今日は瑕疵ある意思表示の続きです。まず「錯誤」について見てみましょう。
民法第95条に錯誤について規定されています。「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない」という条文です。
錯誤とは表意者の意思と表示に不一致があっても表意者がそのことを知らない場合をいい、その意思表示は原則無効になります。この無効は第三者に対しても対抗できます。錯誤には「要素の錯誤」と「動機の錯誤」があります。
まず「要素の錯誤」とは法律行為の重要な部分についての錯誤であって、錯誤がなければ表意者だけでなく、他の人でもその意思表示をしなかったであろうと考えられる場合です。
例えばAさんがB土地を売るつもりが、C土地をB土地だと錯誤してしまってC土地を売ってしまった場合がこれに当たります。この場合はAさんはC土地を売ってしまったことを無効を訴えることができますが、Aさんに重大な過失がある場合は、無効を訴えることはできません。重大な過失とは文字通り、看過すべきでないほどの過失をいいます。
しかしAさんに重大な過失があった場合でも、相手方が悪意(表意者の錯誤に気付いていた)である場合や、当事者の双方が錯誤に陥っている場合は、重大な過失があったにせよ無効を訴えることができます。双方の錯誤とは今の例で言えば、Aさんとともに相手方のDさんもC土地をB土地だと勘違いして、お互いの契約を結んでしまった場合がこれに当たります。お互いが間違えていたということで、契約を無効にできます。
要素の錯誤とは別に、「動機の錯誤」というものがあります。要素の錯誤が意思表示そのものにあるのに対し、動機の錯誤とは意思を形成する動機が構成要素となり、表意者の動機と表示に不一致があっても表意者がこれを知らない場合の錯誤を言います。 
AさんがB土地の近くにショッピングセンターが建設されることを聞いたため、値上がりを見越してB土地を購入をするといった場合では、ショッピングセンターの建設予定が動機になります。動機の錯誤とは、例えば建設予定は噂だけで実際は建設されないけれどもAさんはこれを知らない場合がこれに当たります。
この場合は無効を主張できますが、通常の契約のたびに思い違いを理由に無効を主張されても困ってしまいます。民法では動機の錯誤を主張できる要件として、もう二つの要件を規定しています。
ひとつはその動機が相手方に明示されていなければならないということです。今の例で言えば、契約をする不動産会社に対し、「近くにショッピングセンターが建設されるから、土地の値上がりを期待して買う」ということを伝えている場合です。また明示でなく黙示であっても相手方がその意図を知ることができた場合もこれに当たります。意図を伝えず、心の中で思っていただけでは無効は主張できません。
もう一つは表意者に重大な過失がないことです。
「要素の錯誤」であっても「動機の錯誤」であっても、無効を主張できるのはあくまで意思表示をした当事者に限られます。他の者はすることはできません。民法の規定は意思表示者を保護するためのものですので、表意者自身が無効を主張しない場合は認められません。
しかし例外として、表意者が錯誤の事実を認めている場合でかつ債権保全の必要性がある場合には、第三者による主張も認められます。
今まで見てきた、無効にすることができる意思表示である「心理留保」「通謀虚偽表示」「錯誤」の他に、取り消すことのできる意思表示に「詐欺」と「脅迫」があります。
「無効」というのは法律上当然に効力がないということであり、いつでも誰でも(錯誤は本人のみですが)主張できます。一方の「取り消し」は、その法律行為が取り消されるまでは一応有効であることと、取り消された場合はその事実が起こった時点までさかのぼって無効になることが、「無効」と異なる点です。
本人のみならず、代理人などの特定の者もすることができます。また追認された場合は初めから有効になる性質があり、追認可能時から5年(発生から20年)で時効になります。
取り消すことのできる意思表示のひとつである「詐欺」ですが、取り消すことはできても善意の第三者には対抗できません。だまされた本人にも多少の責任はあるということです。また相手方以外の第三者が詐欺を行った場合には、相手方がその事実を知っていた場合に限り取り消すことができます。
もうひとつの「強迫」による意思表示も取り消すことができます。強迫は善意の第三者にも対抗できます。詐欺にあった者と違って、強迫をされた者に落ち度はないからです。
