遺産分割の難しさ

相続は突然にやってくる場合もあります。相続人の方にとっては亡くなられた方の財産を受けられるものですから、概ねメリットがあるものです。しかし一方では、ご家族や身内の方を失ったという、心身ともに非常に辛い時期になります。

そんな中にあって、相続は嫌でもやってきます。遺言書がなく、相続人が複数おられる場合には、決められた期限内に遺産分割協議というものを開き、相続人全員でそれぞれの相続分を決めなくてはなりません。

財産の多くを現金預金が占めれば良いのですが、不動産が多くを占める場合など、皆さんの不満なく分割するにはやっかいな問題が生じることも多いものです。また財産や相続人を調べ、いくつもの書類を作成する必要もあります。

普段は考えることもない遺言書ですが、そのような際は身にしみてその重要さがわかります。遺言書作成をお悩みの際は是非とも当事務所にご相談下さい。

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民法における婚姻について
今日は民法のうち「家族法」の分野に定められた、「婚姻」について書いていきます。ここも相続の際には非常に大きく関わってきます。 民法では現行法や改正法においても「法律婚主義」を採用しています。ですので相続される権利のある配偶者は、「婚姻関係にある者」のみになります。どんなに長く一緒に生活をし事実上は夫婦の関係にあるにしても、婚姻の届出をしない限りは婚姻は成立せず、法律上は夫婦と認められないことになります。 「婚姻」が成立した場合は、基本的には離婚をしない限りは配偶者としての権利は保障されます。 なお「婚姻」は私法上の契約であり本人の意思が最大限尊重されますので、成年被後見人であっても「単独で」することができます。 婚姻の成立要件としては次の3つがあります。 1.婚姻意思の合致(実質的要件) 2.婚姻障害に該当しないこと(実質的要件) 3.婚姻の届出(形式的要件) です。 一つ目の要件である「婚姻の意思の合致」には、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思が必要である、とされています。つまり当事者お互いが自ら、夫婦の関係になることを望んでいることが要件になります。 本当に婚姻する意思があるわけではなく、相続などのためだけに形式的に婚姻届を出した場合はその届出は無効になります。 次の「婚姻障害」には、次のようなものが該当します。 ①婚姻適齢 ②重婚禁止 ③再婚禁止期間 ④近親婚の禁止 ⑤直系姻族間の婚姻禁止 ⑥養親子関係者間の婚姻禁止 ⑦未成年者の婚姻 になります。 「婚姻適齢」とは、男性は18歳、女性は16歳にならないと婚姻できないというものです。これに違反した場合は婚姻が取り消されます。なお女性が男性と異なるのは合理性を欠くとして、女性も18歳に引き上げる方向で民法改正が進められています。 「重婚禁止」とは、配偶者のある者は重ねて婚姻することができないというものです。日本においては「一夫一婦制度」が維持されています。 なお重婚については、行方不明者であった配偶者が現れた場合の対応に問題が残ります。これについては先に「失踪宣告」で記事に載せましたので、ご確認ください。 https://estima21-gunma-gyosei.com/archives/786 「再婚禁止期間」とは、女性が再婚するには、婚姻の解消又は取消しの日から起算して100日経過後でなければすることができないというものです。なおこの期間の例外として、女性が前婚の解消若しくは取消しの時に懐胎(妊娠)していなかった場合、または女性が前婚の解消若しくは取消しの後に出産した場合には、再婚禁止期間の規定を適用されません。 以前はこの期間が6ヶ月経過後とされていましたが、平成28年6月1日施行の改正民法により見直しが図られました。なおこの規定は、父親の特定を法律上可能にするために設けられています。 次の「近親婚の禁止」では、優生学上の理由から、直系血族または3親等以内の傍系血族の間では婚姻することはできないというものになります。前回の親族の記事で確認しますと、3親等の血族である叔母とは結婚できませんが、その子であるいとことは結婚できることになります。菅元首相の奥さんもいとこでしたっけ。 「直系姻族間の婚姻禁止」については優生学上の理由はありませんが、同義上の理由から設けられています。これについては姻族関係が終了した後も禁止が解除されません。 「養親子関係者間の婚姻禁止」についても直系姻族間と同様の取り扱いになります。 以上挙げた規定については、違反した場合はすべて婚姻が取り消しとなります。 最後の「未成年者の婚姻」については、最初の項の婚姻適齢に述べましたが、婚姻適齢に達しても未成年者である限りは、婚姻するためには父母の同意が必要になります(父母の一方が反対等しても、一方の同意で足ります)。これについては18歳成人の改正民法が2022年4月1日より施行されますので、規定が変わることになります。 なお実際は父母の反対があったとしても、婚姻自体は有効になります。
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遺贈と死因贈与について
