遺産分割の難しさ
相続は突然にやってくる場合もあります。相続人の方にとっては亡くなられた方の財産を受けられるものですから、概ねメリットがあるものです。しかし一方では、ご家族や身内の方を失ったという、心身ともに非常に辛い時期になります。
そんな中にあって、相続は嫌でもやってきます。遺言書がなく、相続人が複数おられる場合には、決められた期限内に遺産分割協議というものを開き、相続人全員でそれぞれの相続分を決めなくてはなりません。
財産の多くを現金預金が占めれば良いのですが、不動産が多くを占める場合など、皆さんの不満なく分割するにはやっかいな問題が生じることも多いものです。また財産や相続人を調べ、いくつもの書類を作成する必要もあります。
普段は考えることもない遺言書ですが、そのような際は身にしみてその重要さがわかります。遺言書作成をお悩みの際は是非とも当事務所にご相談下さい。
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本日は私のホームページ上に載せている遺言書についてのQ&Aについて書いてみます。といってもQ&Aページのものではなく、遺言を書かれる動機固めのイントロダクションになります。では順番に。Q:遺言書などを書いたら、子供たちにあらぬ詮索をされるかもしれない。今現在円満に暮らしているし、相続の話しで家族の中に波風を立てたくない。A:今現在ご円満だからこそ、円満なまま仲良く暮らしていって欲しいのではないですか。遺言書のことは皆さんに表立ってお伝えする必要はありません。行政書士と相談しながら、最善の方法で作成していきましょう。Q:自分の家族に対する愛情は平等だ。でも今の子供たちの暮らしぶりを考えて、財産の分け方を決めても良いのではないか。いやいや私が決めるよりも子供たちが決めれば良いことではないか。A:相続人当事者同士で、遺産分割が円満に成立する場合ばかりではないようです。お子様にもご家族や関係者が大勢いらっしゃり、お子様ご自身の意思だけで決められるとは限りません。そうなった時には行事役のあなたはその場にはいらっしゃいません。今現在の状況を客観的に判断されて、みなさんを円満にまとめられるのは、あなたを置いて他にはいらっしゃいません。Q:遺言書を書こうとは考えているが、どこから手をつけて良いかわからない。具体的に想いを形にしたいが。A:遺言書は「だれに、何を、どのように」になります。まず遺言書を残されようと思い立った動機をご自身が再確認し、その目的を達成する方法を考えれば良いと思います。Q:健康に不安はないし遺言や相続のことなどまだ当分先のことだから、今考える必要はないかもしれない。A:みなさんそうおっしゃいます。遺言書は別に今書く必要はないものです。ただ、いざという時には遺言を残せないかもしれません。法的効果のある遺言には要件があります。そうならないためにも、もし相続に多少なりともご不安があるのであれば、「思い立ったが吉日」ではありませんか。Q:誰に相談したらよいかわからないし、自分の思いを口に出すのは恥ずかしい。A:遺言書には皆さん、今まで言えなかったご家族への感謝の言葉を残されます。普段は気恥ずかしくて、面と向かってはなかなか言えないものです。でもこれは最後のメッセージになります。形にした時点でご自身の心のつかえもとれるでしょうし、そこから新たなものも見つかるかも知れません。ご遠慮なくお話しいただき、その想いを形にしていきましょう。Q:誰かに依頼すると費用が発生すると思い、ふんぎりがつかない。A:行政書士の報酬や、公証役場の手数料は決して安価なものではありません。むしろ普段の生活の中では高額なものになります。しかし見返りに得られる価値は、決してお金に変えられるものではありません。ご負担になるようでしたらそれはご自分で書かれるのも良し、あくまで判断されるのはお客様ご自身になります。Q:自分で書こうと思ったが、書き方がわからない。自分で書いた場合のデメリットはあるのだろうか。A:このホームページに自筆遺言の書き方も載せてありますのでご一読ください。自筆遺言の最大のメリットは、もちろん費用がかからないことです。簡単に書く事も、書き直しもできます。今回の民法改正によって、自筆遺言のハードルも多少下がりました。デメリットは自筆遺言書自体がトラブルの原因になることです。簡単に書く事ができるために内容の裏付けがなかったり、保管が不十分であったり。ご予算等に合わせれば良いことですが、行政書士へのご依頼のほとんどが公正証書遺言であることもまた事実ですQ:遺言書を書いても保管方法がわからないし、もし相続が終わったあとに出てきたらトラブルのもとになってしまうかも知れない。A:上のご質問同様、自筆遺言の記載を確認ください。民法改正によって自筆遺言の保管や検認手続きなどについては使い勝手が良くなりましたが、多くのトラブルの原因が解消されるわけではありません。Q:遺言書を書いたあとに気が変わるかも知れない。気安く書かない方が良いのではないか。A:もちろん遺言書は気安く書かれるべきものではありません。慎重にご家族の将来を見据えて書かれるものですが、状況が変わることもありえます。そのような場合でも、遺言書は撤回することもできますし、それを破棄して新たなものを作成することもできます。遺言書は常に日付の新しいものが有効となります。Q:遺言書を書いてしまうと、自分の財産を自由に使えなくなるのではないか。A:ご自身の財産は、当然ご自身で自由に処分することができます。遺言書に縛られることはありませんし、日々の生活を見据えて書かれることだと思います。万が一状況が変わって大きな財産を処分することになっても、その際に考えれば良いことになります。ご心配はごもっともです。でもそのご心配を解きほぐし、一歩前にすすんでみませんか。
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今日は「公正証書遺言」についてお話します。
「公正証書遺言」とは、「自筆証書遺言」と同様に民法の規定に則って書かれた遺言書ですが、公証役場で公証人と証人の立会によってその内容や方式を確認され公証された遺言書です。ですので方式や内容に誤りのないものとなります。
また作成された遺言書は、公証役場に保管され、遺言者や遺言執行者にも正副本が渡されます。この方式にも長所短所があります。
短所は、
①行政書士の費用の他にも公証役場や証人費用等、作成に費用がかかります。公証役場での手数料は財産額に応じて決められており、相続人数分の費用がかかります。