よく刑事ドラマなどで「脅迫」という言葉がでてきますが、「強迫」とは違うのでしょうか。「脅迫」は人を脅して何かを要求することですが、これは刑法上の法律用語になります。一方の「強迫」は民法上の法律用語になります。ややこしいですが、法律では独特の用語が使われます。漢字や読み方が普段使っている言葉と異なることも多いですね。遺言の「ゆいごん」「いごん」も同じようなものですね。
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今日は寄託契約というものについて書いていきます。
「寄託」とは、当事者の一方が相手方のために「特定物」の保管をすることを約束して、その特定物を受け取ることによって効力を生じる契約を言います。保管する者を「受寄者」、預ける側を「寄託者」と言います。
寄託は無償で行う場合と有償で行う場合がありますが、無償で寄託を受けた場合は、"自己の財産に対するのと同一の注意義務"で保管すれば良いとされています。無償の場合は、日常自分の物を管理するのと同じくらいの注意で足りるということです。
一方有償の場合は、"善良な管理者の注意義務"、いわゆる「善管注意義務」を負います。
この2者の違いですが、前者は重過失の場合には損害賠償責任を負いますが、軽過失の場合は責任を負いません。これに対して善管注意義務がある場合は、軽過失でも責任を負うこととなります。
前回委任契約の義務について触れましたが、保管するのに必要な費用については委任の規定が準用され、寄託者に対して請求することができます。なお受寄者は寄託者の承諾なしには寄託物を使用することも第三者に保管させることもできません。無償であっても有償であっても同様です。
寄託契約は寄託物が返還されれば終了します。
返還についてですが、寄託者側は、たとえ当事者同士で返還の時期を定めた場合であっても、いつでも返還を請求することができます。一方の受寄者においては、返還の時期の定めがある場合には、やむを得ない事由がない限り期限前に返還することはできません。
では返還の定めがない場合はどうでしょうか。寄託者はいつでも返還の請求をすることができますし、受寄者においてもいつでも返還することができます。
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相続分野の民法の一部改正が7月1日に施行されます。
それに先立ち、本年1月13日に自筆証書遺言書の方式緩和(自書以外の財産目録可)の改正民法が施行されました。これは、財産目録について、従来は手書きでないと認められていなかった要件を、銀行通帳等を添付すればパソコンや自分以外の他者の作成によるものでも認めるという内容になります。
ニュースでも流れたのでしょうか、当職のホームページの当該ページへのアクセスも、2-3ヶ月にわたって通常月の1.5倍ほどに上がっています。相続に比べると遺言ページへのアクセスは多くないのですが、普段意識していなくてもニュースになると興味がわくのでしょうか。そのままご依頼いただけると、なおありがたいのですが。。いつかご依頼いただけることをお待ちしております。
さて要件緩和によって自筆証書遺言の作成については多少ハードルは下がりましたが(財産の多い方はなおさら)、そのほかの自筆遺言の要件についての知識はまだまだ低いようです。もちろんご自身で時間をかけて勉強し、ご自分で書かれる方もいらっしゃると思いますが(最大のメリットは費用面ですが)、要件不備で遺言書としての法的効果がなかったり、相続人にかえって迷惑を掛ける自筆証書遺言の多いことも確かです。
もちろんご自身はよかれと思って書かれている訳ですが、中途半端な知識で書かれるため、法律要件を満たしている遺言書は必ずしも多くはないと思われます。日付間違いや誤記などのケアレスミスの場合、あるいは署名の不備等の場合は相続人の方々の合意があれば大きな問題はないと思いますが、これとて訴訟になった場合は認められない場合も多くなります。
一番困るのは、相続人や相続財産の特定が曖昧な場合です。例えば、「預貯金を子供3人に等分に」という記述であれば、単純に分割することは可能ですし、銀行もその記述をもって払い戻しに応じてくれると思います。しかし、「不動産を子供3人に平等に」という文言であれば、どの不動産をどのように分割するのか特定できませんので、不動産登記は難しくなります。この場合は遺産分割協議によって具体的に不動産を分割し(あるいは特定の相続人に単独に)、分割協議書に明記する必要が出てきます。
この遺言書の場合も相続人の皆さんが不仲でなく、遺言者に寛容であれば遺言書の文言に則した形で協議は行われるのでしょうが、えてしてその遺言によって利益を受ける者は拡大解釈でその文言を了とし、利益を害する者は断固反対する。そのような事態も決して少なくはないでしょう。
