相続はお早めに

今日は遺言書のない相続について記載します。

■筆者の相続ホームページ

https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/

相続は多かれ少なかれ突然発生します。亡くなられた方が長く病で伏せってらしても、そのような状態ではなかなか事前に相続のことまで気が回りません。その方ご自身が相続人の方の今後を考えられて遺言書を作成する場合もありますが、考えている内に遺言書自体を作成する認知能力などが失われてしまいます。
では突然やってきた相続の場合どうすれば良いでしょうか。当面は配偶者やお子さんなどの一番身近な方が死亡届や年金、税金関係など役所の手続きをすませたり、金融機関に連絡をされると思います。当面葬儀などの資金が必要になるでしょうから、必要額を事前に亡くなられた方の口座から引き出しておく必要もあります。
とりあえずの段取を終え落ち着かれたら、次は相続について考えなければなりません。一般的に被相続人(亡くなられた方)の財産には、現金や預貯金の他、不動産があります。その他有価証券等がある場合もあります。これらを相続人全員で協議し、それぞれの取り分を決めなくてはなりません。
まず配偶者の方やお子さんなどの一番身近な方が主導となり、相続人に当たりを付けます。そこから関連するすべての戸籍を取り、並行してすべての財産を探索してまとめ上げます。身近の方が亡くなられてそこまで気が回らないこともあるでしょうが、できる限り早く手を付けることが肝要です。お忙しければ当職のような行政書士などの代理人に依頼することもお勧めします。
なぜ急がなければならないかというと、相続には法律でいろいろな期限が決められているからです。例えば3ヶ月以内にしなければならないことは、財産を相続するか放棄するかの決断です。相続放棄は3ヶ月以内に手続きをしないと、以降は相続放棄ができなくなります。たとえ借金が残された財産より多くても、負債も含めて相続人に法定相続分だけ相続され、被相続人の借金を返済しなければならなくなります。多くの借金が想定される場合には、非常に重大な期限になります。
また逆に相続財産が多い場合も重要な期限があります。それは10ヶ月以内に相続税を納めなければならないことです。期限内でしたら住宅などの特例措置もあります。相続財産が多い方は、出来れば早めに行政書士などの専門家に依頼し、速やかに相続手続きに着手されることをお勧めします。 

Related Posts
遺産分割協議の開催
遺産分割協議に請われて立ち会うことがあります。当然交渉に関与したり、協議自体に関わることはありませんが、相続人や財産関係等で差し支えない部分については、調査した内容などにお答えすることになります。公正証書遺言があればその内容にしたがって相続を行っていけばよいですし、遺留分が発生する場合は、問われれば遺留分減殺請求権(7月1日からは遺留分侵害額請求権)についてご説明することになります。 相続人が配偶者とその子たちであって、特段不仲でなければ代表相続人の方(通常は配偶者の方か高齢であれば長男等)がリードして、あうんでそれぞれの相続分を決めていかれることになると思います。通常は相続人がたとえ少人数であっても単独相続でない限りは、不動産登記や銀行の払い戻しに、「遺産分割協議書」「財産目録」「相続人関係説明図」を求められます。 まず相続財産をキチンと整理して財産目録を作成します。ここではプラスの資産だけでなく、負債などのマイナスの資産も明確に調査する必要があります。借金をしていた可能性があるのに単純に相続をしてしまいますと、負債の方が大きいマイナスの相続になってしまいます。 マイナスの相続の場合は、3ヶ月以内に相続放棄の手続きをとれば、負債を含めた一切の遺産相続を放棄することができます。3ヶ月というのはここで重要な期間になってきます。もし安易に一部の財産を処分してしまったり、3ヶ月を過ぎてしまいますと、「単純承認」をしたことになり、もう相続放棄をすることができなくなり、負債の一切も相続人全員で返済する義務が生じてしまいます。遺産相続を受けるかどうかの判断材料とすることが、「財産目録」を作成することの目的のひとつになります。また相続人全員で合理的に遺産分割するための判断材料になる書類でもあります。 次の「相続関係説明図」とは、法定相続人全員の相続関係を証明した一覧になります。遺言書がなければこれを基に各自の相続分を調整していきますし、遺言書があれば遺留分算定の基礎となります。相続税には基礎控除というものがありますが、ここで法定相続人の人数を確定しませんと、控除額を確定することもできません。 また調べなくても明らかに法定相続人が確定できる場合は大きな問題はないですが、被相続人が離婚をしていた場合や人間関係が複雑な場合には、戸籍を厳格にたどって相続人を確定しておきませんと、後からあたふたする事態となります。 普段わかっている相続人以外に相続人がいる場合(離婚した妻との間にできた子や認知した子など)は、相続人の特定をしっかりしておかないとトラブルの原因になります。いいわいいわで現在生活している親子だけで相続をしてしまうと、後からそれらの相続人が現れた場合には相続のやり直しになってしまいますので注意が必要です。もっとも登記や払い戻しの際もすべての戸籍謄本も求められますので、相続人の確定は必須になります。「遺産分割協議書」と併せ、過去ブログやホームページで確認下さい。あとは後編に記載します。
