今日は弁済というものについて書いていきます。
弁済とは、債務の本旨に従って、債務の内容である一定の給付を実現する行為のことです。単純に言えば、借りたものを返すということになります。この弁済という行為は、債権の目的が達成されたという事実によって債権を消滅させる行為ですので、法律行為には当たりません。
以前別の記事で法律行為の意思主義について書きましたが、債務の給付者が自分の意思表示の効果として債権を消滅させるものではないので、法律行為に準拠する準法律行為に当たります。言い換えると準法律行為とは、意思表示によらないで法律上の効果を発生できる行為のことを言います。
https://estima21-gunma-gyosei.com/archives/826
弁済とは実際に給付が実現されて達成されるものですが、民法では実際に債務者がそのもの自体を弁済しなくても、給付を実現するために必要な準備を行い、債権者側に協力を求めることによって法律上の効果を発生させることができます。これを「弁済の提供」と言います。
弁済の準備ができあとは弁済を実現するばかりとなっても、債権者側の都合や諸事情によって実際の弁済に至らないケースがあります。債務の履行については不履行責任が発生する場合もありますので、現実の弁済と区別して、弁済の提供という規定が設けられています。
弁済の提供は、債務の本旨に従って、現実または「口頭の提供」というものによって行われます。今述べたように、債務者は弁済の提供による法律効果によって、損害賠償や契約解除、遅延利息の支払いといったような債務不履行責任から免れることになります。
では弁済の提供について続けて見ていきましょう。
まず弁済の提供の方法ですが、今述べたとおりこれには「現実の提供」と「口頭の提供」という2つの方法があります。弁済の提供ではまずは原則として、現実の提供をしなければなりません。
現実の提供とは実際に弁済が完了するであろう状態であり、債務者が債権を消滅させるためにできる限りのことを行い、債権者側が受領などの協力をすれば弁済が完了するというような状況を言います。
これに対し「口頭の提供」とは、
①債権者があらかじめ受領を拒んでいる場合
②債務の履行についての登記など、債権者の行為を必要とする場合
に認められます。
口頭の提供とは、債務者が債権者に口頭で行うものですが、これは、債務者が現実の提供をするのに必要な準備をしたことを債権者に通知し、受領を催告することで足りることとされています。
なお判例からは、債権者が契約自体を否定するなどして、弁済を受領しない意思が明確と認められる場合には、債務者は口頭の提供さえもしなくても、債務不履行責任から免れることとされています。
また物を引渡して給付を行う場合ですが、目的物が特定物である場合には現状のまま引き渡せば足りることとなりますが、不特定物の場合には瑕疵のない物を調達して引き渡さなくてはなりません。
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相続分野の民法の一部改正が7月1日に施行されます。
それに先立ち、本年1月13日に自筆証書遺言書の方式緩和(自書以外の財産目録可)の改正民法が施行されました。これは、財産目録について、従来は手書きでないと認められていなかった要件を、銀行通帳等を添付すればパソコンや自分以外の他者の作成によるものでも認めるという内容になります。
ニュースでも流れたのでしょうか、当職のホームページの当該ページへのアクセスも、2-3ヶ月にわたって通常月の1.5倍ほどに上がっています。相続に比べると遺言ページへのアクセスは多くないのですが、普段意識していなくてもニュースになると興味がわくのでしょうか。そのままご依頼いただけると、なおありがたいのですが。。いつかご依頼いただけることをお待ちしております。
さて要件緩和によって自筆証書遺言の作成については多少ハードルは下がりましたが(財産の多い方はなおさら)、そのほかの自筆遺言の要件についての知識はまだまだ低いようです。もちろんご自身で時間をかけて勉強し、ご自分で書かれる方もいらっしゃると思いますが(最大のメリットは費用面ですが)、要件不備で遺言書としての法的効果がなかったり、相続人にかえって迷惑を掛ける自筆証書遺言の多いことも確かです。
もちろんご自身はよかれと思って書かれている訳ですが、中途半端な知識で書かれるため、法律要件を満たしている遺言書は必ずしも多くはないと思われます。日付間違いや誤記などのケアレスミスの場合、あるいは署名の不備等の場合は相続人の方々の合意があれば大きな問題はないと思いますが、これとて訴訟になった場合は認められない場合も多くなります。
