改正民法 遺留分侵害額請求権について

以前、相続人の相続分の記事の中で遺留分について触れましたが、今日はそれを補完していきます。

遺留分とは遺言者が遺言書などによっても奪うことのできない、相続人に最低限保証された相続分を言います。その遺留分を侵害された(遺留分の侵害といいます)相続人は、侵害された額を遺留分を侵害した者に請求することができます

例えば被相続人に妻と子が1人いた場合に公正証書遺言書で、「自分の弟に全部を遺贈する」という公正証書遺言を残したとします。本来は相続人である妻と子がいますので、この場合の弟は相続人ではありません。しかし遺贈するということですので、問題はないことになります。そうすると本来は財産の1/2づつを相続するはずだった妻と子は、まったく遺産を相続することができません。

遺言があるなら仕方がないと諦める方もいらっしゃるでしょうが、普通は「自分たちの相続分をどうしてくれるの」と思われる方が多いと思います。当然です。知人や専門家に聞いたり、インターネットで調べることになるでしょう。

世の中には不条理なことも多々あると思いますが、法律の世界では様々な場面を想定して救済措置や解決に向けての手順が示されています。この場合は民法の規定によって、遺留分を侵害された妻と子が、侵害された遺留分を弟に請求することができるわけです。この権利を「遺留分減殺請求権」と言います。

「遺留分減殺請求権」においては、請求された遺産分の返還についての返還物の選択(現金なのかどの不動産なのか)権は請求された側にしかありませんでしたが、今回の民法改正(2019年7月1日施行)によって、遺留分権利者側が遺留分侵害額を金銭で請求できる権利になります。これに伴い名称も「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」に改称されます(以下遺留分侵害額請求権とします)。

遺留分を請求する権利のある者遺留分侵害額請求権利者)は、配偶者と子および直系尊属のみになります。兄弟姉妹は法定相続人ではありますが、遺留分は有しません。つまり、遺留分侵害額請求権者が自分の遺留分を侵害された場合にのみ、遺留分侵害額請求をすることができます。先ほどの例で言うと、妻と子は請求権を有する訳です。

一方、仮に被相続人の妻と被相続人の兄弟姉妹が法定相続人である場合に、公正証書遺言書によって、「妻に全財産を相続させる」とあった場合はどうでしょうか。この場合は兄弟姉妹に遺留分侵害額請求権はありませんので、全財産が妻に相続されることになります。

ちなみに遺留分侵害額請求できる額等については従来民法と変わらず、遺留分権利者が配偶者や子を含む場合は、法定相続分の2分の1が遺留分の割合になります。遺留分権利者が直系尊属のみの場合は、法定相続分の3分の1が遺留分の割合になります。

最後に、遺留分侵害額請求は訴訟を起こすことなく、裁判外でも行うことができます。遺留分権利者が遺留分侵害者に、「この分は私の遺留分だから、返して下さい」と口頭で伝えても、遺留分侵害者には侵害額分を金銭で返す義務が生じます。ただ通常はトラブルを避けるためにも内容郵便証明」等で送達することをお勧めします

また遺留分侵害額請求もいつまでもできると言うことではなく、「遺留分権利者が、相続と遺留分侵害の事実を知ってから1年間」という時効がありますのでお気をつけ下さい。 

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相続の法定相続人について
今日は相続における法定相続人について書いてみます。 「法定相続人」とは被相続人(亡くなられた方)の有した財産上の権利義務を承継すべき、法的資格をもつ者をいいます。法とは民法のことで、民法に規定される、被相続人の財産を受け継ぐ法的権利をもつ者ということになります。法定相続人以外の者は、そもそも相続を受けることはありません。 しかし実際に法定相続人の全員が相続を受けるわけではなく、その中で生存している順位の優先する者が相続を受けるということに注意してください。これは後で出てきます。 具体的な法定相続人は、被相続人の「配偶者」と被相続人の「こども」、それから被相続人の「直系尊属」と被相続人の「兄弟姉妹」(法律用語では"けいていしまい"と読みます)のみとなります。これ以外の者は相続人にはなれません。 遺言書などで財産を受け継ぐことを指定された者でも、法定相続人に当たらない場合は、相続ではなく贈与(遺贈)となり、相続人ではなく「受遺者」と呼ばれます。 なお民法において通常胎児には権利能力はありませんが(出生時にはじめて取得されます)、相続については「すでに生まれたものとみなす」という例外規定(相続の他には遺贈と、不法行為による損害賠償請求もこれに当たります)があり、法定相続人となります。死んで生まれた場合はこの限りではありません。 では相続が発生した場合は、これらがみんな相続人となるのでしょうか。法定相続人にはきちんと相続人となる優先順位が決められています。配偶者や子及び直系尊属と兄弟姉妹に順位付けがあるということです。では具体的に見てみましょう。 実は配偶者には順位がありません。なぜなら生存していれば必ず相続人となるからです。ただしこれは戸籍上の配偶者である必要があり、いわゆる内縁の妻は相続人になれません。 では配偶者を除いての第一順位は誰になるのでしょうか。 第一順位は被相続人の子となります。子については嫡出子(法律上婚姻している夫婦の間に生まれた子)は当然相続人となりますが、養子や認知された非嫡出子も法定相続人になります。一方配偶者が再婚された方であって、その方のいわゆる連れ子の場合は、社会的には子と呼ばれる関係であっても法律上の子でない場合(被相続人と養子縁組していない場合)は相続人となりません。将来の相続を予定する場合には、あらかじめ養子縁組を行っておく必要があります。 では第二順位は誰がなるのでしょうか。第二順位は、子がいない場合に被相続人の直系尊属である父母がなります。次の第三順位は、子も直系尊属もいない場合に限り被相続人の兄弟姉妹がなります。上位の相続人がいる場合は下位の者は相続人になれません。 配偶者と最上位の順位の者を称して、「推定相続人」といいます。