婚姻の無効や解消について

今日は婚姻の無効や解消について書いていきます。

まず婚姻の解消についてです。「婚姻の解消」理由には、

①離婚

②死亡・失踪宣告による解消

があります。

「離婚」については「協議上の離婚」と「裁判上の離婚」がありますが、まず協議上の離婚について見てみましょう。

「協議上の離婚」とは、夫婦お互いの協議によって成立する離婚になります。この場合には夫婦ともに離婚する意思があること(離婚意思の合致)と、離婚の届出を行うことが必要とされています。なお判例ではこの離婚意思の合致について、離婚そのものをする意思は必要とせず、届出をする意思のみで足りるとしています。

また離婚の際に未成年の子がいる場合は、必ず一方を「親権者」にしなければなりません

離婚そのものをする意思であれ、届出をする意思のみであれ、それらを含む離婚意思のない者の離婚は当然に無効となります。「意思のない離婚」とは、詐欺または強迫によって協議離婚がなされる場合であり、この場合は取り消しを請求することができます。この取消権は、詐欺を見つけた時または強迫から免れた時点から3ヶ月で消滅します。また追認によっても消滅することになります。

協議上の離婚が成立しなかった場合は「裁判上の離婚」になります。離婚の場合は原則、訴訟を起こす前に家庭裁判所に調停の申し立てを行い、調停離婚が成立しない場合に裁判上の離婚に向かいます。

離婚の訴えを提起する場合には、次の理由が必要になります

①配偶者の不貞行為

②悪意の遺棄

③3年以上の生死不明

④回復の見込みのない強度の精神病

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由

です。

裁判所はそれらの事情を考慮して、離婚の訴えを認めるか棄却します。なお②の悪意の遺棄とは、理由もないのに同居を拒んだり家計費を差し入れないなど、積極的な意思で夫婦関係を行わないことを言います。

以上、協議上であれ裁判上であれ、離婚が成立した場合には次の効果がもたらされます。

①身分上の効果

②子の処遇

③財産上の効果

です。

「身分上の効果」により、婚姻関係とそれに伴う姻族関係が消滅します。また姓(氏)を改めた者については、「婚氏続称の届出」をしない場合は、結婚前の姓に戻ります。

「子の処遇」についてはまず、その子の嫡出子たる身分には影響は及ぼしません。また未成年の子の場合は親権者が決められます

「財産上の効果」としては、一方が他方に財産分与を請求することができます。その額や方法は当事者の協議によりますが、協議が成立しない場合は離婚から2年以内であれば家庭裁判所にも処分を請求できます。

次は婚姻の無効と取り消しについて見てみましょう。無効と取り消しはその効果や影響が異なりますので、婚姻の瑕疵の程度に応じて規定がなされています。

まず、より影響の大きい無効について見てみましょう。

「無効」とされた場合は、婚姻が最初から無効であるとされ、夫婦としての効果は何ら生じません。婚姻の無効は、次の場合に限りなされます。

婚姻意思を欠く場合

届出を欠く場合

です。

無効は請求がなされて成立しますが、無効を請求することができる者は当事者だけでなく、利害関係者は誰でも主張することができます。これは当事者が死亡していても主張することができます。

次の「取り消し」ですが、これは無効よりも限定的な効果であり、取り消しの効果は婚姻成立時までは遡及しません。取り消しまでの期間は婚姻が有効とされ、その期間は財産分与などの財産関係も適用されます。

婚姻の取り消しを請求できる者は、当事者およびその親族、また検察官になります。

無効は当事者の死亡後も請求できますが、取り消しでは当事者の死亡後の請求は当事者や親族のみが行え、検察官は請求をすることはできません。また重婚違反の場合は当事者の配偶者および前配偶者も請求できます。これも失踪宣告の記事で確認ください。