一番困るのは、相続人や相続財産の特定が曖昧な場合です。例えば、「預貯金を子供3人に等分に」という記述であれば、単純に分割することは可能ですし、銀行もその記述をもって払い戻しに応じてくれると思います。しかし、「不動産を子供3人に平等に」という文言であれば、どの不動産をどのように分割するのか特定できませんので、不動産登記は難しくなります。この場合は遺産分割協議によって具体的に不動産を分割し(あるいは特定の相続人に単独に)、分割協議書に明記する必要が出てきます。
この遺言書の場合も相続人の皆さんが不仲でなく、遺言者に寛容であれば遺言書の文言に則した形で協議は行われるのでしょうが、えてしてその遺言によって利益を受ける者は拡大解釈でその文言を了とし、利益を害する者は断固反対する。そのような事態も決して少なくはないでしょう。
このような遺言書があった場合は意見が分かれる、あるいは協議の前段部分で時間を取られる弊害が大きくなります。また協議が成立しても後々までの遺恨の原因になります。
自筆証書遺言を書かれる場合でも必ず専門家に指導を仰ぐ、あるいは公正証書遺言にする。費用はかかりますが、本来の目的を達成するためには必要なことです。行政書士のような専門家は時間を掛けて勉強し、また数々の事例からベストのアドバイスを行っていきます。
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今日は婚姻の効果について書いていきます。婚姻は役所に届出をすることが形式上の要件となっており、届出をしない限りは法律上の夫婦とは認められません。
「婚姻の効果」については次のようなものがあります。
①夫婦同氏
②同居・協力・扶助義務
③貞操の義務
④成年擬制
⑤契約取消権
です。
「夫婦同氏」については改正を求める声もありますが、現行民法においては夫婦は共通の氏を名乗らなければなりません。法律の婚姻効果を発生させるためには戸籍上同一の性にしなければなりませんが、ペンネームや職場で旧姓を名乗ることについて等は差し支えありません。
「同居・協力・扶助義務」については、婚姻を継続するにあたっての基本的な義務になります。
「貞操の義務」についても明文化されており、これについては裁判上の離婚原因にも当たります。
「成年擬制」とは、未成年でも婚姻によって成年に達したものとみなされ、成年と同様の権利義務を与えられることです。この効果によって通常未成年では行えない養子縁組行為や、登録なしで営業をすることができるようになります。なお一度婚姻をすれば、これが解消された場合であっても成年擬制の効果は消滅しません。
「契約取消権」とは、婚姻中に夫婦間でしたお互いの契約について、婚姻中はいつでも取り消すことができるというものです。夫婦間の問題については法による強制は立ち入らないということであり、履行後であっても取り消せます。しかし第三者が関与するものについては、その権利を害しての取り消しはできません。
次に夫婦の財産制度について見ていきましょう。
夫婦は「夫婦財産契約」という契約で、自由に夫婦の財産関係を定めることができます。これは契約がない場合の民法の規定による「法定財産制」に対して、自らで取り決める契約になります。日本では民族性からかあまり普及していませんが、数年前に俳優さんと女性弁護士の結婚の際に話題になりました。
通常は公正証書で残したりしますが、この契約の形式は次のとおりかなり厳格なものになります。
①婚姻届出前に締結しなくてはなりません
②婚姻届出までに登記を行ないます
③登記がなければ夫婦の承継人および第三者に対抗することができません
④婚姻届出後はその契約を変更することはできません
次は財産契約を結ばない場合の「法定財産制」についてです。
「法定財産制」は次の3つからなります。
①婚姻費用の分担
②日常家事債務の連帯責任
③財産の帰属と管理における夫婦別産制
です。
①の費用の分担については特に問題はありませんが、②の「日常家事債務の連帯責任」とは、日常発生する家事(特別でない行為)によって生じた債務については、一方が第三者に対して他方の免責を告げたときを除いて、夫婦ともに連帯責任を負うというものです。
ここでの日常家事の範囲については、客観的にその法律行為の内容等を十分考慮して判断するものとされています。
「夫婦別産制」とは、夫婦の一方が婚姻前から有している財産、および婚姻中であっても自分の名前で得た財産については、夫婦それぞれの個人的な財産とすることを言います。
これに対して夫婦どちらに属するか不明な財産については、夫婦共有のものと推定されます。
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今日は民法における委任契約というものについて書いていきます。