READ MORE
今日は遺言書の3つめの方式である、「秘密証書遺言」について書いていきます。 「秘密証書遺言」については先日の記事でほとんど作成されないと書きましたが、その理由は、自筆証書遺言や公正証書遺言と比較してのメリットが少ない点にあります。 では秘密証書遺言の作成方法から見ていきましょう。秘密証書遺言の作成には、次の要件があります。 ①遺言者がその証書に署名押印すること ②遺言者がその証書を封じて、証書に押印した印で封印すること ③遺言者が公証人と証人2名の前に遺言証書を提出して、それが自己の遺言書である旨と遺言者の氏名及び住所を申述すること ④公証人がその遺言証書の提出された日付及び遺言者の申述を封紙に記載して、遺言者および証人とともに署名押印すること です。 秘密証書遺言書には、遺言書の書き方や記載内容については厳格な定めはありません。遺言書の内容自体を証明するものではなく、遺言書を保管したことを公証する方式の定めになります。ですので遺言書の存在は証明されますが、遺言書の内容については何ら効力は与えません。 公証されるのは遺言の存在だけであって、遺言書本体は公証力を持たないことになります。公証人が記載した「封紙」自体が公正証書となり、遺言書本体は公正証書ではありません。なお秘密証書遺言は公証役場には保管されることはありません。 遺言書の中身の作成については自筆証書遺言のような厳格な規定はありませんので、全文を自筆にする必要はなく、パソコン等で作成したり第三者に作成してもらっても問題ありません。また日付についても公証人が日付を封紙に記載しますので、本文への要件とはされていません。押印も実印である必要はありませんが、本人の署名押印は必要になります。 では秘密証書遺言のメリット・デメリットについて見ていきましょう。 まずメリットは、 ①自分で遺言書を書く事ができなくても、遺言書を作成することができること ②遺言の存在が明らかにされるため、未発見や隠匿、および廃棄される可能性が低くなること ③遺言書の内容を秘密にしておくことができること です。 デメリットは、 ①公証人や証人が関与し、手続きが厳格であること ②公正証書遺言に比べれば小学ですが、作成に費用がかかること ③加除訂正ついては自筆証書遺言の厳格な規定が準用されること ④家庭裁判所の「検認」手続きが必要になること です。 このようにデメリットと比較してのメリットが少なくまた費用も発生するために、作成される件数は少ないものとなります。
READ MORE
自筆証書遺言のメリット・デメリット
今日は自筆証書遺言のメリット・デメリットについて書いていきます。 自筆証書遺言については手軽に書く事ができますので、一般的な遺言書としてまず思い浮かぶのは自筆証書遺言になると思います。この手軽さこそが諸刃の剣として、メリット・デメリットを生むことになります。 まずメリットについて見ていきましょう。自筆証書遺言のメリットは、 ①自分ひとりで手軽に作成できる ②作成に費用がかからない ③遺言書の内容を秘密にしておける シンプルですが、これらのメリットに尽きます。逆に言うと十分な知識があって、保管や亡くなった後の手続き等も万全な体制を取ることができれば、自筆証書遺言で作成することはメリットが大きいと思います。 デメリットはこれと裏腹になります。自分ひとりで作成することによるリスクが大きなものとなります。デメリットは、 ①要件が厳格であり、書き方を間違えると法的効果を生じない ②遺言者の死後遺言書が発見されないおそれがある ③遺言書を一部相続人により破棄、改ざんされるおそれがある ④遺産分割協議後に発見され、協議がやり直しとなる ⑤相続人が必ず家庭裁判所に「検認」手続きを行わなくてはならない ⑥本人が作成したことの証明がむつかしく、遺言書の内容の信ぴょう性が疑われる ⑦自筆である証明がむつかしい ⑧遺言書の内容が曖昧であったり、法律的な疑義が生じるおそれがある ⑨遺言書の内容が偏ったものになるおそれがある 等です。 これらはあくまでトラブルを起こす可能性を秘めていることであり、必ずしも起こるものばかりではありません。