②交渉人や証人に内容を確認されますので、遺言書の存在と内容の秘密が確保できません。またご家族等も、公証役場のシステムによって、遺言の存在は確認できます。
一方の長所ですが、
①公証人が関与しますので、方式の不備や内容の不備による無効を避けることができます。
②遺言書が公証役場で保管されますので、紛失や改ざんの恐れがありません。
③家庭裁判所での検認手続きは不要です。
④遺言書の内容がほぼ確実に実現される可能性が極めて高いものです。
以上「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について書きましたが、特に行政書士等に依頼される方式としてはほとんどが公正証書遺言となります。
遺言書を残される方の多くはご自身の意思を伝えたいことももちろんですが、遺された家族の方々の心身の負担を軽くすることを第一に望まれていることが多いようです。円満な相続と遺言の確実な実現のためにも、費用はかかってもスムーズなお手続きを取ることのできる、公正証書遺言をおすすめします。
http://gyosei-suzuki-office.com/category2/entry19.html
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今日は法定相続人の相続分について書きます。
相続分とは法定相続人の法定された取り分、請求できる権利のことです。順位は法定相続人の記事で書いた通りで、配偶者と最上位権者が相続します。では順にそれぞれの相続分を見てみましょう。
配偶者は必ず法定相続人となりますが、共同相続人が第何位の者かによって相続分が異なります。
まず法定相続人が第1順位である配偶者と子の場合は、配偶者が全相続分の2分の1を相続し、子が2分の1を相続します。子が複数いる場合は、その人数で2分の1を等分します。その子に代襲者がいる場合は、その子の相続分を代襲者が等分します。配偶者のみの場合は配偶者がすべてを相続し、子のみの場合は子がすべてを相続します。
では共同相続人が第2順位である配偶者と直系尊属の場合はどうでしょうか。この場合は配偶者が全相続分の3分の2を相続し、直系尊属が3分の1を相続します。両親が相続人の場合は等分します。代襲者も子の場合と同様です。配偶者も子およびその代襲者もいない場合には、直系尊属がすべてを相続します。
第3順位である配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者が全相続分の4分の3を相続し、兄弟姉妹が残りの4分の1を相続します。代襲者も子の場合と同様ですが、兄弟姉妹には再代襲は認められません。配偶者も、被相続人の子や直系尊属およびそれらの代襲者もいない場合は、兄弟姉妹がすべてを相続します。
以上、民法では法定相続人および法定相続分が規定されています。しかし遺言書のない相続においては、法定相続人については特段問題がありませんが、法定相続分についてはすんなり決着の付く問題ではありません。
相続財産のうち現金預貯金が大半を占めれば良いのですが、不動産が多くを占める場合には単純には割り切れるものではありません。相続人同士の協議で決まれば問題ありませんが、協議が成立するには相続人全員の合意が必要になります。家族内でもめることも、意外に少なくないようです。
協議が成立しない場合には家庭裁判所に調停を申し立てることになります。そこでも調停が成立しない場合には、今度は家庭裁判所の審査を仰ぐことになってしまいます。
問題が法廷に持ち込まれる前に、第三者を立てて早期の遺産分割協議を行うことも一考かと存じます。遺産分割協議では事前に相続人や相続財産を調査した上で一覧にし、きちんと遺産分割協議案を作成しておかなければ、まとまる話もまとまりません。
相続分については遺留分制度というものもあります。遺留分とは一定の相続人に対して保証された、最低限の相続分の割合のことです。例えば被相続人の遺言書や生前贈与、遺贈等によって特定の相続人の相続分が不当に少なかった場合は、その相続人の生活を脅かすおそれも出てきます。そうならないように、取り分の最低限のラインを決めたものです。
言い換えると、いかに被相続人の意思であっても、一定の割合を侵してまで勝手に財産を処分することを許さない制度ということです。
遺留分を有する者は配偶者、子および直系尊属です。兄弟姉妹は遺留分を有しません。
遺留分算定の基礎となる財産は被相続人が相続開始時に有した財産に贈与した財産を加え、その中から債務の全額を控除して計算します。
遺留分権利者が配偶者や子を含む場合は法定相続分の2分の1が遺留分の割合となります。直系尊属の場合も、配偶者との共同相続である場合には遺留分は2分の1になります。具体的に数字に落とすと、配偶者または子のみの場合はそれぞれ総額1×2分の1=2分の1が保証され、配偶者と直系尊属の場合では配偶者は3分の2×2分の1=3分の1が保証され、直系尊属は3分の1×2分の1=6分の1が保証されます。
配偶者や子を含まない場合、言い換えると相続人が直系尊属のみの場合は遺留分は3分の1になります。ですので直系尊属のみの場合は、少なくても全相続額の3分の1は保証されるということになります。
遺留分を侵害された場合(相続分が遺留分に満たなかった場合)は、遺留分に満たない金額を、遺留分を侵害している者に請求することができます。これを「遺留分減殺請求権」といいます。
「遺留分減殺請求」は裁判所への請求を行わなくてもすることができ、相手方に対する意思表示をすることによって請求することができます(後々のトラブルを回避するためには、口頭ではなく内容証明を送付しておきましょう)。いったん減殺の意思表示がなされると、法律上当然にその所有権が相続権利者に復帰するので、その物が受遺者や遺贈者に引渡されていても、所有権に基づいて返還を請求することができます。
http://yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry52.html
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今日は物件の所有権について書いていきます。
相続にも通じる内容になりますが、所有権とは法令の範囲内で、自分の所有物を自由に使用したり処分したりする権利のことを言います。
所有権にはそれを得た経緯によって、承継取得と原始取得という2つの種類があります。