「委任」とは当事者の一方が「法律行為」をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力が生じる諾成契約になります。
「諾成契約」とは、当事者の意思表示のみで成立する契約のことを言います。ちなみに当事者の合意のみでは足らず、物の引渡しや給付を成立要件とする契約は「要物契約」と言います。
委託する側を「委任者」、承諾する側を「受任者」と言います。ここで委任とは法律行為を委託すると言いましたが、法律行為以外の事務の委託も当然あるわけで、それは「準委任」と言い委任の規定が準用されます。
委任をするにあたっては、委任者側にも受任者側にも義務や責任が発生します。
ではまず委任者側の義務について見ていきましょう。委任者は原則、受任者に経済的に負担をかけないという義務を負い、具体的には次のような義務が発生します。
①報酬支払い義務
②費用前払い義務
③立替費用償還義務
④債務の弁済または担保供与義務
⑤損害賠償義務
です。
まず①についてですが、民法においては委任というものは、原則無償委任になります。ですので、報酬の支払い義務が発生するためには報酬支払いの特約が必要になります。また特約があった場合でも、その報酬は原則後払いになります。
②では、委任された事務を処理するについての必要な費用について、事前に受任者から請求があった場合には前払いをする必要があります。あくまでも遂行に必要な費用の場合です。
③の立替費用とは、必要な費用が前払いされずに、受任者によって立替えられた費用のことです。この場合は立替えた費用を請求できるのみならず、支出以降の利息も請求することができます。
④の債務とは、委任事務を行うについての費用的なものに収まりきらず、受任者が債務を負った場合のものを言います。この場合の債務は必要と認められる範囲に限られますが、その弁済を自分に代わってするようにと、受任者は委任者に対して請求することができます。まだ弁済期の到来していない債務については、委任者に担保を請求することもできます。
⑤の損害賠償義務とは、受任者が自分に過失がないにもかかわらず損害を被った場合に、委任者に損害賠償を請求できる権利になります。この場合の委任者の責任は無過失責任(委任者に責任がなくても負う責任です)になります。
委任契約はその目的を完了したときに終了しますが、それ以外にも終了となる場合があります。
まず、理由がなくても当事者双方が一方的にいつでも解除が行える、「無理由解除」(告知と言います)というものがあります。もともと委任契約というものは無償契約が原則であるように、当事者間の信頼関係が基礎となるものになります。ですので、この信頼関係が崩れた時など、委任契約を継続することが難しいからです。
しかし関係が崩れたから一方的にというのも理不尽ではありますので、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方に不利な時期の解除については、損害賠償を条件に認められることとなります。
また告知以外でも、委任者が死亡したり破産手続開始の決定を受けたときや受任者が死亡したり破産手続開始の決定を受けたとき、あるいは後見開始の審判を受けた場合は、当然に終了します。
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今日は時効について書いてみます。時効というと刑事ドラマなどでよく耳にする言葉ですが、法律では「ある一定の事実状態が一定の期間継続した場合に、その事実の法律上の根拠に合致するかどうかを問わずに、その事実状態を尊重して権利を認める」制度を言います。
時間の経過で証拠能力が希薄になる一方、その事実が継続している場合はそれ自体が重いということを尊重して制定された条項です。
では民法における「時効」について見てみましょう。時効完成の要件は、一定の事実状態が一定の期間継続することです。また時効が完成しその利益を得るためには、その意思表示をしなくてはなりません。「時効の援用(えんよう)」と呼ばれるものです。
時効の援用は時効の利益を受ける旨の意思表示であり、援用して時効の利益を受けるかどうかは個人の意思になります。時効を放棄することもできますが、時効が完成する前にあらかじめ放棄を行うことはできません。時効が完成してから放棄することになります。また放棄ではありませんが、時効が完成してもそれを知らずに債務を承認してしまった場合などは、もう援用をすることはできません。
時効の利益を受ける者は援用権者である当事者に限られますが、判例ではその者を「時効に因り直接に利益を受くべき者」としています。時効の効果は遡及効といって、最初の起算点にさかのぼって効果を発生することになります。
