相続 民法改正案について

今日朝の天気予報でGW後半の天気について話していました。1週間前には後半は荒れる見込みだと行っていたので、一安心ですね。土日休みの方は羽を伸ばして、サービス業や小売業の方は書き入れ時。世間全般、天気の効果は大きいですね。

ここのところ天気予報がよく当たるなと感じていますが、1週間程度先の予報では、雨予報が晴れに変わるケースが多いかなとも感じています。天気予報の精度の問題ではなく天候が落ち着いている年ということなんでしょうが、ここ3ヶ月では群馬の雨量も平年を若干下回っていますね。夏も暑いようですし、また館林の話題も多くなるでしょう。

GW後半は実家の静岡に帰ります。昔は子供4人とワイワイ帰っていましたが、世代も引き継がれてしまいましたね。日曜日にお土産のハラダのラスクを買い込んできます。

今日は2月に法制審議会より法務大臣に答申された、相続分野に関する民法改正について書いてみます。

民法については昨年120年ぶりに契約や債権関係の改正法が国会で成立し、2020年4月1日に施行されます。相続分野についてはこれまでも社会情勢の変化に即して改正が行われ、配偶者や非嫡出子の法定相続分の割合等が改められてきましたが、今回改正案のポイントは次のとおりです。

配偶者の居住権を保護するための方策

遺産分割に関する見直し

遺言制度に関する見直し

遺留分制度に関する見直し

相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し

相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

まず配偶者(以下妻とします)の居住権を保護するための方策についてみてみます。

現行法では被相続人の死亡後に被相続人名義の自宅に妻のみが居住していた場合でも、子がいた場合には妻の法定相続分は2分の1であり、仮に現金預金等の相続分が少なかった場合には、2分の1を超えた分の自宅の評価額分を子に渡さなくてはならないケースが出てきます。

妻と子の折り合いが悪かったりして子から請求された場合には、現実に妻が自宅を処分して相当分を子に渡すというケースもあるようです。

例として妻と子がひとりいるケースです。自宅の評価額が2000万円で預貯金が1000万円、相続額の合計が3000万円とします。この場合は妻も子も法定相続分は1500万円となります。預貯金を子がすべて相続しても500万円足りませんので、この場合は残りの500万円を子が妻に主張することができます。妻としてはやむをえず自宅を処分して、その分を子に渡すこととなります。これでは被相続人の死亡により妻が困窮する事態に陥ってしまいます。

今回の改正案では超高齢社会を見据えて、高齢の妻の生活や住居を確保するための内容が盛り込まれています。

まず要項に明記されたのが「配偶者居住権」です。文字通り妻が自宅に住み続けることのできる権利であり、所有権とは異なって売買や譲渡はできません。居住権の評価額は住む期間によって決まり、居住期間は一定期間または亡くなるまでのいずれかの期間で、子との協議で決めます。

前述のケースで妻の居住権の評価額が1000万円だったとしますと、妻は法定相続分1500万円のうち1000万円分の居住権と残り500万円分の預貯金を相続することとなります。子は自宅の評価額2000万円から居住権を引いた1000万円分の所有権と、預貯金500万円を相続することとなります。妻が住んでいるあいだの必要経費は妻が負担しますが、固定資産等の税制についてはまだ決まっていません。

次の遺産分割に関する見直し等についてですが、現行法では妻が自宅等を生前贈与されていたとしても、自宅も遺産分割の対象となってしまいます。ですので前述のケース同様となります。

要綱では結婚から20年以上の夫婦に限り、自宅が遺産分割の対象から除外されることになります。前述のケースでは遺産分割の対象となるのは預貯金1000万円のみとなり、妻と子にそれぞれ2分の1づつが相続されます。これも長年連れ添った妻への配慮であり、高齢で再婚した場合等と区別するものです。期間は延期間であって離婚を挟んでも問題はありませんが、事実婚や同性婚は対象となりません

3つめは遺言制度に関する見直しです。昨今は自筆証書遺言への関心も高まってきているようですが、現行民法ではすべての文言が自署である必要があります。改正案では自筆証書遺言に関しすべてが自署である必要はなく、財産目録等はパソコン作成のものを添付することでも可能となります。ただし各ページへの署名押印は必要となります。

また自筆証書遺言の保管制度が新たに創設され、遺言者は自筆証書遺言を各地の法務局に保管するよう申請することができ、死亡後は相続人等が保管先法務局に対して遺言書の閲覧請求等をすることができます。その際法務局は、他の相続人等に対しては通知をだすこととなります。

法務局が保管していた自筆証書遺言は検認を要しません。ただ公正証書遺言と異なり、法務局保管の自筆証書遺言が必ずしも最終最新のものではないおそれは残りますので、探索や確認は必要となります。

4つめは遺留分制度に関する見直しです。遺留分減殺請求権の効力については、受遺者等に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができるようになり、権利行使により遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生するという考え方が採用されます。

また遺留分減殺請求の対象となる遺贈・贈与が複数存在する場合については現行法の規定に加えて、減殺の割合についてはこれまで解釈によっていたものが、今回案では明文化されています。遺留分の算定方法については現行法の相続開始の1年前にした贈与に加え、相続人贈与は相続開始前の10年間にされたものが算入対象となります。

