民法 弁済というものについて

今日は弁済というものについて書いていきます。

弁済とは、債務の本旨に従って債務の内容である一定の給付を実現する行為のことです。単純に言えば、借りたものを返すということになります。この弁済という行為は、債権の目的が達成されたという事実によって債権を消滅させる行為ですので、法律行為には当たりません。

以前別の記事で法律行為の意思主義について書きましたが、債務の給付者が自分の意思表示の効果として債権を消滅させるものではないので、法律行為に準拠する準法律行為に当たります。言い換えると準法律行為とは、意思表示によらないで法律上の効果を発生できる行為のことを言います。

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弁済とは実際に給付が実現されて達成されるものですが、民法では実際に債務者がそのもの自体を弁済しなくても、給付を実現するために必要な準備を行い、債権者側に協力を求めることによって法律上の効果を発生させることができます。これを「弁済の提供」と言います。

弁済の準備ができあとは弁済を実現するばかりとなっても、債権者側の都合や諸事情によって実際の弁済に至らないケースがあります。債務の履行については不履行責任が発生する場合もありますので、現実の弁済と区別して、弁済の提供という規定が設けられています。

弁済の提供は、債務の本旨に従って、現実または「口頭の提供」というものによって行われます。今述べたように、債務者は弁済の提供による法律効果によって、損害賠償や契約解除、遅延利息の支払いといったような債務不履行責任から免れることになります。

では弁済の提供について続けて見ていきましょう。

まず弁済の提供の方法ですが、今述べたとおりこれには「現実の提供」「口頭の提供」という2つの方法があります。弁済の提供ではまずは原則として、現実の提供をしなければなりません。

現実の提供とは実際に弁済が完了するであろう状態であり、債務者が債権を消滅させるためにできる限りのことを行い、債権者側が受領などの協力をすれば弁済が完了するというような状況を言います。

これに対し「口頭の提供」とは、

①債権者があらかじめ受領を拒んでいる場合

②債務の履行についての登記など、債権者の行為を必要とする場合

に認められます。

口頭の提供とは、債務者が債権者に口頭で行うものですが、これは、債務者が現実の提供をするのに必要な準備をしたことを債権者に通知し、受領を催告することで足りることとされています。

なお判例からは、債権者が契約自体を否定するなどして、弁済を受領しない意思が明確と認められる場合には、債務者は口頭の提供さえもしなくても、債務不履行責任から免れることとされています。

また物を引渡して給付を行う場合ですが、目的物が特定物である場合には現状のまま引き渡せば足りることとなりますが、不特定物の場合には瑕疵のない物を調達して引き渡さなくてはなりません。 

