じます。お互いの債権が相殺の要件を満たしている状況を「相殺適状」と言います。
相殺には「する側」と「される側」がありますが、相殺する側の債権を「自働債権」(自動ではありません)と言い、相殺される側の債権(相殺する側の債務)を「受働債権」と言います。
相殺が成立するには次の5つの要件があります。
①2つの債権が対立していること
②双方の債権が同種の目的を有すること
③双方の債権が弁済期にあること
④双方の債権が有効に存在していること
⑤相殺を許す性質の債権であること
です。
要件③についてですが、受動債権(相殺される側)については債務者が「期限の利益」を放棄することができますので、必ずしも弁済期にある必要はありません。ですので条文にあるように双方が弁済期にある必要はなく、自働債権のみ弁済期にあることが必要になります。
要件④の、双方の債権が有効に存在していなければならない、という要件についても例外があり、債権が時効によって消滅していた場合でも、その債権が時効消滅前に相殺することができる状態に既になっていた場合には、この債権を自働債権として相殺することができます。なお、お互いの債権が相殺の要件を満たしている状況を前述の「相殺適状」と言います。
要件⑤の相殺を許さない性質の債権についてですが、自働債権に「同時履行の抗弁権」などの抗弁権が付いている場合には相殺することができません。一方、受働債権に抗弁権が付いている場合には、相手方の利益を特に害することはないため、相殺することも許されます。
また自働債権が差し押さえられてしまった場合ですが、これは法律によって処分等が禁止されることになるため、相殺をすることができなくなります。
先に相殺は一方から相手方への一方的な意思表示と言いましたが、裏を返せば相殺の意思表示がない限りは相殺は行われず、債権は消滅しないことになります。また相殺する側の一方的な単独行為になりますので、相手方の同意は必要ありません。
なお相殺の意思表示には、条件や期限などを設けることはできません。
最後に相殺が禁止される場合について触れておきます。次のような場合は相殺が禁止されます。
①当事者が相殺禁止の特約をした場合
②受働債権が不法行為にもとづく損害賠償請求権である場合
③受働債権が差押禁止債権である場合
④受働債権が支払いの差し止めを受けた場合
です。
②について説明をしますと、例えば不法行為を受け損害賠償権を有した被害者が、その加害者に借金をしていた場合が挙げられます。この場合では、加害者側が被害者に貸していた100万円で、被害者側からの100万円の損害賠償権を相殺する、ということはできないということになります。
これは相殺がなされてしまうと、被害者側が現実の救済を受けられなくなってしまうことと、それがために報復などの不法行為を誘発するおそれがあることが理由になります。
なお立場を入れ替え、被害者側の債権を自動債権とし、被害者側から相殺することは判例から認められています。
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今日は物件の所有権について書いていきます。
相続にも通じる内容になりますが、所有権とは法令の範囲内で、自分の所有物を自由に使用したり処分したりする権利のことを言います。
所有権にはそれを得た経緯によって、承継取得と原始取得という2つの種類があります。
「承継取得」とは、先にその物権を所有する者がいて、その者から権利を引き継ぐことを言います。これには売買等によって権利を引き継ぐ「特定承継」と、相続等によって権利義務を一括して引き継ぐ「包括承継」があります。相続の分野では包括承継という言葉がよく出てきますね。
一方の「原始取得」とは、前の権利者の内容を前提としないで所有権を取得する場合をいい、これには無主物占有と遺失物拾得、埋蔵物発見、添付によるものがあります。
「無主物占有」とは、権利者のいない動産を占有することによって所有権を得ることであり、同様に遺失物拾得も埋蔵物発見も、所有者のいない動産の所有権を獲得することを言います。これらの場合に自分の物になる条件としては、必ず所有の意志をもって占有することが必要になります。
このように、所有者のいない動産の場合は別の者が権利者になることができますが、所有者のいない不動産の場合は原始取得をすることはできません。この場合は国庫に帰属することになります。
「添付」というものについて説明すると、添付には付合(ふごう)、混和、加工の3つの形態があります。
「付合」という言葉は聞きなれない言葉なので簡単に説明します。付合とは主体をなすある物に、従う形でついていることを言います。この付合には不動産の場合と動産の場合があります。
不動産の場合の付合ですと、その不動産に従として付合した物の所有権も取得するという性質のものであります。例えば家の前に植えてある桜の木などがこれに当たります。また付合は不動産だけでなく動産の場合も同様になります。