民事上の時効には一定の期間を経ることによって権利を取得する「取得時効」と、一定の期間を経ることによって権利を失う「消滅時効」があります。ではまず取得時効から見てみましょう。
「取得時効」とは、物の占有の継続に対して真実の権利を認める制度になります。他人の物であっても一定の期間占有をしていれば、その事実を尊重して権利が移転するという制度です。取得時効の要件は次の5つになります。
①「他人の物」を占有していること(場合によっては自分の物でも可とした判例もあります)
②所有の意思を持って占有していること(自主占有といいます)
③平穏かつ公然と占有していること
④一定期間占有を継続していること
⑤時効援用の意思表示がされること
になります。なお④の期間は、条件によって変わってきます。その物(不動産も含みます)の占有を開始した時に善意無過失であった場合は10年です。善意無過失でない場合(悪意または有過失)は20年になります。
善意無過失の判定はあくまでも最初の占有者が占有を開始した時点が起算点になりますので、前の占有者から占有を引き継いだ場合も(占有の事実が重要となりますので、占有する者が変わっても問題ありません)、引き継いだ時の善意無過失が問題になるわけではありません。最初の占有者が善意無過失であれば、取得時効の条件は10年になります。
なお②③の所有の意思についてですが、これは「占有者は所有の意志をもって、善意で、平穏にかつ公然と占有をするものと推定する」(占有の推定)とされています。ですので占有の事実があれば、所有の意思は推定されるものとされています。
時効取得の対象は、「所有権」と「所有権以外の財産権」になります。所有権以外とは、地上権・永小作権・地役権などです。一般債権の時効取得はできませんが、不動産における賃貸借権は例外として、要件が揃えば時効取得できます。
では次にもうひとつの「消滅時効」について見てみましょう。消滅時効とは、一定期間の経過によって債権などの権利が消滅してしまう制度を言います。消滅時効の要件としては次の4つがあります。
①権利不行使が一定期間継続すること
②法定中断のないこと
③時効援用の意思表示をすること
です。①の期間については、債権については10年で消滅し、債権または所有権以外の財産権は20年で消滅します。商法などに規定されている商事債権などの場合はより短い期間で消滅します。なお所有権については取得時効の対象とはなりますが、消滅時効の対象にはなりません。
時効については「中断」という制度も設けられています。時効が継続している場合であっても、
①請求
②差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分
③承認(債権者に権利があることを認めること)
によって時効の進行が止まり、そこが起算点となってまた時効の進行が始まります。中断の効力は基本的には当事者およびその承継人に対してのみ生じますが、保証人や物上保証人に生じる場合もあります。
中断自由の請求については裁判上で行ないます。もしそこで却下や取り下げがあった場合は、中断の効力は失われます。なお裁判外で行う場合は「催告」と呼ばれ内容証明郵便等でされますが、その場合の効力は時効を停止させるにとどまり、中断の効果を得るためにはそこから6ヶ月以内に裁判上の請求を行う必要があります。消滅時効に関しては2020年施行の改正民法で見直しがなされていますので、確認ください。
https://www.gyosei-suzuki-office.com/category8/category10/entry36.html
https://kouseishousho-gunma.com/category7/entry18.html
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今日は相続にも大きく関係してくる、親族というものについて書いていきます。
相続を受けることのできる者(相続人)は「相続人」である「配偶者」「子」「直系尊属」「兄弟姉妹」になりますので、親族の範囲を見た上で、これらの者がどの位置にいるのかを見てみます。
また今回成立した相続関係の民法改正において、「相続人以外の親族の貢献を考慮する方策」が加えられましたので、今まで以上に「親族」という言葉が使われる機会が多くなると思います。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html
「親族」とはどのようなものを言うのでしょうか。民法における「親族」とは、次の者を言います。
①6親等以内の血族
②配偶者
③3親等以内の姻族
です。
まず「血族」とは、血縁関係のある者相互間(誰から見てもお互いに)および、法的に血縁があると制度上みなされる(擬制)者相互間を言います。前者を「自然血族」、後者を「法定血族」と言います。