このような遺言書があった場合は意見が分かれる、あるいは協議の前段部分で時間を取られる弊害が大きくなります。また協議が成立しても後々までの遺恨の原因になります。
自筆証書遺言を書かれる場合でも必ず専門家に指導を仰ぐ、あるいは公正証書遺言にする。費用はかかりますが、本来の目的を達成するためには必要なことです。行政書士のような専門家は時間を掛けて勉強し、また数々の事例からベストのアドバイスを行っていきます。
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今日は民法の不当利得について書いていきます。
「不当利得」とは、法律上の原因がないにもかかわらず、他人の財産や労務によって利益をうけ、そのために他人に損失を及ぼすことを言います。不当利得を得た者は、その利益の存する限度(現存利益)においてこれを返還する義務を負います。また利得を得る際に悪意であった者については、利得の返還とともに損害賠償の責任も負います。
不当利得の成立要件は次の4つになります。
①利得が存在すること
②損失が存在すること
③利得と損失の間に因果関係が存在すること
④法律上の原因がないこと
です。
ちなみに「現存利益」とは、自分の利益として残っている利益を言いますが、単純に手元に残っている現金や預貯金ということではありません。現に利益として残っているものを言います。
わかりにくいですが、例えば不当利得が10万円あったとした場合、食費に2万円使ってしまったとします。この場合の2万円は自分の利益のために使ったのですから、お金は残っていなくても栄養を得たという効果が残っています。ですので残った8万円に2万円分の食費が足されて、10万円が現存利益となります。
一方、ギャンブルなどの遊興費に2万円を浪費してしまった場合は、利益としてはなんら残っていないことになります。この場合は浪費した2万円分は差し引かれて、現存利益は8万円となります。
不当利得の具体例としては次のようなものがあります。
AさんがBさんに有名画家の絵を100万円で売ったとします。契約が成立し、BさんはAさんから絵の引渡しを受け代金を支払いました。しかし後日この絵が偽物であったことが判明したので、BさんはAさんに「不当利得返還請求」をしました。しかもAさんはこの絵が偽物であることを知っていて(悪意)販売したので、損害賠償も請求しました。という形になります。
このような不当利得ですが、次の場合には特則が付されています。
①債務の不存在を知っていてした弁済
②期限前の弁済
③他人の債務の弁済
です。
どのようなことかと言うと、①は、自分に債務がないことを知っていながら弁済を行った場合です。不合理な行為ですが、このような不合理な行為をした者には保護を図る必要もないことから、その給付したものの返還を請求することはできません。ただし、強制執行を避けるために必要的にした場合や、その他の事由によってやむを得ず行った場合には返還請求を行うことができます。差し当って請求されている弁済を行わないと、差押がなされるなどの場合です。
②の期限前の弁済とはどのようなものでしょうか。通常の弁済には「期限の利益」があり期限までは弁済を行う義務はありませんが、この期限の利益を行使せずに、期限前に弁済を行った場合です。この場合はみずからが権利を行使しなかったのですから、不当利得(弁済から期限までの利息分)返還請求をすることはできません。ただし債務者が錯誤によってその給付を行った場合には、債権者は不当利得を返還する必要があります。
③の他人の債務の弁済とは、他人の債務を自分の債務と誤信して弁済してしまった場合です。この場合では、債権者が善意で債権証書を消失したり、担保を放棄したり、債権を時効で消滅させたりしてしまった時などは、弁済者は不当利得の返還請求をすることはできません。これは弁済者の過失より善意の債権者の保護が優先されるからです。
この場合の弁済者については、あくまでも債権者に対して返還請求できないのであって、本来の債務者に請求することはできます。誤ってした弁済を泣き寝入りするものではなく、本来の債務者に対して求償権を行使することができます。
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今回は債権者代位権というものについて書いていきます。
「債権者代位権」とは、債務者が何らかの理由によって自分の権利を行使しない場合に、債権者が自分の債権分を守るために債務者に代って行使できる権利をいいます。自分の債権分を守るということを別の言葉で言うと、債務者の「責任財産」を保全するということなります。
「責任財産」とは強制執行の際に引当となる財産のことであり、債務者が弁済することができない時に、あてにされる財産を言います。