ただ動産の付合については若干ややこしい場合があります。動産の付合で主従関係がわかる場合は、付合している物の所有権は主たる動産の所有者の物になるのでこの点は良いのですが、主従の区別ができない場合がちょっと問題になります。この場合は、元の価格の割合で共有するということになっています。
「混和」とは物が混じり合っている状態を言いますが、この場合は付合と同様の処理になります。
「加工」とは他人の所有している動産に対して、加工を施して価値を上げた場合を言いますが、通常の場合には加工物はその動産の所有者に帰属することになります。ただしその動産(加工する材料)よりも加工による価値が著しく上回る場合には、その所有権は加工者のものになります。
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今日は遺言について書いていきます。遺言については以前にも書きましたが、相続遺言に関する民法がこの7月に約40年ぶりに大幅改正されましたので、それも含めて見てみましょう。
遺言を残そうとされる目的の多くは、ご自分の作られた財産をきちんとご自分の手で、ご自分の意思で配分したいというところにあると思います。考えられるきっかけはちょっとしたことからかもしれませんが、その動機の多くは遺されるご家族のことを考え、円満でスムーズに相続を終えてもらいたいという気持ちから発せられるようです。
中には家族親族がいがみあっていたり、複雑な関係性であったり、また相続人がいないなどの理由からトラブル防止のための遺言を書かれる場合もあると思います。また事業承継にあっては、自ら思い描く将来のために、きちんと整理した形で財産を相続させる場合もあろうかと思います。
いずれにせよ遺言を残される以上、法的に効果のある遺言にしなければなりません。では法的に効果のある遺言とはどのようなものでしょうか。
遺言自体はどのような形でも残すことができます。口頭で伝える場合もあれば、録音やビデオで伝える場合もあります。また通常は皆さん考えられるところの書面で残すことが多くなります。しかし法的に効果のある遺言は、きちんと法律に従った形式で、書面として残さなくてはいけないものになります。
きちんとビデオに撮っていても、それがそれぞれの相続人が納得するものであれば問題ありませんが、争いになった場合は法的に根拠がないものとして認められないものになります。
昨日たまたまビデオで「激動の1750日」という映画を見ていて、三代目姐が「先代が言い残した」という一言で後継が決まってしまいました。実際に言い残してはいないので争いになった場合は法的根拠のないものとなりますが、特殊な世界であれ、「故人が言っていた」の一言で相続が決まってしまってはたまりません。そこかしこでトラブルが頻発するでしょう。そんなトラブルを起こさないためにも、法律が遺言の形式を定めています。
ここでの法律は「民法」になります。民法は、私人間の生活関係を規律する「私法」の一般法(国家等の公権力と私人の関係を規律する法である法律を「公法」といい、これには憲法・行政法・民事手続法・刑法・刑事手続法があります)であり、その内容は「財産法」(ここには物件法と債権法があります)と「家族法」に分かれます。
「家族法」には家族や親族の範囲や関係性について規定する「親族法」の部分と、相続や遺言について規定している「相続法」の部分があり、ここで遺言についても明確に規定してます。
では民法に規定する遺言について見ていきましょう。遺言の方式について、民法では「普通方式」と「特別方式」を定めています。我々が一般的に理解している遺言とは普通方式のものになりますが、簡単に特別方式の遺言について見てみます。
「特別方式」の遺言については滅多にお目にはかかれませんし、またそういう立場になっては困るのですが、緊急時に発する遺言になります。ここでは詳細は省きますが、災難がまさに降りかかっている際に発する「危急時遺言」と、世間から隔絶された場所にあるときに発する「隔絶地遺言」があります。
「危急時遺言」には「死亡危急者遺言」と「船舶避難者遺言」がありますが、前者は病気やけが、あるいは災害が差し迫っている際に発っするものであり、後者は船舶が遭難にあっている際に発するものになります。
また「隔絶地遺言」には、「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」があります。前者は伝染病隔離施設や刑務所服役中などの場合、後者は遭難していない船舶の中で作成されます。
いずれも危難は迫ってはいませんので、本人が書く事になります。以上4種類が特別方式になりますが、それぞれ証人であったり検認であったり、その手続きは詳細に決められています。民法は約120年前に制定されましたので、情報の発達していない時代を背景としています。
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