しかし発生した場合には遺言書が無効となるばかりではなく、遺言書の存在自体が相続人にとってとんでもない迷惑を掛けることになります。 基本的には、遺言者がひとりで書く事によるリスクになります。ひとつひとつ見ていきましょう。 ①については要件が極めて厳格であり、方式を間違えると遺言書自体が法的に無効になります。この場合は相続人全員が遺言者の意思を汲んでくれれば良いですが、相続人がひとりでも反対すれば、遺言書は無効とされます。遺言者の意思は反映されず、相続は遺言書がなかった場合の遺産分割協議が行われることになります。加除訂正の際の方式不備についても前回記事に書いたとおりになります。 次の②ですが、自筆遺言書は現状は保管制度がないため、基本ご自分が保管することになります。一般的にはご自宅や銀行の貸金庫等に保管されますが、これが発見されない場合があります。遺言書のない相続の場合は、相続人の方がまず遺言書を探しますが、見つからない場合は遺言書がなかったものとされます。相続人側から見れば当然そう考えます。 ③では遺言書が見つかった場合でも、その見つけた者によっては、悪意で破棄したり改ざんしたりする可能性も否定できません(破棄や改ざん等が判明した場合は、その者は欠格者として相続人の地位を失います)。 ④では、探しても見つからなかった場合は相続人全員で速やかに遺産分割協議を行い、各相続人の相続分を決めます。これには相続人全員の合意が必要ですのでやっかいなものになりますが、万が一後から法律効果のある遺言書が出てきた場合には、これまた厄介なことになります。遺言書によって有利な相続をされる者がいた場合は、その者の請求によって相続がやり直しになる可能性があります。 なお平成30年7月に相続遺言に関する改正民法が成立し、平成30年7月13日に交付されました。これによって新たに、法務局での自筆証書遺言書の保管制度が設けられ、公布の日から2年以内に施行されることになります。 詳細な内容は現時点では詰められていませんが、自筆証書が法務局に保管される制度であり、「検認」手続きも不要になります。これによって前述の②③④の問題解消が期待されます。⑤についても同様で、保管された自筆証書遺言については、相続人に負担の大きい「検認」制度が適用されないこととなりました。 では⑦についてはどうでしょう。自筆である限りついてまわる内容ですが、実際に筆跡鑑定には専門家が鑑定しても困難があるようです。疑義を持つ者がいた場合には裁判で争われることもあり、近年では有名な事件で本人直筆であることが覆されたこともあるようです。 ⑧および⑨については、本人がひとりで書く事によるトラブルです。法律を知らなかったり、感情が偏ったりしていた場合に起こり得る問題です。これらは専門家に作成を協力してもらうことで解決することはできます。 以上、自筆証書遺言についてはメリット以上にデメリットが大きく、トラブルが起こった際には、良かれと思って遺言書を書かれたこと自体が迷惑になってしまう場合もあります。 自筆証書遺言のメリットは大きなものですので、作成を否定するものではありませんが、作成する場合はくれぐれも慎重を期すことをアドバイスするとともに、できれば専門家の手を借りることが賢明であると付け加えておきます。
READ MORE
民法における養子縁組について
今日は養子縁組のうち、普通養子縁組について書いていきます。 養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」がありますが、通常行われる養子縁組が普通養子縁組になります。 「縁組」とは、養子とする行為を言います。「普通養子縁組」が成立する要件としては形式的要件と実質的要件がありますが、形式的要件は「届出」になります。婚姻などと同様に、養子縁組も「届出」を行わないと縁組は成立しません。 では実質的要件とはどのようなものでしょうか。実質的要件には次の2つがあります。 ①縁組意思の合致 ②縁組障害事由の不存在 です。 「縁組意思の合致」とは、養子縁組を行う当事者双方に、真に親子関係を形成して養子縁組を成立させようという意思があることを言います。この意思がなく、他の目的のために行う縁組は無効になります。他の目的とは、相続人になるためにすることなどが挙げられます。 次のような場合は縁組をすることができません。縁組をすることに障害となる事由があるということであり、「縁組障害事由の不存在」とは、縁組をすることに障害となる事由がない、つまり縁組をしても良いですよということになります。 ①養親が未成年の場合は、縁組をすることができません。ただし未成年が婚姻をした場合には、「成年擬制」により養親となることができます。 ②養子となる者が養親になる者より年長者の場合、または養親の尊属の場合は縁組をすることができません。 ③後見人が被後見人を養子にする場合は、縁組をすることができません。ただし家庭裁判所の許可があれば認められます。 ④配偶者のある者が未成年者を養子にする場合には、原則共同して縁組しなければなりません。ただし、配偶者の嫡出子を養子にする場合(再婚時の連れ子等)は共同でする必要はありません。 ⑤配偶者のある者が養子になる場合、または配偶者のある者が成年者を養子にする場合は、配偶者の同意があれば単独で縁組をすることができます。 ⑥養子となる子が15才未満の場合は、法定代理人が縁組の承諾をすることができます(代諾養子)。 ⑦未成年者を養子とする場合には、自分や配偶者の直系卑属を養子とする場合を除き、原則家庭裁判所の許可が必要になります。 普通養子縁組が成立した場合には、次のような効果が発生します。 ①養親の嫡出子たる身分 ②法定血族関係 ③養親の氏の取得 です。 「養親の嫡出子たる身分」は縁組の日から効果が生じます。養子が未成年者の場合は、養親が親権者になります。 養子となった者は嫡出子と同様の、相続権や養親の扶養義務が発生することとなりますが、縁組前の実親やその血族との親族関係は存続しますので、実親も相続することができます。「普通養子」となった者は、実親と養親の両方を相続することができます。 「法定血族関係の発生」について、養親やその血族との間の法定血族関係も、縁組の日から発生します。 「養親の氏の取得」についても同様の効果となります。ただし婚姻によってその氏を改めた場合は、夫婦同氏の原則が優先します。
READ MORE
相続 失踪宣告
今回は失踪宣告について書いてみます。 失踪は婚姻関係の整理や相続の分野にも関わってくる事柄です。失踪の宣告はその者の行方が不明になった場合に、利害関係人が家庭裁判所に申請することによって行ないます。家族の者でなくても構いません。 失踪宣告の請求はいつでもできますが、失踪宣告がなされた場合は、最後に生存が確認された時点から7年間の期間満了後に死亡したとみなされます。行方不明になってから8年後に請求をした場合は、1年前の期間満了時にさかのぼって死亡したとみなされます。これを普通失踪といいます。 一方飛行機や船の事故などで行方不明になった場合には、その危難が去ってから1年を経たあとに失踪宣告がなされますが、この場合は危難が去った時点にさかのぼって死亡したものとみなされます。これを特別失踪といいます。 しかし失踪宣告されたからといって失踪者本人の権利能力まで否定されるものではなく、本人が生きていた場合は他で法律行為を行うこともできます。その場合には失踪宣告の取り消しが行われますが、死亡時が異なる場合もその日付での宣告は取り消されることとなります。 では取り消しが行われた場合はどのようになるのでしょうか。失踪宣告の取り消しが行われた場合には、宣告によって財産を得た者はその権利を失うこととなり、現存利益の限度で返還義務を負うこととなります。民法では現存利益の限度(範囲)という言葉がよく出てきますが、手元に残ったお金があれば返還するということです。 手元に残ったお金が返還すべき額を下回っていたとしても、その使ったお金が家計費などの自分の利益になるものに使った場合は、その分は補填しなければいけないということです。一方ギャンブルなどで浪費してしまった場合は利益として残っていないのですから、その分は返還する必要はないですというものです。一見理不尽に思えますが、そういう内容です。 宣告によって財産を得た者が、第三者と既に取引を行っていた場合はどのようになるのでしょうか。この場合は、取引の当事者双方が善意であれば取引行為は有効となります。ちなみに善意という言葉が法律用語として使われる場合は、「その事実について知らない」ということを意味し、対義語である悪意は「その事実について知っている」ことを意味します。 夫の失踪宣告後に別の男性と結婚していた場合はどうなるのでしょうか。この場合は、妻と現在の夫の一方または双方が悪意(失踪した夫が生存していることを知っている)であれば、前婚が復活し重婚関係となります。重婚は認められませんので、現在の結婚を生かす場合には前婚の離婚届けを出し、前婚を生かす場合には現在の婚姻を取り消します。妻と現在の夫の双方が善意であれば、前婚は復活しません。 相続で行方不明の方が問題となる場面は、共同相続の場合です。共同相続に際しては、必ず相続人全員参加の遺産分割協議が必要になりますので、行方不明者がいる場合は失踪宣告を請求する必要も出てきます。この場合も協議との兼ね合いで時間的猶予のないこともありますので、実際はまず不在者財産管理人選任を請求することとなります。この請求は、行方不明者が最後にいたであろう場所を管轄する家庭裁判所に行ないます。 不在者財産管理人の立場としては、遺産分割で不在者に不利な配分を求めることもできませんので、実際は法定相続分での決着が多いようです。 https://www.gyosei-suzuki-office.com/category2/entry68.html