再婚禁止期間の違反については親子関係の証明も関わりますので、前夫についても取り消しを請求することができます。詐欺・強迫の場合は当事者のみの請求となります。 

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今日は民法家族法の、親権について書いていきます。 「親権」とは、父母である者の、「養育者としての地位」に由来する権利義務のことを言います。その親権に服する者は子供全般ではなく、「未成年の子」になります。子供が未成年であれば、親権が発生するということです。 親権を行うものは子の父母になります。原則父母が共同して親権を行いますが、一方が共同名義で代理行為をした場合は、仮に他方が反対していたとしても効力を生じます。しかしこの場合に相手方が悪意であった場合には効力は認められません。 次の場合は例外として父母の一方が単独で行うことができます。 ①父母の一方が親権を行使できないとき ②父母が離婚したとき ③非嫡出子の親権を原則として母が行使するとき です。 なお、子の利益のために必要と認められるときは、子の親族が家庭裁判所に請求することによって、親権者を他の一方に変更することができます。 では具体的に、「親権者」にはどのような権利義務があるのでしょうか。 「親権者」は子の利益のために、子の監護および教育をする権利を有し義務を負い、必要な範囲で居所指定権や懲戒権を有し、子が職業を営むことができるとされています。 身分上の行為においては、親権者はその子に代わって親権を行うことができます。これは民法上個別に規定されており、これは、 ①嫡出否認の訴えの相手方 ②認知の訴え ③子の氏の変更 ④縁組の代諾 ⑤未成年者の養子縁組取り消し請求 ⑥相続の承認放棄 になります。 また財産上の行為の代理権もあり、親権者は法定代理人として、財産上の行為について一般的に代理権を有します。 この場合に親権者は、子の財産を管理しその財産に関する法律行為について代理することができますが、その子の何らかの行為を伴う時は、本人の同意が必要になります。 また民法の規定上、親権者に利益があって子に不利益が生じる場合や、子の一方に利益があって他方に不利益があるというような「利益相反行為」については、親権者は子に対する代理権も同意権も有しません。この場合は家庭裁判所に、「特別代理人」の選任を請求します。 これは相続の場合にもよくありますが、被相続人の子が未成年である場合には配偶者は法定代理人とはなれず、必ず特別代理人を請求することになります。 次に親権を喪失する場合について見てみましょう。 特別養子縁組(この場合は一定の年齢制限がありましたが)の記事にもありましたが、父母による虐待や悪意の遺棄があるとき、あるいは父母による親権の行使が著しく困難であったり不適当であることによって子の利益を著しく害する時は、2年以内にその原因が消滅する見込みがある時を除き、家庭裁判所は「親権喪失の審判」をすることができます。 この親権喪失の請求者は、子やその親族、未成年後見人、検察官等になります。また親権喪失には至りませんが、同様に2年以内の期間を定めて親権停止の審判を行う、「親権停止の審判」も創設されています。 親権とは別に、もう一つ相続にも関連する内容についても触れておきます。「扶養」についてです。「扶養」とはもちろん親権者が子に対する義務でもありますが、民法では「親族間の扶養」についても規定しています。 「扶養」とは自力で生活できない者に対して、一定の親族関係にある者が行う経済的給付とされています。扶養の内容については次のとおりになります。 ①要扶養者(扶養される必要のある者)は、自分の財力等で生活できない者である必要があります。 ②直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養義務を負担します。 ③3親等以内の親族については、特別の事情があるときに家庭裁判所が扶養の義務を負わせることができます。 ④扶養の内容等について当事者間で整わない場合は、家庭裁判所の判断に委ねることができます。 「扶養」については負担付き遺贈であったり、今回改正された相続における特別の貢献にも関係してくる事柄になります。
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民法 請負契約について
今日は請負契約について書いていきます。 「請負契約」とは当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することによって効力を生じる契約を言います。これは有償であり、当事者双方の合意によって成立する契約になります。 請負契約においては、「請負人」は仕事を完成する義務を負います。請負の目的が物の完成である場合には、物を完成させるだけでなく目的物を引き渡す義務も負うことになります。 なお請負人は自ら労務を提供しなくても、原則自由に補助者や下請負人に仕事をさせることができます。ただし下請負人等の責に帰すべき事由についても、請負人が責任を負うことになります。 一方双務契約ですので注文者にも義務は発生し、完成した仕事に同時に報酬を支払わなくてはなりません。