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商法というもの
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今日は代理について書いてみます。 民法の規定における「代理」とは、代理人が本人(代理される者)のためにすることを示して(「顕名」といいます)、相手方に対して意思表示をし、その法律効果を本人に帰属させる制度を言います。代理には「任意代理」と「法定代理」があります。では代理について見ていきましょう。 まず代理の要件ですが、 ①代理人に有効な代理権があること ②本人のためにすることを示すこと(顕名) ③代理権の範囲内で意思表示をする ことです。顕名は口頭でも署名でも問題ありません。口頭というのは、「Aさんの代理のB」ですと相手に告げる場合などです。 顕名がない場合の代理行為は代理人自身のためのものだとみなされますが、顕名がなかった場合でも、相手方がその事情を知りまたは知ることができれば代理の効果は認められます。代理行為のすべてが代理される本人に帰属します。 代理の禁止事項が2つあります。一つは「自己契約」であり、代理人が本人の相手方になることをいいます。もうひとつは「双方代理」であり、当事者双方の代理人になることをいいます。これらは債務を履行する場合や本人があらかじめ了承した場合を除き原則無効となりますが、事後に本人が追認した場合は有効となります。 代理人の権限を代理権と言いますが、代理権があっても認められない行為に「代理人の権限乱用」があります。これは代理人が代理人自身や第三者の利益を図る意図を持って、代理の形式のまま本来の権限の範囲内の行為をすることをいいます。この場合の行為も本人に帰属する(この場合の本人は、その代償を代理人に求めることになります)ことになりますが、相手方が代理人の意図を知りまたは知ることができたときに限っては、本人の責めにはならないとされています。ここもポイントです。 代理人が代理人を設けることを「復代理」といいます。間違えやすいですが、複数の複ではありません。 復代理とは、代理人が自己の権限内の行為を行わせるために、代理人自身の名でさらに代理人を選任し、本人を代理させる行為をいいます。代理人の代理人ではなく、あくまでも本人直接の代理人となります。 これには法定代理と任意代理がありますが、法定代理の場合は常に復代理を選任できるのに対して、任意代理の場合は本人の許諾がある場合や、やむを得ない事由があるときでなければ復代理人を選任できません。 代理人は誰にでもすることができ、本人が承知の上であれば成年被後見人のような制限行為能力者であっても代理人となれます。 代理人に似た概念に「使者」というものがありますが、代理人が意思決定ができるのに対し、使者の場合は意思決定はあくまでも本人がします。使者は本人の意思を完成させるだけの者になります。 代理に関しては無権代理と表見代理というものがありますが、次回これについて書いていきます。
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民法 債権者の権利について
今日は債務不履行が発生した場合の、債権者の権利について書いていきます。 債務不履行の際に債権者が債務者に請求する方法としては、 ①履行されていない債務を強制的に行わせること ②更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する この2通りが考えられます。 まず債務を強制的に行わせることについて見てみましょう。債務不履行とは債務者が履行を完全に行わない場合に発生しますので、これを強制的に行わせましょうということになります。これを「強制履行」といいます。強制履行の方法としては次の3つになります。 ①直接強制 ②代替執行 ③間接強制 です。 直接強制とは、裁判所への請求などによって、国家権力(執行機関)が債務者の意思にかかわりなく、直接的に債務内容の実現を図る方法になります。 代替執行とは、債権者や第三者によって、債務者に代って債務内容を実現させることです。特にこの場合は、実現にかかった費用は債務者から強制的に取り立てることとなります。 間接強制とは、債務の履行をさせるために一定額の支払いを命じて、その心理的な圧迫によって履行をさせようという方法になります。例としては、一定期間内に目的物を渡さない場合に、一定額の支払いを命じる場合などがあります。 次に、更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する方法について見てみましょう。 損害賠償とは、履行されなかった契約で生じた損害分の埋め合わせをさせるものであり、これを目的として金銭を請求できる権利を「損害賠償請求権」といいます。損害賠償請求は、特に特定のものを指定する意思表示がない場合は、通常は金銭に換算して行われます。これを金銭賠償の原則といいます。 埋め合わせをする損害の範囲ですが、これは「通常生ずべき損害」とされています。債務不履行が原因で直接失われた損害分を指します。 例外としては、当事者が予見したりまたは予見することができた「特別な事情」から生じた損害も含めることができます。履行が行われていたら、土地の値上がりによってさらに利益が得られた場合などがこれに当たります。 