今日は遺贈と死因贈与について書いていきます。 相続は相続人にしかすることができません。そもそも相続とは、被相続人が亡くなった場合に、法律で決まっている者に財産を承継させる制度です。相続人は配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹のみと民法で決まっており、これらが決められた順位で相続できるのみです。 もしこれらの者が一人もいない場合は、相続財産を管理する者として家庭裁判所から弁護士等が選任されることとなります。そこで本当に相続人がいないかの調査がなされ、それでも見つからない場合には家庭裁判所に認められた場合に限り、被相続人の世話を相当程度した者が一部の財産を譲受けることができます。それらが完了すると、最終的には財産はすべて国庫に帰属することとなります。 さて、相続人がいるいないにかかわらず、あなたがとても世話になった方がいるとします。その方の恩に報いるにはどうしたらよいでしょうか。ここからの話は相続人についてもすることができますが、相続人の場合は「寄与分」ということで、相続人間の協議において相続分の上乗せをすることができますので、ここでは除いて話を進めます。 あなたがもし遺言書を残さないで亡くなった場合には、相続人全員で相続財産の分配についての協議を行うことになります。この場合は参加できる相続人は当然法律によって定められた者のみ(あとで述べる包括受贈者を除いて)となりますので、たとえあなたがとてもお世話になり、心情的に財産を分け与えたい方でもそこには加わることはできません。 たとえば同居しているお子さんのお嫁さんなどがこれに当たります。ですのでもし相続以外で財産をあげたい場合は、あなたのその意思を明確に残す必要があります。当然法的効果のあるものでないと、他の相続人から否定された場合には、その者も権利を主張することができなくなってしまいます。ここで効果を発揮するものが一般的には遺言書ということになります。 遺言書によって相続人以外の者(相続人にもすることができますが)に財産を与える場合には、「遺贈」という形をとります。これはあなたがその方に対してする、一方的な単独行為になります。自分が死んだらその者に財産をあげるという内容になります。一方的な行為ですので、遺贈する者に事前に伝える必要はありません。 遺贈とは別にもうひとつ、相続によらずに死亡を契機として財産を与える行為に、「死因贈与」があります。これは財産をあげる者とあらかじめ契約を交わしておき、自分が死んだらあげるというものです。契約といってもこれには特に方式はなく、契約書等も必要ありません。口約束だけでも効果を発揮します。しかし、証拠がない場合はトラブルのもとになる場合もあります。もし死因贈与をする場合には、文書等に記しておくことも考えたほうが良さそうです。 死因贈与は遺贈と異なり、あなたの亡くなる前から相手の方もその内容を承知していることになります。ここで別に遺言書が残されており、そこに書かれていた内容がその死因贈与契約と異なっていた場合はどうなるのでしょうか。 この場合は遺言書の効果と同様に、後からされたものが有効となります。遺言書の書かれた日付が後であれば、遺言書によって前の死因贈与契約が破棄されたこととなりますので、死因贈与契約は無効となります。逆も然りです。このように日付等の証拠の裏付けが必要になる場合もありますので、本当に必要な死因贈与の場合は、口頭ではなく文書で日付等を明記しましょう。この2つについて次回詳しくみていきます。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category2/entry65.html
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遺言書 自筆証書遺言について
今日は遺言についてお話をしてみます。最近よく「終活」という言葉を耳にします。ある程度の年齢になられた方が、いざという時に周りの家族の方たちに迷惑をかけたくないとの思いから身の回りの品々を整理することのようですが、広辞苑にも記載されていないようですので、比較的新しい造語なのでしょうか。 ちなみにデジタル大辞泉によると終活とは"「《「就活」のもじり。「終末活動」の略か》人生の終末を迎えるにあたり、延命治療や介護、葬儀、相続などについての希望をまとめ、準備を整えること。"と書いてありました。そのような風潮のなかで、ご自分で実際に遺言書を書かれる方も増えてきたようです。 ただ遺言書は方式を整えないと逆にトラブルのもとにもなりかねません。ではどんな遺言書ならよくて、どんな遺言書はダメなのでしょうか。言い換えると、遺言書はどのように書けば良いのでしょうか。 こちらは広辞苑に記載がありました。広辞苑では「人が自分の死亡によって効力を発生させる目的で、一定の方式に従ってなす単独の意思表示」とあります。ここでは「効力を発生させる目的」で「一定の方式に従って」というところが重要となります。 遺言書は契約などと同じように、民法という「法律」によって規定されています。従って民法の規定とおりの遺言書でないと法的効果をもたないということです。ですので法的効果をもたない遺言書であった場合は、ご自身の意思も多少は考慮されるかもしれないけど、実現される可能性は非常に低いものになってしまいます。 遺言書を書くにはいくつか方式がありますが、今回はご自分で遺言書を書かれる場合の「自筆証書遺言」について書きます。「自筆証書遺言」とはその名のとおり、ご自分で書かれた遺言書のことです。 ルールはいたってシンプルです。 ①その遺言書の中身はすべてご自分で書かれること  ②その遺言書を書いた日の日付をご自分で書かれること ③その遺言所にご自分の氏名を書くこと  ④その遺言所に印鑑を押すこと。この4つです。 遺言所に自書する日付は吉日等の不特定な日ではなく、基本は何年何月何日と書きます。印鑑は拇印でも認印でもよいのですが、トラブルを避けるためにも、実印や銀行印等の確認が容易なものをおすすめします。あわせて印鑑証明も取得しておきましょう。 ただこの「自筆証書遺言」には長所短所があります。 長所は、 ①基本、作成費用がかからないこと。 ②手軽に書けること。 ③家族にも秘密にしておけることです。 また内容を変更したい場合には、前のものを破棄して新しい遺言書をも同様に書くことができます ひとつ注意しておくことは、遺言書の内容を一部変更したい場合などは必ず前の遺言書は破棄して、作成しなおした方が良いということです。ご自分で遺言書を書くとはいっても、法的に通用するためには誤字脱字や訂正等には厳しい要件が課せられます。その手間や方式間違いの可能性をなくすためにも、作成しなおすことをおすすめします。 では自筆証書遺言書の短所はどうでしょうか。手軽で費用がかからない反面、短所は多くあります。 短所は、 ①前述とおり要件が厳格ですので、方式不備でその遺言書が無効となるおそれがあります。 ②遺言者を自分ひとりで作成するため、本人の意思で作成したことを立証することが困難であり、信ぴょう性がかなり低くなります。 ③自筆であることを証明することも難しく、筆跡鑑定なども信ぴょう性が低いことです。事実裁判によって遺言書の筆跡が無効となった判例もあります。 ④相続開始後に家庭裁判所にその遺言書の「検認」の申し立てをしなければならず、かかる時間も含め家族に負担をかけることです。「検認」とは証拠保全の手続きですので、内容の信ぴょう性等には関与しません。ですので検認がなされたからといって、遺言の内容の有効性等が担保されるわけではありません。 ⑤遺言書の紛失や改ざんの恐れがあることです。保管場所を忘れてしまったり、ご自身の死後、その遺言書が発見されず終いだった場合です。逆に相続がつつがなく終わったあとに遺言書が発見された場合もトラブルの原因になります。 「自筆証書遺言」を検討されている方は以上のこともご注意ください。明日は行政書士に依頼される場合で一番多い「公正証書遺言」について書きます。 http://gyosei-suzuki-office.com/category2/entry19.html
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遺産分割協議について
今日は遺産分割協議について書いていきます。 「遺産分割協議」とは、相続人全員で相続財産の配分や分割方法を決める協議をいいます。通常は遺言書がなかった場合に行われますが、遺言書があってもその相続分を変えるために行う場合もあります。 相続財産は分けることが容易である現金預貯金等だけでなく、通常は分けることが困難な家などの不動産である場合が多く見られます。そのような財産も相続税を納める等の都合もあり、定められた期限内にはその配分を決める必要が出てきます。 遺産分割協議は通常、相続人の代表者が中心となって進めていきます。代表者は多くの場合は一番たくさん財産を相続する者がなりますが、行政書士等の代理人の場合もあります。 協議の進め方は、概ね次のとおりになります。 ①まず遺言書を探します。 ②相続人を確定し、「相続人関係図」を作成します。 ③相続財産を確定し、「財産目録」を作成します。 ④相続人全員に連絡を取ります。 ⑤遺産分割協議案を作成します。 ⑥遺産分割協議開催の段取りをつけます。 ⑦遺産分割協議書の案をもとに相続人全員参加の遺産分割協議を行います。 ⑧相続人全員の合意により相続分を決めます。 ⑨遺産分割協議が成立したら「遺産分割協議書」を作成します。 ⑩遺産分割協議書をもとに、金融機関の手続きや不動産の相続登記等を行います。 以上の段取となりますが、遺言書があれば基本はそれに従って相続を行うこととなります。協議を行ったあとで遺言書が発見された場合は、相続人の主張によっては相続のやり直しとなる場合もありますので、まずは遺言書を探します。 探すのは可能性の高いところから当たりますが、親しい知り合いに士業の方などがいた場合は、そちらに相談がなかったかの確認をとります。それから公証役場に行き、公正証書遺言の存在を確認します。そこでもない場合は銀行の貸金庫や自宅を探します。 遺言書があった場合は、基本的にはそれに従いますが、自筆遺言の場合は家庭裁判所に検認の手続きをとり、その後は遺言書の真偽や合法性を確認します。最初に相続人全員での協議が整えば、遺言書があってもその合意が優先すると書きましたが、遺言執行人がいる場合はその者の執行義務との兼ね合いもありますので、必ず遺言執行人と事前に打ち合わせを行ないます。また被相続人の意思を尊重するという意味からも、出来る限りは遺言書に沿う形の執行が望まれます。 次は相続人および相続財産を確定します。相続人については通常はわかっている範囲での協議になりますが、前妻の子や認知している非嫡出子も相続人となりますので、戸籍をたどって相続人関係図を作成します。相続手続きで必要となる場合がありますので、一般的には作成することをおすすめします。 財産については心当たりのある金融機関に問い合わせを行い、また不動産等の登記簿を確認します。こちらも財産目録を作成します。そしてこれらをもとに遺産分割の案を作成します。基本的には法定相続分をもとに、相続人の寄与分や不動産の実態(配偶者が自宅に居住している等)を鑑み配分を行います。 それからその案をもとに協議を行うことになりますので、まずは相続人全員に連絡をとり、遺産分割協議を開催します。ここで注意することは、遺産分割協議は相続人全員の参加が必要となることです。海外等に居住し参加できない者も原則は参加するものとなりますので、もし参加できない場合には事前に、他の意見に従う等の同意書を取得する必要があります。 やっかいなのは行方不明者がいた場合の措置であり、この場合は家庭裁判所に「失踪申告の申し立て」等を行うこととなります。また成年被後見人等の制限行為能力者がいる場合は後見人等の代理が必要となり、未成年がいる場合は「特別代理人」による代理が必要となります。 未成年は基本的に法律行為は行えませんので、その場合は代理人が必要になります。通常の代理人はその親がなることが一般的ですが、相続の場合はその親と子で同じ相続人という利益相反の立場となるため、代理人となることができません。そのため家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行うこととなります。 それらの者が整いましたら遺産分割協議を行い、原案をもとに協議を整います。協議が成立した場合は、その内容で遺産分割協議書を作成することとなります。金融機関等の相続において必要となるため、協議書はたとえ親子2人での協議の場合であっても作成します。協議が成立しなかった場合は家庭裁判所への調停の申し立てを行い、それでも整わなければ裁判ということになります。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry62.html
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相続の開始と遺言書について
