相続 民法改正案について

今日朝の天気予報でGW後半の天気について話していました。1週間前には後半は荒れる見込みだと行っていたので、一安心ですね。土日休みの方は羽を伸ばして、サービス業や小売業の方は書き入れ時。世間全般、天気の効果は大きいですね。

ここのところ天気予報がよく当たるなと感じていますが、1週間程度先の予報では、雨予報が晴れに変わるケースが多いかなとも感じています。天気予報の精度の問題ではなく天候が落ち着いている年ということなんでしょうが、ここ3ヶ月では群馬の雨量も平年を若干下回っていますね。夏も暑いようですし、また館林の話題も多くなるでしょう。

GW後半は実家の静岡に帰ります。昔は子供4人とワイワイ帰っていましたが、世代も引き継がれてしまいましたね。日曜日にお土産のハラダのラスクを買い込んできます。

今日は2月に法制審議会より法務大臣に答申された、相続分野に関する民法改正について書いてみます。

民法については昨年120年ぶりに契約や債権関係の改正法が国会で成立し、2020年4月1日に施行されます。相続分野についてはこれまでも社会情勢の変化に即して改正が行われ、配偶者や非嫡出子の法定相続分の割合等が改められてきましたが、今回改正案のポイントは次のとおりです。

配偶者の居住権を保護するための方策

遺産分割に関する見直し

遺言制度に関する見直し

遺留分制度に関する見直し

相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し

相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

まず配偶者(以下妻とします)の居住権を保護するための方策についてみてみます。

現行法では被相続人の死亡後に被相続人名義の自宅に妻のみが居住していた場合でも、子がいた場合には妻の法定相続分は2分の1であり、仮に現金預金等の相続分が少なかった場合には、2分の1を超えた分の自宅の評価額分を子に渡さなくてはならないケースが出てきます。

妻と子の折り合いが悪かったりして子から請求された場合には、現実に妻が自宅を処分して相当分を子に渡すというケースもあるようです。

例として妻と子がひとりいるケースです。自宅の評価額が2000万円で預貯金が1000万円、相続額の合計が3000万円とします。この場合は妻も子も法定相続分は1500万円となります。預貯金を子がすべて相続しても500万円足りませんので、この場合は残りの500万円を子が妻に主張することができます。妻としてはやむをえず自宅を処分して、その分を子に渡すこととなります。これでは被相続人の死亡により妻が困窮する事態に陥ってしまいます。

今回の改正案では超高齢社会を見据えて、高齢の妻の生活や住居を確保するための内容が盛り込まれています。

まず要項に明記されたのが「配偶者居住権」です。文字通り妻が自宅に住み続けることのできる権利であり、所有権とは異なって売買や譲渡はできません。居住権の評価額は住む期間によって決まり、居住期間は一定期間または亡くなるまでのいずれかの期間で、子との協議で決めます。

前述のケースで妻の居住権の評価額が1000万円だったとしますと、妻は法定相続分1500万円のうち1000万円分の居住権と残り500万円分の預貯金を相続することとなります。子は自宅の評価額2000万円から居住権を引いた1000万円分の所有権と、預貯金500万円を相続することとなります。妻が住んでいるあいだの必要経費は妻が負担しますが、固定資産等の税制についてはまだ決まっていません。

次の遺産分割に関する見直し等についてですが、現行法では妻が自宅等を生前贈与されていたとしても、自宅も遺産分割の対象となってしまいます。ですので前述のケース同様となります。

要綱では結婚から20年以上の夫婦に限り、自宅が遺産分割の対象から除外されることになります。前述のケースでは遺産分割の対象となるのは預貯金1000万円のみとなり、妻と子にそれぞれ2分の1づつが相続されます。これも長年連れ添った妻への配慮であり、高齢で再婚した場合等と区別するものです。期間は延期間であって離婚を挟んでも問題はありませんが、事実婚や同性婚は対象となりません