これは将来相続が開始した場合に相続人となるはずの者のことです。実際の相続では相続を終えた段階になって別の推定相続人が現れることがあります。それは例えば前妻の子であったり、被相続人が認知していた非嫡出子であったりします。複雑な関係がある場合には必ず相続関係図を作成するようにしましょう。 ではこの順位の移動はどのように行われるのでしょうか。単純に第一順位の子が全員亡くなっていた場合は、第二順位の直系尊属に権利が移動するのでしょうか。いえいえそんなことはありません。子が相続の時点で亡くなっていた場合や欠格や排除となっていた場合は、その子の子(被相続人の孫)が権利を引き継ぎます。そのことを「代襲」といいます。 さらにその子の子も相続の時点で亡くなっていた場合等は、その子の子の子(被相続人のひ孫)が権利を引き継ぎますこれを「再代襲」といいます。さらに。。再々代襲以降も民法では認められていますが、実際はあまりないようです。 具体的な例を上げると、被相続人に配偶者がなく(死亡や離婚)長男と次男、長女の3人の子があったとします。相続の時点で長男が亡くなっておりその長男に2人の子がいた場合には、長男の相続分を長男の2人の子(被相続人の孫)が相続します。2人の相続分は長男の相続分を等分します。相続財産全体からの割合分は、長男の子2人がそれぞれ6分の1、次男が3分の1、長女が3分の1になります。代襲者は被代襲者(相続人であるはずだった者)の相続分を人数で均等割します。 第一順位に代襲者もいなかった場合にはじめて第二順位が相続の権利を得ますが、同様に被相続人の父母が両方共亡くなっている場合には、被相続人の祖父母が相続人となります。その上も同様です。 第二順位が誰もない場合にはじめて、兄弟姉妹が相続の権利を得ることになります。兄弟姉妹にも同様に代襲制度がありますが、再代襲は認められていません。1980年の民法改正によって廃止となりました。 最後に文中で出た欠格と廃除について触れます。 「欠格」とは、遺言書を故意に改ざん破棄した場合等の5つの不法行為が行われた場合に、その者については法律上当然に相続資格を失うというものです。具体的には次の5つになります。 ①故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者 ②被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者 ③詐欺・強迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者 ④詐欺・強迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた者 ⑤相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者 です。 では「廃除」とはどういうものでしょうか。廃除とは、欠格までではないですが、推定相続人が被相続人に対して虐待や著しい非行などを行うなどによって被相続人がその者に相続させたくないと考える時に、「相続人の排除」を行います。 欠格は法律上当然に資格を失いますが廃除の場合は手続きが必要です。被相続人が家庭裁判所に相続人の廃除を請求することによって廃除となりますが、遺言によっても相続人の廃除および取り消しをすることができます。また廃除はいつでも家庭裁判所への請求によって取り消しができます。 実際の審判については、相続権を失うものになりますのでかなり要件は厳しく、被相続人の一時の感情で廃除を行えるものではないようです。成立件数も少ないものになります。 なお欠格やと廃除となっても、その子らへの代襲や再代襲は認められます。 http://yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry45.html
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民法上の委任契約について
今日は民法における委任契約というものについて書いていきます。 「委任」とは当事者の一方が「法律行為」をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力が生じる諾成契約になります。 「諾成契約」とは、当事者の意思表示のみで成立する契約のことを言います。ちなみに当事者の合意のみでは足らず、物の引渡しや給付を成立要件とする契約は「要物契約」と言います。 委託する側を「委任者」、承諾する側を「受任者」と言います。ここで委任とは法律行為を委託すると言いましたが、法律行為以外の事務の委託も当然あるわけで、それは「準委任」と言い委任の規定が準用されます。 委任をするにあたっては、委任者側にも受任者側にも義務や責任が発生します。 ではまず委任者側の義務について見ていきましょう。委任者は原則、受任者に経済的に負担をかけないという義務を負い、具体的には次のような義務が発生します。 ①報酬支払い義務 ②費用前払い義務 ③立替費用償還義務 ④債務の弁済または担保供与義務 ⑤損害賠償義務 です。 まず①についてですが、民法においては委任というものは、原則無償委任になります。ですので、報酬の支払い義務が発生するためには報酬支払いの特約が必要になります。また特約があった場合でも、その報酬は原則後払いになります。 ②では、委任された事務を処理するについての必要な費用について、事前に受任者から請求があった場合には前払いをする必要があります。あくまでも遂行に必要な費用の場合です。 ③の立替費用とは、必要な費用が前払いされずに、受任者によって立替えられた費用のことです。この場合は立替えた費用を請求できるのみならず、支出以降の利息も請求することができます。 ④の債務とは、委任事務を行うについての費用的なものに収まりきらず、受任者が債務を負った場合のものを言います。この場合の債務は必要と認められる範囲に限られますが、その弁済を自分に代わってするようにと、受任者は委任者に対して請求することができます。まだ弁済期の到来していない債務については、委任者に担保を請求することもできます。 ⑤の損害賠償義務とは、受任者が自分に過失がないにもかかわらず損害を被った場合に、委任者に損害賠償を請求できる権利になります。この場合の委任者の責任は無過失責任(委任者に責任がなくても負う責任です)になります。 委任契約はその目的を完了したときに終了しますが、それ以外にも終了となる場合があります。 まず、理由がなくても当事者双方が一方的にいつでも解除が行える、「無理由解除」(告知と言います)というものがあります。もともと委任契約というものは無償契約が原則であるように、当事者間の信頼関係が基礎となるものになります。ですので、この信頼関係が崩れた時など、委任契約を継続することが難しいからです。 しかし関係が崩れたから一方的にというのも理不尽ではありますので、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方に不利な時期の解除については、損害賠償を条件に認められることとなります。 また告知以外でも、委任者が死亡したり破産手続開始の決定を受けたときや受任者が死亡したり破産手続開始の決定を受けたとき、あるいは後見開始の審判を受けた場合は、当然に終了します。
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民法における危険負担について
今日は危険負担と言うものについて書いていきます。 「危険負担」とは、双務契約が成立した後どちらかの債務が完全に履行される前に、一方の債務(双務契約の場合は当事者双方がともに債権債務を有します)が"債務者の責に帰すべき事由によらず"に履行不能で消滅してしまった場合に、どちらの当事者が責任を負うかというものです。 民法では「債務者主義」を採用し、どちらかの債務が完全に履行される前に一方の債務が"債務者の責に帰すべき事由によらず"に履行不能で消滅してしまった場合でも、原則として債務者の負担になります。 例えば物の売買で見た場合、物を売る側は代金と引き換えに物を交付するという債務を負いますので、物の交付については売主側が債務者になります。ですので物が消滅してしまった場合は、売主側に責任はなくても、物の交付の履行不能によるリスクは、売主側が負うということになります。 これはあくまでも債務者の責によらない場合ですが、債務者に履行不能についての帰責事由がある場合は、危険負担の問題からは離れ、債務不履行に基づく損害賠償の問題になっていきます。またすでにどちらかの債務が履行された場合、今の例で行けば売主側が物を交付したかあるいは買主側が金銭を交付した場合は、同様に危険負担の問題とはなりません。賠償か解除かの問題になります。 話を戻します。債務者が危険負担を負う、リスクを負うとはどういうことでしょうか。 双務契約においては双方の債務がそれぞれ対価的意義を有しています。言い換えるとお互いに相手方に対する債権債務を有していることになります。一方の債務が消滅すれば他方の債務も消滅することになりますので、売主側の物が売主の責任によらずに消滅してしまった場合には、売主側は相手方に対して代金を請求できないということになります。売主の責任でなく物が消滅してしまっても相手方に対して代金を請求できないということは、物の消滅は売主自身で追わなくてはならない、という理屈になります。 つらつらと書きましたが、これが「債務者負担」というものになります。 債務者主義の例外として、「債権者主義」というものがあります。これは一方の債務が消滅しても、他方の債務が消滅しないという場合に採用されます。次の場合には債権者主義が取られています。 ①特定物に関する物権の設定、または移転を目的とする双務契約の場合 ②不特定物に関する契約についても、特定が生じた以降は債権者主義となります ③債権者の責に帰すべき事由によって、債務の履行が不能となった場合 です。 特定物とは、例えば世界に1本しかない、”この”ビンテージワインというようなものです。売買契約が締結された以降に売主の責任なくこのワインが消滅してしまった場合には、受け取るべきワインが存在していなくても、買主は代金を支払う義務があるということになります。 不特定物の特定とは、5本ある赤ワインの中から1本を選んだ場合などを言います。特定されていない5本のワインから、1本が特定されたということになります。また債権者側に理由があって債務が不履行になった場合には、債権者みずからが責任を負うということになります。 なお通常、契約の場合には危険負担を明記する場合が多くなりますが、今回書いてきたこの危険負担についての民法の規定は、義務ではなくあくまでも任意の規定になります。このような民法の規定によらず、当事者同士で別途決めることもできます。
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遺言書 自筆証書遺言について
今日は遺言についてお話をしてみます。最近よく「終活」という言葉を耳にします。ある程度の年齢になられた方が、いざという時に周りの家族の方たちに迷惑をかけたくないとの思いから身の回りの品々を整理することのようですが、広辞苑にも記載されていないようですので、比較的新しい造語なのでしょうか。 ちなみにデジタル大辞泉によると終活とは"「《「就活」のもじり。「終末活動」の略か》人生の終末を迎えるにあたり、延命治療や介護、葬儀、相続などについての希望をまとめ、準備を整えること。"と書いてありました。そのような風潮のなかで、ご自分で実際に遺言書を書かれる方も増えてきたようです。 ただ遺言書は方式を整えないと逆にトラブルのもとにもなりかねません。ではどんな遺言書ならよくて、どんな遺言書はダメなのでしょうか。言い換えると、遺言書はどのように書けば良いのでしょうか。 こちらは広辞苑に記載がありました。広辞苑では「人が自分の死亡によって効力を発生させる目的で、一定の方式に従ってなす単独の意思表示」とあります。ここでは「効力を発生させる目的」で「一定の方式に従って」というところが重要となります。 遺言書は契約などと同じように、民法という「法律」によって規定されています。従って民法の規定とおりの遺言書でないと法的効果をもたないということです。