READ MORE
民法改正後の遺言について
今日は遺言について書いていきます。遺言については以前にも書きましたが、相続遺言に関する民法がこの7月に約40年ぶりに大幅改正されましたので、それも含めて見てみましょう。 遺言を残そうとされる目的の多くは、ご自分の作られた財産をきちんとご自分の手で、ご自分の意思で配分したいというところにあると思います。考えられるきっかけはちょっとしたことからかもしれませんが、その動機の多くは遺されるご家族のことを考え、円満でスムーズに相続を終えてもらいたいという気持ちから発せられるようです。 中には家族親族がいがみあっていたり、複雑な関係性であったり、また相続人がいないなどの理由からトラブル防止のための遺言を書かれる場合もあると思います。また事業承継にあっては、自ら思い描く将来のために、きちんと整理した形で財産を相続させる場合もあろうかと思います。 いずれにせよ遺言を残される以上、法的に効果のある遺言にしなければなりません。では法的に効果のある遺言とはどのようなものでしょうか。 遺言自体はどのような形でも残すことができます。口頭で伝える場合もあれば、録音やビデオで伝える場合もあります。また通常は皆さん考えられるところの書面で残すことが多くなります。しかし法的に効果のある遺言は、きちんと法律に従った形式で、書面として残さなくてはいけないものになります。 きちんとビデオに撮っていても、それがそれぞれの相続人が納得するものであれば問題ありませんが、争いになった場合は法的に根拠がないものとして認められないものになります。 昨日たまたまビデオで「激動の1750日」という映画を見ていて、三代目姐が「先代が言い残した」という一言で後継が決まってしまいました。実際に言い残してはいないので争いになった場合は法的根拠のないものとなりますが、特殊な世界であれ、「故人が言っていた」の一言で相続が決まってしまってはたまりません。そこかしこでトラブルが頻発するでしょう。そんなトラブルを起こさないためにも、法律が遺言の形式を定めています。 ここでの法律は「民法」になります。民法は、私人間の生活関係を規律する「私法」の一般法(国家等の公権力と私人の関係を規律する法である法律を「公法」といい、これには憲法・行政法・民事手続法・刑法・刑事手続法があります)であり、その内容は「財産法」(ここには物件法と債権法があります)と「家族法」に分かれます。 「家族法」には家族や親族の範囲や関係性について規定する「親族法」の部分と、相続や遺言について規定している「相続法」の部分があり、ここで遺言についても明確に規定してます。 では民法に規定する遺言について見ていきましょう。遺言の方式について、民法では「普通方式」と「特別方式」を定めています。我々が一般的に理解している遺言とは普通方式のものになりますが、簡単に特別方式の遺言について見てみます。 「特別方式」の遺言については滅多にお目にはかかれませんし、またそういう立場になっては困るのですが、緊急時に発する遺言になります。ここでは詳細は省きますが、災難がまさに降りかかっている際に発する「危急時遺言」と、世間から隔絶された場所にあるときに発する「隔絶地遺言」があります。 「危急時遺言」には「死亡危急者遺言」と「船舶避難者遺言」がありますが、前者は病気やけが、あるいは災害が差し迫っている際に発っするものであり、後者は船舶が遭難にあっている際に発するものになります。 また「隔絶地遺言」には、「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」があります。前者は伝染病隔離施設や刑務所服役中などの場合、後者は遭難していない船舶の中で作成されます。 いずれも危難は迫ってはいませんので、本人が書く事になります。以上4種類が特別方式になりますが、それぞれ証人であったり検認であったり、その手続きは詳細に決められています。民法は約120年前に制定されましたので、情報の発達していない時代を背景としています。
READ MORE
公正証書遺言の作成方法