同時履行の抗弁権については先に記事にしましたが、ここでいう同時履行とは目的物の完成ではなく目的物の引渡しになりますので、目的物の引渡しと同時に支払い義務が発生します。 引渡しが請負業務の完了となると、作成中あるいは完成した目的物の引渡しまでの所有権はどうなるのでしょうか。 民法にそれについての規定はありませんが、その所有権は判例から、材料の供給者が請負人である場合は、その所有権は引き渡すまでは請負人にあり、材料の供給者が注文者である場合には所有権は注文者にあるとされています。 では次に、請負人の「瑕疵担保責任」について見ていきましょう。 仕事の目的物に瑕疵があった場合は、注文者は請負人に対して「瑕疵の修補」を請求することができます。売買の際の瑕疵担保責任については「隠れた瑕疵」であることが要件とされましたが、請負については「隠れた瑕疵」でなくても請求することができます。 ただし目的物の瑕疵が重要なものではなく、かつ修補にかかる費用がそれ以上に掛かる場合には、注文者は修補を請求することはできず、それに代えて損害賠償を請求することになります。 前記の重要でない瑕疵以外の場合は、注文者は瑕疵の修補に代えて、またはその修補とともに損害賠償を請求することができます。請負人が損害賠償に応じない場合は、それが支払われるまで未払い報酬の支払いを拒絶することができます。 また注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬債権を相殺することもでき、請負人から瑕疵修補に代わる損害賠償を受けるまでは、その報酬全体の支払いを拒むこともできます。 目的物の瑕疵が重大であって契約の目的自体を果たすことができない場合は、注文者は契約の解除をすることができます。ただしこの場合でも建物等の土地の工作物については、額が非常に大きくなるため解除することはできません。 以上の瑕疵担保責任について、請求できる期間は原則引渡しから1年です。しかし土地工作物の場合は5年、堅固な工作物については10年になります。 最後に請負契約の終了について見ていきましょう。請負契約の終了は、法定解除や約定解除の他に次のような終了原因があります。 ①仕事未完成の間における注文者の解除権 ②注文者の破産による解除権 です。 ①については、注文者は仕事が完成するまでは、「いつでも」損害を賠償して契約を解除することができます。完成した部分について利益があるときは、未完成部分のみ契約解除をすることもできます。 ②について、注文者が破産手続開始の決定を受けた時点で、請負人または破産管財人が契約を解除することができます。
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民法 債権者の権利について
今日は債務不履行が発生した場合の、債権者の権利について書いていきます。 債務不履行の際に債権者が債務者に請求する方法としては、 ①履行されていない債務を強制的に行わせること ②更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する この2通りが考えられます。 まず債務を強制的に行わせることについて見てみましょう。債務不履行とは債務者が履行を完全に行わない場合に発生しますので、これを強制的に行わせましょうということになります。これを「強制履行」といいます。強制履行の方法としては次の3つになります。 ①直接強制 ②代替執行 ③間接強制 です。 直接強制とは、裁判所への請求などによって、国家権力(執行機関)が債務者の意思にかかわりなく、直接的に債務内容の実現を図る方法になります。 代替執行とは、債権者や第三者によって、債務者に代って債務内容を実現させることです。特にこの場合は、実現にかかった費用は債務者から強制的に取り立てることとなります。 間接強制とは、債務の履行をさせるために一定額の支払いを命じて、その心理的な圧迫によって履行をさせようという方法になります。例としては、一定期間内に目的物を渡さない場合に、一定額の支払いを命じる場合などがあります。 次に、更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する方法について見てみましょう。 損害賠償とは、履行されなかった契約で生じた損害分の埋め合わせをさせるものであり、これを目的として金銭を請求できる権利を「損害賠償請求権」といいます。損害賠償請求は、特に特定のものを指定する意思表示がない場合は、通常は金銭に換算して行われます。これを金銭賠償の原則といいます。 埋め合わせをする損害の範囲ですが、これは「通常生ずべき損害」とされています。債務不履行が原因で直接失われた損害分を指します。 例外としては、当事者が予見したりまたは予見することができた「特別な事情」から生じた損害も含めることができます。履行が行われていたら、土地の値上がりによってさらに利益が得られた場合などがこれに当たります。 なお特別な事情とはあくまで発生するであろう事実をいうものであって、その時点で特別な損害が発生している必要はありません。 