債権者代位権を行使できるための要件は次のとおりです。
①債権の保全のために必要であること
②債務者自身がその権利を行使していないこと
③保全される財産が原則として金銭債権であること
④保全される財産が弁済期にあること
⑤債務者の権利が一身専属的な権利でないこと
になります。
①の場合は債権者が代位権を行使しないと、債務者が無資力状態に陥る恐れがあることが条件となります。無資力になると弁済が不可能になるので、責任財産を保全する必要がある、ということになります。なお債務が金銭債務ではなく特定債権だった場合は、無資力状態でなくても代位権を行使できます。その債権がなくなってしまえば、資力の状況にかかわらず困ってしまうからです。
②の場合にも制限があります。あくまでも債務者自身がその権利を行使しないことが要件であって、自ら行使した場合にはその行使した内容が債権者に不利益なものであっても、債権者はそれを押しのけて代位権を行使することはできません。
③については金銭債権が原則になりますが、金銭債権以外でも「代位権の転用」の場合には認められる場合があります。「代位権の転用」とは、金銭債権以外の債権でも代位権を行使する必要がある場合が出てくるため、これを拡張して適用させる概念です。
例を挙げると、建物を不法に占拠する第三者がいた場合に、建物の賃貸人が不法占拠者を除く等の手立てを講じない場合です。この場合は建物の賃借人が代位権を行使することができ、賃借権を保全するために賃貸人たる所有者に代位して、建物を不法に占拠する第三者に対しその明渡を請求することができます。その場合は直接自己に対して明け渡すべきことを求めることができます。
④については、弁済期前の例外として裁判上の代位や保存行為があり、この場合は債権者代位権を行使することができます。
では債権者代位権の行使はどのように行われるのでしょうか。
これは裁判上だけでなく、裁判外でも行使できます。また債権者はあくまでも「自己の名」において権利を行使するものであり、債務者の代理人としてするものではないことを確認ください。
そして代位権を行使できる範囲も、債権者の債権額の範囲に限定されます。債権者代位権を行使した場合の効果は直接「債務者に帰属」することとなり、債権者が複数いる場合は全債権者の共同担保となります。
なお債権者が代位権を行使してこれを債務者に通知すれば、以降債務者はこれを妨げることはできません。また債権の目的物が金銭であっても動産であっても、債務者への引渡しだけでなく、債権者への直接引渡しを請求することもできます。これは債務者への引渡しを請求した場合に、債務者が受け取り拒否やをしたり、その財産を消費してしまうことが考えられるからです。
ただし債務者の受領がなくても行えるもの(債務者でなくても行える登記移転等)については、直接債権者に引き渡す請求は行えません。
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今回は債務不履行について書いていきます。
債務不履行とは債務者が、正当な理由がないにもかかわらず「債務の本旨」に従った履行を行わないことを言います。債務の本旨とは、契約で定められた債務の内容を言います。
債務不履行があった場合は、債権者は債務者に損害賠償請求をすることができます。債務不履行には、
①履行遅滞
②履行不能
③不完全履行
がありますが、まず履行遅滞というものから見ていきましょう。
履行遅滞とは字のごとく、正当な理由がないのに履行が遅れることです。その要件としては次のものが挙げられます。
①履行が可能な状況であること
②履行期を徒過(とか:何もしないで決められた期間が過ぎてしまうことです)したこと
③履行遅滞が債務者の責任で発生したものであること
④履行遅滞が違法(正当化する理由がないことです)であること
です。③の債務者の責任についてですが、これは債務者本人だけでなく、履行補助者(同居する家族や業者の使用人等)の故意や過失も含まれます。例えば家族の者が重要な書類を受け取っていたのに債務者に渡し忘れ、履行が遅れた場合などです。
次の履行不能とはどのような状況を言うのでしょうか。履行不能の成立要件としては、
①契約成立後に履行が不能になったこと
②債務者の責任によって履行が不能になったこと
③履行不能が違法であること
です。不能であるかどうかは、社会通念上妥当と思われるもので判断されます。上記要件のとおり、債務者の責任で契約の内容が履行できなくなってしまった状態ということです。
では3つめの不完全履行とはどのようなものでしょうか。これも成立要件を挙げると、
①履行はとりあえずなされているが、その状況が不完全であること
②債務者の責任によって履行が不完全になったこと