今日は公正証書遺言について書いていきます。 まず「公正証書遺言」ます。の作成方法です。最終的には公正証書遺言は「公証役場」で作成することになりそこに向かっての手順ということになります。もちろん行政書士を介せずご自分おひとりで原案を作成することもできます。その場合でも最終的には公証人が関与しますので、法的効果が欠如することはありませんし、内容的な不備も排除されます。保管の問題もクリアされます。 しかし公証人自体は書かれている内容自体に関与するものではありませんので、例えば「財産のすべてを愛人に与える」などという作成できないもの(この場合は公序良俗に反する)以外は作成されます。 また公証人によっては遺留分を考慮しない遺言、例えば長男に財産の3分の2をあげて次男には3分の1、長女には相続しないという内容の遺言書でも作成されてしまう場合があります。ですのでここでも作成にあたっては、行政書士に相談されて作成されることをお勧めします。 今回の記事においては、行政書士に依頼された場合の段取りにしたがって作成方法を書いていきます。 まず相談者様から作成代行の依頼があった場合は、遺言者様から契約書をいただくくとともに、署名捺印の委任状をいただきます。印は実印で捺印していただきます。また併せて印鑑登録証明書もいただきます。 公正証書遺言を作成するためには、相続人を調査し、相続財産を調査します。相続人については大方の場合は配偶者と子供などの知れている相続人になりますが、より確実な遺言書とするために、遺言者の出生から現在までの戸籍謄本および、推定相続人の戸籍謄本を取得して「相続関係説明図」を作成します。 なお公証役場には遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本があれば問題ありませんので、「相続関係説明図」を作成しない場合は、最低限これがあれば足ります。戸籍謄本は行政書士が「職務上請求書」というものを使用して、役所より取得します。 次は「財産目録」を作成します。遺言者から不動産や預貯金、証券類などの財産を申告してもらい作成します。遺留分の計算等でこの時点の財産額を知る必要がありますので、不動産の財産額について確認します。 この時点で「不動産の全部事項証明書」と念のために公図等も取得しておきます。併せて価格は路線価等で再確認します。預貯金については直近の通帳をコピーし、証券類は証書等を確認します。動産類は自動車の車検証の写や貴金属等の鑑定書なども用意します。 この際に忘れてならないのは、負債についてもきちんと確認することです。プラスの財産は遺言書とおりに相続されますが、負債については法定相続分とおりに相続されます。仮にプラスの財産よりマイナスの財産の方が多かった場合は相続放棄になりかねませんので、注意が必要です。以上から「財産目録」を作成します。 これらをもとに遺言書の文案を決めていきます。まず相続人を決め、遺贈等を決めます。それから各相続人の相続分を決めていきます。相続財産の配分については当然遺言者の判断になりますが、遺留分等についても配慮した方がトラブルは回避することができます。 不動産については明確に記載しますが、預貯金については特定の額を記載せず3分の1づつでも良いですし、1000万円を長男に、残りを次男に等の表現でも構いません。財産目録に記載されない細々とした動産等もありますので、遺言者所有のその他すべての財産を長男○○に相続させるの条項も記載します。 あとは墓や仏壇を管理していく「祭祀主催者」や「遺言執行者」等を記載していきます。祭祀主催者の条項を加えた場合は、公証人より別途手数料が加算されますので注意してください。 最後に「付言」を記します。文案が作成できたら依頼者と確認を取り、加筆修正の後文案を合意します。それから行政書士が公証人と文案の打ち合わせを行い、必要書類を提出します。公証人から文案と費用が提出されるので、依頼者と最終確認を行ないます。 合意ができたら公証役場へ出向く日を決め、当日は行政書士と遺言者本人、もうひとりの証人とともに公正証書遺言を作成します。当日は次の段取りで公正証書遺言が作成されていきます。 ①公証人が遺言者本人と証人2名(当職ともう1名の証人)の氏名・生年月日・住所・職業を質問し、遺言者と証人が本人確認ができる書類を提示します。 ②公証人が遺言者に遺言の内容を確認します。 ③公証人が遺言者と証人に、遺言書を配布し口述します。 ④遺言者と証人が遺言書の内容を確認し、公正証書遺言に各自が署名捺印をします。この際は遺言者は実印を用意します。証人は認印でも構いません。 ⑤公証人が署名捺印をします。 以上で公正証書遺言の完成です。 ⑥遺言者が公証役場に手数料を現金で支払います。 ⑦公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言執行者に「正本」が、遺言者に「謄本」が渡されます。 「正本」「謄本」の保管には注意が必要ですが、銀行の貸金庫に預けてしまうと開けるには相続人全員の署名捺印が必要になりますので、注意が必要です。 公正証書遺言であってもいつでも撤回をすることができます。 最後に作成する際の言語ですが、自筆証書遺言や秘密証書遺言は作成する言語は外国語でも構いませんが、公正証書遺言は日本語で作成しなければなりません。