5つめは相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直しについてです。これは遺言などで法定相続分を超えて相続した不動産等は、登記をしなければ第三者に権利を主張できないというものです

最後に相続人以外の者の貢献を考慮するための方策についてです。現行法では寄与分については相続人にのみ認められていましたが、改正案では相続人以外の被相続人の親族が被相続人の介護をしていた場合、一定の要件を満たせば相続人に金銭請求できる こととなります。

被相続人の親族とは、6親等以内の血族および3親等以内の血族の配偶者が対象となります。

https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/ 

Related Posts
民法における契約 申込と承諾
今日は民法に規定される契約というものについて書いていきます。 まず契約とはどのようなものを言うのでしょうか。契約とは、一定の債権関係の発生を目的として、互いに対立する複数の意思表示が合致することによって成立する法律行為のことを言います。 Aさんがある物を"買いたい"という意思表示をし、Bさんがこれに対して"売ります"という意思表示をすれば、対立する意思表示が合致したことによって契約が成立することになります。先にしたAさんの意思表示を「申込」と言い、Bさんの意思表示を「承諾」と言います。仮に立場が逆で、Aさんが先に"売りたい"という意思表示をした場合でもこれは「申込」となり、Bさんがそれに応じて"買います"という意思表示をしたならば、これは「承諾」をしたことになり契約が成立します。 先にする意思表示を「申込」、「後」にする意思表示を「承諾」と言います。ここでいう「申込」とは、一定の契約を締結しようとする意思表示のことです。気をつけなければいけないのは、この申込は単に申込をした場合と、承諾期間を定めて申込をした場合では扱いが異なってくることです。 承諾期間を定めて(返答の期限を切って)申込をした場合には、その定めた期間中はその申込の撤回をすることはできません。一方、期間を定めないでした申込であっても、相手が即答できない離れた場所にいる場合(隔地者といいます)には、"承諾を受けるのに相当な期間"を経過するまでは撤回することができないと規定されています。 相当ってこれまた曖昧な表現ですが、"かなり長い"というような意味ではなく、それをするのに通常要する期間とでも言いましょうか。また「承諾」とは申込を受けて、これに同意することによって契約を成立させるという意思表示になります。ではもう少し「承諾」というものについて見ていきましょう。 「承諾」をすると契約が成立するといいましたが、相手が目の前にいる場合は返事をしたときが契約の効力が発生する時点ですが、先ほどの隔地者間の場合ですと事情が変わってきます。電話で話をしている最中ならば寸分置かずに返答が帰ってきますが、例えば連絡がつかなかった場合はいつ返事が来るかわかりません。承諾期間をまたいだ場合などはトラブルのもとになりますので、法律で明確に効力の発生する時点を決めてあります。 隔地者間の意思表示は、原則論から言えば、その通知が相手方に到達した時に契約が成立するはずです。これを「到達主義」と言います。しかし取引においては、通知が到達していなくても契約の成立を認めることが迅速な取引に通じ取引界の要望にも合致するということで、民法では例外的に、隔地者間の契約については承諾の通知を発した時に成立すると規定されています。これを「発信主義」と言います。 なんだか余計に面倒な話になってきました。メールなどで発信すればすぐに到達しますよね。この話は最後にまたします。 ここでひとつ問題になるのは、申込に変更を加えた承諾をした場合です。例えばAさんがリンゴを3つ200円で買ってくださいと申込をしたとします。それにBさんが、1つおまけしてもらって4つ200円で買いますという承諾をしたとします。この場合は最初の申込と承諾と内容が変わってしまっているので、先の申し込みをBさんが拒絶をし、それとともに新たな申込をしたとみなされることになります。 本来承諾をすべきBさんが今度は新たに申込者となり、Aさんが承諾者になるというように立場が入れ替わります。到達主義と発信主義の違いは以上です。 次に承諾期間を定めてした申込に対して、その期間内に申込者に承諾の通知が届かなかった場合についてです。この場合の申込は抗力を失うとされ、契約は成立しないこととなります。しかし契約の場合は先ほどの「発信主義」となりますので、たとえ到達していなくても、その期間中に承諾の通知を発信をしていれば契約は成立することとなります。クイズなどでよく使われる、当日消印有効と同じようなものです。 この期間後に到達した承諾について民法では、申込者が新たな申し込みをおこなったとみなされます。なお民法では、遅れて承諾が届いた場合には、申込者は遅滞なくその旨を承諾者に対して通知しなければならないとされています。もしその旨の通知をしなかった場合には、遅れて届かなかったものとみなされ、契約は通常に成立することになります。 承諾期間を定めないでした申込の場合は特に効力消滅の規定はないため、相当な期間内に承諾の通知を発信すれば契約は成立します。この場合も発信主義をとります。 とここまで書いてきましたが、どんでん返し。実はこの民法は約120年前に制定されていますが、通信の発達した現代においては発信主義を取る合理性が失われたとし、2020年4月1日施行の改正民法においては、発信主義の条項は削除され、契約の成立時期は「発信主義」から「到達主義」に変わることとなります。 併せて、発信主義の条文に付随していた、遅れて届いた通知の条文も削除されることとなりました。以前から発信主義については議論があったようですので、やっとスッキリと見直されたということになります。