「承継取得」とは、先にその物権を所有する者がいて、その者から権利を引き継ぐことを言います。これには売買等によって権利を引き継ぐ「特定承継」と、相続等によって権利義務を一括して引き継ぐ「包括承継」があります。相続の分野では包括承継という言葉がよく出てきますね。
一方の「原始取得」とは、前の権利者の内容を前提としないで所有権を取得する場合をいい、これには無主物占有と遺失物拾得、埋蔵物発見、添付によるものがあります。
「無主物占有」とは、権利者のいない動産を占有することによって所有権を得ることであり、同様に遺失物拾得も埋蔵物発見も、所有者のいない動産の所有権を獲得することを言います。これらの場合に自分の物になる条件としては、必ず所有の意志をもって占有することが必要になります。
このように、所有者のいない動産の場合は別の者が権利者になることができますが、所有者のいない不動産の場合は原始取得をすることはできません。この場合は国庫に帰属することになります。
「添付」というものについて説明すると、添付には付合(ふごう)、混和、加工の3つの形態があります。
「付合」という言葉は聞きなれない言葉なので簡単に説明します。付合とは主体をなすある物に、従う形でついていることを言います。この付合には不動産の場合と動産の場合があります。
不動産の場合の付合ですと、その不動産に従として付合した物の所有権も取得するという性質のものであります。例えば家の前に植えてある桜の木などがこれに当たります。また付合は不動産だけでなく動産の場合も同様になります。
ただ動産の付合については若干ややこしい場合があります。動産の付合で主従関係がわかる場合は、付合している物の所有権は主たる動産の所有者の物になるのでこの点は良いのですが、主従の区別ができない場合がちょっと問題になります。この場合は、元の価格の割合で共有するということになっています。
「混和」とは物が混じり合っている状態を言いますが、この場合は付合と同様の処理になります。
「加工」とは他人の所有している動産に対して、加工を施して価値を上げた場合を言いますが、通常の場合には加工物はその動産の所有者に帰属することになります。ただしその動産(加工する材料)よりも加工による価値が著しく上回る場合には、その所有権は加工者のものになります。
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今日は公正証書遺言について書いていきます。
まず「公正証書遺言」ます。の作成方法です。最終的には公正証書遺言は「公証役場」で作成することになりそこに向かっての手順ということになります。もちろん行政書士を介せずご自分おひとりで原案を作成することもできます。その場合でも最終的には公証人が関与しますので、法的効果が欠如することはありませんし、内容的な不備も排除されます。保管の問題もクリアされます。
しかし公証人自体は書かれている内容自体に関与するものではありませんので、例えば「財産のすべてを愛人に与える」などという作成できないもの(この場合は公序良俗に反する)以外は作成されます。
また公証人によっては遺留分を考慮しない遺言、例えば長男に財産の3分の2をあげて次男には3分の1、長女には相続しないという内容の遺言書でも作成されてしまう場合があります。ですのでここでも作成にあたっては、行政書士に相談されて作成されることをお勧めします。
今回の記事においては、行政書士に依頼された場合の段取りにしたがって作成方法を書いていきます。
まず相談者様から作成代行の依頼があった場合は、遺言者様から契約書をいただくくとともに、署名捺印の委任状をいただきます。印は実印で捺印していただきます。また併せて印鑑登録証明書もいただきます。
公正証書遺言を作成するためには、相続人を調査し、相続財産を調査します。相続人については大方の場合は配偶者と子供などの知れている相続人になりますが、より確実な遺言書とするために、遺言者の出生から現在までの戸籍謄本および、推定相続人の戸籍謄本を取得して「相続関係説明図」を作成します。
なお公証役場には遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本があれば問題ありませんので、「相続関係説明図」を作成しない場合は、最低限これがあれば足ります。戸籍謄本は行政書士が「職務上請求書」というものを使用して、役所より取得します。
次は「財産目録」を作成します。遺言者から不動産や預貯金、証券類などの財産を申告してもらい作成します。遺留分の計算等でこの時点の財産額を知る必要がありますので、不動産の財産額について確認します。
この時点で「不動産の全部事項証明書」と念のために公図等も取得しておきます。併せて価格は路線価等で再確認します。預貯金については直近の通帳をコピーし、証券類は証書等を確認します。動産類は自動車の車検証の写や貴金属等の鑑定書なども用意します。
この際に忘れてならないのは、負債についてもきちんと確認することです。プラスの財産は遺言書とおりに相続されますが、負債については法定相続分とおりに相続されます。仮にプラスの財産よりマイナスの財産の方が多かった場合は相続放棄になりかねませんので、注意が必要です。以上から「財産目録」を作成します。
これらをもとに遺言書の文案を決めていきます。まず相続人を決め、遺贈等を決めます。それから各相続人の相続分を決めていきます。相続財産の配分については当然遺言者の判断になりますが、遺留分等についても配慮した方がトラブルは回避することができます。
不動産については明確に記載しますが、預貯金については特定の額を記載せず3分の1づつでも良いですし、1000万円を長男に、残りを次男に等の表現でも構いません。財産目録に記載されない細々とした動産等もありますので、遺言者所有のその他すべての財産を長男○○に相続させるの条項も記載します。
あとは墓や仏壇を管理していく「祭祀主催者」や「遺言執行者」等を記載していきます。祭祀主催者の条項を加えた場合は、公証人より別途手数料が加算されますので注意してください。
最後に「付言」を記します。文案が作成できたら依頼者と確認を取り、加筆修正の後文案を合意します。それから行政書士が公証人と文案の打ち合わせを行い、必要書類を提出します。公証人から文案と費用が提出されるので、依頼者と最終確認を行ないます。