ですので法的効果をもたない遺言書であった場合は、ご自身の意思も多少は考慮されるかもしれないけど、実現される可能性は非常に低いものになってしまいます。 遺言書を書くにはいくつか方式がありますが、今回はご自分で遺言書を書かれる場合の「自筆証書遺言」について書きます。「自筆証書遺言」とはその名のとおり、ご自分で書かれた遺言書のことです。 ルールはいたってシンプルです。 ①その遺言書の中身はすべてご自分で書かれること  ②その遺言書を書いた日の日付をご自分で書かれること ③その遺言所にご自分の氏名を書くこと  ④その遺言所に印鑑を押すこと。この4つです。 遺言所に自書する日付は吉日等の不特定な日ではなく、基本は何年何月何日と書きます。印鑑は拇印でも認印でもよいのですが、トラブルを避けるためにも、実印や銀行印等の確認が容易なものをおすすめします。あわせて印鑑証明も取得しておきましょう。 ただこの「自筆証書遺言」には長所短所があります。 長所は、 ①基本、作成費用がかからないこと。 ②手軽に書けること。 ③家族にも秘密にしておけることです。 また内容を変更したい場合には、前のものを破棄して新しい遺言書をも同様に書くことができます ひとつ注意しておくことは、遺言書の内容を一部変更したい場合などは必ず前の遺言書は破棄して、作成しなおした方が良いということです。ご自分で遺言書を書くとはいっても、法的に通用するためには誤字脱字や訂正等には厳しい要件が課せられます。その手間や方式間違いの可能性をなくすためにも、作成しなおすことをおすすめします。 では自筆証書遺言書の短所はどうでしょうか。手軽で費用がかからない反面、短所は多くあります。 短所は、 ①前述とおり要件が厳格ですので、方式不備でその遺言書が無効となるおそれがあります。 ②遺言者を自分ひとりで作成するため、本人の意思で作成したことを立証することが困難であり、信ぴょう性がかなり低くなります。 ③自筆であることを証明することも難しく、筆跡鑑定なども信ぴょう性が低いことです。事実裁判によって遺言書の筆跡が無効となった判例もあります。 ④相続開始後に家庭裁判所にその遺言書の「検認」の申し立てをしなければならず、かかる時間も含め家族に負担をかけることです。「検認」とは証拠保全の手続きですので、内容の信ぴょう性等には関与しません。ですので検認がなされたからといって、遺言の内容の有効性等が担保されるわけではありません。 ⑤遺言書の紛失や改ざんの恐れがあることです。保管場所を忘れてしまったり、ご自身の死後、その遺言書が発見されず終いだった場合です。逆に相続がつつがなく終わったあとに遺言書が発見された場合もトラブルの原因になります。 「自筆証書遺言」を検討されている方は以上のこともご注意ください。明日は行政書士に依頼される場合で一番多い「公正証書遺言」について書きます。 http://gyosei-suzuki-office.com/category2/entry19.html
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相続の際の後見制度 制限行為能力者について
今日は権利能力・意思能力・行為能力というものについて書いてみます。 まず権利能力とはどういうものでしょうか。権利能力とは、権利や義務の主体となりうる地位や資格のことであり、自然人である人間はもちろんのこと、法人も含む概念です。生まれた時に取得し、死亡した時に失います。相続の記事でも触れましたが、胎児については権利能力は認められませんが、相続や遺贈を受ける権利、また不法行為による損害賠償権は例外として、生きて生まれた場合にさかのぼって認められることになります。 次の意志能力とは、自分の行為の結果を理解(弁識)できるだけの精神能力のことをいい、一般的には10才程度の者であれば有するとされています。よく犯罪などで鑑定が行われますが、通常は意思能力を有するものであっても、泥酔している場合などは意思能力を有していないとされます。 意思能力は私的自治の前提となりますので、意思無能力者の行為はすべて無効となります。 行為能力とは、単独で有効な法律行為を出来る能力のことです。これは法律でその地位や資格が定められており、法律によって行為能力が制限されている者を制限行為能力者といいます。それらの人たちの行動を抑制するという趣旨ではなく、物事を単独で行ってしまった場合にその結果から守るという趣旨で、民法に明記されています。 制限行為能力者は未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4つが定められています。未成年を除く3者については、保護の必要性が大きい順に並べましたが、それらについて順に見てみましょう。 まず未成年者ですが、定義としては、20歳に満たない者を未成年者といいます。20歳になると成年となります。しかし婚姻をすれば成年擬制という制度によって、成年とみなされます。これは離婚してもその後も有効になります。成年擬制は法律のいろいろな場面で出てきますので、覚えておいたほうがよいです。 例えば養子をするのは成年でないとできませんが、成年擬制の場合はできます。また商法においても未成年は登録をしないと営業ができませんが、これも必要なくなります。 未成年者が契約等の法律行為を行う場合には、親権者などの法定代理人の同意が必要になります。そしてこの規定に反して行った行為については、本人または法定代理人が取り消すことができます。 例外としてはむつかしい表現になりますが、「単に利益を得、義務を免れる法律行為」は単独でできます。贈与を受けたり債務を免除されたりがこれに当たります。成年になると様々な権利義務が発生しますが、成年擬制の場合にも権利も発生しますが、反面法律で守られる場面も減るということです。権利と義務は表裏一体です。 未成年者の法定代理人(親権者等)の権限としては、代理権、同意権、取消権、追認権があります。法定代理人は未成年が行なった法律行為について、同意をしたり後から認めることによって、行った法律行為を有効なものにすることができます。 次は成年被後見人です。これは精神上の障害によって、「事理弁識(じりべんしき)能力を欠く常況」にあり、他の者の後見が必要な者のことをいいます。