③不完全履行が違法であること
です。不完全履行は、履行が途中で中断されてしまった状況になります。また履行はすべて終えたんだけれども、その内容に不備があって完全な履行とは言えない状況も不完全履行に当たります。
注文の品をすべて納品したんだけれど、その一部が不良品であった場合などがこれに当たります。
これら債務不履行があった場合の責任については次回書いていきます。
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今日は相続にも大きく関係してくる、親族というものについて書いていきます。
相続を受けることのできる者(相続人)は「相続人」である「配偶者」「子」「直系尊属」「兄弟姉妹」になりますので、親族の範囲を見た上で、これらの者がどの位置にいるのかを見てみます。
また今回成立した相続関係の民法改正において、「相続人以外の親族の貢献を考慮する方策」が加えられましたので、今まで以上に「親族」という言葉が使われる機会が多くなると思います。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html
「親族」とはどのようなものを言うのでしょうか。民法における「親族」とは、次の者を言います。
①6親等以内の血族
②配偶者
③3親等以内の姻族
です。
まず「血族」とは、血縁関係のある者相互間(誰から見てもお互いに)および、法的に血縁があると制度上みなされる(擬制)者相互間を言います。前者を「自然血族」、後者を「法定血族」と言います。
「自然血族関係」は出生によって生じ、死亡によって終了します。「法定血族関係」は養子縁組によって生じ、離縁や縁組みの取り消しによって終了します。
次の「配偶者」は、婚姻によって戸籍上の地位を得た者になりますが、配偶者は血族にも姻族にも属さず親等もありません。
「姻族」とは「配偶者側の血族あるいは血族の配偶者相互間」を言います。例えば配偶者の父や、本人の父の兄弟(叔父)の配偶者は姻族になります。「姻族関係」は配偶者を通じての関係になりますので、配偶者の一方の血族と他方の血族は姻族にはなりません。具体的に言うと、本人の父と配偶者の父は姻族関係には当たりません。
また姻族関係は婚姻によって生じ、離婚によって終了することになります。離婚した元配偶者の親とは知り合いではあっても、法的つながりはなくなるということです。これは離婚の場合であり、死別の場合は届出を行わない限りは姻族関係は当然には消滅しません。
では先に出てきた「親等」とはどのようなものでしょうか。
「親等」とは親族間の遠近度を比較する尺度であり、親族間の「世代」によって決まります。本人から見て「世代」がひとつ変われば1親等という数え方をします。
相続人に当てはめて見ますと、配偶者に親等はありません。子と直系尊属(父母)が1親等、孫や祖父母は2親等になります。兄弟姉妹は親を経由して下がりますので、これも2親等と数えます。本人の叔父や叔母は祖父母を経由しますので3親等、その子であるいとこは4親等になります。
親族については世代をまたがる垂直の広がりと、直系から枝分かれをした横への広がりがあります。
縦への広がりで見てみますと、本人から世代が上の者たちを「尊属」、世代が下の者たちを「卑属」と言います。ですので父は尊属、子は卑属になります。兄弟姉妹やいとこは世代が同じですので、尊属にも卑属にも当たりません。
横への広がりで見てみますと、本人から垂直に遡ることのできる父母や祖父母や曽祖父母、あるいは垂直に下がることのできる子や孫やひ孫などは「直系」になります。
縦横併せてマトリックスで見ますと、上の世代を「直系尊属」、下の世代を「直系卑属」と言います。垂直から枝分かれをした叔父叔母などは「傍系」と言います。これも上の世代を「傍系尊属」、下の世代を「傍系卑属」と言います。
整理してみますと、血族には直系血族と傍系血族があり、直系血族には直系尊属と直系卑属があります。また傍系血族にも傍系存続と傍系卑属があることになります。姻族にも同様の、直系傍系、尊属卑属の関係があります。
改正民法の特別寄与に関しては、具体的に権利の範囲にあるかは事案ごとに確認を要するとことになります。
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今日は民法における委任契約というものについて書いていきます。
「委任」とは当事者の一方が「法律行為」をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力が生じる諾成契約になります。
「諾成契約」とは、当事者の意思表示のみで成立する契約のことを言います。ちなみに当事者の合意のみでは足らず、物の引渡しや給付を成立要件とする契約は「要物契約」と言います。
