遺産分割協議について

今日は遺産分割協議について書いていきます。

「遺産分割協議」とは、相続人全員で相続財産の配分や分割方法を決める協議をいいます。通常は遺言書がなかった場合に行われますが、遺言書があってもその相続分を変えるために行う場合もあります。

相続財産は分けることが容易である現金預貯金等だけでなく、通常は分けることが困難な家などの不動産である場合が多く見られます。そのような財産も相続税を納める等の都合もあり、定められた期限内にはその配分を決める必要が出てきます。

遺産分割協議は通常、相続人の代表者が中心となって進めていきます。代表者は多くの場合は一番たくさん財産を相続する者がなりますが、行政書士等の代理人の場合もあります。

協議の進め方は、概ね次のとおりになります。

①まず遺言書を探します

②相続人を確定し、「相続人関係図」を作成します。

③相続財産を確定し、「財産目録」を作成します。

相続人全員に連絡を取ります。

遺産分割協議案を作成します。

遺産分割協議開催の段取りをつけます。

⑦遺産分割協議書の案をもとに相続人全員参加の遺産分割協議を行います。

相続人全員の合意により相続分を決めます。

⑨遺産分割協議が成立したら遺産分割協議書」を作成します。

⑩遺産分割協議書をもとに、金融機関の手続きや不動産の相続登記等を行います。

以上の段取となりますが、遺言書があれば基本はそれに従って相続を行うこととなります。協議を行ったあとで遺言書が発見された場合は、相続人の主張によっては相続のやり直しとなる場合もありますので、まずは遺言書を探します。

探すのは可能性の高いところから当たりますが、親しい知り合いに士業の方などがいた場合は、そちらに相談がなかったかの確認をとります。それから公証役場に行き、公正証書遺言の存在を確認します。そこでもない場合は銀行の貸金庫や自宅を探します。

遺言書があった場合は、基本的にはそれに従いますが、自筆遺言の場合は家庭裁判所に検認の手続きをとり、その後は遺言書の真偽や合法性を確認します。最初に相続人全員での協議が整えば、遺言書があってもその合意が優先すると書きましたが、遺言執行人がいる場合はその者の執行義務との兼ね合いもありますので、必ず遺言執行人と事前に打ち合わせを行ないます。また被相続人の意思を尊重するという意味からも、出来る限りは遺言書に沿う形の執行が望まれます。

次は相続人および相続財産を確定します。相続人については通常はわかっている範囲での協議になりますが、前妻の子や認知している非嫡出子も相続人となりますので、戸籍をたどって相続人関係図を作成します。相続手続きで必要となる場合がありますので、一般的には作成することをおすすめします。

財産については心当たりのある金融機関に問い合わせを行い、また不動産等の登記簿を確認します。こちらも財産目録を作成します。そしてこれらをもとに遺産分割の案を作成します。基本的には法定相続分をもとに、相続人の寄与分や不動産の実態(配偶者が自宅に居住している等)を鑑み配分を行います。

それからその案をもとに協議を行うことになりますので、まずは相続人全員に連絡をとり、遺産分割協議を開催します。ここで注意することは、遺産分割協議は相続人全員の参加が必要となることです。海外等に居住し参加できない者も原則は参加するものとなりますので、もし参加できない場合には事前に、他の意見に従う等の同意書を取得する必要があります。

やっかいなのは行方不明者がいた場合の措置であり、この場合は家庭裁判所に「失踪申告の申し立て」等を行うこととなります。また成年被後見人等の制限行為能力者がいる場合は後見人等の代理が必要となり、未成年がいる場合は「特別代理人」による代理が必要となります。

未成年は基本的に法律行為は行えませんので、その場合は代理人が必要になります。通常の代理人はその親がなることが一般的ですが、相続の場合はその親と子で同じ相続人という利益相反の立場となるため、代理人となることができません。そのため家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行うこととなります。

それらの者が整いましたら遺産分割協議を行い、原案をもとに協議を整います。協議が成立した場合は、その内容で遺産分割協議書を作成することとなります。金融機関等の相続において必要となるため、協議書はたとえ親子2人での協議の場合であっても作成します。協議が成立しなかった場合は家庭裁判所への調停の申し立てを行い、それでも整わなければ裁判ということになります。

