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経営事項審査の「経営規模等評価」について、各項目の内容を見ていきましょう。
まずXⅠ完成工事高ですが、当然ですがこれは文字通り建設業者の規模によって差が出ます。中小建設業者が入札で大手と争っても意味はないことですので、いかに同規模の建設業者と競うかということになります。ですので同規模のライバル間では大きな差はつきません。
ちなみに評価できる上限は1000億円までですが、5億円くらい以下の業者間で格差がつきやすい評点設計となっています。
業種ごとに工事の完成高を申請しますが、2年または3年平均で、自社に有利な期間を選んで申請することができます。
多くの業種が対象の場合は煩雑な計算になりますので、経営事項審査シミュレーションソフトで有利な年数選択をします。2年または3年で統一し、混合することはできません。行政書士にご相談ください。ここでの注意点が3つあります。
1つは建材資材などの販売がある場合です。純粋に販売だけの場合は「兼業」となりますが、設置工事を行ない代金が発生した場合は、たとえ設置費用が安くてもそのすべてを完成工事高としなければなりません。建設資材の販売額と設置費用を合わせた額が完成工事高となります。資材の仕入費用が完成工事原価のうちの材料費ということになります。
2つめは工事の完成工事高の算出基準ですが、これは工事完成基準と工事進行基準のどちらを採用しても構いません。自社の方針にあわせて決めてください。
注意点の3つめは審査を受ける業種ではない業種の工事完成高についてです。基本的に対象業種以外の金額は、直接審査業種に影響は及ぼしませんが、何とか評価の対象に加えたいということであれば、関連する業種間の積み上げという手も考えられます。
例えば一式工事と同系の専門工事、あるいは専門工事業種同士が関連している場合には、その関連する工事業種も認められる場合があります。希望する場合は事前に役所に問合せを行ってください。なお仮に関連業種として積み上げた場合は、その関連業種は審査を受けることはできなくなります。
次にXⅡ自己資本額および平均利益額を見てみましょう。これは単純に自己資本額が高いほど点数が大きくなります。決められた算出式がありますので、それに基づいて計算をします。
平均利益額は直前2年平均の利払い前税引き前償却前利益を使います。すなわち営業利益に減価償却額を足し戻した額になります。ですので減価償却額が大きいほど点数も高くなることになります。これも同様に決められた算出式で計算します。
次はZ技術職員数および元請完成工事高ですが、これも技術職員数が多いほど点数は高くなります。しかしベテランから新人まで一律というわけではなく、国家資格保有者や技能講習受講状況に応じて点数が決められており、それでその技術者ひとりの点数が決まります。
1級資格保有者でありかつ管理技術者講習を受講している技術者が最も点数が高くひとり6点となります。段階的に点数が与えられ、資格がなく10年以上の実務経験がある者が1点、資格がなく実務経験も10年未満の場合は0点となります。全員の点数を加算して計算します。ただし同一技術者で加点できる業種は2つまでとなりますので、複数業種の審査を受ける場合には、技術者の配分も大切になります。
なお技術者の雇用状況にも制約があり、常勤でありかつ6ヶ月を超えて雇用されている必要があります。定年延長の社員であれば、1年ごとの採用でもカウントできます。
元請完成工事高については算出式がありますので、これで計算を行ないます。
経営規模の最後の項目はWその他の審査項目になります。これは社会性等18項目にわたります。全体でのウエイトは15%ですが、平成27年改正によって最高点が987点から1919点に大幅に引き上げられており、特に社会保険への加入を意図的に促進しています。
項目が多いので主な項目に絞って見ていきます。まず労働福祉の状況項目があります。雇用保険、健康保険、厚生年金が未加入ですとそれぞれに減点がなされます。
退職金制度の採用等の加点項目もありますが、今までは減点があってこの項目がマイナス点になってしまっても、下限値が0点のままという救済措置が設けられていました。しかし平成30年4月1日から下限が撤廃され、最大1919点がマイナスされるようになりました。経営事項審査を受ける以上、社会保険への加入は大前提ということです。