合意ができたら公証役場へ出向く日を決め、当日は行政書士と遺言者本人、もうひとりの証人とともに公正証書遺言を作成します。当日は次の段取りで公正証書遺言が作成されていきます。
①公証人が遺言者本人と証人2名(当職ともう1名の証人)の氏名・生年月日・住所・職業を質問し、遺言者と証人が本人確認ができる書類を提示します。
②公証人が遺言者に遺言の内容を確認します。
③公証人が遺言者と証人に、遺言書を配布し口述します。
④遺言者と証人が遺言書の内容を確認し、公正証書遺言に各自が署名捺印をします。この際は遺言者は実印を用意します。証人は認印でも構いません。
⑤公証人が署名捺印をします。
以上で公正証書遺言の完成です。
⑥遺言者が公証役場に手数料を現金で支払います。
⑦公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言執行者に「正本」が、遺言者に「謄本」が渡されます。
「正本」「謄本」の保管には注意が必要ですが、銀行の貸金庫に預けてしまうと開けるには相続人全員の署名捺印が必要になりますので、注意が必要です。
公正証書遺言であってもいつでも撤回をすることができます。
最後に作成する際の言語ですが、自筆証書遺言や秘密証書遺言は作成する言語は外国語でも構いませんが、公正証書遺言は日本語で作成しなければなりません。
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今日は自筆証書遺言のメリット・デメリットについて書いていきます。
自筆証書遺言については手軽に書く事ができますので、一般的な遺言書としてまず思い浮かぶのは自筆証書遺言になると思います。この手軽さこそが諸刃の剣として、メリット・デメリットを生むことになります。
まずメリットについて見ていきましょう。自筆証書遺言のメリットは、
①自分ひとりで手軽に作成できる
②作成に費用がかからない
③遺言書の内容を秘密にしておける
シンプルですが、これらのメリットに尽きます。逆に言うと十分な知識があって、保管や亡くなった後の手続き等も万全な体制を取ることができれば、自筆証書遺言で作成することはメリットが大きいと思います。
デメリットはこれと裏腹になります。自分ひとりで作成することによるリスクが大きなものとなります。デメリットは、
①要件が厳格であり、書き方を間違えると法的効果を生じない
②遺言者の死後遺言書が発見されないおそれがある
③遺言書を一部相続人により破棄、改ざんされるおそれがある
④遺産分割協議後に発見され、協議がやり直しとなる
⑤相続人が必ず家庭裁判所に「検認」手続きを行わなくてはならない
⑥本人が作成したことの証明がむつかしく、遺言書の内容の信ぴょう性が疑われる
⑦自筆である証明がむつかしい
⑧遺言書の内容が曖昧であったり、法律的な疑義が生じるおそれがある
⑨遺言書の内容が偏ったものになるおそれがある
等です。
これらはあくまでトラブルを起こす可能性を秘めていることであり、必ずしも起こるものばかりではありません。しかし発生した場合には遺言書が無効となるばかりではなく、遺言書の存在自体が相続人にとってとんでもない迷惑を掛けることになります。
基本的には、遺言者がひとりで書く事によるリスクになります。ひとつひとつ見ていきましょう。
①については要件が極めて厳格であり、方式を間違えると遺言書自体が法的に無効になります。この場合は相続人全員が遺言者の意思を汲んでくれれば良いですが、相続人がひとりでも反対すれば、遺言書は無効とされます。遺言者の意思は反映されず、相続は遺言書がなかった場合の遺産分割協議が行われることになります。加除訂正の際の方式不備についても前回記事に書いたとおりになります。
次の②ですが、自筆遺言書は現状は保管制度がないため、基本ご自分が保管することになります。一般的にはご自宅や銀行の貸金庫等に保管されますが、これが発見されない場合があります。遺言書のない相続の場合は、相続人の方がまず遺言書を探しますが、見つからない場合は遺言書がなかったものとされます。相続人側から見れば当然そう考えます。
③では遺言書が見つかった場合でも、その見つけた者によっては、悪意で破棄したり改ざんしたりする可能性も否定できません(破棄や改ざん等が判明した場合は、その者は欠格者として相続人の地位を失います)。
④では、探しても見つからなかった場合は相続人全員で速やかに遺産分割協議を行い、各相続人の相続分を決めます。これには相続人全員の合意が必要ですのでやっかいなものになりますが、万が一後から法律効果のある遺言書が出てきた場合には、これまた厄介なことになります。遺言書によって有利な相続をされる者がいた場合は、その者の請求によって相続がやり直しになる可能性があります。
なお平成30年7月に相続遺言に関する改正民法が成立し、平成30年7月13日に交付されました。これによって新たに、法務局での自筆証書遺言書の保管制度が設けられ、公布の日から2年以内に施行されることになります。
詳細な内容は現時点では詰められていませんが、自筆証書が法務局に保管される制度であり、「検認」手続きも不要になります。これによって前述の②③④の問題解消が期待されます。⑤についても同様で、保管された自筆証書遺言については、相続人に負担の大きい「検認」制度が適用されないこととなりました。
では⑦についてはどうでしょう。自筆である限りついてまわる内容ですが、実際に筆跡鑑定には専門家が鑑定しても困難があるようです。疑義を持つ者がいた場合には裁判で争われることもあり、近年では有名な事件で本人直筆であることが覆されたこともあるようです。
⑧および⑨については、本人がひとりで書く事によるトラブルです。法律を知らなかったり、感情が偏ったりしていた場合に起こり得る問題です。これらは専門家に作成を協力してもらうことで解決することはできます。
以上、自筆証書遺言についてはメリット以上にデメリットが大きく、トラブルが起こった際には、良かれと思って遺言書を書かれたこと自体が迷惑になってしまう場合もあります。
自筆証書遺言のメリットは大きなものですので、作成を否定するものではありませんが、作成する場合はくれぐれも慎重を期すことをアドバイスするとともに、できれば専門家の手を借りることが賢明であると付け加えておきます。
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今日は公正証書遺言を作成する際のメリット・デメリットについて書いていきます。
まずデメリットは
①遺言書作成に費用がかかる