委託する側を「委任者」、承諾する側を「受任者」と言います。ここで委任とは法律行為を委託すると言いましたが、法律行為以外の事務の委託も当然あるわけで、それは「準委任」と言い委任の規定が準用されます。
委任をするにあたっては、委任者側にも受任者側にも義務や責任が発生します。
ではまず委任者側の義務について見ていきましょう。委任者は原則、受任者に経済的に負担をかけないという義務を負い、具体的には次のような義務が発生します。
①報酬支払い義務
②費用前払い義務
③立替費用償還義務
④債務の弁済または担保供与義務
⑤損害賠償義務
です。
まず①についてですが、民法においては委任というものは、原則無償委任になります。ですので、報酬の支払い義務が発生するためには報酬支払いの特約が必要になります。また特約があった場合でも、その報酬は原則後払いになります。
②では、委任された事務を処理するについての必要な費用について、事前に受任者から請求があった場合には前払いをする必要があります。あくまでも遂行に必要な費用の場合です。
③の立替費用とは、必要な費用が前払いされずに、受任者によって立替えられた費用のことです。この場合は立替えた費用を請求できるのみならず、支出以降の利息も請求することができます。
④の債務とは、委任事務を行うについての費用的なものに収まりきらず、受任者が債務を負った場合のものを言います。この場合の債務は必要と認められる範囲に限られますが、その弁済を自分に代わってするようにと、受任者は委任者に対して請求することができます。まだ弁済期の到来していない債務については、委任者に担保を請求することもできます。
⑤の損害賠償義務とは、受任者が自分に過失がないにもかかわらず損害を被った場合に、委任者に損害賠償を請求できる権利になります。この場合の委任者の責任は無過失責任(委任者に責任がなくても負う責任です)になります。
委任契約はその目的を完了したときに終了しますが、それ以外にも終了となる場合があります。
まず、理由がなくても当事者双方が一方的にいつでも解除が行える、「無理由解除」(告知と言います)というものがあります。もともと委任契約というものは無償契約が原則であるように、当事者間の信頼関係が基礎となるものになります。ですので、この信頼関係が崩れた時など、委任契約を継続することが難しいからです。
しかし関係が崩れたから一方的にというのも理不尽ではありますので、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方に不利な時期の解除については、損害賠償を条件に認められることとなります。
また告知以外でも、委任者が死亡したり破産手続開始の決定を受けたときや受任者が死亡したり破産手続開始の決定を受けたとき、あるいは後見開始の審判を受けた場合は、当然に終了します。
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今日は贈与というものについて書いていきます。
贈与は遺言相続の場面でも多く出てくる言葉であり、私のホームページでも説明を記載していますが、今回はそのもとになる民法の規定について見ていきます。
「贈与」とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受諾することによってその効力が生じるものです。贈与も民法の定める典型契約(贈与契約)になりますが、契約と言っても贈与者が受贈者に無償で財産的利益を与えるという合意のみで成立する契約になります。
これは書面でなく口頭ですることもできますし、契約締結時に目的物を交付する必要もありません。また無償であげるのですから、贈与者はこれに瑕疵があっても担保責任を負うことはありません。最も瑕疵があることを知っていながらこれを受贈者に教えずに贈与した場合には、担保責任を負うことになります。
贈与は書面ですることを要しませんが、書面によらない贈与の場合は各当事者が自由に撤回することができます。書面によらないものならば、それほど重要な契約ではないでしょうということです。裏を返せば贈与も契約であるのだから軽々に口約束にせず、書面によって権利移転の意思を明確にし、トラブルを防止する措置が必要ですよということです。
しかし自由に撤回できると言っても、既に動産の引渡しが完了していたり不動産の引渡しや登記が完了しているといった、履行の完了している部分については撤回することはできません。
これは遺言の記事でも書いていますが、贈与には次の特殊なものもあります。
①負担付き贈与
②死因贈与
③定期贈与
です。