今日は相続の取りすすめ方について書いていきます。 相続は被相続者が亡くなった時点から、被相続人の自宅において開始します。相続を取りすすめていく者(執行人)については、配偶者や子などがいる場合はわかりやすいですが、通常は相続人の中で相続額の大きな、主だった者が中心となって相続を進めていきます。 相続が始まったら、まず遺言書を探します。遺言書が見つかった場合には、その遺言書の方式が自筆であるかそれとも公正証書によるものかを確認します。 遺言書が自筆証書遺言書であった場合は、必ず封を開けずにまず家庭裁判所に「検認」を申請しなければなりません。家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。身近な相続人であれば他意はなくとも中身を見たくなるのは人情でしょうが、勝手に封を開けてしまうと法による罰則が規定されており、5万円以下の過料に処せられることになります。 またこの時点でのうっかりで止まっていれば相続人としての資格に問題はありませんが、つい出来心であっても、遺言書を自分に有利なように書き加えたり廃棄してしまったりした場合は、その者は欠格者として法律上当然に相続人としての地位を失ってしまいます。決して見つけても開封してはいけません。 万が一開封してしまった場合にも、「検認」手続きは必ず受けましょう。検認手続きを受けて「検認済み証明書」を取得しておかないと、金融機関からの払い戻しや法務局での不動産の名義書換などが行えません。 では家庭裁判所における「検認」とはどのようなものでしょうか。 相続人から「検認」の申請が出された場合は、家庭裁判所はわかっている相続人全員に、期日を決めての出頭文書を送ります。そしてその期日に出頭した相続人全員立会のもと、遺言書の開封を行います。提出された遺言書について、検認日においての遺言書の形状や加除訂正の状態・日付・署名、内容等が確認されます。内容が正しければ相続人全員同意のもと検認の効果が確定します。そして当日立ち会えなかった相続人には、その旨の連絡がいきます。 しかし検認自体の効果については、その遺言書が適正に書かれたものであり、かつ相続人立会のもとに確認したものであるという証拠保全の手続きとしての性質を持つものであって、内容自体についての可否や整合性を保証するものではありません。 行政書士や公証人とのやりとりの中で調製されたものではないため、その内容が偏っていたりあるいは財産内容等があやふやである場合には、あらためての協議が必要になることもあります。また内容によっては被相続人自身の自筆であることの証明が必要になる場合や、あとに書かれた遺言書がないかの探索等が必要になる場合があります。 一方、遺言書が公正証書遺言であった場合には検認の手続きも必要なく、内容的にも妥当なものがほとんどであるため、概ね遺言書のとおりにスムーズに相続が進んでいきます。遺言書の内容の確認と事務的な段取が主体となり、分配内容による葛藤がないではないにせよ、比較的短期間で相続が完了することが通常です。 いずれにしても相続に関しては、法的に効果のある遺言書があった場合は、ほとんどは遺言者の意思に従って行われます。公序良俗に反したものであったり遺留分を侵害していたりする場合を除けば、遺言者の意思を尊重するということになります。 しかし遺言書の効力が100%であるかといえば、そうとばかりはいえません。たとえ遺言書があったにしても相続人全員の協議が整えば、そちらの協議を優先することも構いません。ただし遺言書に指定された、行政書士等の遺言執行人がいる場合は、その者との協議も必要になります。被相続人との契約を執行する義務がある者との調整をすることが、最終的な相続の方法を決める有効な方法かと考えます。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category2/entry19.html  
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法定相続証明制度について
今日は相続に関して、法定相続情報証明制度について書いていきます。平成29年5月29日から開始された制度です。 相続は被相続人の死亡によって開始しますが、遺言書があった場合は基本それに基づいて相続が執行されます。遺言書がなかった場合は相続人全員で遺産分割協議を行ない、それぞれの配分財産を決めます。相続財産はだいたい現金預貯金や不動産といった形をとりますので、当然管理も預貯金であれば金融機関、不動産であれば法務局が行うこととなります。 契約者や名義人は亡くなったとはいっても被相続人ですので、仮に相続人であるからといって、簡単に払い戻しや手続きには応じてくれません。金融機関であれば被相続人の死亡したことを通知した時点をもって口座が凍結され、たとえ相続人である子が葬儀費用が必要だといった場合でも払い戻しには応じてくれません。 この場合は葬儀費用はとりあえず自分たちで別途捻出し、相続関係を確認できるすべての者の戸籍謄本(被相続人の出生からさかのぼったものが必要です。相続関係一覧表にしてあることが望ましいです)や財産目録等を提出し、種々の手続きを行って初めて相続の払い戻しに応じてもらえます。 法務局においても、相続後の土地や家屋についての名義変更を行うためには、同様の戸籍すべてが必要になります。また戸籍が必要である金融機関等が複数ある場合には、戸籍謄本をその数分取得するか、あるいは1機関ごとに提出と返還を繰り返すことになります。 これらの作業を相続人が行うことは非常に煩雑で手間のかかることになりますので、土地の名義変更や登録を行わない者が出てきます。相続後に登記をしないことについては法律で罰則が設けられていないことから、名義人の不明な土地や家屋が散在することとなり、いまや社会問題にもなっています。 法定相続情報証明制度とはそういう戸籍の提出をまとめて出せるようにし、提出と返還の作業を繰り返さなくても良いように設けられた制度です。具体的には、戸籍一式を揃えて法定情報一覧図を作成し、法務局からその一覧図の写をもらいます。法務局や他の金融機関でも、その一覧図の写の提出のみで手続きが行えるというものです。 