「自然血族関係」は出生によって生じ、死亡によって終了します。「法定血族関係」は養子縁組によって生じ、離縁や縁組みの取り消しによって終了します。
次の「配偶者」は、婚姻によって戸籍上の地位を得た者になりますが、配偶者は血族にも姻族にも属さず親等もありません。
「姻族」とは「配偶者側の血族あるいは血族の配偶者相互間」を言います。例えば配偶者の父や、本人の父の兄弟(叔父)の配偶者は姻族になります。「姻族関係」は配偶者を通じての関係になりますので、配偶者の一方の血族と他方の血族は姻族にはなりません。具体的に言うと、本人の父と配偶者の父は姻族関係には当たりません。
また姻族関係は婚姻によって生じ、離婚によって終了することになります。離婚した元配偶者の親とは知り合いではあっても、法的つながりはなくなるということです。これは離婚の場合であり、死別の場合は届出を行わない限りは姻族関係は当然には消滅しません。
では先に出てきた「親等」とはどのようなものでしょうか。
「親等」とは親族間の遠近度を比較する尺度であり、親族間の「世代」によって決まります。本人から見て「世代」がひとつ変われば1親等という数え方をします。
相続人に当てはめて見ますと、配偶者に親等はありません。子と直系尊属(父母)が1親等、孫や祖父母は2親等になります。兄弟姉妹は親を経由して下がりますので、これも2親等と数えます。本人の叔父や叔母は祖父母を経由しますので3親等、その子であるいとこは4親等になります。
親族については世代をまたがる垂直の広がりと、直系から枝分かれをした横への広がりがあります。
縦への広がりで見てみますと、本人から世代が上の者たちを「尊属」、世代が下の者たちを「卑属」と言います。ですので父は尊属、子は卑属になります。兄弟姉妹やいとこは世代が同じですので、尊属にも卑属にも当たりません。
横への広がりで見てみますと、本人から垂直に遡ることのできる父母や祖父母や曽祖父母、あるいは垂直に下がることのできる子や孫やひ孫などは「直系」になります。
縦横併せてマトリックスで見ますと、上の世代を「直系尊属」、下の世代を「直系卑属」と言います。垂直から枝分かれをした叔父叔母などは「傍系」と言います。これも上の世代を「傍系尊属」、下の世代を「傍系卑属」と言います。
整理してみますと、血族には直系血族と傍系血族があり、直系血族には直系尊属と直系卑属があります。また傍系血族にも傍系存続と傍系卑属があることになります。姻族にも同様の、直系傍系、尊属卑属の関係があります。
改正民法の特別寄与に関しては、具体的に権利の範囲にあるかは事案ごとに確認を要するとことになります。
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今日は詐害行為取消権について書いていきます。
「詐害行為取消権」とは、債務者がその責任財産を減少させる法律行為(詐害行為)をした場合に、債権者がその行為を取り消し、減少した財産を回復させる権利をいいます。これは強制執行を行う前の準備段階として、総債権者の責任財産の保全を目的とした制度になります。
「詐害行為取消権」の成立要件としては、次の6つが挙げられます。
①保全される財産が金銭債権であること
②保全される財産が、詐害行為前に成立していること
③債務者が詐害行為時および取消権行使時に無資力であること
④財産権を目的とした法律行為であること
⑤債務者に詐害の意思があること
⑥受益者や転得者が悪意であること
です。
では、詐害行為取消権の行使の方法や効果について見ていきましょう。
詐害行為取消権は、債権者が必ず「自己の名」で行ないます。また債権者代位権と異なり、必ず「裁判上」で行わなければなりません。
取り消しを行える範囲は、債権者の被保全債権額の範囲に限定されます。建物のように目的物が不可分の場合は、被保全債権額が建物価格に足りなくても、詐害行為の全部を取り消すことができます。
詐害行為取消権を行使できる期間は、債権者が取り消しの原因(詐害行為)を知った時から2年間(消滅時効)となります。知らない場合も詐害行為から20年で時効(除斥期間)となります。
詐害行為取消権の効力は全債権者の利益のために発生することとなり、受益者や転得者から取り戻された財産は、全債権者の共同担保となります。目的物の引渡しについては債権者代位権同様、原則は債務者への引渡しとなりますが、直接債権者への引渡しを請求することもできます。
とは言っても、詐害行為取消権には効果の及ぶ範囲が定められています。債務者であっても自分の財産を処分することは自由であるはずですが、詐害行為取消権はこの自由を制約するものとなりますので、その制約を最小限に抑える内容となっています。