営業年数や地域防災への貢献、建設機械の保有による加点もあります。今回の改正では、保有台数の少ない企業の加点幅を増やしています。
一方再生法や更生法が適用されたり、営業停止等の処分がなされた場合には大きな減点が課されます。
以上、許可行政庁で経営規模等評価の審査が行われると、「総合評定値通知書」が交付されます。この通知書を入札を希望する各官公庁に提出し、それぞれで入札参加資格申請を行ないます。各官公庁ではそれぞれの基準で建設業者をランク分けし、工事の内容にあった業者を選定して入札を行っていきます。
https://www.kensetukyoka-gunma.com/category1/entry62.html
今日は経営事項審査の次の段階、経営規模等評価について書いていきます。
経営状況の分析が終わると、申請した機関から「経営状況分析結果通知書」が届きます。今度はそれをもとに、許可行政庁に「経営規模等評価申請」とその結果を交付してもらう「総合評定値請求」を行ないます。
申請では「経営状況分析結果通知書」をあわせて提出します。申請する行政庁は、知事許可であればその都道府県知事へ、大臣許可であれば管轄する地方整備局になります。大臣許可の場合も実際に提出する窓口は、通常は知事許可と同様になります(提出日を指定されることが多いようです)。事前に予約をしてから申請を行ないます。
経営状況分析では主に財務面等の経営の健全性について評価を出しましたので、経営規模等評価では、建設業としての営業規模や技術力、人材、設備、あるいは建設業者としての社会性等について評価を受けることになります。ではどのような項目で評価されるのでしょうか。評価項目は、
①完成工事高(XⅠと記号化されます)
②自己資本額および平均利益額(XⅡ)
③技術職員数および元請完成工事高(Z)
④その他の審査項目(W)の4つになります。
その4つの項目を足して、総合評定値(P点といいます)が求められます。このP点がその建設業者の最終評価(実際は入札を行いたい官公庁に申請すると、総合評定値をもとに各官公庁独自にランク付けされますが)になります。
各項目にはそれぞれ決められた部分点数があり、それらを足しこんでその項目の合計点とします。各項目の詳細は次回に説明しますが、規模が大きければどこまでも点数が加算されるかというとそういうわけではなく、それぞれに上限値と下限値が設けられています。
また項目ごとに比重に差を付けており、各項目の合計点にXⅠが0.25、XⅡが0.15、Zが0.25、Wが0.15を掛けて求めることになります。P点を全体1とした場合、この4項目を足しても0.8にしかなりません。
あと0.2は何かというと、これが前段の経営状況分析(Y)の点数になります。これを式で表すと、P=XⅠ×0.25+XⅡ×0.15+Z×0.25+W×0.15+Y×0.25となります。
ちなみに参考に各項目の上限点数だけ記しておきます。XⅠが2309点、XⅡが2280点、Zが2441点、Wが1919点、Yが1595点です。ですので総合評値P点の最高値は2136点となります。
総合評定値は業種ごとに出されますので、経営状況分析同様、経営規模等評価も業種ごとに申請します。各項目の内容については、次回書いていきます。
https://www.gyosei-suzuki-office.com/category1/entry83.html
今日は経営事項審査について書いていきます。
公共工事の入札に参加して元請として工事を受注するには、経営事項審査を受けていなければなりません。「経営事項審査」とは官公庁が公共工事を発注するに当たって、その透明性を担保するために行う事前審査のことで、これによって建設業者の技術力や経営力等が点数化されるため、工事の難度や規模によって指名する業者の選定がよりクリアになります。
経営事項審査は次の3つで構成されます。
①経営状況分析申請
②経営事項規模等評価申請
③総合評定値請求です。
では経営状況分析から見ていきましょう。公共工事は国民や地域住民のために、税金を使ってする工事です。なので民間以上に工事の成果が求められます。
着工した工事が請負業者の倒産等によって不具合が生じないように、経営状況が健全な建設業者を選定する目的の評価になります。経営状況分析は、国土交通省に登録されている民間の経営状況分析機関によって審査されます。
現在は全国に11の機関が登録されていますが、どの分析機関に申請しても問題ありません。財務諸表等を提出して審査を受けますが、すべての経営指標が全機関で統一されていますので、どこで審査を受けても同じ点数になります。