READ MORE
今日は共同不法行為や正当防衛などについて書いていきます。 不法行為については先の記事に載せましたが、複数で行った不法行為を「共同不法行為」と言います。共同不法行為には、 ①複数の者が共同で他人に損害を与えたとき(狭義の共同不法行為) ②共同行為者の中の誰が損害を与えたのかがわからない場合(加害者不明の共同不法行為) があり、②の場合は直接損害を与えていなくても共同不法行為の責任を負います。 共同不法行為では、生じた損害全額について各自が連帯して責任を負います。 それぞれの共同不法行為の成立要件としては、狭義の場合は、 ①各人の行為が不法行為の一般的要件を満たすこと ②共同行為者間に、社会的・客観的に見て数人の加害行為が一体と見られる関係にあること であり、加害者不明の場合は、 ①共同行為者であること ②各共同不法行為者が、因果関係以外の不法行為の一般的成立要件を満たしていること ③共同行為者のいずれかによって損害が発生したこと になります。 次に「正当防衛」について見てみますが、同じ条項に同様の性質を有する「緊急避難」というものがありますので、対比して見てみましょう。 「正当防衛」とは刑事ドラマでも頻繁にでてくる言葉ですが、その定義は、他人の不法行為に対して自己または第三者の権利、または法律上保護される利益を防衛するために、やむを得ず行う加害行為を言います。 正当防衛が認められた場合は損害賠償の責任は負いません。ただしその被害者が損害賠償請求をすることはできます。 「緊急避難」では他人の不法行為は介在しませんが、他人の物から生じた差し迫っている危難を避けることを言い、それによって他人のその物を損傷した場合も正当防衛と同様の扱いになります。緊急避難の例としては、他人の飼い犬に襲われた際に、棒などでその犬に怪我を与えた場合などが考えられます。 民事上では法によらず自らの力で解決をはかる自力救済は禁止されていますが、正当防衛も緊急避難も自力救済ではありますが違法性は除かれ、不法行為には当たりません。 正当防衛の成立要件は次のとおりです、 ①他人の不法行為が原因であること ②自己または第三者の権利または法律上保護される利益を守るためにすることであること ③やむを得ないものであること ④加害行為をしたこと です。 緊急避難の成立要件は次のとおりです。 ①他人の物から生じた急迫の危難が原因であること ②これを避けるためのものであること ③やむを得ないものであること ④その物を損傷したこと になります。
READ MORE
民法における事務管理
今日は民法における事務管理というものについて書いていきます。 「事務管理」というとピンときませんが、いわゆる人のためにする「おせっかい」のことです。良かれとおせっかいでしたことも、場合によっては費用や損害が発生してしまうこともありますので、民法では「事務管理」という用語で法律効果を与えています。 具体的にはAさんの旅行中に台風でAさん宅の窓が割れてしまった場合に、Bさんが見過ごすことができずに業者に頼んで窓を応急修理した場合などです。 ではあらためて見ていきます。「事務管理」とは、法律上の義務がないのに、他人のためにその事務を行う行為を言います。事務とは行った行為のことです。この行為は契約に基づくものでもありませんし私人間の行為なので、本来法律の立ち入る必要のないことではありますが、おせっかいをした者に一定の法的保護を与えるために設けられた規定になります。 その条項では、義務なく他人の事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い最も本人の利益に適合する方法によってその事務管理をしなければならない、としています。またその者が本人の意思を知っている場合や推し量れる場合は、その意思に従って事務管理をしなければならないとされています。要は一旦事務管理をした場合には、必ず適切な手段をもって対応しなさいということになります。 事務管理の成立要件として、次の4つが挙げられます。 ①法律上の義務がないこと ②他人の事務を管理すること ③他人のためにする意思があること ④本人の意志や利益に反することが明らかでないこと です。 これらの要件が満たされると事務管理の効力が発生しますが、この場合はその違法性や費用の発生などが問題になってきます。 まず違法性についてですが、事務管理については勝手に他人のことについてするものですので、ともすれば権利の侵害にあたる場合も出てきます。しかしこの場合は違法性が排除され、不法行為には当たりません。 事務管理が開始した場合には、管理するものは原則、遅滞なく本人にその旨を通知しなければなりません。次に事務管理について発生した費用が問題になる場合があります。管理する上で必要な費用が発生した場合には、本人に請求することができます。これは単なるかかった費用ということでなく、本人にとって必要な者であれば認められます。 なお事務の管理方法が不適切なために損害が発生した場合については、事務管理の不履行責任を問われる場合があります。事務管理をする者は、一旦管理を始めた場合は本人等が管理できるようになるまで原則、善管注意義務を負うこととなります。この義務に反した場合には損害賠償が発生することもありますが、危急の場合には悪意重過失の場合のみ賠償責任を負うこととなります。
READ MORE
民法改正後の遺言について