事理弁識能力とは物事の結果などについて認識することができ、それに対して有効な判断が出来る能力のことです。常況とはいつでもそういう状態にあるということです。一時的な場合には使われません。成年被後見人は、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者がなることができます。 成年被後見人の行った法律行為は取り消せます。これは成年後見人が同意した行為でも取り消すことができます。裏を返せば、成年後見人には同意権はないということです。ただし日常品の購入など、日常生活に関する行為は取り消せません。成年後見人の権限は、代理権、取消権、追認権です。 次は被保佐人について見てみます。被保佐人は、精神上の障害によって、事理弁識(じりべんしき)能力が「著しく不十分」な者で、家庭裁判所の補佐開始の審判を受けた者をいいます。原則として単独で法律行為を行うことはできますが、不動産などの重要な財産の処分などは保佐人の同意が必要になります。 同意を欠いた場合は取り消すことができます。日常品の取り扱いに関しては取り消せません。保佐人の権限は民法13条1項に書かれている項目(不動産の処分や訴訟行為、相続に関すること等)についての同意権、取消権、追認権、代理権があります。この場合の代理権についてのみ、家庭裁判所の審判を受けるかどうかは本人自身の請求か同意が必要になります。本人が拒否すれば代理権は付与されません。 最後の被補助人とはどのような者でしょうか。これは事理弁識能力が「不十分」であり、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者をいいます。本人自身が審判開始を請求するか、本人以外の者が請求をした場合は、本人の同意が必要になります。前2者と異なり、補助開始の審判をする場合は同時に同意見付与の審判と代理権付与の審判、この一方または両方の審判をしなければなりません。被補助人の権限ですが、代理権付与の審判を受けた特定の行為については代理権をもち、同意権付与の審判を受けた特定の行為については同意権、取消権、追認権をもちます。以上において各後見人はひとりでも複数でも構いません。法人でもなることができます。また必要な場合には後見人を監督する立場の監督人も付けることができます。また後見人は任意に契約する(任意後見人)することもできますが、任意後見の場合は代理権のみが付与され、同意権や取消権は付与することができません。 相続の場面では、共同相続人がいる場合には必ず遺産分割協議が行われます。この協議では相続人全員の参加と合意が必要となります。ですので、相続人の事理弁識能力に問題がある場合は代理人の選任が必須となる場合があります。その者がまだ代理人を有していない場合には、状況をみて家庭裁判所への選任請求をしなければなりません。また相続人に未成年がいる場合には、親との利益相反との関係から特別代理人の選任も請求しなければならないので、注意が必要です。特別代理人についてはあらためて別の記事で書いていきます。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry62.html  
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民法 詐害行為取消権について
今日は詐害行為取消権について書いていきます。 「詐害行為取消権」とは、債務者がその責任財産を減少させる法律行為(詐害行為)をした場合に、債権者がその行為を取り消し、減少した財産を回復させる権利をいいます。これは強制執行を行う前の準備段階として、総債権者の責任財産の保全を目的とした制度になります。 「詐害行為取消権」の成立要件としては、次の6つが挙げられます。 ①保全される財産が金銭債権であること ②保全される財産が、詐害行為前に成立していること ③債務者が詐害行為時および取消権行使時に無資力であること ④財産権を目的とした法律行為であること ⑤債務者に詐害の意思があること ⑥受益者や転得者が悪意であること です。 では、詐害行為取消権の行使の方法や効果について見ていきましょう。 詐害行為取消権は、債権者が必ず「自己の名」で行ないます。また債権者代位権と異なり、必ず「裁判上」で行わなければなりません。 取り消しを行える範囲は、債権者の被保全債権額の範囲に限定されます。建物のように目的物が不可分の場合は、被保全債権額が建物価格に足りなくても、詐害行為の全部を取り消すことができます。 詐害行為取消権を行使できる期間は、債権者が取り消しの原因(詐害行為)を知った時から2年間(消滅時効)となります。知らない場合も詐害行為から20年で時効(除斥期間)となります。 詐害行為取消権の効力は全債権者の利益のために発生することとなり、受益者や転得者から取り戻された財産は、全債権者の共同担保となります。目的物の引渡しについては債権者代位権同様、原則は債務者への引渡しとなりますが、直接債権者への引渡しを請求することもできます。 とは言っても、詐害行為取消権には効果の及ぶ範囲が定められています。債務者であっても自分の財産を処分することは自由であるはずですが、詐害行為取消権はこの自由を制約するものとなりますので、その制約を最小限に抑える内容となっています。 これから、詐害行為取消権の被告は債務者ではなく、受益者または転得者にすべきとしています。 また取り消し判決がなされる場合でも、その効力の及ぶ範囲は取り消し債権者と相手方(受益者または転得者)の関係でのみ詐害行為の抗力を失わせるものであって、第三者の法律関係には影響は及ぼさないとされています。
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相続における民法について