相続人や代理人等が法務局に申請を行いますが、申請できる法務局は被相続人の本籍地か最後の住所地にある法務局、あるいは請求人の住所地にある法務局か被相続人名義の不動産がある場合はその所在地の法務局になります。 メリットは相続人本人が申請を行う場合には、それなりに手数が省けるということになります。しかしまだ開始後間もない制度であるため、現時点では使い勝手が悪い点もあります。たとえば再交付が必要になった場合では、申請人本人によって申請をした法務局に申請を行わなくてはならない点です。 他の相続人が行う場合には、都度申請者の委任状が必要になります。またこの制度は戸籍謄本の情報をまとめる目的だけであるため、相続放棄や欠格等の情報は網羅されていません。それらの情報が必要な場合は、結局別の資料を用意することになります。 もっとも前述の提出と返却の件ですが、基本的に行政書士が銀行に代理で手続きを行っても、提出した書類はその場でコピーし返却されますので、実務上はあえてこの制度を使うメリットは少ないと考えます。大元の目的が相続不動産の登記促進であるならば、いずれにしても法律面での規制等、抜本的な方策が必要なんでしょう。
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7月1日民法一部改正(相続分野)施行
相続分野の改正民法が、本年7月1日に施行となります。 すでに施行された「自筆遺言書の方式緩和」、2020年4月1日施行の「配偶者の居住権を保護するための方策(短期、長期)」、2020年7月10日施行の「自筆証書遺言の保管制度」を除き、2019年7月1日より施行されます。 あと1月ほどとなりましたが、これには「遺留分制度」や「相続人以外の者の貢献」に関する改正が含まれますので、下記リンクより一度ご確認下さい。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html  
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相続に関する改正民法成立
本年平成30年7月6日の参院本会議で、相続分野に関する改正民法が可決成立しました。約40年ぶりの大幅見直しとなりますが、一部の条項を除き、1年を経過しない来年の7月までに施行される予定です。 今回の見直しについてはかねてより問題化されていた、超高齢社会における配偶者への居住権の確保等が主軸になっています。主な改正点は次のとおりです。 ①配偶者の居住権を保護するための方策 ②遺産分割等に関する見直し ③遺言制度に関する見直し ④遺留分制度に関する見直し ⑤相続の効力に関する見直し ⑥相続人以外の者の貢献を考慮するための方策 になります。 では具体的に各内容について見ていきましょう。 第1の配偶者の居住権保護については、短期的な保護と長期的な保護の両面から確保されることとなりました。 まず短期的な方策について見てみましょう。現行法における配偶者の居住権については判例から、相続開始時に被相続人所有の建物に居住していれば、原則被相続人と相続人の間で使用貸借契約が成立していたと推認され、そのまま居住することができます。しかし第三者にその建物が遺贈されてしまったり、配偶者が居住することに被相続人が反対の意思表示をしていた場合には、使用貸借が推認されずに居住が保護されないことになってしまいます。 その事態を回避すべく、「配偶者短期居住権」というものが設けられました。これは配偶者が相続開始時に被相続人の建物に無償で住んでいた場合について、 ①配偶者が居住建物の遺産分割に関与する場合は、居住建物の帰属が確定するまでの間の期間。ただし帰属が6ヶ月以内に確定した場合でも、最低6ヶ月は保障される ②居住建物が第三者に遺贈された場合や配偶者が相続放棄をした場合には、居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6ヶ月間、配偶者は居住建物を無償で使用する「配偶者短期居住権」を取得する というものです。 被相続人の建物に無償で住んでいなかった場合にはこの権利は取得できないことになりますが、権利を取得すれば必ず最低6ヶ月間は居住が保護されることになります。 長期的な方策では、「配偶者居住権」というものが新設されました。これは、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間の配偶者の建物使用権を認める内容となります。配偶者居住権は「物権」であり、「登記」することもできます。しかし売買することや譲渡をすることはできません。 現行制度では遺言書がない相続でその相続財産の多くが土地建物等の不動産だった場合など、法定相続分の規定によって、配偶者が建物以外の預貯金等を取得できなかったり、あるいは建物を売って共同相続人に金銭を渡さなければならないケースも出てきます。 配偶者とその子供が1人いた場合を例に挙げますと、法定相続分は配偶者1/2、子1/2(複数いる場合はその子らで等分します)になりますので、相続財産が自宅(土地建物)2000万円、預貯金が2000万円の場合では総額4000万円となり、配偶者が自宅を相続すると預貯金の2000万円はすべて子の相続分となります。 預貯金が1000万円だったとしますと相続合計は3,000万円になりますので、1/2ですと1500万円になり、配偶者が自宅を相続した場合で子から請求があった場合は、子に500万円を支払わなくてはなりません。これでは相続によって配偶者が住む自宅を失いかねません。 それを解決するために設けられた制度が「配偶者居住権」になります。これは相続された自宅を、「配偶者居住権」と「負担付き所有権」に分け、配偶者の自宅の相続額を低く設定する効果が生じます。 先の相続総額4000万円の例で言いますと、配偶者居住権が1000万円とされればその居住権をもって住み続けることが可能となり、残りの負担付き所有権を子が相続した場合には、配偶者の相続額は2000万円ですので、1000万円分の預貯金を相続できるという仕組みになります。子には負担付き所有権1000万円と預貯金1000万円が相続されることとなります。 