今日は遺言について書いていきます。遺言については以前にも書きましたが、相続遺言に関する民法がこの7月に約40年ぶりに大幅改正されましたので、それも含めて見てみましょう。 遺言を残そうとされる目的の多くは、ご自分の作られた財産をきちんとご自分の手で、ご自分の意思で配分したいというところにあると思います。考えられるきっかけはちょっとしたことからかもしれませんが、その動機の多くは遺されるご家族のことを考え、円満でスムーズに相続を終えてもらいたいという気持ちから発せられるようです。 中には家族親族がいがみあっていたり、複雑な関係性であったり、また相続人がいないなどの理由からトラブル防止のための遺言を書かれる場合もあると思います。また事業承継にあっては、自ら思い描く将来のために、きちんと整理した形で財産を相続させる場合もあろうかと思います。 いずれにせよ遺言を残される以上、法的に効果のある遺言にしなければなりません。では法的に効果のある遺言とはどのようなものでしょうか。 遺言自体はどのような形でも残すことができます。口頭で伝える場合もあれば、録音やビデオで伝える場合もあります。また通常は皆さん考えられるところの書面で残すことが多くなります。しかし法的に効果のある遺言は、きちんと法律に従った形式で、書面として残さなくてはいけないものになります。 きちんとビデオに撮っていても、それがそれぞれの相続人が納得するものであれば問題ありませんが、争いになった場合は法的に根拠がないものとして認められないものになります。 昨日たまたまビデオで「激動の1750日」という映画を見ていて、三代目姐が「先代が言い残した」という一言で後継が決まってしまいました。実際に言い残してはいないので争いになった場合は法的根拠のないものとなりますが、特殊な世界であれ、「故人が言っていた」の一言で相続が決まってしまってはたまりません。そこかしこでトラブルが頻発するでしょう。そんなトラブルを起こさないためにも、法律が遺言の形式を定めています。 ここでの法律は「民法」になります。民法は、私人間の生活関係を規律する「私法」の一般法(国家等の公権力と私人の関係を規律する法である法律を「公法」といい、これには憲法・行政法・民事手続法・刑法・刑事手続法があります)であり、その内容は「財産法」(ここには物件法と債権法があります)と「家族法」に分かれます。 「家族法」には家族や親族の範囲や関係性について規定する「親族法」の部分と、相続や遺言について規定している「相続法」の部分があり、ここで遺言についても明確に規定してます。 では民法に規定する遺言について見ていきましょう。遺言の方式について、民法では「普通方式」と「特別方式」を定めています。我々が一般的に理解している遺言とは普通方式のものになりますが、簡単に特別方式の遺言について見てみます。 「特別方式」の遺言については滅多にお目にはかかれませんし、またそういう立場になっては困るのですが、緊急時に発する遺言になります。ここでは詳細は省きますが、災難がまさに降りかかっている際に発する「危急時遺言」と、世間から隔絶された場所にあるときに発する「隔絶地遺言」があります。 「危急時遺言」には「死亡危急者遺言」と「船舶避難者遺言」がありますが、前者は病気やけが、あるいは災害が差し迫っている際に発っするものであり、後者は船舶が遭難にあっている際に発するものになります。 また「隔絶地遺言」には、「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」があります。前者は伝染病隔離施設や刑務所服役中などの場合、後者は遭難していない船舶の中で作成されます。 いずれも危難は迫ってはいませんので、本人が書く事になります。以上4種類が特別方式になりますが、それぞれ証人であったり検認であったり、その手続きは詳細に決められています。民法は約120年前に制定されましたので、情報の発達していない時代を背景としています。
READ MORE
遺言書 自筆証書遺言について
今日は遺言についてお話をしてみます。最近よく「終活」という言葉を耳にします。ある程度の年齢になられた方が、いざという時に周りの家族の方たちに迷惑をかけたくないとの思いから身の回りの品々を整理することのようですが、広辞苑にも記載されていないようですので、比較的新しい造語なのでしょうか。 ちなみにデジタル大辞泉によると終活とは"「《「就活」のもじり。「終末活動」の略か》人生の終末を迎えるにあたり、延命治療や介護、葬儀、相続などについての希望をまとめ、準備を整えること。"と書いてありました。そのような風潮のなかで、ご自分で実際に遺言書を書かれる方も増えてきたようです。 ただ遺言書は方式を整えないと逆にトラブルのもとにもなりかねません。ではどんな遺言書ならよくて、どんな遺言書はダメなのでしょうか。言い換えると、遺言書はどのように書けば良いのでしょうか。 こちらは広辞苑に記載がありました。広辞苑では「人が自分の死亡によって効力を発生させる目的で、一定の方式に従ってなす単独の意思表示」とあります。ここでは「効力を発生させる目的」で「一定の方式に従って」というところが重要となります。 遺言書は契約などと同じように、民法という「法律」によって規定されています。従って民法の規定とおりの遺言書でないと法的効果をもたないということです。ですので法的効果をもたない遺言書であった場合は、ご自身の意思も多少は考慮されるかもしれないけど、実現される可能性は非常に低いものになってしまいます。 遺言書を書くにはいくつか方式がありますが、今回はご自分で遺言書を書かれる場合の「自筆証書遺言」について書きます。「自筆証書遺言」とはその名のとおり、ご自分で書かれた遺言書のことです。 ルールはいたってシンプルです。 ①その遺言書の中身はすべてご自分で書かれること  ②その遺言書を書いた日の日付をご自分で書かれること ③その遺言所にご自分の氏名を書くこと  ④その遺言所に印鑑を押すこと。この4つです。 遺言所に自書する日付は吉日等の不特定な日ではなく、基本は何年何月何日と書きます。