これから、詐害行為取消権の被告は債務者ではなく、受益者または転得者にすべきとしています。
また取り消し判決がなされる場合でも、その効力の及ぶ範囲は取り消し債権者と相手方(受益者または転得者)の関係でのみ詐害行為の抗力を失わせるものであって、第三者の法律関係には影響は及ぼさないとされています。
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今回は債権者代位権というものについて書いていきます。
「債権者代位権」とは、債務者が何らかの理由によって自分の権利を行使しない場合に、債権者が自分の債権分を守るために債務者に代って行使できる権利をいいます。自分の債権分を守るということを別の言葉で言うと、債務者の「責任財産」を保全するということなります。
「責任財産」とは強制執行の際に引当となる財産のことであり、債務者が弁済することができない時に、あてにされる財産を言います。
債権者代位権を行使できるための要件は次のとおりです。
①債権の保全のために必要であること
②債務者自身がその権利を行使していないこと
③保全される財産が原則として金銭債権であること
④保全される財産が弁済期にあること
⑤債務者の権利が一身専属的な権利でないこと
になります。
①の場合は債権者が代位権を行使しないと、債務者が無資力状態に陥る恐れがあることが条件となります。無資力になると弁済が不可能になるので、責任財産を保全する必要がある、ということになります。なお債務が金銭債務ではなく特定債権だった場合は、無資力状態でなくても代位権を行使できます。その債権がなくなってしまえば、資力の状況にかかわらず困ってしまうからです。
②の場合にも制限があります。あくまでも債務者自身がその権利を行使しないことが要件であって、自ら行使した場合にはその行使した内容が債権者に不利益なものであっても、債権者はそれを押しのけて代位権を行使することはできません。
③については金銭債権が原則になりますが、金銭債権以外でも「代位権の転用」の場合には認められる場合があります。「代位権の転用」とは、金銭債権以外の債権でも代位権を行使する必要がある場合が出てくるため、これを拡張して適用させる概念です。
例を挙げると、建物を不法に占拠する第三者がいた場合に、建物の賃貸人が不法占拠者を除く等の手立てを講じない場合です。この場合は建物の賃借人が代位権を行使することができ、賃借権を保全するために賃貸人たる所有者に代位して、建物を不法に占拠する第三者に対しその明渡を請求することができます。その場合は直接自己に対して明け渡すべきことを求めることができます。
④については、弁済期前の例外として裁判上の代位や保存行為があり、この場合は債権者代位権を行使することができます。
では債権者代位権の行使はどのように行われるのでしょうか。
これは裁判上だけでなく、裁判外でも行使できます。また債権者はあくまでも「自己の名」において権利を行使するものであり、債務者の代理人としてするものではないことを確認ください。
そして代位権を行使できる範囲も、債権者の債権額の範囲に限定されます。債権者代位権を行使した場合の効果は直接「債務者に帰属」することとなり、債権者が複数いる場合は全債権者の共同担保となります。
なお債権者が代位権を行使してこれを債務者に通知すれば、以降債務者はこれを妨げることはできません。また債権の目的物が金銭であっても動産であっても、債務者への引渡しだけでなく、債権者への直接引渡しを請求することもできます。これは債務者への引渡しを請求した場合に、債務者が受け取り拒否やをしたり、その財産を消費してしまうことが考えられるからです。
ただし債務者の受領がなくても行えるもの(債務者でなくても行える登記移転等)については、直接債権者に引き渡す請求は行えません。
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今日朝の天気予報でGW後半の天気について話していました。1週間前には後半は荒れる見込みだと行っていたので、一安心ですね。土日休みの方は羽を伸ばして、サービス業や小売業の方は書き入れ時。世間全般、天気の効果は大きいですね。
ここのところ天気予報がよく当たるなと感じていますが、1週間程度先の予報では、雨予報が晴れに変わるケースが多いかなとも感じています。天気予報の精度の問題ではなく天候が落ち着いている年ということなんでしょうが、ここ3ヶ月では群馬の雨量も平年を若干下回っていますね。夏も暑いようですし、また館林の話題も多くなるでしょう。
GW後半は実家の静岡に帰ります。昔は子供4人とワイワイ帰っていましたが、世代も引き継がれてしまいましたね。日曜日にお土産のハラダのラスクを買い込んできます。