「負担付き贈与」とは、受贈者に贈与の条件として一定の義務を負担させる贈与契約になります。例えば、私が生きているあいだは私の看護をする、ことを条件に贈与を行なう場合などです。贈与者は受贈者の負担の限度において担保責任を負うとされていますので、負担が履行された場合には必ずその贈与が行われることとなります。
「死因贈与」とは、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与契約になります。似たようなものに「遺贈」がありますが、遺贈は被相続人の一方的な単独の意思表示となりますので、贈与契約とは趣旨が異なります。
しかし性質自体は似ているものになりますので、遺贈に関する規定は準用され、贈与者はいつでも一方的に贈与契約を撤回することができます。対して受贈者はこれを放棄することはできません。
「定期贈与」とは、一定期間ごとに無償で財産を与えるという契約になります。定期贈与は当事者同士の個人間の関係性によるものですので相続はされず、当事者の一方の死亡によって効力が失われることとなります。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category2/entry65.html
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今日は民法の意思表示について書いていきます。
法律用語の場合、前回の善意・悪意のように独特の表現や意味が使われています。その説明においても独特の微妙な解釈の出来る言い回しがされる場合が多いです。心理留保を「うそ」というように噛み砕いて平易な言葉で説明される場合もありますが、それだとかえって範囲が狭まってしまう場合もありますので、基本的には遠まわしでも回りくどい言い方を使っていきます。
私も行政書士のホームページで主要業務の説明をしていますが、例えば建設業許可など建設業法という法律で決まっていることなので、文として読みやすくこそすれ基本的には表現をあまりいじることなく書いています。グーグル対策なのか個性を出すためかわかりませんが、無理に表現をこねくり回しているものも多く見られますが、そこに意味を見い出せませんでしたのでそういう体裁で作りました。グーグル対策的には良くないことなのかな?まあよいので、話を続けます。
意思表示とは一定の法律効果を期待して、意思を外部に表示する行為のことです。意思表示は、
①効果意思
②表示意思
③表示行為
という段階を経ますが、③の表示行為がなされても、①②の意思を欠く場合には、意思表示があったとはいえないとされています。これを意思主義と言いますが、ここでの効果意思とは、一定の効果の発生を期待してする意思のことであり、表示意思とは意思表示のことでもありますが、効果意思を表示しようとする意思のことです。表示行為はそれらの行為を行うことです。
意思主義では単に行為を行っただけでは意思表示とは言えず、期待する効果が存在しており、またそれを表に出したいという意思がないと意思表示には当たらないということです。
民法を含む私法には、
①権利能力平等の原則
②私的所有権絶対の原則
③私的自治の原則
という3大原則があり、私的自治の原則からは意思主義が望ましいとされています。
効果意思を欠く場合を意思の不存在といい、効果意思を作る状況に瑕疵がある場合を瑕疵ある意思表示といいます。ちなみに「瑕疵」もよく使われる言葉ですが、これは本来備わっているものが備わっていない状況をいう概念です。単純に言えば「きず」のことですかね。
先ほどの効果意思を欠く場合を意思の欠缺(けんけつ)といいます。欠缺とは、ある要件が欠けていることを言います。
意思主義の対義語に表示主義がありますが、発信する側から見た場合には意思主義が有効とされますが、商売などにおいて相手方は表示をのみを見て判断するする場合が多くなります。その場合には効果意思や表示意思は推測でしかありませんので、相手方を保護するという立場から、表示そのものを重視する表示主義も認められています。
ではこれらの意思表示の中でも、法律で無効とされたり取り消されたりする意思表示について見ていきましょう。これらには、
①心理留保
②通謀虚偽表示
③錯誤
④詐欺
⑤脅迫
の5つがあります。心理留保は相手方を保護する表示主義に基づいたものであり、他の4つは意思主義の意思の欠缺によるものとなります。
まず「心理留保」とは、表意者が表示行為に対応する真意のないことを知りながらする単独の意思表示のことです。平たく言えば冒頭の「うそ」のようなものです。表示主義に基づいていますのでその意思表示は有効となります。効果意思や表示意思がなくとも成立します。相手方を保護するものですね。