印鑑は拇印でも認印でもよいのですが、トラブルを避けるためにも、実印や銀行印等の確認が容易なものをおすすめします。あわせて印鑑証明も取得しておきましょう。 ただこの「自筆証書遺言」には長所短所があります。 長所は、 ①基本、作成費用がかからないこと。 ②手軽に書けること。 ③家族にも秘密にしておけることです。 また内容を変更したい場合には、前のものを破棄して新しい遺言書をも同様に書くことができます ひとつ注意しておくことは、遺言書の内容を一部変更したい場合などは必ず前の遺言書は破棄して、作成しなおした方が良いということです。ご自分で遺言書を書くとはいっても、法的に通用するためには誤字脱字や訂正等には厳しい要件が課せられます。その手間や方式間違いの可能性をなくすためにも、作成しなおすことをおすすめします。 では自筆証書遺言書の短所はどうでしょうか。手軽で費用がかからない反面、短所は多くあります。 短所は、 ①前述とおり要件が厳格ですので、方式不備でその遺言書が無効となるおそれがあります。 ②遺言者を自分ひとりで作成するため、本人の意思で作成したことを立証することが困難であり、信ぴょう性がかなり低くなります。 ③自筆であることを証明することも難しく、筆跡鑑定なども信ぴょう性が低いことです。事実裁判によって遺言書の筆跡が無効となった判例もあります。 ④相続開始後に家庭裁判所にその遺言書の「検認」の申し立てをしなければならず、かかる時間も含め家族に負担をかけることです。「検認」とは証拠保全の手続きですので、内容の信ぴょう性等には関与しません。ですので検認がなされたからといって、遺言の内容の有効性等が担保されるわけではありません。 ⑤遺言書の紛失や改ざんの恐れがあることです。保管場所を忘れてしまったり、ご自身の死後、その遺言書が発見されず終いだった場合です。逆に相続がつつがなく終わったあとに遺言書が発見された場合もトラブルの原因になります。 「自筆証書遺言」を検討されている方は以上のこともご注意ください。明日は行政書士に依頼される場合で一番多い「公正証書遺言」について書きます。 http://gyosei-suzuki-office.com/category2/entry19.html
READ MORE
改正民法 遺留分侵害額請求権について
以前、相続人の相続分の記事の中で遺留分について触れましたが、今日はそれを補完していきます。 遺留分とは遺言者が遺言書などによっても奪うことのできない、相続人に最低限保証された相続分を言います。その遺留分を侵害された(遺留分の侵害といいます)相続人は、侵害された額を遺留分を侵害した者に請求することができます。 例えば被相続人に妻と子が1人いた場合に公正証書遺言書で、「自分の弟に全部を遺贈する」という公正証書遺言を残したとします。本来は相続人である妻と子がいますので、この場合の弟は相続人ではありません。しかし遺贈するということですので、問題はないことになります。そうすると本来は財産の1/2づつを相続するはずだった妻と子は、まったく遺産を相続することができません。 遺言があるなら仕方がないと諦める方もいらっしゃるでしょうが、普通は「自分たちの相続分をどうしてくれるの」と思われる方が多いと思います。当然です。知人や専門家に聞いたり、インターネットで調べることになるでしょう。 世の中には不条理なことも多々あると思いますが、法律の世界では様々な場面を想定して救済措置や解決に向けての手順が示されています。この場合は民法の規定によって、遺留分を侵害された妻と子が、侵害された遺留分を弟に請求することができるわけです。この権利を「遺留分減殺請求権」と言います。 「遺留分減殺請求権」においては、請求された遺産分の返還についての返還物の選択(現金なのかどの不動産なのか)権は請求された側にしかありませんでしたが、今回の民法改正(2019年7月1日施行)によって、遺留分権利者側が遺留分侵害額を金銭で請求できる権利になります。これに伴い名称も「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」に改称されます(以下遺留分侵害額請求権とします)。 遺留分を請求する権利のある者(遺留分侵害額請求権利者)は、配偶者と子および直系尊属のみになります。兄弟姉妹は法定相続人ではありますが、遺留分は有しません。つまり、遺留分侵害額請求権者が自分の遺留分を侵害された場合にのみ、遺留分侵害額請求をすることができます。先ほどの例で言うと、妻と子は請求権を有する訳です。 一方、仮に被相続人の妻と被相続人の兄弟姉妹が法定相続人である場合に、公正証書遺言書によって、「妻に全財産を相続させる」とあった場合はどうでしょうか。この場合は兄弟姉妹に遺留分侵害額請求権はありませんので、全財産が妻に相続されることになります。 ちなみに遺留分侵害額請求できる額等については従来民法と変わらず、遺留分権利者が配偶者や子を含む場合は、法定相続分の2分の1が遺留分の割合になります。遺留分権利者が直系尊属のみの場合は、法定相続分の3分の1が遺留分の割合になります。 最後に、遺留分侵害額請求は訴訟を起こすことなく、裁判外でも行うことができます。遺留分権利者が遺留分侵害者に、「この分は私の遺留分だから、返して下さい」と口頭で伝えても、遺留分侵害者には侵害額分を金銭で返す義務が生じます。ただ通常はトラブルを避けるためにも「内容郵便証明」等で送達することをお勧めします。 また遺留分侵害額請求もいつまでもできると言うことではなく、「遺留分権利者が、相続と遺留分侵害の事実を知ってから1年間」という時効がありますのでお気をつけ下さい。
READ MORE
公正証書遺言の作成方法