今日は2月に法制審議会より法務大臣に答申された、相続分野に関する民法改正について書いてみます。
民法については昨年120年ぶりに契約や債権関係の改正法が国会で成立し、2020年4月1日に施行されます。相続分野についてはこれまでも社会情勢の変化に即して改正が行われ、配偶者や非嫡出子の法定相続分の割合等が改められてきましたが、今回改正案のポイントは次のとおりです。
①配偶者の居住権を保護するための方策
②遺産分割に関する見直し等
③遺言制度に関する見直し
④遺留分制度に関する見直し
⑤相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し
⑥相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
まず配偶者(以下妻とします)の居住権を保護するための方策についてみてみます。
現行法では被相続人の死亡後に被相続人名義の自宅に妻のみが居住していた場合でも、子がいた場合には妻の法定相続分は2分の1であり、仮に現金預金等の相続分が少なかった場合には、2分の1を超えた分の自宅の評価額分を子に渡さなくてはならないケースが出てきます。
妻と子の折り合いが悪かったりして子から請求された場合には、現実に妻が自宅を処分して相当分を子に渡すというケースもあるようです。
例として妻と子がひとりいるケースです。自宅の評価額が2000万円で預貯金が1000万円、相続額の合計が3000万円とします。この場合は妻も子も法定相続分は1500万円となります。預貯金を子がすべて相続しても500万円足りませんので、この場合は残りの500万円を子が妻に主張することができます。妻としてはやむをえず自宅を処分して、その分を子に渡すこととなります。これでは被相続人の死亡により妻が困窮する事態に陥ってしまいます。
今回の改正案では超高齢社会を見据えて、高齢の妻の生活や住居を確保するための内容が盛り込まれています。
まず要項に明記されたのが「配偶者居住権」です。文字通り妻が自宅に住み続けることのできる権利であり、所有権とは異なって売買や譲渡はできません。居住権の評価額は住む期間によって決まり、居住期間は一定期間または亡くなるまでのいずれかの期間で、子との協議で決めます。
前述のケースで妻の居住権の評価額が1000万円だったとしますと、妻は法定相続分1500万円のうち1000万円分の居住権と残り500万円分の預貯金を相続することとなります。子は自宅の評価額2000万円から居住権を引いた1000万円分の所有権と、預貯金500万円を相続することとなります。妻が住んでいるあいだの必要経費は妻が負担しますが、固定資産等の税制についてはまだ決まっていません。
次の遺産分割に関する見直し等についてですが、現行法では妻が自宅等を生前贈与されていたとしても、自宅も遺産分割の対象となってしまいます。ですので前述のケース同様となります。
要綱では結婚から20年以上の夫婦に限り、自宅が遺産分割の対象から除外されることになります。前述のケースでは遺産分割の対象となるのは預貯金1000万円のみとなり、妻と子にそれぞれ2分の1づつが相続されます。これも長年連れ添った妻への配慮であり、高齢で再婚した場合等と区別するものです。期間は延期間であって離婚を挟んでも問題はありませんが、事実婚や同性婚は対象となりません。
3つめは遺言制度に関する見直しです。昨今は自筆証書遺言への関心も高まってきているようですが、現行民法ではすべての文言が自署である必要があります。改正案では自筆証書遺言に関しすべてが自署である必要はなく、財産目録等はパソコン作成のものを添付することでも可能となります。ただし各ページへの署名押印は必要となります。
また自筆証書遺言の保管制度が新たに創設され、遺言者は自筆証書遺言を各地の法務局に保管するよう申請することができ、死亡後は相続人等が保管先法務局に対して遺言書の閲覧請求等をすることができます。その際法務局は、他の相続人等に対しては通知をだすこととなります。
法務局が保管していた自筆証書遺言は検認を要しません。ただ公正証書遺言と異なり、法務局保管の自筆証書遺言が必ずしも最終最新のものではないおそれは残りますので、探索や確認は必要となります。
4つめは遺留分制度に関する見直しです。遺留分減殺請求権の効力については、受遺者等に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができるようになり、権利行使により遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生するという考え方が採用されます。