しばらく民法について書いていきたいと思います。相続や遺言については民法に規定されています。また私人間の契約関係や家族関係についても民法に規定されていますので、民法を学んでおくことは、相続の際にも役に立ちます。 民法は、私人間の生活関係を規律する私法の一般法であり、財産法と家族法からなります。全体は①総則②物権法③債権法④親族法⑤相続法の5つに分けて整理されています。 財産法である物権については、所有権絶対の原則が支配しています。私人は自己の所有物を自由に支配できるというものです。しかしこれにも唯一、公共の福祉の制約があります。 公共の福祉の制約は民法のみならず、憲法をはじめとしたあらゆる法律のベースにあるものです。その解釈についてはむつかしい争いがあるようですが、要はいくら自分が自由にできるといっても、公共(周りの人々)の権利や迷惑を冒してまでは認められませんよということですね。 自分の家の裏手の道路に障害物を置いて、住民の通行を妨害していたおじさんが捕まりましたが、公共の福祉の制約は知らなかったようですね。また自分の家の木の枝が境界線を道路に思い切りはみ出して、いくら危険であっても、頑として枝を切らないじいさんがいましたね。民法の規定では、近所の人がこの空中に突き出た枝を自ら切ることはできなくて、切ってくれと要請するしかありません。境界線をはみ出した根っこの場合は、住民自ら切ることができますが。行政の怠慢ではありますが、この場合は道路法で対処するか、万が一この枝によって負傷した場合に管理責任を問うて損害賠償を請求するかですかね。 話が脱線しましたが、もうひとつ財産法には債権があります。債権関係は私的自治の原則というものが支配しています。 私人間の私的法律関係は個人の自由意思で形成されるものであり、国家は介入できないとされています。しかしこれには様々な制約があります。 今回の民法改正にもありましたが、債権は特に法律が強く関与しているため、時代や経済の要請によって変化して然るべきものでもあります。現代では経済的弱者(賃借人等)救済のための制約が種々設けられています。 一方の家族法について現在の民法では、戦前までの旧民法とは考え方において根本から変更されたものとなっています。 家族法の基本原理は、個人の尊厳と両性の本質的平等を基礎として、家族は夫婦を中心としたもの規律されています。戦前までの民法における家族の考え方は、夫婦ではなく親子を中心とした考え方でした。これが家長制度の裏付けともなっています。 家族法はあくまで夫婦二人を主な対象としていますので、前述の財産法における自由な個人の権利義務とは相容れない部分もあります。ですので一般的に財産法の基本原理は家族法には適合しないものとなっています。 さて、民法のような「私法」とはどのようなものでしょうか。 私法とは、国家と国民の基本的な関係について定めた憲法のような「公法」に対し、「私人と私人との法律関係」を規律する法をいいます。言い換えると、社会生活上当然に生ずる私人間相互の関係を規律する法ということです。 私法によって保護される権利を「私権」といいます。私法は、法律関係を充足すると法律効果が発生するというスタイルをとりますが、私権の行使に関しては「制約原理」というものがあります。私権は法律で認められはしても、そこには一定のルールがありますということです。 1つめは先ほどの公共の福祉の原則です。2つめは「信義誠実の原則」といって、よく「信義則」という言葉で使われます。今の国会では特によく出てきますが、相手の信頼を裏切らないように行動しましょうということです。 これに関連しては、「禁反言の法理」や「クリーンハンズの原則」といった言葉も使われます。前者は自らの行為と矛盾した態度は許されないということ、後者は法を尊重する者のみが法の尊重を要求できるというものです。 3つめは「権利濫用の禁止」です。たとえ認められた権利であっても、社会性に反しての濫用は認められないというものです。濫用の基準は、得る権利と失う利益を比較検討して判断するとされています。 これら信義則や権利濫用については、表立って出されるものではなく、他の条文で決着しない場合に適用されるものとなります。
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民法 時効について
今日は時効について書いてみます。時効というと刑事ドラマなどでよく耳にする言葉ですが、法律では「ある一定の事実状態が一定の期間継続した場合に、その事実の法律上の根拠に合致するかどうかを問わずに、その事実状態を尊重して権利を認める」制度を言います。 時間の経過で証拠能力が希薄になる一方、その事実が継続している場合はそれ自体が重いということを尊重して制定された条項です。 では民法における「時効」について見てみましょう。時効完成の要件は、一定の事実状態が一定の期間継続することです。また時効が完成しその利益を得るためには、その意思表示をしなくてはなりません。「時効の援用(えんよう)」と呼ばれるものです。 時効の援用は時効の利益を受ける旨の意思表示であり、援用して時効の利益を受けるかどうかは個人の意思になります。時効を放棄することもできますが、時効が完成する前にあらかじめ放棄を行うことはできません。時効が完成してから放棄することになります。また放棄ではありませんが、時効が完成してもそれを知らずに債務を承認してしまった場合などは、もう援用をすることはできません。 時効の利益を受ける者は援用権者である当事者に限られますが、判例ではその者を「時効に因り直接に利益を受くべき者」としています。時効の効果は遡及効といって、最初の起算点にさかのぼって効果を発生することになります。 民事上の時効には一定の期間を経ることによって権利を取得する「取得時効」と、一定の期間を経ることによって権利を失う「消滅時効」があります。ではまず取得時効から見てみましょう。 「取得時効」とは、物の占有の継続に対して真実の権利を認める制度になります。他人の物であっても一定の期間占有をしていれば、その事実を尊重して権利が移転するという制度です。取得時効の要件は次の5つになります。 ①「他人の物」を占有していること(場合によっては自分の物でも可とした判例もあります) ②所有の意思を持って占有していること(自主占有といいます) ③平穏かつ公然と占有していること ④一定期間占有を継続していること ⑤時効援用の意思表示がされること になります。なお④の期間は、条件によって変わってきます。その物(不動産も含みます)の占有を開始した時に善意無過失であった場合は10年です。