今日は公正証書遺言について書いていきます。 まず「公正証書遺言」ます。の作成方法です。最終的には公正証書遺言は「公証役場」で作成することになりそこに向かっての手順ということになります。もちろん行政書士を介せずご自分おひとりで原案を作成することもできます。その場合でも最終的には公証人が関与しますので、法的効果が欠如することはありませんし、内容的な不備も排除されます。保管の問題もクリアされます。 しかし公証人自体は書かれている内容自体に関与するものではありませんので、例えば「財産のすべてを愛人に与える」などという作成できないもの(この場合は公序良俗に反する)以外は作成されます。 また公証人によっては遺留分を考慮しない遺言、例えば長男に財産の3分の2をあげて次男には3分の1、長女には相続しないという内容の遺言書でも作成されてしまう場合があります。ですのでここでも作成にあたっては、行政書士に相談されて作成されることをお勧めします。 今回の記事においては、行政書士に依頼された場合の段取りにしたがって作成方法を書いていきます。 まず相談者様から作成代行の依頼があった場合は、遺言者様から契約書をいただくくとともに、署名捺印の委任状をいただきます。印は実印で捺印していただきます。また併せて印鑑登録証明書もいただきます。 公正証書遺言を作成するためには、相続人を調査し、相続財産を調査します。相続人については大方の場合は配偶者と子供などの知れている相続人になりますが、より確実な遺言書とするために、遺言者の出生から現在までの戸籍謄本および、推定相続人の戸籍謄本を取得して「相続関係説明図」を作成します。 なお公証役場には遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本があれば問題ありませんので、「相続関係説明図」を作成しない場合は、最低限これがあれば足ります。戸籍謄本は行政書士が「職務上請求書」というものを使用して、役所より取得します。 次は「財産目録」を作成します。遺言者から不動産や預貯金、証券類などの財産を申告してもらい作成します。遺留分の計算等でこの時点の財産額を知る必要がありますので、不動産の財産額について確認します。 この時点で「不動産の全部事項証明書」と念のために公図等も取得しておきます。併せて価格は路線価等で再確認します。預貯金については直近の通帳をコピーし、証券類は証書等を確認します。動産類は自動車の車検証の写や貴金属等の鑑定書なども用意します。 この際に忘れてならないのは、負債についてもきちんと確認することです。プラスの財産は遺言書とおりに相続されますが、負債については法定相続分とおりに相続されます。仮にプラスの財産よりマイナスの財産の方が多かった場合は相続放棄になりかねませんので、注意が必要です。以上から「財産目録」を作成します。 これらをもとに遺言書の文案を決めていきます。まず相続人を決め、遺贈等を決めます。それから各相続人の相続分を決めていきます。相続財産の配分については当然遺言者の判断になりますが、遺留分等についても配慮した方がトラブルは回避することができます。 不動産については明確に記載しますが、預貯金については特定の額を記載せず3分の1づつでも良いですし、1000万円を長男に、残りを次男に等の表現でも構いません。財産目録に記載されない細々とした動産等もありますので、遺言者所有のその他すべての財産を長男○○に相続させるの条項も記載します。 あとは墓や仏壇を管理していく「祭祀主催者」や「遺言執行者」等を記載していきます。祭祀主催者の条項を加えた場合は、公証人より別途手数料が加算されますので注意してください。 最後に「付言」を記します。文案が作成できたら依頼者と確認を取り、加筆修正の後文案を合意します。それから行政書士が公証人と文案の打ち合わせを行い、必要書類を提出します。公証人から文案と費用が提出されるので、依頼者と最終確認を行ないます。 合意ができたら公証役場へ出向く日を決め、当日は行政書士と遺言者本人、もうひとりの証人とともに公正証書遺言を作成します。当日は次の段取りで公正証書遺言が作成されていきます。 ①公証人が遺言者本人と証人2名(当職ともう1名の証人)の氏名・生年月日・住所・職業を質問し、遺言者と証人が本人確認ができる書類を提示します。 ②公証人が遺言者に遺言の内容を確認します。 ③公証人が遺言者と証人に、遺言書を配布し口述します。 ④遺言者と証人が遺言書の内容を確認し、公正証書遺言に各自が署名捺印をします。この際は遺言者は実印を用意します。証人は認印でも構いません。 ⑤公証人が署名捺印をします。 以上で公正証書遺言の完成です。 ⑥遺言者が公証役場に手数料を現金で支払います。 ⑦公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言執行者に「正本」が、遺言者に「謄本」が渡されます。 「正本」「謄本」の保管には注意が必要ですが、銀行の貸金庫に預けてしまうと開けるには相続人全員の署名捺印が必要になりますので、注意が必要です。 公正証書遺言であってもいつでも撤回をすることができます。 最後に作成する際の言語ですが、自筆証書遺言や秘密証書遺言は作成する言語は外国語でも構いませんが、公正証書遺言は日本語で作成しなければなりません。
READ MORE
民法 物権変動について