申請は郵送や電子申請によって行いますが、それぞれの機関で費用が異なりますので、サービス内容と併せて依頼先を選定されるのが良いかと思います。
提出する財務諸表は3年分必要となりますが、依頼を行ったデータは各機関に保管されますので、同じ機関に分析を依頼される場合は、過去に依頼したデータを送る必要はありません。過去2年以上継続して分析を依頼していれば、直前1年分のもので足ります。
提出する書類は各機関異なる場合がありますので事前の確認が必要ですが、概ね次の通りとなります。
①経営状況分析申請書
②法人の場合は様式15~17号2の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表)、税務申告別表16(1)16(2)写しおよび減価償却実施額を確認できる書類
③個人の場合は様式18~19号の財務諸表(貸借対照表、損益計算書)、減価償却があればその実施額を確認できる書類、青色申告書一式または収支内訳書一式
④建設業許可通知書または建設業許可証明書の写し
⑤兼業事業売上原価報告書
⑥委任状の写し(代理人依頼の場合)申請書の申請者欄は申請者と代理人の併記
⑦12ヶ月換算後の財務諸表(決算が12ヶ月に満たない場合)です。総合評価は、
①負荷抵抗力(純支払利息比率、負債回転率)
②収益性・効率性(総資本売上総利益率、売上高経常利益率)
③財務健全性(自己資本対固定資産比率、自己資本比率)
④絶対効力量(営業キャッシュフロー、利益剰余金)の4つの和で計算されます。非常に細かい計算式になりますが、前記4項目8つの指標にそれぞれ比重の異なる係数を掛けて算出します。
別の記事で書きますが、総評価においてはもうひとつの審査である経営規模等評価が全体の80%のウエイトを占めます。しかし中小規模の建設業者においてその営業規模は一定規模の範囲に収まっており、点数に大きな差は付きません。
一方この経営状況分析は全体の20%のウエイトではありますが、建設業者の経営状況の良し悪しで大きな差がついてしまい、上下1000点程度の差が開くことも珍しくありません。20%のウエイトですので、総合評価で200点もの差がついてしまうことになります。
小規模業者にとっては中規模業者に伍していくためには、いかに経営状況を改善していくかが当然に目的になります。その指標の中でも抜けて寄与度が大きい指標は純支払い利息比率であり、次いで総資本売上総利益率になります。
特にここに的を絞って改善を測っていくことは、単に分析数値を向上させるだけではなく、当然経営効率や経営状況の向上につながっていくことは言うまでもありません。
総合評定値通知書の有効期間は決算日から1年7ヶ月ですので、逆算して税務申告終了後1ヶ月以内を目処に分析申請を行ないます。決算変更届に先行しても構いません。分析が終わると、申請した機関から経営状況分析結果通知が届くことになります。
https://www.gyosei-suzuki-office.com/category1/entry82.html
今日は建設業者が公共工事を直接受注することの要件について書いていきます。
https://www.gyosei-suzuki-office.com/category1/entry42.html
公共工事とは国の各省庁や都道府県市町村といった地方公共団体、あるいは独立行政法人等も含めた、いわゆる官公庁が発注する工事のことをいいます。
税金で賄われる工事であり公共性が問われるものですので、その運用は建設業法によって厳しく規制されています。また各官公庁ともより良い行政を目指し、発注を行うに当たっては、客観的な評価に基づいた適正な建設業者を、適正な発注価格で契約するという「入札制度」で運用しています。
一方地方公共団体においては地域活性化の一環として、地元業者との契約や育成を行うといった一面も備えています。
ではまず建設業者が公共工事を受注するメリットについて考えてみましょう。
請け負うメリットとしては多くのものが挙げられますが、まず第一には当然、売上の増加が見込まれることです。特に公共工事はインフラの整備や維持も継続して行う必要があるため、不況期でも安定した発注量が見込めるという大きなメリットがあります。
また請求先は官公庁ですので、現金回収ができしかも取りっぱぐれはありません。Aランクの取引先です。情報収集や営業努力については民間に対してするものと比べても力の抜けるものではありませんが、少なくとも交際費等の出費はかかりません。