債務不履行に関しては債権者に過失がある場合も考えられますが、債権者に過失があった場合はその過失分を賠償額から差し引くことができます。この制度は「過失相殺」といいます。 過失相殺の制度は交通事故などの不法行為の場合にも適用されますが(歩行者の飛び出し等)、不法行為の場合の過失相殺はこれが行われてもその行為自体が免責されるものではなく、責任が軽減されるに過ぎません。また過失割合についても必ず相殺されるものではなく、事案によって任意的に決められる性質のものとなります。 一方この債務不履行に関する過失相殺については、債務者の損害賠償責任自体を免責することもでき、また過失割合についてはすべての事案について必要的に、必ず適用されます。 債務不履行による損害賠償については事後的に算出されるものだけでなく、「違約金」などの名目で契約によって、あらかじめ当事者間で金額を決めておくこともできます。これを「賠償額の予定」といいます。この額を定めていた場合は、債権者は損害額を証明する必要はなくなり、当事者はこの額に拘束されることとなります。 債務不履行における債務については、いろいろなものがあります。例えば家の建築を請け負った場合なども、この請負は「債務」になります。また特に債務が金銭によるものである場合は、特別なルールが定められています。 金銭は万能であり融通性が非常に高いために設けられたルールで、これを「金銭債務の特則」といいます。「金銭債務の特則」とは次の3つになります。 ひとつめは、金銭債務が不履行と言われる場合は常に「履行遅滞」の状態にあるとされ、「履行不能」の状態にはならないことです。この特則によって債務者は、弁済の義務から免れないこととなります。 2つめは、債権者側の損害の有無は問題とされず、債権者は債務不履行の事実さえ立証すれば良いとされることです。これによって損害額のみならず、その期間の利息も当然に賠償する義務が発生します。 3つめは債務者は、「不可抗力をもって抗弁とすることができない」ということです。これは自分に過失がないことを証明しても、責任からは免れることは許されないという意味です。
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民法における婚姻の効果
今日は婚姻の効果について書いていきます。婚姻は役所に届出をすることが形式上の要件となっており、届出をしない限りは法律上の夫婦とは認められません。 「婚姻の効果」については次のようなものがあります。 ①夫婦同氏 ②同居・協力・扶助義務 ③貞操の義務 ④成年擬制 ⑤契約取消権 です。 「夫婦同氏」については改正を求める声もありますが、現行民法においては夫婦は共通の氏を名乗らなければなりません。法律の婚姻効果を発生させるためには戸籍上同一の性にしなければなりませんが、ペンネームや職場で旧姓を名乗ることについて等は差し支えありません。 「同居・協力・扶助義務」については、婚姻を継続するにあたっての基本的な義務になります。 「貞操の義務」についても明文化されており、これについては裁判上の離婚原因にも当たります。 「成年擬制」とは、未成年でも婚姻によって成年に達したものとみなされ、成年と同様の権利義務を与えられることです。この効果によって通常未成年では行えない養子縁組行為や、登録なしで営業をすることができるようになります。なお一度婚姻をすれば、これが解消された場合であっても成年擬制の効果は消滅しません。 「契約取消権」とは、婚姻中に夫婦間でしたお互いの契約について、婚姻中はいつでも取り消すことができるというものです。夫婦間の問題については法による強制は立ち入らないということであり、履行後であっても取り消せます。しかし第三者が関与するものについては、その権利を害しての取り消しはできません。 次に夫婦の財産制度について見ていきましょう。 夫婦は「夫婦財産契約」という契約で、自由に夫婦の財産関係を定めることができます。これは契約がない場合の民法の規定による「法定財産制」に対して、自らで取り決める契約になります。日本では民族性からかあまり普及していませんが、数年前に俳優さんと女性弁護士の結婚の際に話題になりました。 通常は公正証書で残したりしますが、この契約の形式は次のとおりかなり厳格なものになります。 ①婚姻届出前に締結しなくてはなりません ②婚姻届出までに登記を行ないます ③登記がなければ夫婦の承継人および第三者に対抗することができません ④婚姻届出後はその契約を変更することはできません 次は財産契約を結ばない場合の「法定財産制」についてです。 「法定財産制」は次の3つからなります。 ①婚姻費用の分担 ②日常家事債務の連帯責任 ③財産の帰属と管理における夫婦別産制 です。 ①の費用の分担については特に問題はありませんが、②の「日常家事債務の連帯責任」とは、日常発生する家事(特別でない行為)によって生じた債務については、一方が第三者に対して他方の免責を告げたときを除いて、夫婦ともに連帯責任を負うというものです。 ここでの日常家事の範囲については、客観的にその法律行為の内容等を十分考慮して判断するものとされています。 「夫婦別産制」とは、夫婦の一方が婚姻前から有している財産、および婚姻中であっても自分の名前で得た財産については、夫婦それぞれの個人的な財産とすることを言います。 これに対して夫婦どちらに属するか不明な財産については、夫婦共有のものと推定されます。