今日は民法の中の物権変動というものについて書いてみます。 物権とは先日の記事に書きましたが、民法では債権並ぶ財産権です。「物」を支配する排他的な権利であり、代表的なものには所有権があります。 物権は先に対抗要件を具備したものが優先となります。また物権は債権に優先しますが、例外として対抗要件を備えた不動産賃借権は物権と同様の扱いになります。 物権には占有権が発生しますので、占有を阻害された場合にはこれを取り除く権利が発生します。これを物権的請求権と言いますが、具体的には次の3つがあります。 ①返還請求権であり、占有回収の訴えにより目的物の返還を請求するもの ②妨害排除請求権であり、占有保持の訴えにより妨害の除去や妨害行為の禁止等を求めるもの ③妨害予防請求権であり、占有保全の訴えにより将来の妨害の原因を除去して未然に防ぐもの です。物権変動とは、物権の発生や変更、消滅のことを言います。変動の原因は当事者の意思表示のみによるものであり、 契約等は必要ありません。また時効や相続によっても変動します。 変動の時期は当事者双方の意思表示が合致した時点であり、その時点をもって権利が移転します。 物には特定物(NO999のこの車)と不特定物(お店にあるレクサス)がありますが、特定物の売買における変動の時期は、特約がなければ契約と同時に所有権が移転し、特約があれば特約で定めた時期に移転します。不特定物の売買における変動の時期は、目的物が特定したときになります。 では次に不動産物件の変動を見てみましょう。不動産は物権変動をしても、登記がなければ第三者には対抗できません。登記とは不動産における公示のことです。公示とはそれをすることによって、その事実を公衆一般に知らしめることです。ですので不動産登記制度は、その土地の所有者や債権者を公にする制度になります。 不動産の所有権を主張するものが複数いる場合では(二重譲渡の場合等)、その優劣は登記の先後によります。不動産は登記を行わないと、完全に排他性のある物件を取得できないことになります。ここでこの不動産の物権変動の条項に出てくる用語について触れておきます。 まず「第三者」とは、これは本試験においても重要な事項ですが、「当事者もしくはその包括承継人以外の者で、登記の欠缺(けんけつ)を主張するにつき正当な利益を有する者」のことです。この場合の第三者には単純悪意者は含みますが、背信的悪意者は除外されます。 「背信的悪意者」とは物権変動の事実を知っており、かつ登記を備えていない者に対してその不存在を主張することが信義に反する者のことです。具体的な例としては、AさんがB土地を最初に購入しかつ未登記であった場合に、それをネタにAさんに高値で売る目的でB土地を二重に購入したCさんがこれに当たります、この者に対しては登記なくして対抗できます。
READ MORE
民法 債権者の権利について
今日は債務不履行が発生した場合の、債権者の権利について書いていきます。 債務不履行の際に債権者が債務者に請求する方法としては、 ①履行されていない債務を強制的に行わせること ②更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する この2通りが考えられます。 まず債務を強制的に行わせることについて見てみましょう。債務不履行とは債務者が履行を完全に行わない場合に発生しますので、これを強制的に行わせましょうということになります。これを「強制履行」といいます。強制履行の方法としては次の3つになります。 ①直接強制 ②代替執行 ③間接強制 です。 直接強制とは、裁判所への請求などによって、国家権力(執行機関)が債務者の意思にかかわりなく、直接的に債務内容の実現を図る方法になります。 代替執行とは、債権者や第三者によって、債務者に代って債務内容を実現させることです。特にこの場合は、実現にかかった費用は債務者から強制的に取り立てることとなります。 間接強制とは、債務の履行をさせるために一定額の支払いを命じて、その心理的な圧迫によって履行をさせようという方法になります。例としては、一定期間内に目的物を渡さない場合に、一定額の支払いを命じる場合などがあります。 次に、更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する方法について見てみましょう。 損害賠償とは、履行されなかった契約で生じた損害分の埋め合わせをさせるものであり、これを目的として金銭を請求できる権利を「損害賠償請求権」といいます。損害賠償請求は、特に特定のものを指定する意思表示がない場合は、通常は金銭に換算して行われます。これを金銭賠償の原則といいます。 埋め合わせをする損害の範囲ですが、これは「通常生ずべき損害」とされています。債務不履行が原因で直接失われた損害分を指します。 例外としては、当事者が予見したりまたは予見することができた「特別な事情」から生じた損害も含めることができます。履行が行われていたら、土地の値上がりによってさらに利益が得られた場合などがこれに当たります。 なお特別な事情とはあくまで発生するであろう事実をいうものであって、その時点で特別な損害が発生している必要はありません。 債務不履行に関しては債権者に過失がある場合も考えられますが、債権者に過失があった場合はその過失分を賠償額から差し引くことができます。この制度は「過失相殺」といいます。 過失相殺の制度は交通事故などの不法行為の場合にも適用されますが(歩行者の飛び出し等)、不法行為の場合の過失相殺はこれが行われてもその行為自体が免責されるものではなく、責任が軽減されるに過ぎません。また過失割合についても必ず相殺されるものではなく、事案によって任意的に決められる性質のものとなります。 一方この債務不履行に関する過失相殺については、債務者の損害賠償責任自体を免責することもでき、また過失割合についてはすべての事案について必要的に、必ず適用されます。 債務不履行による損害賠償については事後的に算出されるものだけでなく、「違約金」などの名目で契約によって、あらかじめ当事者間で金額を決めておくこともできます。これを「賠償額の予定」といいます。この額を定めていた場合は、債権者は損害額を証明する必要はなくなり、当事者はこの額に拘束されることとなります。 債務不履行における債務については、いろいろなものがあります。