信用力という点からも、公共工事の請負が多いほど当然企業としての信用が高くなっていきます。優良債権がきちんと回収できていることが一目瞭然であり、官公庁から財政面も技術面もお墨付きをもらえる効果があるからです。銀行などの金融機関からの信用が厚くなることはもちろん、民間企業からの受注増にもつながるものです。
もうひとつ期待できる効果としては、前述した地元企業が優先されることが多いことと、小規模企業にも地域活性化の点から枠が設けられていることです。まずは限られた規模やランクの工事にはなりますが、そのレベルの公共工事を請け負うことで、次のステップにつなげていける可能性があります。
では公共工事は誰でもが受注できるのでしょうか。
公共工事を受注するのには、官公庁があらかじめ公表する工事の「入札」に参加しなければなりません。入札自体の話はおくとして、ここでは入札参加の要件について見てみます。
まず前提条件としては、建設業許可業者でなければなりません。軽微な工事のみを行う建設業者であっても建設業許可を取得すれば、入札に参加する第一の要件はクリアできます。
次の要件は毎年必ず決算変更届けを提出していることです。建設業許可業者としての義務ですので当然ですが、変更届けを提出していれば次のステップに進むことができます。
ここまでは形式要件であり、受けようとする建設業者は当然クリアしています。ここから各建設業者に備わっている技術力や経営力、資力等によって客観的な点数化が行われ、ランク付けされていく過程に進みます。
その過程が「経営事項審査」(けいしん)というものになります。経営事項審査を経て獲得した点数やランクに基づいて、各省庁の入札採用につながっていきます。経営事項審査は経営状況と経営規模という2つの客観的な審査が行われ、最終的に点数化された「総合評定値通知書」というものが交付されることになります。次回はそれぞれの分析について見ていきます。
https://www.gyosei-suzuki-office.com/category1/entry42.html
建設業許可業者数調査の結果について、国交省より発表されています。平成30年末現在のものですが、今回調査での全国の許可業者数は464,889業者であり、昨年からは0.1%のマイナスと、ほぼ同様の規模となっています。許可業者数のピークは平成12年3月末時点(平成11年度)の600,980業者ですので、そこからは22.6%減となっています。新規許可業者数は21,035業者で、前年比4.0%の増加です。廃業は21,600業者と、昨年度より803業者減っています。リンクを貼っておきますので、国交省のサイトから確認ください。
今日は建設業許可取得後に、人材要件を満たさなくなってしまった場合の対応について書いていきます。
建設業許可に必要な要件は、営業所要件や財務面の要件の他、法人の場合は役員等が、また個人の場合は個人事業主等が欠格要件に該当しないことが必要です。また建設業としての誠実性を有することも要件になります。しかしこれらは現実的に建設業を営んでいく上では必要不可欠なものですので、ハードルとしてはさほど高いものではありません。
実際に新規に許可を受けたり、あるいはそれを継続していくにあたっては、経営業務管理責任者や専任技術者を継続して雇用していくことが、特に小規模企業にとってはハードルの高いものとなります。建設業許可はいうまでもなく、許可を受けている期間は継続して要件を備えている必要がありますので、要件を失った場合には許可を失うことになります。
では要件を欠いた場合の段取りについて書いていきます。
いずれかの要件を欠いた場合は、2週間以内に役所にきちんとその旨の変更届を提出しなければなりません。建設業法により、要件を欠いたまま変更届けを出さないで営業を続けた場合には罰則規定が設けられており、しかも法人の場合には併せて管理者責任も問われます。
罰則を受けた業者も廃業届を提出した業者も役所のホームページに掲載されますので、要件を欠かないような方策をとっておくことがなにより重要となってきます。人的要件を欠いた旨の変更届が出されると廃業届を提出することとなり、期間満了を経ずして建設業の許可を失います。
では、人的要件を欠いた場合の対応について具体的に見ていきましょう。まず経営業務管理責任者を欠いた場合の段取りとしては、