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民法における相殺について
今日は相殺というものについて書いていきます。 「相殺」とは、2人のものがお互いに同種類の債権債務を有している場合に、その債権債務を対等額で消滅させる、相殺する側の一方的な意思表示のことを言います。 相殺の効果は債権債務の現実の履行を省略することにあり、相殺適状を生じた時にさかのぼって抗力を生じます。お互いの債権が相殺の要件を満たしている状況を「相殺適状」と言います。 相殺には「する側」と「される側」がありますが、相殺する側の債権を「自働債権」(自動ではありません)と言い、相殺される側の債権(相殺する側の債務)を「受働債権」と言います。 相殺が成立するには次の5つの要件があります。 ①2つの債権が対立していること ②双方の債権が同種の目的を有すること ③双方の債権が弁済期にあること ④双方の債権が有効に存在していること ⑤相殺を許す性質の債権であること です。 要件③についてですが、受動債権(相殺される側)については債務者が「期限の利益」を放棄することができますので、必ずしも弁済期にある必要はありません。ですので条文にあるように双方が弁済期にある必要はなく、自働債権のみ弁済期にあることが必要になります。 要件④の、双方の債権が有効に存在していなければならない、という要件についても例外があり、債権が時効によって消滅していた場合でも、その債権が時効消滅前に相殺することができる状態に既になっていた場合には、この債権を自働債権として相殺することができます。なお、お互いの債権が相殺の要件を満たしている状況を前述の「相殺適状」と言います。 要件⑤の相殺を許さない性質の債権についてですが、自働債権に「同時履行の抗弁権」などの抗弁権が付いている場合には相殺することができません。一方、受働債権に抗弁権が付いている場合には、相手方の利益を特に害することはないため、相殺することも許されます。 また自働債権が差し押さえられてしまった場合ですが、これは法律によって処分等が禁止されることになるため、相殺をすることができなくなります。 先に相殺は一方から相手方への一方的な意思表示と言いましたが、裏を返せば相殺の意思表示がない限りは相殺は行われず、債権は消滅しないことになります。また相殺する側の一方的な単独行為になりますので、相手方の同意は必要ありません。 なお相殺の意思表示には、条件や期限などを設けることはできません。 最後に相殺が禁止される場合について触れておきます。次のような場合は相殺が禁止されます。 ①当事者が相殺禁止の特約をした場合 ②受働債権が不法行為にもとづく損害賠償請求権である場合 ③受働債権が差押禁止債権である場合 ④受働債権が支払いの差し止めを受けた場合 です。 ②について説明をしますと、例えば不法行為を受け損害賠償権を有した被害者が、その加害者に借金をしていた場合が挙げられます。この場合では、加害者側が被害者に貸していた100万円で、被害者側からの100万円の損害賠償権を相殺する、ということはできないということになります。 これは相殺がなされてしまうと、被害者側が現実の救済を受けられなくなってしまうことと、それがために報復などの不法行為を誘発するおそれがあることが理由になります。 なお立場を入れ替え、被害者側の債権を自動債権とし、被害者側から相殺することは判例から認められています。
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相続分野の民法一部改正 7月1日施行
相続分野の民法の一部改正が7月1日に施行されます。 それに先立ち、本年1月13日に自筆証書遺言書の方式緩和(自書以外の財産目録可)の改正民法が施行されました。これは、財産目録について、従来は手書きでないと認められていなかった要件を、銀行通帳等を添付すればパソコンや自分以外の他者の作成によるものでも認めるという内容になります。 ニュースでも流れたのでしょうか、当職のホームページの当該ページへのアクセスも、2-3ヶ月にわたって通常月の1.5倍ほどに上がっています。相続に比べると遺言ページへのアクセスは多くないのですが、普段意識していなくてもニュースになると興味がわくのでしょうか。そのままご依頼いただけると、なおありがたいのですが。。いつかご依頼いただけることをお待ちしております。 さて要件緩和によって自筆証書遺言の作成については多少ハードルは下がりましたが(財産の多い方はなおさら)、そのほかの自筆遺言の要件についての知識はまだまだ低いようです。もちろんご自身で時間をかけて勉強し、ご自分で書かれる方もいらっしゃると思いますが(最大のメリットは費用面ですが)、要件不備で遺言書としての法的効果がなかったり、相続人にかえって迷惑を掛ける自筆証書遺言の多いことも確かです。 もちろんご自身はよかれと思って書かれている訳ですが、中途半端な知識で書かれるため、法律要件を満たしている遺言書は必ずしも多くはないと思われます。