②公証役場に出向いて作成し、2名以上の証人が必要
③遺言書の内容を秘密にできないこと
です。
①については、自筆証書遺言とは対照的に当然費用が発生します。行政書士が協力する場合にはその報酬と、公証人への手数料が必要になります。公証人の手数料は遺言に記載される、目的の財産の額によって異なります。
例えば3000万円までは23000円、5000万円までは29000円になります。これは相続人1名あたりの額であって、相続人が複数いる場合は、相続人それぞれの手数料を算出し、相続人全員分を足し込みます。
例えば相続人が子供2人であり、それぞれが2000万円相当の財産を相続したとします。その場合の基本手数料は、23000円+23000円=46000円ということになります。それに総額が1億円以下の場合は11000円が加算されます。
少なからぬ金額になりますが、もとより公正証書遺言書を遺される方はご家族の相続の負担を減らすことを願ってすることですので、円満・安心への対価としては相当額として考えられる場合が多くなります。
②公正証書の作成については、厳密な方法が取られます。公証人の前で遺言者が遺言書の内容について口述するか、公証人が遺言書の内容を読み上げて遺言者と証人の確認をとるという方法によって行われます。ここで遺言者に行為能力があるかどうかも判断します。
証人も公正証書を作成する重要な要件になりますので、途中退出することは許されず、作成の最初から最後まで立ち会うこととなります。
③については公正証書作成の過程で、内容が公証人や証人にわかることとなります。当然公証人や証人には守秘義務がありますので、ここから外部に内容が漏れる心配はありません。他の相続人等については内容を知ることはできません。
ではメリットはどのようなものになるでしょうか。
①最終的に法律の専門家である公証人が関与しますので、方式不備や内容の不備による無効は回避できます。
②遺言書が公証役場に保管されるので、紛失や改ざん等のおそれはありません。
③遺言者の死後、相続人が容易に探すことができます(相続が開始された場合、遺言書の存在を知らない場合でも通常は段取りとして公証役場を当たります)。
④家庭裁判所での「検認手続き」は不要です。
⑤自分で直接作成することができなくても、遺言能力があれば作成することができます。
⑥公正証書遺言の場合は、遺言書の内容がほぼ確実に実現されます。
自筆証書遺言の記事で書きましたが、自筆証書遺言のデメリットとされていることの多くは、法律の専門家が関与しないことで起こるものです。公正証書遺言の場合は作成の過程で専門家が必ず関与しますので、そういったトラブルを防ぐことができます。
ただ自筆証書遺言も、費用がかからず手軽に書く事ができるというメリットは大きいものですので、できれば自筆証書遺言を欠かれる際にも、行政書士のアドバイスに従って(費用はかかりますが)書かれることをお勧めします。
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本年平成30年7月6日の参院本会議で、相続分野に関する改正民法が可決成立しました。約40年ぶりの大幅見直しとなりますが、一部の条項を除き、1年を経過しない来年の7月までに施行される予定です。
今回の見直しについてはかねてより問題化されていた、超高齢社会における配偶者への居住権の確保等が主軸になっています。主な改正点は次のとおりです。
①配偶者の居住権を保護するための方策
②遺産分割等に関する見直し
③遺言制度に関する見直し
④遺留分制度に関する見直し
⑤相続の効力に関する見直し
⑥相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
になります。
では具体的に各内容について見ていきましょう。
第1の配偶者の居住権保護については、短期的な保護と長期的な保護の両面から確保されることとなりました。
まず短期的な方策について見てみましょう。現行法における配偶者の居住権については判例から、相続開始時に被相続人所有の建物に居住していれば、原則被相続人と相続人の間で使用貸借契約が成立していたと推認され、そのまま居住することができます。しかし第三者にその建物が遺贈されてしまったり、配偶者が居住することに被相続人が反対の意思表示をしていた場合には、使用貸借が推認されずに居住が保護されないことになってしまいます。
その事態を回避すべく、「配偶者短期居住権」というものが設けられました。これは配偶者が相続開始時に被相続人の建物に無償で住んでいた場合について、
①配偶者が居住建物の遺産分割に関与する場合は、居住建物の帰属が確定するまでの間の期間。ただし帰属が6ヶ月以内に確定した場合でも、最低6ヶ月は保障される
②居住建物が第三者に遺贈された場合や配偶者が相続放棄をした場合には、居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6ヶ月間、配偶者は居住建物を無償で使用する「配偶者短期居住権」を取得する
というものです。
被相続人の建物に無償で住んでいなかった場合にはこの権利は取得できないことになりますが、権利を取得すれば必ず最低6ヶ月間は居住が保護されることになります。
長期的な方策では、「配偶者居住権」というものが新設されました。これは、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間の配偶者の建物使用権を認める内容となります。配偶者居住権は「物権」であり、「登記」することもできます。しかし売買することや譲渡をすることはできません。
現行制度では遺言書がない相続でその相続財産の多くが土地建物等の不動産だった場合など、法定相続分の規定によって、配偶者が建物以外の預貯金等を取得できなかったり、あるいは建物を売って共同相続人に金銭を渡さなければならないケースも出てきます。
配偶者とその子供が1人いた場合を例に挙げますと、法定相続分は配偶者1/2、子1/2(複数いる場合はその子らで等分します)になりますので、相続財産が自宅(土地建物)2000万円、預貯金が2000万円の場合では総額4000万円となり、配偶者が自宅を相続すると預貯金の2000万円はすべて子の相続分となります。
預貯金が1000万円だったとしますと相続合計は3,000万円になりますので、1/2ですと1500万円になり、配偶者が自宅を相続した場合で子から請求があった場合は、子に500万円を支払わなくてはなりません。これでは相続によって配偶者が住む自宅を失いかねません。