3つめは遺言制度に関する見直しです。昨今は自筆証書遺言への関心も高まってきているようですが、現行民法ではすべての文言が自署である必要があります。改正案では自筆証書遺言に関しすべてが自署である必要はなく、財産目録等はパソコン作成のものを添付することでも可能となります。ただし各ページへの署名押印は必要となります。

また自筆証書遺言の保管制度が新たに創設され、遺言者は自筆証書遺言を各地の法務局に保管するよう申請することができ、死亡後は相続人等が保管先法務局に対して遺言書の閲覧請求等をすることができます。その際法務局は、他の相続人等に対しては通知をだすこととなります。

法務局が保管していた自筆証書遺言は検認を要しません。ただ公正証書遺言と異なり、法務局保管の自筆証書遺言が必ずしも最終最新のものではないおそれは残りますので、探索や確認は必要となります。

4つめは遺留分制度に関する見直しです。遺留分減殺請求権の効力については、受遺者等に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができるようになり、権利行使により遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生するという考え方が採用されます。

また遺留分減殺請求の対象となる遺贈・贈与が複数存在する場合については現行法の規定に加えて、減殺の割合についてはこれまで解釈によっていたものが、今回案では明文化されています。遺留分の算定方法については現行法の相続開始の1年前にした贈与に加え、相続人贈与は相続開始前の10年間にされたものが算入対象となります。

5つめは相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直しについてです。これは遺言などで法定相続分を超えて相続した不動産等は、登記をしなければ第三者に権利を主張できないというものです

最後に相続人以外の者の貢献を考慮するための方策についてです。現行法では寄与分については相続人にのみ認められていましたが、改正案では相続人以外の被相続人の親族が被相続人の介護をしていた場合、一定の要件を満たせば相続人に金銭請求できる こととなります。