例えば家の建築を請け負った場合なども、この請負は「債務」になります。また特に債務が金銭によるものである場合は、特別なルールが定められています。 金銭は万能であり融通性が非常に高いために設けられたルールで、これを「金銭債務の特則」といいます。「金銭債務の特則」とは次の3つになります。 ひとつめは、金銭債務が不履行と言われる場合は常に「履行遅滞」の状態にあるとされ、「履行不能」の状態にはならないことです。この特則によって債務者は、弁済の義務から免れないこととなります。 2つめは、債権者側の損害の有無は問題とされず、債権者は債務不履行の事実さえ立証すれば良いとされることです。これによって損害額のみならず、その期間の利息も当然に賠償する義務が発生します。 3つめは債務者は、「不可抗力をもって抗弁とすることができない」ということです。これは自分に過失がないことを証明しても、責任からは免れることは許されないという意味です。
READ MORE
相続の承認と放棄について
今日は相続の承認や放棄について、前回の補足として書いていきます。5月にこの記事について書きましたので簡単におさらいをしてみます。 相続は被相続人の死亡によって開始することになりますが、遺言のない相続の場合は相続人全員参加で遺産分割協議を開催し、その協議によってそれぞれの相続配分を決めることになります。これは「法定相続」と言って、その配分は民法によって定められています。 基本的には各自の相続分はこの規定に基づいて決めていくことになるのですが、相続される財産は預貯金や不動産といったプラスの財産に限られるわけではなく、借金などのマイナスの財産もあります。 これらが不明の場合には、きちんと負債を含むすべての財産を調べ、財産目録を作成していくわけですが、マイナスの財産の方が多かった場合は相続を受ける意味がありません。相続によってわざわざ借金を背負う必要がないからです。 そのために相続を受ける(承認と言います)か受けないか(相続放棄と言います)を選択する権利が、相続人には与えられているのです。これは3ヶ月の熟慮期間中に裁判所に申請をしなければいけません。 申請をしないまま期間が過ぎてしまいますと、「単純承認」と言ってプラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する判断をしたとみなされます。たとえ借金の方が多くても撤回することはできませんので、財産の調査は重要になってきます。 この「熟慮期間」は、財産の状態等を調査する期間として設けられています。詳しくは前回の記事で確認してください。 https://estima21-gunma-gyosei.com/archives/427 相続放棄も含めて、一度決めてしまうと撤回することはできません。ただし承認や放棄を行ったとしても、例外として無効や取り消しになる場合があります。錯誤や詐欺・強迫といった場合です。 承認や放棄に際して、錯誤や詐欺・強迫の事実があれば、また制限行為能力者が単独でした行為であれば、それらは家庭裁判所への申し立てによって無効または取り消すことができます。これらの権利は、追認出来る時から6ヶ月、または行為の時点から10年で消滅します。他の権利と比較しても短期間となっていますので、相続はいかに早期に行われるべきものかがわかります。 もうひとつ、「行方不明者」の問題があります。承認のうちの限定承認や遺産分割協議においても、共同相続人全員で行う必要がありますので、相続人の中に安否が未確認の行方不明者がいた場合は厄介なものになります。 この者がいなければ相続人全員とはなりませんし、仮に協議等を行ったとしても後から現れた場合には協議もやり直しをしなければなりません。ですので、きちんと手続きを整えて臨むことが必要になります。「行方不明者」がいた場合には、遺産分割協議を行う前に次の手続きを行ないます。 ①家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます ②家庭裁判所に「行方不明者の失踪宣告」の申し立てを行ないます ともに申し立てを行う家庭裁判所は、行方不明者の住所地を管轄する家庭裁判所になります。 ①の「不在者財産管理人」についてですが、この者は基本的には行方不明者の財産を管理する(相続財産を法人化します)ことが役割となります。しかしそれでは協議が進みませんので、申請をすることによって遺産分割協議に加わります。 利害関係のない者が選任されますが、多くは弁護士等が就任します。遺産分割協議においては行方不明者の利益を確保することを前提に、法定相続分を上回る主張をすることになります。協議が整った場合は、行方不明者が現れる期限までその相続財産を管理することになります。 ②の失踪宣告については、家庭裁判所が官報などに「不在者捜索の公告」を行い、行方不明から7年(災害などで行方不明の場合は1年)で、法律上死亡したものとみなされます。 失踪宣告には通常1年以上かかるため、遺産分割協議には間に合いません。ですので、通常の段取りとしては、失踪宣告をした上で、不在者財産管理人を含めた分割協議を進めていきます。 期限内に失踪者が現れた場合にはその者は相続人に復帰しますし、そうでない場合はその者の相続分は共同相続人の財産になります。 被相続人の財産調査や相続関係の調査は、行政書士にお任せください。
READ MORE
民法における契約 申込と承諾
共同不法行為と正当防衛
民法における事務管理
民法改正後の遺言について
遺言書 自筆証書遺言について
改正民法 遺留分侵害額請求権について
公正証書遺言の作成方法
民法 物権変動について
民法 債権者の権利について
相続の承認と放棄について

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です