日付間違いや誤記などのケアレスミスの場合、あるいは署名の不備等の場合は相続人の方々の合意があれば大きな問題はないと思いますが、これとて訴訟になった場合は認められない場合も多くなります。 一番困るのは、相続人や相続財産の特定が曖昧な場合です。例えば、「預貯金を子供3人に等分に」という記述であれば、単純に分割することは可能ですし、銀行もその記述をもって払い戻しに応じてくれると思います。しかし、「不動産を子供3人に平等に」という文言であれば、どの不動産をどのように分割するのか特定できませんので、不動産登記は難しくなります。この場合は遺産分割協議によって具体的に不動産を分割し(あるいは特定の相続人に単独に)、分割協議書に明記する必要が出てきます。 この遺言書の場合も相続人の皆さんが不仲でなく、遺言者に寛容であれば遺言書の文言に則した形で協議は行われるのでしょうが、えてしてその遺言によって利益を受ける者は拡大解釈でその文言を了とし、利益を害する者は断固反対する。そのような事態も決して少なくはないでしょう。 このような遺言書があった場合は意見が分かれる、あるいは協議の前段部分で時間を取られる弊害が大きくなります。また協議が成立しても後々までの遺恨の原因になります。 自筆証書遺言を書かれる場合でも必ず専門家に指導を仰ぐ、あるいは公正証書遺言にする。費用はかかりますが、本来の目的を達成するためには必要なことです。行政書士のような専門家は時間を掛けて勉強し、また数々の事例からベストのアドバイスを行っていきます。
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改正民法 遺留分侵害額請求権について
以前、相続人の相続分の記事の中で遺留分について触れましたが、今日はそれを補完していきます。 遺留分とは遺言者が遺言書などによっても奪うことのできない、相続人に最低限保証された相続分を言います。その遺留分を侵害された(遺留分の侵害といいます)相続人は、侵害された額を遺留分を侵害した者に請求することができます。 例えば被相続人に妻と子が1人いた場合に公正証書遺言書で、「自分の弟に全部を遺贈する」という公正証書遺言を残したとします。本来は相続人である妻と子がいますので、この場合の弟は相続人ではありません。しかし遺贈するということですので、問題はないことになります。そうすると本来は財産の1/2づつを相続するはずだった妻と子は、まったく遺産を相続することができません。 遺言があるなら仕方がないと諦める方もいらっしゃるでしょうが、普通は「自分たちの相続分をどうしてくれるの」と思われる方が多いと思います。当然です。知人や専門家に聞いたり、インターネットで調べることになるでしょう。 世の中には不条理なことも多々あると思いますが、法律の世界では様々な場面を想定して救済措置や解決に向けての手順が示されています。この場合は民法の規定によって、遺留分を侵害された妻と子が、侵害された遺留分を弟に請求することができるわけです。この権利を「遺留分減殺請求権」と言います。 「遺留分減殺請求権」においては、請求された遺産分の返還についての返還物の選択(現金なのかどの不動産なのか)権は請求された側にしかありませんでしたが、今回の民法改正(2019年7月1日施行)によって、遺留分権利者側が遺留分侵害額を金銭で請求できる権利になります。これに伴い名称も「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」に改称されます(以下遺留分侵害額請求権とします)。 遺留分を請求する権利のある者(遺留分侵害額請求権利者)は、配偶者と子および直系尊属のみになります。兄弟姉妹は法定相続人ではありますが、遺留分は有しません。つまり、遺留分侵害額請求権者が自分の遺留分を侵害された場合にのみ、遺留分侵害額請求をすることができます。先ほどの例で言うと、妻と子は請求権を有する訳です。 一方、仮に被相続人の妻と被相続人の兄弟姉妹が法定相続人である場合に、公正証書遺言書によって、「妻に全財産を相続させる」とあった場合はどうでしょうか。この場合は兄弟姉妹に遺留分侵害額請求権はありませんので、全財産が妻に相続されることになります。 ちなみに遺留分侵害額請求できる額等については従来民法と変わらず、遺留分権利者が配偶者や子を含む場合は、法定相続分の2分の1が遺留分の割合になります。遺留分権利者が直系尊属のみの場合は、法定相続分の3分の1が遺留分の割合になります。 最後に、遺留分侵害額請求は訴訟を起こすことなく、裁判外でも行うことができます。遺留分権利者が遺留分侵害者に、「この分は私の遺留分だから、返して下さい」と口頭で伝えても、遺留分侵害者には侵害額分を金銭で返す義務が生じます。ただ通常はトラブルを避けるためにも「内容郵便証明」等で送達することをお勧めします。 また遺留分侵害額請求もいつまでもできると言うことではなく、「遺留分権利者が、相続と遺留分侵害の事実を知ってから1年間」という時効がありますのでお気をつけ下さい。
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