①従来の経営業務管理責任者に代わる者がいる場合は、2週間以内に役所へ経営業務管理責任者証明書を提出します。
②代わりの者がいない場合は、後任を常勤としてすぐに雇用します。この場合は必ず常勤であることと継続して雇用されること、および役員としての登記が必要となります。取締役としての登記は、退任日は辞任を届出た日であり、就任日は就任を承諾した日となります。
経営業務管理責任者としての要件は経営者としての経験年数のみとなりますので、あらかじめ見当をつけておかないとおいそれと後任は探せません。当然経営陣に加わるわけですので、今後の経営も考えての後継者を用意しておくことは必定ということになります。
では専任技術者を欠いた場合はどうでしょうか。こちらも同様に、
①代わるものがいる場合は、2週間以内に変更届けを提出します。
②代わりの者がいない場合は、2週間以内に常勤である有資格者を雇用することとなります。
代わりの者を雇う場合は第一義的には当該業種の国家資格者を求めることになりますが、昨今の技術者不足からは、そうそう見つかるものでもありません。かといって実務経験から雇用する場合も許可に対するハードルは高くなりますが、雇用可能性が大きく高まるものでもありません。
こちらは経営業務管理責任者よりも、一般的には退職等で欠ける可能性は高いものとなりますので、事前に技術者確保の方策を講じておくことが一層大切なものとなります。具体的な対策としては、
①複数の技術者や、それに次ぐ経験を要する者を確保しておく。
②自社で国家資格取得に向けた支援を行う。
③技術者が継続して勤務できる賃金制度や社会保険制度を充実させる。
以上の対策は小規模企業にとっては簡単なことではありませんが、”他人を雇用する”以上は、制度の充実等を図ることによって人的資源を確保していくこと、これに勝るものはないのでしょう
今日は建設業における技術者について書いていきます。技術者の中でもリーダー的存在である専任技術者と主任技術者、それと管理技術者についてみてみます。
まず専任技術者とは先の記事でも書きましたが、建設業許可申請の要件となる技術者です。専任技術者がいる建設業者でなければ許可申請をすることはできません。 また営業所に常駐義務のある技術者であり、工事現場には基本的に配置できません。
次は主任技術者を見てみましょう。主任技術者とは専任技術者とは異なり、建設業許可申請の際の要件とはなりません。しかし許可が下りた場合は必ずおかなければいけない技術者となります。資格要件は専任技術者の要件と同様です。配置されるのは現場であり、これも常駐義務があります。専任技術者が営業所のリーダー、主任技術者が現場のリーダーということです。
管理技術者とは、元請金額が4000万円以上(建築一式工事の場合は6000万円)の現場に置かれる技術者のことです。特に規模の大きな現場はその責任も重くなるため、主任技術者より上位であって経験も要する技術者をおかなければいけないうことです。資格面からは、主任技術者は2級資格者でも構いませんが、管理技術者は1級資格者である必要があり、経験面からはその業種の所定規模以上の請負金額の工事に、現場責任者や現場監督等の指導監督的な実務経験を有している必要があります。管理技術者は特定建設業許可の場合に置かれます。
専任技術者と主任技術者、あるいは経営業務管理責任者は基本的に兼務できません。これは各々の役割や現場が異なるからです。ただ小規模事業者などは複数の技術者を雇うことができない場合もありますので、例外として営業所と現場が近くにあり、常に連絡が取れる場合は兼任も認められています。ただしこれは規模の小さな工事の場合だけであって、施工金額が一定金額以上の場合は、例外も適用されません。
主任技術者は元請下請や金額の大小に関係なく、全ての工事現場ごとに必ず配置しなければなりません。また複数の工事現場を同時に兼任することは認められていますが、重要な工事現場等では特にリーダーの責任も重くなるため、一定の場合は兼任が認められません。公共性のある施設やそれに準ずる施設、あるいは重要な工事でかつ請負金額が3500万円 (一式工事は7000万円)以上の場合は兼務が認められません。例外として工事現場が近接しており、双方の工事に一体性が認められる場合は最大2箇所まで認められる場合があります。
なお主任技術者として置かれる者は、最低でも工事開始の3ヶ月以前から雇用された者である必要があります。
今日は建設業許可の新規取得について書いていきます。