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遺言書 公正証書遺言について
今日は「公正証書遺言」についてお話します。 「公正証書遺言」とは、「自筆証書遺言」と同様に民法の規定に則って書かれた遺言書ですが、公証役場で公証人と証人の立会によってその内容や方式を確認され公証された遺言書です。ですので方式や内容に誤りのないものとなります。 また作成された遺言書は、公証役場に保管され、遺言者や遺言執行者にも正副本が渡されます。この方式にも長所短所があります。 短所は、 ①行政書士の費用の他にも公証役場や証人費用等、作成に費用がかかります。公証役場での手数料は財産額に応じて決められており、相続人数分の費用がかかります。 ②交渉人や証人に内容を確認されますので、遺言書の存在と内容の秘密が確保できません。またご家族等も、公証役場のシステムによって、遺言の存在は確認できます。 一方の長所ですが、 ①公証人が関与しますので、方式の不備や内容の不備による無効を避けることができます。 ②遺言書が公証役場で保管されますので、紛失や改ざんの恐れがありません。 ③家庭裁判所での検認手続きは不要です。 ④遺言書の内容がほぼ確実に実現される可能性が極めて高いものです。 以上「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について書きましたが、特に行政書士等に依頼される方式としてはほとんどが公正証書遺言となります。 遺言書を残される方の多くはご自身の意思を伝えたいことももちろんですが、遺された家族の方々の心身の負担を軽くすることを第一に望まれていることが多いようです。円満な相続と遺言の確実な実現のためにも、費用はかかってもスムーズなお手続きを取ることのできる、公正証書遺言をおすすめします。 http://gyosei-suzuki-office.com/category2/entry19.html
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7月1日民法一部改正(相続分野)施行
相続分野の改正民法が、本年7月1日に施行となります。 すでに施行された「自筆遺言書の方式緩和」、2020年4月1日施行の「配偶者の居住権を保護するための方策(短期、長期)」、2020年7月10日施行の「自筆証書遺言の保管制度」を除き、2019年7月1日より施行されます。 あと1月ほどとなりましたが、これには「遺留分制度」や「相続人以外の者の貢献」に関する改正が含まれますので、下記リンクより一度ご確認下さい。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html  
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遺産分割協議でのトラブルメーカー
前回は遺産分割協議について触れましたが、相続人が少人数で関係も良好な場合は大きな問題になることはそれほど多くはありません。各自がそれぞれの立場も理解できており、またその後に直系の相続も発生することも想定できるからです。 しかし相続人同士が仲が良くなかったり、金銭関係が良好でない方が居る場合は途端に状況が変わってきます。また相続人が多かったり、相続人が兄弟のみで代襲相続が発生している場合などは特に問題がある場合が多くなります。よく「相続」は「争族」だとも言われますが、くれぐれも「争族」にならないように気をつけなければなりません。 多くの方は「うちに限って心配はない」と言われますが、そんな場面ばかりではないようです。親子関係、兄弟姉妹の関係は悪くはなくても、その方々の身内や関係者による口出しがある場合があります。またちょっとした言葉がきっかけで、一気にかたくなになってしまわれる方もいらっしゃいます。 相続というものは場面も場面でありますし、金額の多い少ないにかかわらず無条件でお金がもらえる機会になります。人情として気にならないはずはありません。通常は相続人が複数いらっしゃる場合は、相続分の一番多い方(配偶者など)や、一番しっかりされている方が代表相続人になられます。この方がしっかり方向性を決め、意見をまとめていきませんととんでもないことになります。協議がまとまらず、事案が法定にもちこまれることになりかねません。 遺産分割協議は、相続人全員の合意がないとまとまりません。たとえ相続分の少ない方であっても、その方が合意しない限りは協議は成立しません。ですので代表相続人の方は仲の良い方だけをまとめるのではなく、対応しにくいとんでもない共同相続人にも事前にしっかり皆さんの意向を説明し、協議前に大方の合意にこぎ着けていく必要があります。 そのためにも事前にしっかりとした遺産分割協議書案を作成し、当日は全員の実印をもらえるような段取りで協議に臨みましょう。トラブルメーカーはどこにでもいます。そういう方も直視して、期限内に円満な相続を終えましょう。
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相続の際の戸籍の追跡
相続分野の民法一部改正 7月1日施行
遺言書についてのQ&A 遺言書を書かれる動機
遺言における付言について
相続の法定相続人について
相続 民法改正案について
民法における普通養子縁組の解消について
遺言書 公正証書遺言について
7月1日民法一部改正(相続分野)施行
遺産分割協議でのトラブルメーカー

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