READ MORE
民法における不法行為について
今日は不法行為について書いていきます。 「不法行為」とは、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害すること言い、これを侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責任を負います。交通事故も不法行為に当たります。 法学的には「不法行為」は、 ①被害者の救済を図る損害補填的機能 ②将来の不法行為を抑止する予防的機能 ③加害者に制裁を加える制裁的機能 を有するとされています。 不法行為の成立要件は次のとおりです。 ①加害者に故意または過失があること ②権利または法律上保護される利益の侵害があること ③損害が実際に発生していること ④権利や利益の侵害と損害との間に因果関係が存在すること ⑤加害者に責任能力があること です。 ①の「故意」とは、自分の行為によって権利や利益の侵害が発生することをわかっていながらすることであり、「過失」とは損害の発生を予測して、あらかじめ防止すべき義務を怠ることを言います。 ②については加害行為の内容や程度を加味し、個別具体的な判断が必要になります。必ずしも法律上保護されていない利益であったとしても、救済の対象となる場合があります。 ③の損害については、財産的な損害はもちろんですが、慰謝料などのような精神的な損害もあります。 ④の因果関係については、先に記事にしました416条の「通常生ずべき損害」と「予見することができる特別の損害」の規定を類推適用して、「相当因果関係」が認められる範囲で損害賠償を請求することができます。 ⑤の責任能力とは自己の行為の責任を弁識できる能力を言います。民法上の責任無能力者とは、12才未満の者や心神喪失者などを指します。ちなみに刑法上では14才未満の者や心神喪失者等を指します。 不法行為が成立した場合には、被害者に損害賠償請求権が発生します。相続との関係では、この損害賠償請求権は被害者の生前の意思表示にかかわらず相続の対象となります(判例)。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry44.html 賠償の方法は原則金銭賠償になります。例外として名誉毀損裁判の場合には、名誉回復措置となることもあります。 この損害賠償を請求する権利者についてですが、不法行為を受けた被害者は当然請求者になりますが、不法行為が生命を侵害した場合やそれに匹敵する内容の場合には、被害者の父母や配偶者および子は「慰謝料」を請求することができます。 なおこの不法行為に基づく請求権についても消滅時効があります。被害者等が損害及び加害者を知ってから3年で消滅時効にかかり、不法行為の時から20年で除斥期間とされ消滅します。 除斥期間とは時効のように中断や停止が認められず、期間の経過とともに当然に権利が消滅する期間を言います。なお2020年4月1日施行の債権関係の民法改正においては、20年は除斥期間ではなく時効期間であることが明記されました。 https://www.gyosei-suzuki-office.com/category8/category10/entry36.html 最後に不法行為における過失相殺について触れておきます。 過失相殺は債務不履行の記事でも書きましたが、債務不履行の相殺については発生すれば必ず必要的に行われる相殺であって、責任軽減だけでなく免責もすることができました。 一方不法行為における過失相殺については、損害賠償の額を減額できるだけであって不法行為の責任を免責することはできません。またその減額についても必ずなされるものではなく、過失の態様によって任意的に判断されます。 なお被害者の過失には、被害者本人と身分上、生活関係上一体をなすと見られる者の過失も含まれます。例えば子供が道路を飛び出して自動車にはねられた場合には、一緒にいた母親も監督不十分で過失責任も問われます。ここではあくまで身分上、生活関係上一体をなすことが要件になりますので、監督していた保母さんなどの責任は過失相殺されません。
READ MORE
民法における親族について