それを解決するために設けられた制度が「配偶者居住権」になります。これは相続された自宅を、「配偶者居住権」と「負担付き所有権」に分け、配偶者の自宅の相続額を低く設定する効果が生じます。
先の相続総額4000万円の例で言いますと、配偶者居住権が1000万円とされればその居住権をもって住み続けることが可能となり、残りの負担付き所有権を子が相続した場合には、配偶者の相続額は2000万円ですので、1000万円分の預貯金を相続できるという仕組みになります。子には負担付き所有権1000万円と預貯金1000万円が相続されることとなります。
どういうことかと言いますと、相続が開始した年齢にもよりますが、配偶者はその先何十年も生きることはないと仮定し、平均余命から割り出した住み続けられる間の価値が配偶者居住権になります。あるいは何年か後には老人ホームに移るので、自宅にはそれまでしか住まない、という選択肢もあるかもしれません。配偶者が亡くなった場合は自宅は子のものとなりますので、それが負担付き所有権となります。
この規定によって、現在の自宅の価値がまるまる配偶者の相続分になってしまい、その他の財産を相続する権利を失ってしまうことから回避されることになります。
とはいえこの改正内容については、負担付き所有権が付いている建物の資産価値の低下や売買する際の市場性の問題(買い手がいない)、配偶者居住権と抵当権の問題など権利関係が複雑になっており、実際の運用面では非常にやっかいな問題をはらんでいるようです。
相続人間でこのような制度を用いざるを得ない関係性があるようでしたら、遺言を残しておくことが最善策だと思われます。
これらの算出は個別具体的になされるものですが、単純に式で表すと、建物敷地の現在価値-負担付き所有権=配偶者居住権の価値ということになります。よろしいでしょうか。
では第2の遺産分割に関する見直しについて見てみます。これについては次の3つの内容が含まれています。
①配偶者保護のための持戻し免除の意思表示推定規定の新設
②仮払い制度等の創設・要件明確化
③遺産分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲
です。
①については、婚姻期間が20年以上であれば、配偶者に居住用の不動産を生前贈与または遺贈した場合でも、原則として計算上「特別受益」(遺産の先渡し)を受けたものとして取り扱わなくてよいという内容になります。
現行制度では、被相続人が配偶者のためを思って自宅を生前贈与していた場合でも、「持戻し制度」というものによってその自宅は「特別受益」とされ、遺言による「持戻し免除」の表示がない限り、相続財産に合算されてしまいます。
どういうことかと言うと、先ほどの総額4000万円の例で見ますと、現行法では生前贈与された2000万円の自宅も相続総額に含まれることとなります。配偶者の相続分はこの自宅のみとなってしまい、残りの預貯金2000万円はすべて子に相続されることになります。
これでは生前贈与した意図が相続に反映されないこととなってしまいます。今回の見直しでは、20年以上法律上の婚姻期間がある者については、その貢献に報い、老後の生活を保障すべきものとして、「持戻し免除」の表示がなくても表示があったと推定して(被相続人の意思の推定規定)、遺産の先渡しとして扱わずに相続財産総額に含めないことになります。
先の例で言いますと、遺産総額は自宅を含まない預貯金2000万円となり、配偶者と子がそれぞれ1000万円ずつ相続することになります。
次に②の仮払い制度について、現行法では判例から、遺産分割が終了するまでの間は、相続人単独では預貯金の払い戻しをすることができません。相続される預貯金債権は相続人全員の共有債権になりますので、それぞれの相続分が確定するまでは生活費や葬儀費用、相続債務の弁済などの必要性があっても払い戻しができず、相続人が立替える必要がありました。
今回の見直しにおいてはこれが緩和され、2つの仮払い制度が設けられることとなりました。
ひとつは預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮処分の要件が緩和されます。従来も訴えにより認められることはありましたが、見直しによって、仮払いの必要性があると認められる場合は他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断(手続き)で仮払いが認められるようになりました。
もうひとつは、家庭裁判所の判断を経なくても払い戻しが受けられる制度が新たに設けられました。これは相続人としての相続分であれば、そのうちの一定額について単独で払い戻しが認められるという制度です。具体的には、(相続開始時の預貯金総額×1/3×払い戻しを受ける共同相続人の法定相続分)まで、払い戻しが認められることとなります。
③の相続開始後の共同相続人による財産処分についてですが、現行法では特別受益のある相続人が遺産分割前に遺産を処分してしまった場合には、他の共同相続人に不公平な結果が生じてしまいます。
例を挙げますと、配偶者がなく子が兄弟2人あったとします。相続される預貯金が2000万円で、長男に2000万円が生前贈与されていた場合には、この贈与分は持戻しとなり、相続総額は4000万円になります。長男にはすでに2000万円が渡されていますので、今回の預貯金2000万円はすべて次男に相続されることとなります。
しかしこの2000万円のうち1000万円分を長男がだまって引き出していた場合には、残りの預貯金が1000万円となってしまいます。すると相続預貯金総額はもち戻しを含めて3000万円となり、法定相続分にしたがって兄弟それぞれが1500万円ずつ相続します。ここでは長男はすでに2000万円を贈与されていますので相続分は0円となり、次男が預貯金総額の1000万円を相続することになります。
これでは長男が贈与分の2000万円と引き出し分の1000万円の合わせて3000万円を受け取ることになり、次男は1000万円しか受け取れず不公平な結果となってしまいます。この場合は裁判に訴えても、結論から言うと次男の受け取り分は本来の2000万円に届くことはありません。
その不公平を是正するために、遺産を処分した者以外の同意(この例では次男)があれば、処分したもの(長男)の同意を得なくても処分した預貯金(1000万円)を遺産分割の対象とすることができる、という法律上の規定が加えられることとなりました。