なお特別な事情とはあくまで発生するであろう事実をいうものであって、その時点で特別な損害が発生している必要はありません。 債務不履行に関しては債権者に過失がある場合も考えられますが、債権者に過失があった場合はその過失分を賠償額から差し引くことができます。この制度は「過失相殺」といいます。 過失相殺の制度は交通事故などの不法行為の場合にも適用されますが(歩行者の飛び出し等)、不法行為の場合の過失相殺はこれが行われてもその行為自体が免責されるものではなく、責任が軽減されるに過ぎません。また過失割合についても必ず相殺されるものではなく、事案によって任意的に決められる性質のものとなります。 一方この債務不履行に関する過失相殺については、債務者の損害賠償責任自体を免責することもでき、また過失割合についてはすべての事案について必要的に、必ず適用されます。 債務不履行による損害賠償については事後的に算出されるものだけでなく、「違約金」などの名目で契約によって、あらかじめ当事者間で金額を決めておくこともできます。これを「賠償額の予定」といいます。この額を定めていた場合は、債権者は損害額を証明する必要はなくなり、当事者はこの額に拘束されることとなります。 債務不履行における債務については、いろいろなものがあります。例えば家の建築を請け負った場合なども、この請負は「債務」になります。また特に債務が金銭によるものである場合は、特別なルールが定められています。 金銭は万能であり融通性が非常に高いために設けられたルールで、これを「金銭債務の特則」といいます。「金銭債務の特則」とは次の3つになります。 ひとつめは、金銭債務が不履行と言われる場合は常に「履行遅滞」の状態にあるとされ、「履行不能」の状態にはならないことです。この特則によって債務者は、弁済の義務から免れないこととなります。 2つめは、債権者側の損害の有無は問題とされず、債権者は債務不履行の事実さえ立証すれば良いとされることです。これによって損害額のみならず、その期間の利息も当然に賠償する義務が発生します。 3つめは債務者は、「不可抗力をもって抗弁とすることができない」ということです。これは自分に過失がないことを証明しても、責任からは免れることは許されないという意味です。
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今日は民法の不当利得について書いていきます。 「不当利得」とは、法律上の原因がないにもかかわらず、他人の財産や労務によって利益をうけ、そのために他人に損失を及ぼすことを言います。不当利得を得た者は、その利益の存する限度(現存利益)においてこれを返還する義務を負います。また利得を得る際に悪意であった者については、利得の返還とともに損害賠償の責任も負います。 不当利得の成立要件は次の4つになります。 ①利得が存在すること ②損失が存在すること ③利得と損失の間に因果関係が存在すること ④法律上の原因がないこと です。 ちなみに「現存利益」とは、自分の利益として残っている利益を言いますが、単純に手元に残っている現金や預貯金ということではありません。現に利益として残っているものを言います。 わかりにくいですが、例えば不当利得が10万円あったとした場合、食費に2万円使ってしまったとします。この場合の2万円は自分の利益のために使ったのですから、お金は残っていなくても栄養を得たという効果が残っています。ですので残った8万円に2万円分の食費が足されて、10万円が現存利益となります。 一方、ギャンブルなどの遊興費に2万円を浪費してしまった場合は、利益としてはなんら残っていないことになります。この場合は浪費した2万円分は差し引かれて、現存利益は8万円となります。 不当利得の具体例としては次のようなものがあります。 AさんがBさんに有名画家の絵を100万円で売ったとします。契約が成立し、BさんはAさんから絵の引渡しを受け代金を支払いました。しかし後日この絵が偽物であったことが判明したので、BさんはAさんに「不当利得返還請求」をしました。しかもAさんはこの絵が偽物であることを知っていて(悪意)販売したので、損害賠償も請求しました。という形になります。 このような不当利得ですが、次の場合には特則が付されています。 ①債務の不存在を知っていてした弁済 ②期限前の弁済 ③他人の債務の弁済 です。 どのようなことかと言うと、①は、自分に債務がないことを知っていながら弁済を行った場合です。不合理な行為ですが、このような不合理な行為をした者には保護を図る必要もないことから、その給付したものの返還を請求することはできません。ただし、強制執行を避けるために必要的にした場合や、その他の事由によってやむを得ず行った場合には返還請求を行うことができます。差し当って請求されている弁済を行わないと、差押がなされるなどの場合です。 ②の期限前の弁済とはどのようなものでしょうか。通常の弁済には「期限の利益」があり期限までは弁済を行う義務はありませんが、この期限の利益を行使せずに、期限前に弁済を行った場合です。この場合はみずからが権利を行使しなかったのですから、不当利得(弁済から期限までの利息分)返還請求をすることはできません。ただし債務者が錯誤によってその給付を行った場合には、債権者は不当利得を返還する必要があります。 ③の他人の債務の弁済とは、他人の債務を自分の債務と誤信して弁済してしまった場合です。この場合では、債権者が善意で債権証書を消失したり、担保を放棄したり、債権を時効で消滅させたりしてしまった時などは、弁済者は不当利得の返還請求をすることはできません。これは弁済者の過失より善意の債権者の保護が優先されるからです。 この場合の弁済者については、あくまでも債権者に対して返還請求できないのであって、本来の債務者に請求することはできます。誤ってした弁済を泣き寝入りするものではなく、本来の債務者に対して求償権を行使することができます。