被相続人の親族とは、6親等以内の血族および3親等以内の血族の配偶者が対象となります。

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商法 使用人について
今日は商法の続きを書いていきます。 前回は商号というものについて書きましたが、商号はその商号を定めた者しか使用できません。しかしその商号を定めた者が許可を与えた者については、その者の商号を使って営業をすることができます。これを「名板貸」といいます。 商号を貸した者を「名板貸人」と言い借りた者を「名板借人」と言いますが、お客さんや取引業者などが名板貸人の店と誤認して、その名板借人から不利益を被った者がいた場合は、名板貸人は名板借人と連帯して弁済する義務を負わなければなりません。 名板貸人の責任の成立要件としては次のとおりです。 ①名板借人が名板人の商号を使用しているという外観があること ②名板貸人が許可をしたという帰責事由があること(許可は黙示でも認められます) ③善意無重過失である第三者が誤認したこと です。なお、商号に付加された語句がある場合や商号が簡略化されている場合にも、第三者の誤認がある限り責任が発生します。ただこの場合には誤認された営業が、本来の商号である営業と同種であることが必要になります。 名板貸人に責任が及ぶ範囲としては、自分の商号を使って名板借人が行った、取引によって生じた債務になります。取引によって生じた債務については、名板貸人は名板借人と連帯して責任を負います。 この責任の範囲には、交通事故などの不法行為による損害賠償は原則として含まれません。しかし詐欺などの、取引行為と判断される不法行為については、責任の範囲に含まれるとされます。 では名板貸ではなく、営業を譲渡とした場合の責任についてはどうでしょうか。この場合は、譲渡される営業によって生じた債務は原則譲渡人が負いますが、譲受人が債務引受などをした場合については、譲受人も責任を負うことになります。また併せて譲渡人は、競業避止義務も負うこととなります。 次は「商業使用人」について見てみましょう。 「商業使用人」とは、雇用されて営業を補助する自然人を言います。商業使用人には、支配人や店舗の使用人などがあります。 「支配人」とは、商人や会社から営業所等の営業や事業を任された者を言います。支配人を選任した場合は、必ず登記をしなければなりません。 この支配人というものは商人等に代わる代理権を持ちますが、この代理権については営業や事業に関する一切の、裁判上または裁判外の行為に及びます。なお、支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することはできません。例えば支配人が行える業務を限定したとしても、通常に考えれば支配人の責任の範囲である、と考える善意の第三者には対抗できないということです。 では、支配人の義務についてはどうでしょうか。支配人は、雇用契約上の善管注意義務や報告義務などの責任を負っていますが、そのほか営業避止義務や競業避止義務というものも負っています。言い換えると、支配人は商人の許可を得なければ、次の4つをすることができないというものです。 ①自ら営業を行うこと ②自己または第三者のためにその商人の営業範囲内の取引を行うこと ③他の商人や会社、外国会社の使用人になること ④会社の取締役や執行役または業務を執行する社員になること です。以上支配人とは、商人から権限を付与された者になりますが、一方、表見支配人というものも存在します。表見という言葉は、民法の表見代理人の話に出てきましたね。それと同じようなものになります。 https://estima21-gunma-gyosei.com/archives/date/2018/06/20   「表見支配人」とは、包括した代理権を与えられていない使用人であるにもかかわらず、支配人らしく思わせる名称を付けられた使用人のことを言います。例えば、責任権限を持っていない店員さんであるにもかかわらず、「お店責任者」などといった名札を付けられている場合がこれに当たります。 表見代理人は、裁判外の行為に関しては、善意の第三者に対しては支配人と同一の権限を有するとみなされます。権限がなくても、裁判上の行為を除き、善意の第三者に対しては支配人と同様の効力を有することとなります。責任権限がなくても、第三者に支配人と誤認させるような表示をさせている以上、裁判まで発展していない事案については、責任を持ちますよということになります。
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民法 請負契約について
今日は請負契約について書いていきます。 「請負契約」とは当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束することによって効力を生じる契約を言います。これは有償であり、当事者双方の合意によって成立する契約になります。 請負契約においては、「請負人」は仕事を完成する義務を負います。請負の目的が物の完成である場合には、物を完成させるだけでなく目的物を引き渡す義務も負うことになります。 なお請負人は自ら労務を提供しなくても、原則自由に補助者や下請負人に仕事をさせることができます。ただし下請負人等の責に帰すべき事由についても、請負人が責任を負うことになります。 一方双務契約ですので注文者にも義務は発生し、完成した仕事に同時に報酬を支払わなくてはなりません。同時履行の抗弁権については先に記事にしましたが、ここでいう同時履行とは目的物の完成ではなく目的物の引渡しになりますので、目的物の引渡しと同時に支払い義務が発生します。 引渡しが請負業務の完了となると、作成中あるいは完成した目的物の引渡しまでの所有権はどうなるのでしょうか。 