どういうことかと言いますと、相続が開始した年齢にもよりますが、配偶者はその先何十年も生きることはないと仮定し、平均余命から割り出した住み続けられる間の価値が配偶者居住権になります。あるいは何年か後には老人ホームに移るので、自宅にはそれまでしか住まない、という選択肢もあるかもしれません。配偶者が亡くなった場合は自宅は子のものとなりますので、それが負担付き所有権となります。 この規定によって、現在の自宅の価値がまるまる配偶者の相続分になってしまい、その他の財産を相続する権利を失ってしまうことから回避されることになります。 とはいえこの改正内容については、負担付き所有権が付いている建物の資産価値の低下や売買する際の市場性の問題(買い手がいない)、配偶者居住権と抵当権の問題など権利関係が複雑になっており、実際の運用面では非常にやっかいな問題をはらんでいるようです。 相続人間でこのような制度を用いざるを得ない関係性があるようでしたら、遺言を残しておくことが最善策だと思われます。 これらの算出は個別具体的になされるものですが、単純に式で表すと、建物敷地の現在価値-負担付き所有権=配偶者居住権の価値ということになります。よろしいでしょうか。 では第2の遺産分割に関する見直しについて見てみます。これについては次の3つの内容が含まれています。 ①配偶者保護のための持戻し免除の意思表示推定規定の新設 ②仮払い制度等の創設・要件明確化 ③遺産分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲 です。 ①については、婚姻期間が20年以上であれば、配偶者に居住用の不動産を生前贈与または遺贈した場合でも、原則として計算上「特別受益」(遺産の先渡し)を受けたものとして取り扱わなくてよいという内容になります。 現行制度では、被相続人が配偶者のためを思って自宅を生前贈与していた場合でも、「持戻し制度」というものによってその自宅は「特別受益」とされ、遺言による「持戻し免除」の表示がない限り、相続財産に合算されてしまいます。 どういうことかと言うと、先ほどの総額4000万円の例で見ますと、現行法では生前贈与された2000万円の自宅も相続総額に含まれることとなります。配偶者の相続分はこの自宅のみとなってしまい、残りの預貯金2000万円はすべて子に相続されることになります。 これでは生前贈与した意図が相続に反映されないこととなってしまいます。今回の見直しでは、20年以上法律上の婚姻期間がある者については、その貢献に報い、老後の生活を保障すべきものとして、「持戻し免除」の表示がなくても表示があったと推定して(被相続人の意思の推定規定)、遺産の先渡しとして扱わずに相続財産総額に含めないことになります。 先の例で言いますと、遺産総額は自宅を含まない預貯金2000万円となり、配偶者と子がそれぞれ1000万円ずつ相続することになります。 次に②の仮払い制度について、現行法では判例から、遺産分割が終了するまでの間は、相続人単独では預貯金の払い戻しをすることができません。相続される預貯金債権は相続人全員の共有債権になりますので、それぞれの相続分が確定するまでは生活費や葬儀費用、相続債務の弁済などの必要性があっても払い戻しができず、相続人が立替える必要がありました。 今回の見直しにおいてはこれが緩和され、2つの仮払い制度が設けられることとなりました。 ひとつは預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮処分の要件が緩和されます。従来も訴えにより認められることはありましたが、見直しによって、仮払いの必要性があると認められる場合は他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断(手続き)で仮払いが認められるようになりました。 もうひとつは、家庭裁判所の判断を経なくても払い戻しが受けられる制度が新たに設けられました。これは相続人としての相続分であれば、そのうちの一定額について単独で払い戻しが認められるという制度です。具体的には、(相続開始時の預貯金総額×1/3×払い戻しを受ける共同相続人の法定相続分)まで、払い戻しが認められることとなります。 ③の相続開始後の共同相続人による財産処分についてですが、現行法では特別受益のある相続人が遺産分割前に遺産を処分してしまった場合には、他の共同相続人に不公平な結果が生じてしまいます。 例を挙げますと、配偶者がなく子が兄弟2人あったとします。相続される預貯金が2000万円で、長男に2000万円が生前贈与されていた場合には、この贈与分は持戻しとなり、相続総額は4000万円になります。長男にはすでに2000万円が渡されていますので、今回の預貯金2000万円はすべて次男に相続されることとなります。 しかしこの2000万円のうち1000万円分を長男がだまって引き出していた場合には、残りの預貯金が1000万円となってしまいます。すると相続預貯金総額はもち戻しを含めて3000万円となり、法定相続分にしたがって兄弟それぞれが1500万円ずつ相続します。ここでは長男はすでに2000万円を贈与されていますので相続分は0円となり、次男が預貯金総額の1000万円を相続することになります。 これでは長男が贈与分の2000万円と引き出し分の1000万円の合わせて3000万円を受け取ることになり、次男は1000万円しか受け取れず不公平な結果となってしまいます。この場合は裁判に訴えても、結論から言うと次男の受け取り分は本来の2000万円に届くことはありません。 その不公平を是正するために、遺産を処分した者以外の同意(この例では次男)があれば、処分したもの(長男)の同意を得なくても処分した預貯金(1000万円)を遺産分割の対象とすることができる、という法律上の規定が加えられることとなりました。 これによって、たとえ共同相続人の一人がこっそり分割前の預貯金を引き出してしまった場合でも不公平が起こらない制度となりました。今の例で言うと、相続財産の総額は4000万円とされ、次男は1/2の2000万円を相続することができます。