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今日は民法における監督者や使用者の責任について書いていきます。 今日確認するのは、 1.責任無能力者の監督義務者等の責任 2.使用者の責任 3.工作物責任 4.注文者の責任 5.動物占有者の責任 についてです。ではそれぞれ見ていきましょう。 まず1の「監督義務者の責任」についてです。前回の不法行為の記事でも触れました、①の未成年者等の責任無能力者ですが、これらの者は、他人に違法な行為で損害を与えても責任を負わない場合があります。しかしそれでは被害者の救済が図られませんので、被害者救済の手段として責任無能力者を監督すべき「法定義務」のある、監督義務者や代理監督者が責任を負う場合があります。 監督義務者等は、監督を怠らなかったことを立証できない限り、責任を負うとされています。すぐ近くで万全の体制で監督をしていても不測の自体で損害が生じてしまった時などは、監督を怠らなかったことを証明すれば責任は問われないということになります。 ここで未成年である責任無能力者とはだいたい12才未満の者とされていますので、12才以上の責任能力を有する未成年の場合には、監督義務者は原則責任を負いません。しかし義務違反と未成年の不法行為に相当因果関係が認められる時は不法責任を負う場合があります。 次に2の「使用者責任」についてです。「使用者責任」とは、被用者(使用されている者)がその使用者の事業を執行する上で、他者に違法な損害を与えた場合の責任を言います。使用者責任成立の要件は次のとおりです。 ①使用者と被用者との間に、指揮監督などの使用関係があること ②被用者の加害が事業の執行についてなされること ③被用者が不法行為の一般的成立要件を備えていること ④使用者が専任・監督上の注意義務を尽くしていないこと です。 ②の事業執行についてとは、具体例を挙げますと、タクシーや運送業の運転手が仕事中に事故を起こした場合などです。ただここで問題となるのは、どこまでの範囲が業務執行に当たるのかということです。運行中によそ見をして事故を起こしたなどの場合がこれに当たりますが、そのような場合のみならずもう少し広い概念で、客観的に見て職務行為の範囲内だと認められる場合が該当するとされています。 なお業務中の被用者の暴力行為については、その損害が業務を行うことがきっかけとなり、またその業務と密接な関連性を有すると認められるか、によって判断されます。 今述べたように、使用者はその使用者責任によって被害者に賠償を行いますが、その場合に直接の加害者は蚊帳の外かというとそうではありません。賠償をした使用者は、今度は加害者である被用者に行った賠償について求償することができます。ただし求償する内容についてはすべてをできるわけではなく、所々の事情を鑑みて、信義則上相当と認められる範囲に限定されます。 被用者が第三者と共同で不法行為を行い、その賠償を使用者がした場合には、使用者は被用者のみならず第三者にも求償をすることができます。この場合は被用者と第三者の過失割合によって求償を行ないます。 3の「工作物責任」とは、土地の工作物の設置や保存(維持管理)について適正に行う責任を言います。この設置や保存に「瑕疵」があり、そのために他人に損害を与えた場合はまずその工作物の「占有者」が責任を負います。 この占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを証明したときは、「所有者」が責任を負うこととなります。 ここで言う「土地の工作物」とは、工事などによって土地に固定して作られたものをいい、建物や橋、鉄道などがこれに当たります。工作物の「瑕疵」とは、工作物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます。その物自体の性能などが安全性を欠いている場合だけでなく、その物に係る安全設備を欠いているために危険な状態を生じさせている場合も瑕疵に該当します。 占有者は必要な注意を払ったことを証明すれば免責されると書きましたが、最終的な所有者の責任は免責が認められない「無過失責任」となります。 4の請負契約などの「注文者の責任」ですが、注文者がした指図や自己の過失がない限りは、原則注文者については第三者に損害を与えても賠償責任は負いません。 最後に「動物占有者の責任」についてです。ペットの買主などを言いますが、この動物を管理する者は、動物が他人に与えた損害については原則賠償する責任を負います。ただしこの場合も、占有者が相当の注意をもって管理したことを立証すれば免責される場合もあります。
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