しかしこれはあくまでも相手方が善意であった場合に限られ、相手方が表意者の真意でないことを知っていた場合や知ることの出来た場合、いわゆる悪意の場合はその意思表示は無効になります。保護される必要がないということになります。
次の「通謀虚偽表示」とは複数の者が、相手方と通謀してする真意でない意思表示のことです。通謀とは、あらかじめ申し合わせて企むことです。これが成立する要件は、
①意思表示が存在すること
②表示と具体的に期待する法律効果が不一致であること
③真意と異なる表示をすることについて、相手方と通謀している
ということです。当事者間では保護されるべきものではありませんので、無効となります。
ここに関与してくる第三者に関してですが、表示後に登場した第三者には対抗できません。「第三者」というのは「当事者および包括承継人以外のもので、虚偽表示の外形を基礎として新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者」を言います。めんどくさい表現ですが、法律できちんと定義されているんだから仕方がありません。これは覚えどころで、私も記述の試験対策で覚えました。新たに云々の前には、それぞれの法律の場面に関与してくる第三者の状況が入ってくることになります。
行政書士の勉強は合格基本書と過去問があれば独学でも問題ないと思いますが(私もそうでしたが)、自分でノート(バインダー式)を作ることと、記述式の想定問題集(私はLECのものを買いましたが、試験に出るまで何年でも使えますよ)は買ったほうが良いと思います。バインダー式であれば、別の参考書からの違う観点を追記したりできますし。
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今日は代理について書いてみます。
民法の規定における「代理」とは、代理人が本人(代理される者)のためにすることを示して(「顕名」といいます)、相手方に対して意思表示をし、その法律効果を本人に帰属させる制度を言います。代理には「任意代理」と「法定代理」があります。では代理について見ていきましょう。
まず代理の要件ですが、
①代理人に有効な代理権があること
②本人のためにすることを示すこと(顕名)
③代理権の範囲内で意思表示をする
ことです。顕名は口頭でも署名でも問題ありません。口頭というのは、「Aさんの代理のB」ですと相手に告げる場合などです。
顕名がない場合の代理行為は代理人自身のためのものだとみなされますが、顕名がなかった場合でも、相手方がその事情を知りまたは知ることができれば代理の効果は認められます。代理行為のすべてが代理される本人に帰属します。
代理の禁止事項が2つあります。一つは「自己契約」であり、代理人が本人の相手方になることをいいます。もうひとつは「双方代理」であり、当事者双方の代理人になることをいいます。これらは債務を履行する場合や本人があらかじめ了承した場合を除き原則無効となりますが、事後に本人が追認した場合は有効となります。
代理人の権限を代理権と言いますが、代理権があっても認められない行為に「代理人の権限乱用」があります。これは代理人が代理人自身や第三者の利益を図る意図を持って、代理の形式のまま本来の権限の範囲内の行為をすることをいいます。この場合の行為も本人に帰属する(この場合の本人は、その代償を代理人に求めることになります)ことになりますが、相手方が代理人の意図を知りまたは知ることができたときに限っては、本人の責めにはならないとされています。ここもポイントです。
代理人が代理人を設けることを「復代理」といいます。間違えやすいですが、複数の複ではありません。
復代理とは、代理人が自己の権限内の行為を行わせるために、代理人自身の名でさらに代理人を選任し、本人を代理させる行為をいいます。代理人の代理人ではなく、あくまでも本人直接の代理人となります。
これには法定代理と任意代理がありますが、法定代理の場合は常に復代理を選任できるのに対して、任意代理の場合は本人の許諾がある場合や、やむを得ない事由があるときでなければ復代理人を選任できません。
代理人は誰にでもすることができ、本人が承知の上であれば成年被後見人のような制限行為能力者であっても代理人となれます。
代理人に似た概念に「使者」というものがありますが、代理人が意思決定ができるのに対し、使者の場合は意思決定はあくまでも本人がします。使者は本人の意思を完成させるだけの者になります。
代理に関しては無権代理と表見代理というものがありますが、次回これについて書いていきます。
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