また遺留分減殺請求の対象となる遺贈・贈与が複数存在する場合については現行法の規定に加えて、減殺の割合についてはこれまで解釈によっていたものが、今回案では明文化されています。遺留分の算定方法については現行法の相続開始の1年前にした贈与に加え、相続人贈与は相続開始前の10年間にされたものが算入対象となります。
5つめは相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直しについてです。これは遺言などで法定相続分を超えて相続した不動産等は、登記をしなければ第三者に権利を主張できないというものです。
最後に相続人以外の者の貢献を考慮するための方策についてです。現行法では寄与分については相続人にのみ認められていましたが、改正案では相続人以外の被相続人の親族が被相続人の介護をしていた場合、一定の要件を満たせば相続人に金銭請求できる こととなります。
被相続人の親族とは、6親等以内の血族および3親等以内の血族の配偶者が対象となります。
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今日は代理について書いてみます。
民法の規定における「代理」とは、代理人が本人(代理される者)のためにすることを示して(「顕名」といいます)、相手方に対して意思表示をし、その法律効果を本人に帰属させる制度を言います。代理には「任意代理」と「法定代理」があります。では代理について見ていきましょう。
まず代理の要件ですが、
①代理人に有効な代理権があること
②本人のためにすることを示すこと(顕名)
③代理権の範囲内で意思表示をする
ことです。顕名は口頭でも署名でも問題ありません。口頭というのは、「Aさんの代理のB」ですと相手に告げる場合などです。
顕名がない場合の代理行為は代理人自身のためのものだとみなされますが、顕名がなかった場合でも、相手方がその事情を知りまたは知ることができれば代理の効果は認められます。代理行為のすべてが代理される本人に帰属します。
代理の禁止事項が2つあります。一つは「自己契約」であり、代理人が本人の相手方になることをいいます。もうひとつは「双方代理」であり、当事者双方の代理人になることをいいます。これらは債務を履行する場合や本人があらかじめ了承した場合を除き原則無効となりますが、事後に本人が追認した場合は有効となります。
代理人の権限を代理権と言いますが、代理権があっても認められない行為に「代理人の権限乱用」があります。これは代理人が代理人自身や第三者の利益を図る意図を持って、代理の形式のまま本来の権限の範囲内の行為をすることをいいます。この場合の行為も本人に帰属する(この場合の本人は、その代償を代理人に求めることになります)ことになりますが、相手方が代理人の意図を知りまたは知ることができたときに限っては、本人の責めにはならないとされています。ここもポイントです。
代理人が代理人を設けることを「復代理」といいます。間違えやすいですが、複数の複ではありません。
復代理とは、代理人が自己の権限内の行為を行わせるために、代理人自身の名でさらに代理人を選任し、本人を代理させる行為をいいます。代理人の代理人ではなく、あくまでも本人直接の代理人となります。
これには法定代理と任意代理がありますが、法定代理の場合は常に復代理を選任できるのに対して、任意代理の場合は本人の許諾がある場合や、やむを得ない事由があるときでなければ復代理人を選任できません。
代理人は誰にでもすることができ、本人が承知の上であれば成年被後見人のような制限行為能力者であっても代理人となれます。
代理人に似た概念に「使者」というものがありますが、代理人が意思決定ができるのに対し、使者の場合は意思決定はあくまでも本人がします。使者は本人の意思を完成させるだけの者になります。
代理に関しては無権代理と表見代理というものがありますが、次回これについて書いていきます。
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相続分野の改正民法が、本年7月1日に施行となります。
すでに施行された「自筆遺言書の方式緩和」、2020年4月1日施行の「配偶者の居住権を保護するための方策(短期、長期)」、2020年7月10日施行の「自筆証書遺言の保管制度」を除き、2019年7月1日より施行されます。
あと1月ほどとなりましたが、これには「遺留分制度」や「相続人以外の者の貢献」に関する改正が含まれますので、下記リンクより一度ご確認下さい。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html
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