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/   次に第3の遺言制度の見直しについて見てみましょう。これには次の3つの内容があります。 ①自筆証書遺言の方式緩和 ②遺言執行者の権限の明確化 ③法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(民法ではなく遺言書保管法によります) です。 ①について、現行法で自筆遺言に法的効果を生じさせるには遺言書の全文を自書する必要があり、財産が多数ある場合には相当な負担が伴いました。 今回の見直しでは、自書によらないパソコンなどで作成した財産目録を添付することができ、合わせて銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を添付することでも法的効果が生じることとなります。 ②の遺言執行者の権限の明確化については、遺言執行者の一般的な権限として、遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は相続人に対し直接にその効力を生ずる、ということが明文化され、また特定遺贈又は特定財産承継遺言(遺産分割方法の指定として特定の財産の承継が定められたもの)がされた場合における、遺言執行者の権限等が明確化されました。 ③について、現行法では自筆証書遺言の管理は遺言者に任されていましたが、見直しによって法務局という公的機関に保管できる制度が創設されました。 この制度では相続開始後に相続人が遺言書の写しの請求や閲覧をすることが可能となり(その場合は他の相続人にも遺言書の保管の事実が通知されます)、紛失や改ざんの恐れがなくなることになります。 保管については申請者が撤回することもできます。なおこの制度では現行自筆証書遺言で負担になっている、「検認」の規定は適用されません。 第4の遺留分制度に関する見直しについて見てみましょう。これも2つの内容からなります。 ①遺留分減殺請求権から生じる権利を金銭債権化する ②減殺請求がなされた場合に、請求された側が金銭を直ちに用意できないときは、請求された側である受遺者などが裁判所に請求することによって、金銭債務の全部または一部の支払いについて、相当の期限を与えられる というものになります。 ①の遺留分減殺請求の金銭債権化とは、現行法では請求がなされた際にその財産が金銭でなかった場合には、共有状態が生じてしまい事業承継などの支障になってしまいます。その状況を回避するために、減殺請求された債権は金銭で支払われることを明文化したものです。 ②については遺贈などされた財産の額が大きい場合であっても、実際に別途金銭を用意できるとは限りませんので、この内容も加えられています。 第5の相続の効力等に関する見直しですが、これは"相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記なくして第三者に対抗することができる"、ことについての見直しとなります。 どういうことかと言いますと、登記なくして第三者に対抗できるという内容自体は問題ないのですが、相続人の債権者において債務回収の差し押さえなどが発生する場合は、通常法定相続分を想定して計算することになります。ここで遺言によって法定相続分を下回る内容でしか相続されなかった場合は、債権者等の第三者の取引の安全が確保されないことになります。 この観点から今回の見直しにおいては、法定相続分を超える部分の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないと改正されました。登記されれば債権者もその内容について知ることができますので、取引の安全性が確保されることになります。 法定相続分までは現行法とおり、登記なくして第三者に対抗することができます。 第6の相続人以外の者の貢献を考慮する方策ですが、相続は相続人にしかすることができません。相続人以外の者には、例えば親身になって世話をしてくれた長男の妻にも相続はなされません。これらの者に財産を贈りたい場合には贈与によるか、遺言書による遺贈や死因贈与の方法をとります。 しかしこの遺言書がなかった場合には、どんなに被相続人に尽くした者であっても、遺産分割協議に加わることはできません。この不公平を見直すべく、特別の寄与の規定が設けられました。 これは相続人以外の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合に、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭の支払いを請求することができるという制度になります。請求できる親族とは6親等以内の血族および配偶者、3親等以内の姻族を言います。 遺産分割は現行とおり相続人だけで行われ、それとは別に特別の寄与があった者が相続人に請求を行ないます。これには算出式などありませんので、当事者同士の話し合いになります。 以上が改正の内容となりますが、現時点では改正法全体の具体的な施行日は決まっていませんが(公布の日から1年以内)、自筆証書遺言の方式緩和(自書以外の目録可)は平成31年1月13日に施行されます。また自筆証書遺言の保管制度は、公布の日から2年を超えない範囲内での施行とされました。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/
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相続 失踪宣告