これによって、たとえ共同相続人の一人がこっそり分割前の預貯金を引き出してしまった場合でも不公平が起こらない制度となりました。今の例で言うと、相続財産の総額は4000万円とされ、次男は1/2の2000万円を相続することができます。
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次に第3の遺言制度の見直しについて見てみましょう。これには次の3つの内容があります。
①自筆証書遺言の方式緩和
②遺言執行者の権限の明確化
③法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(民法ではなく遺言書保管法によります)
です。
①について、現行法で自筆遺言に法的効果を生じさせるには遺言書の全文を自書する必要があり、財産が多数ある場合には相当な負担が伴いました。
今回の見直しでは、自書によらないパソコンなどで作成した財産目録を添付することができ、合わせて銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を添付することでも法的効果が生じることとなります。
②の遺言執行者の権限の明確化については、遺言執行者の一般的な権限として、遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は相続人に対し直接にその効力を生ずる、ということが明文化され、また特定遺贈又は特定財産承継遺言(遺産分割方法の指定として特定の財産の承継が定められたもの)がされた場合における、遺言執行者の権限等が明確化されました。
③について、現行法では自筆証書遺言の管理は遺言者に任されていましたが、見直しによって法務局という公的機関に保管できる制度が創設されました。
この制度では相続開始後に相続人が遺言書の写しの請求や閲覧をすることが可能となり(その場合は他の相続人にも遺言書の保管の事実が通知されます)、紛失や改ざんの恐れがなくなることになります。
保管については申請者が撤回することもできます。なおこの制度では現行自筆証書遺言で負担になっている、「検認」の規定は適用されません。
第4の遺留分制度に関する見直しについて見てみましょう。これも2つの内容からなります。
①遺留分減殺請求権から生じる権利を金銭債権化する
②減殺請求がなされた場合に、請求された側が金銭を直ちに用意できないときは、請求された側である受遺者などが裁判所に請求することによって、金銭債務の全部または一部の支払いについて、相当の期限を与えられる
というものになります。
①の遺留分減殺請求の金銭債権化とは、現行法では請求がなされた際にその財産が金銭でなかった場合には、共有状態が生じてしまい事業承継などの支障になってしまいます。その状況を回避するために、減殺請求された債権は金銭で支払われることを明文化したものです。
②については遺贈などされた財産の額が大きい場合であっても、実際に別途金銭を用意できるとは限りませんので、この内容も加えられています。
第5の相続の効力等に関する見直しですが、これは"相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記なくして第三者に対抗することができる"、ことについての見直しとなります。
どういうことかと言いますと、登記なくして第三者に対抗できるという内容自体は問題ないのですが、相続人の債権者において債務回収の差し押さえなどが発生する場合は、通常法定相続分を想定して計算することになります。ここで遺言によって法定相続分を下回る内容でしか相続されなかった場合は、債権者等の第三者の取引の安全が確保されないことになります。
この観点から今回の見直しにおいては、法定相続分を超える部分の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないと改正されました。登記されれば債権者もその内容について知ることができますので、取引の安全性が確保されることになります。
法定相続分までは現行法とおり、登記なくして第三者に対抗することができます。
第6の相続人以外の者の貢献を考慮する方策ですが、相続は相続人にしかすることができません。相続人以外の者には、例えば親身になって世話をしてくれた長男の妻にも相続はなされません。これらの者に財産を贈りたい場合には贈与によるか、遺言書による遺贈や死因贈与の方法をとります。
しかしこの遺言書がなかった場合には、どんなに被相続人に尽くした者であっても、遺産分割協議に加わることはできません。この不公平を見直すべく、特別の寄与の規定が設けられました。
これは相続人以外の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合に、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭の支払いを請求することができるという制度になります。請求できる親族とは6親等以内の血族および配偶者、3親等以内の姻族を言います。
遺産分割は現行とおり相続人だけで行われ、それとは別に特別の寄与があった者が相続人に請求を行ないます。これには算出式などありませんので、当事者同士の話し合いになります。
以上が改正の内容となりますが、現時点では改正法全体の具体的な施行日は決まっていませんが(公布の日から1年以内)、自筆証書遺言の方式緩和(自書以外の目録可)は平成31年1月13日に施行されます。また自筆証書遺言の保管制度は、公布の日から2年を超えない範囲内での施行とされました。
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遺産分割協議に請われて立ち会うことがあります。当然交渉に関与したり、協議自体に関わることはありませんが、相続人や財産関係等で差し支えない部分については、調査した内容などにお答えすることになります。公正証書遺言があればその内容にしたがって相続を行っていけばよいですし、遺留分が発生する場合は、問われれば遺留分減殺請求権(7月1日からは遺留分侵害額請求権)についてご説明することになります。