民法にそれについての規定はありませんが、その所有権は判例から、材料の供給者が請負人である場合は、その所有権は引き渡すまでは請負人にあり、材料の供給者が注文者である場合には所有権は注文者にあるとされています。 では次に、請負人の「瑕疵担保責任」について見ていきましょう。 仕事の目的物に瑕疵があった場合は、注文者は請負人に対して「瑕疵の修補」を請求することができます。売買の際の瑕疵担保責任については「隠れた瑕疵」であることが要件とされましたが、請負については「隠れた瑕疵」でなくても請求することができます。 ただし目的物の瑕疵が重要なものではなく、かつ修補にかかる費用がそれ以上に掛かる場合には、注文者は修補を請求することはできず、それに代えて損害賠償を請求することになります。 前記の重要でない瑕疵以外の場合は、注文者は瑕疵の修補に代えて、またはその修補とともに損害賠償を請求することができます。請負人が損害賠償に応じない場合は、それが支払われるまで未払い報酬の支払いを拒絶することができます。 また注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬債権を相殺することもでき、請負人から瑕疵修補に代わる損害賠償を受けるまでは、その報酬全体の支払いを拒むこともできます。 目的物の瑕疵が重大であって契約の目的自体を果たすことができない場合は、注文者は契約の解除をすることができます。ただしこの場合でも建物等の土地の工作物については、額が非常に大きくなるため解除することはできません。 以上の瑕疵担保責任について、請求できる期間は原則引渡しから1年です。しかし土地工作物の場合は5年、堅固な工作物については10年になります。 最後に請負契約の終了について見ていきましょう。請負契約の終了は、法定解除や約定解除の他に次のような終了原因があります。 ①仕事未完成の間における注文者の解除権 ②注文者の破産による解除権 です。 ①については、注文者は仕事が完成するまでは、「いつでも」損害を賠償して契約を解除することができます。完成した部分について利益があるときは、未完成部分のみ契約解除をすることもできます。 ②について、注文者が破産手続開始の決定を受けた時点で、請負人または破産管財人が契約を解除することができます。
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民法 債権譲渡について
今日は債権譲渡について書いていきます。 「債権」とは、特定の者が別の特定の者に、一定の給付を請求できる権利を言います。先に説明した物権と併せてこの2つを「財産権」と言います。 請求できる権利を持つ者を債権者といい、請求される側を債務者と言います。今回は債権の性質のうちのひとつ、譲渡について見ていきましょう。 債権というものは原則として、自由に譲り渡すことができる性質があります。これを債権の自由譲渡性と言いますが、目的としては次のことが挙げられます。 ①履行期日の来る前の債権を換金するため ②融資などを受けるときの担保とするため ③債務の弁済の手段とするため です。 また譲渡する際は、元の債権と同じ内容のまま移転されていきます。現行法では条文化はされていませんが、債権は過去に発生した権利に基づくものだけではなく、将来発生するであろう債権の譲渡もすることができます。例えば債務者に定期的に発生する、半年分の家賃収入債権を譲渡するなどということも可能になります。 このように譲渡可能な債権ですが、例外的に譲渡が制限される場合があります。それは次のような債権についてです。 ①債権の性質上譲渡を許さない債権 ②当事者同士が譲渡禁止の特約をした債権 ③法律上譲渡が禁止された債権 です。 ①の譲渡を許さない性質とは、例えば特定の人の肖像画を描いたり写真を撮ったりする権利です。これはその特定の人が、その債務者本人のみに許した権利の性質を持ちますので、債権者は他の者への譲渡はすることができません。 ②の禁止の特約についてですが、この特約に違反して第三者に譲渡した場合は、制限とおりにその債権譲渡は無効になります。しかし第三者が「善意無"重"過失」だった場合には、債務者はその第三者には対抗することはできません。 なお債務者が債権者に、あらかじめ"特定の者"に譲渡することを同意していた場合には、譲渡後に債務者の承諾を得なくても、債権者は債務者に債権譲渡を対抗することができます。 ところで、今書いてきた債権譲渡の内容は、現行の民法に基づくものです。しかし民法は2020年4月1日より改正法が施行され、この債権譲渡の部分も見直されることとなりました。以下改正部分について触れておきます。債権譲渡の主な改正点は次のとおりです。 ①譲渡制限特約が付されていても、債権譲渡の効力は妨げられません(預貯金債権以外) ②債務者は譲渡人(元の債権者)への弁済をもって譲受人に対抗できます ③債務者が譲受人から履行の催告を受け、相当の期間内に履行をしないときは、債務者は譲受人に対して履行をしなければなりません ④将来債権の譲渡について明文化されました ⑤債務者があらかじめ譲渡に同意していた債権への抗弁権の条項は廃止されました ということです。 ①の譲渡制限特約債権の譲渡についてですが、現行法では善意の第三者に対しては有効ではありましたが、改正法では譲渡制限特約が付されていても、預貯金債権以外の債権譲渡についてはその効力は妨げられないこととなりました。つまり特約があっても、悪意・重過失の者に対する譲渡も有効であるということです。 これでは、弁済の相手方を固定化し無用なトラブルから債務者を守る、という現行法の意義を失ってしまいますが、それを②で補っています。どういうことかと言うと、譲渡制限付きの債権が他の第三者に譲渡されてしまっても、債務者はその第三者への弁済を拒絶し、元の債権者への弁済をすれば足りるということになるからです。
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