今回は失踪宣告について書いてみます。 失踪は婚姻関係の整理や相続の分野にも関わってくる事柄です。失踪の宣告はその者の行方が不明になった場合に、利害関係人が家庭裁判所に申請することによって行ないます。家族の者でなくても構いません。 失踪宣告の請求はいつでもできますが、失踪宣告がなされた場合は、最後に生存が確認された時点から7年間の期間満了後に死亡したとみなされます。行方不明になってから8年後に請求をした場合は、1年前の期間満了時にさかのぼって死亡したとみなされます。これを普通失踪といいます。 一方飛行機や船の事故などで行方不明になった場合には、その危難が去ってから1年を経たあとに失踪宣告がなされますが、この場合は危難が去った時点にさかのぼって死亡したものとみなされます。これを特別失踪といいます。 しかし失踪宣告されたからといって失踪者本人の権利能力まで否定されるものではなく、本人が生きていた場合は他で法律行為を行うこともできます。その場合には失踪宣告の取り消しが行われますが、死亡時が異なる場合もその日付での宣告は取り消されることとなります。 では取り消しが行われた場合はどのようになるのでしょうか。失踪宣告の取り消しが行われた場合には、宣告によって財産を得た者はその権利を失うこととなり、現存利益の限度で返還義務を負うこととなります。民法では現存利益の限度(範囲)という言葉がよく出てきますが、手元に残ったお金があれば返還するということです。 手元に残ったお金が返還すべき額を下回っていたとしても、その使ったお金が家計費などの自分の利益になるものに使った場合は、その分は補填しなければいけないということです。一方ギャンブルなどで浪費してしまった場合は利益として残っていないのですから、その分は返還する必要はないですというものです。一見理不尽に思えますが、そういう内容です。 宣告によって財産を得た者が、第三者と既に取引を行っていた場合はどのようになるのでしょうか。この場合は、取引の当事者双方が善意であれば取引行為は有効となります。ちなみに善意という言葉が法律用語として使われる場合は、「その事実について知らない」ということを意味し、対義語である悪意は「その事実について知っている」ことを意味します。 夫の失踪宣告後に別の男性と結婚していた場合はどうなるのでしょうか。この場合は、妻と現在の夫の一方または双方が悪意(失踪した夫が生存していることを知っている)であれば、前婚が復活し重婚関係となります。重婚は認められませんので、現在の結婚を生かす場合には前婚の離婚届けを出し、前婚を生かす場合には現在の婚姻を取り消します。妻と現在の夫の双方が善意であれば、前婚は復活しません。 相続で行方不明の方が問題となる場面は、共同相続の場合です。共同相続に際しては、必ず相続人全員参加の遺産分割協議が必要になりますので、行方不明者がいる場合は失踪宣告を請求する必要も出てきます。この場合も協議との兼ね合いで時間的猶予のないこともありますので、実際はまず不在者財産管理人選任を請求することとなります。この請求は、行方不明者が最後にいたであろう場所を管轄する家庭裁判所に行ないます。 不在者財産管理人の立場としては、遺産分割で不在者に不利な配分を求めることもできませんので、実際は法定相続分での決着が多いようです。 https://www.gyosei-suzuki-office.com/category2/entry68.html
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民法 所有権について
今日は物件の所有権について書いていきます。 相続にも通じる内容になりますが、所有権とは法令の範囲内で、自分の所有物を自由に使用したり処分したりする権利のことを言います。 所有権にはそれを得た経緯によって、承継取得と原始取得という2つの種類があります。 「承継取得」とは、先にその物権を所有する者がいて、その者から権利を引き継ぐことを言います。これには売買等によって権利を引き継ぐ「特定承継」と、相続等によって権利義務を一括して引き継ぐ「包括承継」があります。相続の分野では包括承継という言葉がよく出てきますね。 一方の「原始取得」とは、前の権利者の内容を前提としないで所有権を取得する場合をいい、これには無主物占有と遺失物拾得、埋蔵物発見、添付によるものがあります。 「無主物占有」とは、権利者のいない動産を占有することによって所有権を得ることであり、同様に遺失物拾得も埋蔵物発見も、所有者のいない動産の所有権を獲得することを言います。これらの場合に自分の物になる条件としては、必ず所有の意志をもって占有することが必要になります。 このように、所有者のいない動産の場合は別の者が権利者になることができますが、所有者のいない不動産の場合は原始取得をすることはできません。この場合は国庫に帰属することになります。 「添付」というものについて説明すると、添付には付合(ふごう)、混和、加工の3つの形態があります。 「付合」という言葉は聞きなれない言葉なので簡単に説明します。付合とは主体をなすある物に、従う形でついていることを言います。この付合には不動産の場合と動産の場合があります。 不動産の場合の付合ですと、その不動産に従として付合した物の所有権も取得するという性質のものであります。例えば家の前に植えてある桜の木などがこれに当たります。また付合は不動産だけでなく動産の場合も同様になります。 ただ動産の付合については若干ややこしい場合があります。動産の付合で主従関係がわかる場合は、付合している物の所有権は主たる動産の所有者の物になるのでこの点は良いのですが、主従の区別ができない場合がちょっと問題になります。この場合は、元の価格の割合で共有するということになっています。 「混和」とは物が混じり合っている状態を言いますが、この場合は付合と同様の処理になります。 「加工」とは他人の所有している動産に対して、加工を施して価値を上げた場合を言いますが、通常の場合には加工物はその動産の所有者に帰属することになります。ただしその動産(加工する材料)よりも加工による価値が著しく上回る場合には、その所有権は加工者のものになります。
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民法における婚姻について
遺贈と死因贈与について
遺言書 自筆証書遺言について
遺産分割協議について
相続の開始と遺言書について
法定相続証明制度について
7月1日民法一部改正(相続分野)施行
相続に関する改正民法成立
相続 失踪宣告
民法 所有権について

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