新規取得とは文字通り新たに許可を取得することですが、これにはいくつかのパターンがあります。
①新規取得
②許可換え新規
③般・特新規
④業種追加
です。
以上4つについてもう少し詳しく見ていきましょう。
まず建設業許可の新規取得とはどのようなものでしょうか。第一義的には今まで建設業許可を取得していなかった建設業者が許可を取得する場合です。軽微な工事のみを行っていた建設業者が、軽微な工事の範囲を超える工事を請け負うようになった場合や、元請業者の要請を受けて取得する場合があります。
一方、「廃業届」を提出した建設業者が再度建設業許可を申請する場合もあります。以前に許可を有していた者が許可取得後に要件の一部でも欠いた場合は、廃業届を提出して廃業することとなります。
例えばひとつの営業所のみで建設業許可を取得していた建設業者で専任技術者がひとりしかいなかった場合に、その専任技術者が退社してしまい2週間以内に常勤の後任が採用できなかったときなどは、やむをえず「廃業届け」を提出して廃業しなければなりません。
しかしこのケースにおける廃業は法的罰などによる廃業とは異なるため、要件を欠いた要因が解決すれば、すぐにでも再度の許可申請をすることができます。再度許可を取得するために申請する場合もこの「新規」に該当します。
「許可換え新規」とはどのようなものでしょうか。許可換え新規とは次の場合をいいます。
①複数の県で営業所を設けている建設業者が、他の県の営業所をすべて閉鎖し、ひとつの都道府県の区域内のみに営業所を設けることとなったときです。この場合は残った営業所のある都道府県に知事許可の申請を行います。国交大臣許可が失効し知事許可となることです。
②都道府県知事の許可を受けた者がその都道府県の営業所をすべて廃止して、別のひとつの都道府県に営業所を設置することとなったときです。この場合は新たな営業所のある都道府県に申請を行います。許可は知事許可で変わりませんが、従前の県での知事許可が失効し、新たな県で知事許可を申請することになります。
③都道府県知事の許可を受けた者が、別の都道府県にも営業所を有することとなったときです。この場合は国交大臣の許可申請をすることとなります。知事許可と大臣許可を両方受けることはありませんので、これらの場合は従前の知事許可は失効することになります。
「般・特新規」とはどのようなものでしょうか。般・特新規とは次の場合をいいます。
①一般建設業許可を、同じ業種の特定建設業許可に変えて許可申請することをいいます。逆に特定建設業許可を一般建設業許可に変えて申請する場合も同様です。一般許可と特定許可の両方は持てませんので、特定建設業の許可が下りた場合は一般建設業の許可は失効します。逆も同様です
②複数の業種について特定建設業のみの許可を受けている建設業者が、その一部の業種について特定の要件を満たせなくなった場合は、あらかじめその業種の特定建設業許可について廃業届を提出してからあらためて般・特新規の申請をしなければなりません
③複数の業種について特定建設業のみの許可を受けている建設業者が、その全部の業種について特定の要件を満たせなくなった場合は、あらかじめその全部の業種の特定建設業許可について廃業届を提出してから、あらためてすべての業種の一般建設業の申請をしなければなりません。この場合の申請は般・特新規とはならず、通常の新規許可申請となります
般・特新規申請の場合では元の許可番号は変更とはならずそのまま引き継がれることとなります。
最後に「業種追加」についてですが、業種を追加される場合も新規建設業許可申請が必要になります。当然この際には申請手数料や、行政書士への報酬が発生します。新規申請される際には、一般業種と特定業種を同時に申請される場合は二つの申請が必要になります。
しかし同じ一般業種(特定業種)内なら、一度に何業種でも申請することができ、手数料や報酬も1回分のみとなります。ですので、新規申請の際に既に複数業種申請の目処が立っているようでしたら、費用面からはまとめて申請されることをお勧めいたします。
http://gyosei-suzuki-office.com/category1/entry2.html
週末の暑さとは打って変わって、昨日今日は雨模様で少し肌寒い天気ですね。でもあさってからGW前半にかけては暑いくらいの好天が続くようですね。GW後半の天気が少し気がかりですが、今年は日の並びも良いし、景気には良い影響を与えるでしょう。