善意無過失でない場合(悪意または有過失)は20年になります。 善意無過失の判定はあくまでも最初の占有者が占有を開始した時点が起算点になりますので、前の占有者から占有を引き継いだ場合も(占有の事実が重要となりますので、占有する者が変わっても問題ありません)、引き継いだ時の善意無過失が問題になるわけではありません。最初の占有者が善意無過失であれば、取得時効の条件は10年になります。 なお②③の所有の意思についてですが、これは「占有者は所有の意志をもって、善意で、平穏にかつ公然と占有をするものと推定する」(占有の推定)とされています。ですので占有の事実があれば、所有の意思は推定されるものとされています。 時効取得の対象は、「所有権」と「所有権以外の財産権」になります。所有権以外とは、地上権・永小作権・地役権などです。一般債権の時効取得はできませんが、不動産における賃貸借権は例外として、要件が揃えば時効取得できます。 では次にもうひとつの「消滅時効」について見てみましょう。消滅時効とは、一定期間の経過によって債権などの権利が消滅してしまう制度を言います。消滅時効の要件としては次の4つがあります。 ①権利不行使が一定期間継続すること ②法定中断のないこと ③時効援用の意思表示をすること です。①の期間については、債権については10年で消滅し、債権または所有権以外の財産権は20年で消滅します。商法などに規定されている商事債権などの場合はより短い期間で消滅します。なお所有権については取得時効の対象とはなりますが、消滅時効の対象にはなりません。 時効については「中断」という制度も設けられています。時効が継続している場合であっても、 ①請求 ②差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分 ③承認(債権者に権利があることを認めること) によって時効の進行が止まり、そこが起算点となってまた時効の進行が始まります。中断の効力は基本的には当事者およびその承継人に対してのみ生じますが、保証人や物上保証人に生じる場合もあります。 中断自由の請求については裁判上で行ないます。もしそこで却下や取り下げがあった場合は、中断の効力は失われます。なお裁判外で行う場合は「催告」と呼ばれ内容証明郵便等でされますが、その場合の効力は時効を停止させるにとどまり、中断の効果を得るためにはそこから6ヶ月以内に裁判上の請求を行う必要があります。消滅時効に関しては2020年施行の改正民法で見直しがなされていますので、確認ください。 https://www.gyosei-suzuki-office.com/category8/category10/entry36.html https://kouseishousho-gunma.com/category7/entry18.html  
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公正証書遺言の作成方法
今日は公正証書遺言について書いていきます。 まず「公正証書遺言」ます。の作成方法です。最終的には公正証書遺言は「公証役場」で作成することになりそこに向かっての手順ということになります。もちろん行政書士を介せずご自分おひとりで原案を作成することもできます。その場合でも最終的には公証人が関与しますので、法的効果が欠如することはありませんし、内容的な不備も排除されます。保管の問題もクリアされます。 しかし公証人自体は書かれている内容自体に関与するものではありませんので、例えば「財産のすべてを愛人に与える」などという作成できないもの(この場合は公序良俗に反する)以外は作成されます。 また公証人によっては遺留分を考慮しない遺言、例えば長男に財産の3分の2をあげて次男には3分の1、長女には相続しないという内容の遺言書でも作成されてしまう場合があります。ですのでここでも作成にあたっては、行政書士に相談されて作成されることをお勧めします。 今回の記事においては、行政書士に依頼された場合の段取りにしたがって作成方法を書いていきます。 まず相談者様から作成代行の依頼があった場合は、遺言者様から契約書をいただくくとともに、署名捺印の委任状をいただきます。印は実印で捺印していただきます。また併せて印鑑登録証明書もいただきます。 公正証書遺言を作成するためには、相続人を調査し、相続財産を調査します。相続人については大方の場合は配偶者と子供などの知れている相続人になりますが、より確実な遺言書とするために、遺言者の出生から現在までの戸籍謄本および、推定相続人の戸籍謄本を取得して「相続関係説明図」を作成します。 なお公証役場には遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本があれば問題ありませんので、「相続関係説明図」を作成しない場合は、最低限これがあれば足ります。戸籍謄本は行政書士が「職務上請求書」というものを使用して、役所より取得します。 次は「財産目録」を作成します。遺言者から不動産や預貯金、証券類などの財産を申告してもらい作成します。遺留分の計算等でこの時点の財産額を知る必要がありますので、不動産の財産額について確認します。 この時点で「不動産の全部事項証明書」と念のために公図等も取得しておきます。併せて価格は路線価等で再確認します。預貯金については直近の通帳をコピーし、証券類は証書等を確認します。動産類は自動車の車検証の写や貴金属等の鑑定書なども用意します。 この際に忘れてならないのは、負債についてもきちんと確認することです。プラスの財産は遺言書とおりに相続されますが、負債については法定相続分とおりに相続されます。仮にプラスの財産よりマイナスの財産の方が多かった場合は相続放棄になりかねませんので、注意が必要です。以上から「財産目録」を作成します。 これらをもとに遺言書の文案を決めていきます。まず相続人を決め、遺贈等を決めます。それから各相続人の相続分を決めていきます。相続財産の配分については当然遺言者の判断になりますが、遺留分等についても配慮した方がトラブルは回避することができます。 不動産については明確に記載しますが、預貯金については特定の額を記載せず3分の1づつでも良いですし、1000万円を長男に、残りを次男に等の表現でも構いません。