相続人が配偶者とその子たちであって、特段不仲でなければ代表相続人の方(通常は配偶者の方か高齢であれば長男等)がリードして、あうんでそれぞれの相続分を決めていかれることになると思います。通常は相続人がたとえ少人数であっても単独相続でない限りは、不動産登記や銀行の払い戻しに、「遺産分割協議書」「財産目録」「相続人関係説明図」を求められます。
まず相続財産をキチンと整理して財産目録を作成します。ここではプラスの資産だけでなく、負債などのマイナスの資産も明確に調査する必要があります。借金をしていた可能性があるのに単純に相続をしてしまいますと、負債の方が大きいマイナスの相続になってしまいます。
マイナスの相続の場合は、3ヶ月以内に相続放棄の手続きをとれば、負債を含めた一切の遺産相続を放棄することができます。3ヶ月というのはここで重要な期間になってきます。もし安易に一部の財産を処分してしまったり、3ヶ月を過ぎてしまいますと、「単純承認」をしたことになり、もう相続放棄をすることができなくなり、負債の一切も相続人全員で返済する義務が生じてしまいます。遺産相続を受けるかどうかの判断材料とすることが、「財産目録」を作成することの目的のひとつになります。また相続人全員で合理的に遺産分割するための判断材料になる書類でもあります。
次の「相続関係説明図」とは、法定相続人全員の相続関係を証明した一覧になります。遺言書がなければこれを基に各自の相続分を調整していきますし、遺言書があれば遺留分算定の基礎となります。相続税には基礎控除というものがありますが、ここで法定相続人の人数を確定しませんと、控除額を確定することもできません。
また調べなくても明らかに法定相続人が確定できる場合は大きな問題はないですが、被相続人が離婚をしていた場合や人間関係が複雑な場合には、戸籍を厳格にたどって相続人を確定しておきませんと、後からあたふたする事態となります。
普段わかっている相続人以外に相続人がいる場合(離婚した妻との間にできた子や認知した子など)は、相続人の特定をしっかりしておかないとトラブルの原因になります。いいわいいわで現在生活している親子だけで相続をしてしまうと、後からそれらの相続人が現れた場合には相続のやり直しになってしまいますので注意が必要です。もっとも登記や払い戻しの際もすべての戸籍謄本も求められますので、相続人の確定は必須になります。「遺産分割協議書」と併せ、過去ブログやホームページで確認下さい。あとは後編に記載します。
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今日は民法家族法の、親権について書いていきます。
「親権」とは、父母である者の、「養育者としての地位」に由来する権利義務のことを言います。その親権に服する者は子供全般ではなく、「未成年の子」になります。子供が未成年であれば、親権が発生するということです。
親権を行うものは子の父母になります。原則父母が共同して親権を行いますが、一方が共同名義で代理行為をした場合は、仮に他方が反対していたとしても効力を生じます。しかしこの場合に相手方が悪意であった場合には効力は認められません。
次の場合は例外として父母の一方が単独で行うことができます。
①父母の一方が親権を行使できないとき
②父母が離婚したとき
③非嫡出子の親権を原則として母が行使するとき
です。
なお、子の利益のために必要と認められるときは、子の親族が家庭裁判所に請求することによって、親権者を他の一方に変更することができます。
では具体的に、「親権者」にはどのような権利義務があるのでしょうか。
「親権者」は子の利益のために、子の監護および教育をする権利を有し義務を負い、必要な範囲で居所指定権や懲戒権を有し、子が職業を営むことができるとされています。
身分上の行為においては、親権者はその子に代わって親権を行うことができます。これは民法上個別に規定されており、これは、
①嫡出否認の訴えの相手方
②認知の訴え
③子の氏の変更
④縁組の代諾
⑤未成年者の養子縁組取り消し請求
⑥相続の承認放棄
になります。
また財産上の行為の代理権もあり、親権者は法定代理人として、財産上の行為について一般的に代理権を有します。
この場合に親権者は、子の財産を管理しその財産に関する法律行為について代理することができますが、その子の何らかの行為を伴う時は、本人の同意が必要になります。
また民法の規定上、親権者に利益があって子に不利益が生じる場合や、子の一方に利益があって他方に不利益があるというような「利益相反行為」については、親権者は子に対する代理権も同意権も有しません。この場合は家庭裁判所に、「特別代理人」の選任を請求します。
これは相続の場合にもよくありますが、被相続人の子が未成年である場合には配偶者は法定代理人とはなれず、必ず特別代理人を請求することになります。
次に親権を喪失する場合について見てみましょう。
特別養子縁組(この場合は一定の年齢制限がありましたが)の記事にもありましたが、父母による虐待や悪意の遺棄があるとき、あるいは父母による親権の行使が著しく困難であったり不適当であることによって子の利益を著しく害する時は、2年以内にその原因が消滅する見込みがある時を除き、家庭裁判所は「親権喪失の審判」をすることができます。
この親権喪失の請求者は、子やその親族、未成年後見人、検察官等になります。また親権喪失には至りませんが、同様に2年以内の期間を定めて親権停止の審判を行う、「親権停止の審判」も創設されています。
親権とは別に、もう一つ相続にも関連する内容についても触れておきます。「扶養」についてです。「扶養」とはもちろん親権者が子に対する義務でもありますが、民法では「親族間の扶養」についても規定しています。
「扶養」とは自力で生活できない者に対して、一定の親族関係にある者が行う経済的給付とされています。扶養の内容については次のとおりになります。
①要扶養者(扶養される必要のある者)は、自分の財力等で生活できない者である必要があります。
②直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養義務を負担します。
③3親等以内の親族については、特別の事情があるときに家庭裁判所が扶養の義務を負わせることができます。
④扶養の内容等について当事者間で整わない場合は、家庭裁判所の判断に委ねることができます。
「扶養」については負担付き遺贈であったり、今回改正された相続における特別の貢献にも関係してくる事柄になります。
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