私もメーカーに努めていた頃はここが前半最大の山場であり、仕掛けていた企画の成果が気になるところでした。新人行政書士として迎えた今年は、のんびり旅行を楽しむ余裕がありますが、来年からは遊ぶ暇もないことを期待しています。
今日は建設業許可の種類について書いてみます。
まず営業所の所在地によって申請先が異なる、知事許可と国土交通大臣許可の2種類があります。
知事許可とは、1つの都道府県でのみ建設業法に基づく営業所を設ける場合の許可となります。この場合の許可は都道府県知事が行い、申請先は各都道府県知事となります。
国交大臣許可とは、2つ以上の都道府県にまたがって営業所を設ける場合の許可となります。この場合の許可は国土交通大臣が行い、申請先は主たる営業所を管轄する地方整備局等になります。実務的には知事許可と同様に都道府県の窓口に申請することになります(手数料の収め方や受付日等が異なる場合があります)。
知事許可と大臣許可の違いは、契約を行える営業所が他県にも置かれているかどうかだけの問題であり、基本的には許可内容にそのほかの違いはありません。
また同一業者が知事許可と大臣許可の両方を受けることはありません。どちらか一方の許可だけです。知事許可を取得していても他県に営業所を開設した場合は大臣許可に変更をし、大臣許可の場合であっても一つの県以外の営業所を閉鎖した場合は、残った県の知事許可に変更します。
なおこの2つの許可区分はあくまでも営業所の所在地に基づくものであって、施行する工事現場はどこでも構いません。知事許可を受けた者が他県で工事を施行することにはまったく問題ありません。
申請先による区分のほか、下請に出す工事金額の総額によっても2つの許可に区分されます。ひとつは一般建設業許可であり、もうひとつは特定建設業許可です。
まず一般建設業許可とはどのようなものでしょうか。次のいずれかが該当します。
①発注者から直接受注した工事について、下請に出す工事金額が4000万円未満の工事のみを行う建設業者
②建築一式工事においては、下請に出す工事金額が6000万円未満の工事のみを行う建設業者
では特定建設業許可とはどのようなものでしょうか。次のいずれかが該当します。
①発注者から直接受注した工事について、下請に出す工事金額が4000万円以上の工事を行う建設業者
②建築一式工事においては、下請に出す工事金額が6000万円以上の工事を行う建設業者
ひとつの業種については一般建設業許可と特定建設業許可の両方は取得できず、業種ごとにどちらか一方のみの許可となります。金額についてはいずれも消費税等込の金額です。
なお注意しなければいけない点は、この一般建設業か特定建設業かの区分については直接請負う金額に制限はなく、あくまでも下請けに発注する金額によって決まるという点です。大規模な工事を請負ってもそのほとんどを自社施工で行い、下請けへの発注金額が4000万円に満たなければ、一般建設業の許可でも大丈夫ということになります。
ただしひとつでも特定に該当する工事を請け負う場合は、やはり特定建設業許可が必要であることは言うまでもありません。
なお別記事でも書きますが、特定建設業許可は一般建設業許可と比べてその責任範囲が増すため、取得要件も厳しくなり技術者の要件や財務要件のハードルが高くなります。
http://gyosei-suzuki-office.com/category1/entry6.html
今日は建設業許可の許可要件について書きます。
建設業許可には営業所の場所によって県知事許可と国交大臣許可があり、また元請が下請けに発注する金額によって一般建設業許可と特定建設業許可があります。その組み合わせによって要件も変わってきますが、今回は一番申請の多い一般建設業許可の知事許可での許可要件を見てみます。
建設業許可を取得するには「人」「施設」「財力」を備えていることが条件となり、これらすべてを満たさなければなりません。
まず「人材要件」。これが一番重要ですが、
①経営業務管理責任者がいること
②専任技術者がいること
③欠格要件に該当しないこと
④誠実性があること
これらのすべてを満たす必要があります。
「施設要件」は建設業の営業を行う「営業所」を有することです。
営業所とは経営業務管理責任者や専任技術者が常勤する、請負契約を締結する事務所のことです。作業員とかが常駐する支店等であっても、契約を締結しない場所は建設業許可における営業所とはなりません。また契約を直接締結する場所でなくても、実質的にそれらを統括する場所は営業所となります。