今日は相続にも大きく関係してくる、親族というものについて書いていきます。 相続を受けることのできる者(相続人)は「相続人」である「配偶者」「子」「直系尊属」「兄弟姉妹」になりますので、親族の範囲を見た上で、これらの者がどの位置にいるのかを見てみます。 また今回成立した相続関係の民法改正において、「相続人以外の親族の貢献を考慮する方策」が加えられましたので、今まで以上に「親族」という言葉が使われる機会が多くなると思います。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html 「親族」とはどのようなものを言うのでしょうか。民法における「親族」とは、次の者を言います。 ①6親等以内の血族 ②配偶者 ③3親等以内の姻族 です。 まず「血族」とは、血縁関係のある者相互間(誰から見てもお互いに)および、法的に血縁があると制度上みなされる(擬制)者相互間を言います。前者を「自然血族」、後者を「法定血族」と言います。 「自然血族関係」は出生によって生じ、死亡によって終了します。「法定血族関係」は養子縁組によって生じ、離縁や縁組みの取り消しによって終了します。 次の「配偶者」は、婚姻によって戸籍上の地位を得た者になりますが、配偶者は血族にも姻族にも属さず親等もありません。 「姻族」とは「配偶者側の血族あるいは血族の配偶者相互間」を言います。例えば配偶者の父や、本人の父の兄弟(叔父)の配偶者は姻族になります。「姻族関係」は配偶者を通じての関係になりますので、配偶者の一方の血族と他方の血族は姻族にはなりません。具体的に言うと、本人の父と配偶者の父は姻族関係には当たりません。 また姻族関係は婚姻によって生じ、離婚によって終了することになります。離婚した元配偶者の親とは知り合いではあっても、法的つながりはなくなるということです。これは離婚の場合であり、死別の場合は届出を行わない限りは姻族関係は当然には消滅しません。 では先に出てきた「親等」とはどのようなものでしょうか。 「親等」とは親族間の遠近度を比較する尺度であり、親族間の「世代」によって決まります。本人から見て「世代」がひとつ変われば1親等という数え方をします。 相続人に当てはめて見ますと、配偶者に親等はありません。子と直系尊属(父母)が1親等、孫や祖父母は2親等になります。兄弟姉妹は親を経由して下がりますので、これも2親等と数えます。本人の叔父や叔母は祖父母を経由しますので3親等、その子であるいとこは4親等になります。 親族については世代をまたがる垂直の広がりと、直系から枝分かれをした横への広がりがあります。 縦への広がりで見てみますと、本人から世代が上の者たちを「尊属」、世代が下の者たちを「卑属」と言います。ですので父は尊属、子は卑属になります。兄弟姉妹やいとこは世代が同じですので、尊属にも卑属にも当たりません。 横への広がりで見てみますと、本人から垂直に遡ることのできる父母や祖父母や曽祖父母、あるいは垂直に下がることのできる子や孫やひ孫などは「直系」になります。 縦横併せてマトリックスで見ますと、上の世代を「直系尊属」、下の世代を「直系卑属」と言います。垂直から枝分かれをした叔父叔母などは「傍系」と言います。これも上の世代を「傍系尊属」、下の世代を「傍系卑属」と言います。 整理してみますと、血族には直系血族と傍系血族があり、直系血族には直系尊属と直系卑属があります。また傍系血族にも傍系存続と傍系卑属があることになります。姻族にも同様の、直系傍系、尊属卑属の関係があります。 改正民法の特別寄与に関しては、具体的に権利の範囲にあるかは事案ごとに確認を要するとことになります。  
READ MORE
遺産分割の難しさ
相続は突然にやってくる場合もあります。相続人の方にとっては亡くなられた方の財産を受けられるものですから、概ねメリットがあるものです。しかし一方では、ご家族や身内の方を失ったという、心身ともに非常に辛い時期になります。 そんな中にあって、相続は嫌でもやってきます。遺言書がなく、相続人が複数おられる場合には、決められた期限内に遺産分割協議というものを開き、相続人全員でそれぞれの相続分を決めなくてはなりません。 財産の多くを現金預金が占めれば良いのですが、不動産が多くを占める場合など、皆さんの不満なく分割するにはやっかいな問題が生じることも多いものです。また財産や相続人を調べ、いくつもの書類を作成する必要もあります。 普段は考えることもない遺言書ですが、そのような際は身にしみてその重要さがわかります。遺言書作成をお悩みの際は是非とも当事務所にご相談下さい。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category2/
READ MORE
遺産分割協議の開催
秘密証書遺言について
自筆証書遺言のメリット・デメリット
民法における養子縁組について
相続 失踪宣告
民法改正後の遺言について
公正証書遺言の作成方法
民法における不法行為について
民法における親族について
遺産分割の難しさ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です