財産目録に記載されない細々とした動産等もありますので、遺言者所有のその他すべての財産を長男○○に相続させるの条項も記載します。 あとは墓や仏壇を管理していく「祭祀主催者」や「遺言執行者」等を記載していきます。祭祀主催者の条項を加えた場合は、公証人より別途手数料が加算されますので注意してください。 最後に「付言」を記します。文案が作成できたら依頼者と確認を取り、加筆修正の後文案を合意します。それから行政書士が公証人と文案の打ち合わせを行い、必要書類を提出します。公証人から文案と費用が提出されるので、依頼者と最終確認を行ないます。 合意ができたら公証役場へ出向く日を決め、当日は行政書士と遺言者本人、もうひとりの証人とともに公正証書遺言を作成します。当日は次の段取りで公正証書遺言が作成されていきます。 ①公証人が遺言者本人と証人2名(当職ともう1名の証人)の氏名・生年月日・住所・職業を質問し、遺言者と証人が本人確認ができる書類を提示します。 ②公証人が遺言者に遺言の内容を確認します。 ③公証人が遺言者と証人に、遺言書を配布し口述します。 ④遺言者と証人が遺言書の内容を確認し、公正証書遺言に各自が署名捺印をします。この際は遺言者は実印を用意します。証人は認印でも構いません。 ⑤公証人が署名捺印をします。 以上で公正証書遺言の完成です。 ⑥遺言者が公証役場に手数料を現金で支払います。 ⑦公正証書遺言の原本は公証役場に保管され、遺言執行者に「正本」が、遺言者に「謄本」が渡されます。 「正本」「謄本」の保管には注意が必要ですが、銀行の貸金庫に預けてしまうと開けるには相続人全員の署名捺印が必要になりますので、注意が必要です。 公正証書遺言であってもいつでも撤回をすることができます。 最後に作成する際の言語ですが、自筆証書遺言や秘密証書遺言は作成する言語は外国語でも構いませんが、公正証書遺言は日本語で作成しなければなりません。
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民法改正後の遺言について
今日は遺言について書いていきます。遺言については以前にも書きましたが、相続遺言に関する民法がこの7月に約40年ぶりに大幅改正されましたので、それも含めて見てみましょう。 遺言を残そうとされる目的の多くは、ご自分の作られた財産をきちんとご自分の手で、ご自分の意思で配分したいというところにあると思います。考えられるきっかけはちょっとしたことからかもしれませんが、その動機の多くは遺されるご家族のことを考え、円満でスムーズに相続を終えてもらいたいという気持ちから発せられるようです。 中には家族親族がいがみあっていたり、複雑な関係性であったり、また相続人がいないなどの理由からトラブル防止のための遺言を書かれる場合もあると思います。また事業承継にあっては、自ら思い描く将来のために、きちんと整理した形で財産を相続させる場合もあろうかと思います。 いずれにせよ遺言を残される以上、法的に効果のある遺言にしなければなりません。では法的に効果のある遺言とはどのようなものでしょうか。 遺言自体はどのような形でも残すことができます。口頭で伝える場合もあれば、録音やビデオで伝える場合もあります。また通常は皆さん考えられるところの書面で残すことが多くなります。しかし法的に効果のある遺言は、きちんと法律に従った形式で、書面として残さなくてはいけないものになります。 きちんとビデオに撮っていても、それがそれぞれの相続人が納得するものであれば問題ありませんが、争いになった場合は法的に根拠がないものとして認められないものになります。 昨日たまたまビデオで「激動の1750日」という映画を見ていて、三代目姐が「先代が言い残した」という一言で後継が決まってしまいました。実際に言い残してはいないので争いになった場合は法的根拠のないものとなりますが、特殊な世界であれ、「故人が言っていた」の一言で相続が決まってしまってはたまりません。そこかしこでトラブルが頻発するでしょう。そんなトラブルを起こさないためにも、法律が遺言の形式を定めています。 ここでの法律は「民法」になります。民法は、私人間の生活関係を規律する「私法」の一般法(国家等の公権力と私人の関係を規律する法である法律を「公法」といい、これには憲法・行政法・民事手続法・刑法・刑事手続法があります)であり、その内容は「財産法」(ここには物件法と債権法があります)と「家族法」に分かれます。 「家族法」には家族や親族の範囲や関係性について規定する「親族法」の部分と、相続や遺言について規定している「相続法」の部分があり、ここで遺言についても明確に規定してます。 では民法に規定する遺言について見ていきましょう。遺言の方式について、民法では「普通方式」と「特別方式」を定めています。我々が一般的に理解している遺言とは普通方式のものになりますが、簡単に特別方式の遺言について見てみます。 「特別方式」の遺言については滅多にお目にはかかれませんし、またそういう立場になっては困るのですが、緊急時に発する遺言になります。ここでは詳細は省きますが、災難がまさに降りかかっている際に発する「危急時遺言」と、世間から隔絶された場所にあるときに発する「隔絶地遺言」があります。 「危急時遺言」には「死亡危急者遺言」と「船舶避難者遺言」がありますが、前者は病気やけが、あるいは災害が差し迫っている際に発っするものであり、後者は船舶が遭難にあっている際に発するものになります。 また「隔絶地遺言」には、「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」があります。前者は伝染病隔離施設や刑務所服役中などの場合、後者は遭難していない船舶の中で作成されます。 いずれも危難は迫ってはいませんので、本人が書く事になります。以上4種類が特別方式になりますが、それぞれ証人であったり検認であったり、その手続きは詳細に決められています。民法は約120年前に制定されましたので、情報の発達していない時代を背景としています。
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