「財産要件」は、財産的基礎や金銭的信用を有することです。具体的には、
①直前の決算において自己資本額500万円以上あること
②500万円以上の資金調達能力を有すること(直前1ヶ月以内の預金残高証明書等で証明)
③許可申請直前の過去5年間に、許可を受けて継続して営業した実績を有すること
このうちいずれかに該当することが必要となります。
ちなみに特定建設業許可の場合は特に健全な経営が要請されるため要件は非常に厳しくなっており、
①欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
②流動比率が75%以上であること
③資本金の額が2,000万円以上かつ自己資本の額が4,000万円以上であること
この3つのすべてに該当する必要があります。
では人材要件について更に見てみましょう。
まず経営業務管理責任者の要件はどのようなものでしょうか。
法人の場合は常勤役員のうち少なくとも1人が、また個人事業者の場合は個人事業主本人またはその支配人のうちのひとりが、次の要件を満たした常勤の経営業務管理責任者である必要があります。
要件は資格ではなく建設業の経営経験のみを問うものであり、言い換えると経営者としての実務経験年数のみとなります。具体的には、
①許可を受けようとする建設業について、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者(法人の役員または個人事業主の経験)
②許可を受けようとする建設業について、5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって、執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験を有する者(特別な証明資料等が必要)
③許可を受けようとする建設業について、6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって、経営業務を補佐した経験を有する者。個人事業主の場合は、事業主の配偶者や子などが補佐する立場にあった経験も含まれます
④許可を受けようとする建設業以外の建設業について、6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
⑤許可を受けようとする建設業以外の建設業について、6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験を有する者
これらのいずれかを満たす必要があります。許可を受けようとする建設業以外の建設業については、補佐した経験を有する者は対象となりません。
平成29年6月の建設業許可基準の改正によって上記年数基準の7年が6年に短縮され、経営業務管理責任者の申請は有利になりましたが、依然その地位を証明する特別な証明資料の提出は必要事項であるため、この部分のハードルの高さは解消されていません。
では専任技術者の要件はどのようなものでしょうか。専任技術者はすべての営業所にひとり以上常勤しなければなりません。具体的な要件は、
①取得したい許可業種の国家資格を有していること
②大学の指定学科卒業後3年以上の実務経験を有することや、高等専門学校の指定学科卒業後3年以上の実務経験を有することですが、この専門学校卒業の場合は専門士(文科省指定の専門学校および課程で2年を修了した者)や高度専門士(同じく4年)の資格が必要
③高等学校の指定学科卒業後5年以上の実務経験を有することや、専門学校卒業後(専門士や高度専門士の資格をもたない物)5年以上の実務経験を有すること
④学歴の有無を問わない場合は10年以上の常勤実務経験が必要
以上のいずれかを満たすことが必要となります。国家資格を有していれば実務経験は必要ありませんが、実務経験で専任技術者となる場合は、学歴証明と実務経験の証明書類が必要となります。これらの実務経験はすべて、常勤でなければなりません。
④の場合などは2つ以上の業種で取得する場合はそれぞれに10年以上、合計で20年以上の経験が必要となるため、国家資格を有する専任技術者の採用が有利ではあります。
なお電気工事業と消防施設工事業については原則国家資格が必要となります。また一般建設業の場合は2級資格でも大丈夫ですが、特定建設業の場合は必ず1級資格が必要となります。
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