民法 寄託契約について

今日は寄託契約というものについて書いていきます。

「寄託」とは、当事者の一方が相手方のために「特定物」の保管をすることを約束して、その特定物を受け取ることによって効力を生じる契約を言います。保管する者を「受寄者」、預ける側を「寄託者」と言います。

寄託は無償で行う場合と有償で行う場合がありますが、無償で寄託を受けた場合は、”自己の財産に対するのと同一の注意義務“で保管すれば良いとされています。無償の場合は、日常自分の物を管理するのと同じくらいの注意で足りるということです。

一方有償の場合は、”善良な管理者の注意義務“、いわゆる「善管注意義務」を負います。

この2者の違いですが、前者は重過失の場合には損害賠償責任を負いますが、軽過失の場合は責任を負いません。これに対して善管注意義務がある場合は、軽過失でも責任を負うこととなります。

前回委任契約の義務について触れましたが、保管するのに必要な費用については委任の規定が準用され、寄託者に対して請求することができます。なお受寄者は寄託者の承諾なしには寄託物を使用することも第三者に保管させることもできません。無償であっても有償であっても同様です。

寄託契約は寄託物が返還されれば終了します。

返還についてですが、寄託者側は、たとえ当事者同士で返還の時期を定めた場合であっても、いつでも返還を請求することができます。一方の受寄者においては、返還の時期の定めがある場合には、やむを得ない事由がない限り期限前に返還することはできません。

では返還の定めがない場合はどうでしょうか。寄託者はいつでも返還の請求をすることができますし、受寄者においてもいつでも返還することができます。 

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民法における事務管理
今日は民法における事務管理というものについて書いていきます。 「事務管理」というとピンときませんが、いわゆる人のためにする「おせっかい」のことです。良かれとおせっかいでしたことも、場合によっては費用や損害が発生してしまうこともありますので、民法では「事務管理」という用語で法律効果を与えています。 具体的にはAさんの旅行中に台風でAさん宅の窓が割れてしまった場合に、Bさんが見過ごすことができずに業者に頼んで窓を応急修理した場合などです。 ではあらためて見ていきます。「事務管理」とは、法律上の義務がないのに、他人のためにその事務を行う行為を言います。事務とは行った行為のことです。この行為は契約に基づくものでもありませんし私人間の行為なので、本来法律の立ち入る必要のないことではありますが、おせっかいをした者に一定の法的保護を与えるために設けられた規定になります。 その条項では、義務なく他人の事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い最も本人の利益に適合する方法によってその事務管理をしなければならない、としています。またその者が本人の意思を知っている場合や推し量れる場合は、その意思に従って事務管理をしなければならないとされています。要は一旦事務管理をした場合には、必ず適切な手段をもって対応しなさいということになります。 事務管理の成立要件として、次の4つが挙げられます。 ①法律上の義務がないこと ②他人の事務を管理すること ③他人のためにする意思があること ④本人の意志や利益に反することが明らかでないこと です。 これらの要件が満たされると事務管理の効力が発生しますが、この場合はその違法性や費用の発生などが問題になってきます。 まず違法性についてですが、事務管理については勝手に他人のことについてするものですので、ともすれば権利の侵害にあたる場合も出てきます。しかしこの場合は違法性が排除され、不法行為には当たりません。 事務管理が開始した場合には、管理するものは原則、遅滞なく本人にその旨を通知しなければなりません。次に事務管理について発生した費用が問題になる場合があります。管理する上で必要な費用が発生した場合には、本人に請求することができます。これは単なるかかった費用ということでなく、本人にとって必要な者であれば認められます。 なお事務の管理方法が不適切なために損害が発生した場合については、事務管理の不履行責任を問われる場合があります。事務管理をする者は、一旦管理を始めた場合は本人等が管理できるようになるまで原則、善管注意義務を負うこととなります。この義務に反した場合には損害賠償が発生することもありますが、危急の場合には悪意重過失の場合のみ賠償責任を負うこととなります。
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7月1日民法一部改正(相続分野)施行
相続分野の改正民法が、本年7月1日に施行となります。 すでに施行された「自筆遺言書の方式緩和」、2020年4月1日施行の「配偶者の居住権を保護するための方策(短期、長期)」、2020年7月10日施行の「自筆証書遺言の保管制度」を除き、2019年7月1日より施行されます。 あと1月ほどとなりましたが、これには「遺留分制度」や「相続人以外の者の貢献」に関する改正が含まれますので、下記リンクより一度ご確認下さい。 https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html  
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自筆証書遺言について追記
今日は本題の普通方式の遺言について書いていきます。通常作成される遺言のほとんどはこの普通方式になります。 普通方式には「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類がありますが、公正証書遺言は平成29年には110,191件作成されており、年々増加しています。それに対し秘密証書遺言の作成は、わずか130件にとどまります。 一方、自筆証書遺言については裁判所が受理した「検認」数でしか確認することはできませんが(2年以内に法務局による保管制度が開始されます)、その数は16,708件にとどまります。 新規作成された件数と相続が開始した件数とで比較対象が異なりますが、昨今は遺言の役割が理解され始め、手近な自筆証書遺言が作成される機会が相当増加していると思われます。すでに公正証書遺言の作成数を上回っているとさえ言われている中で、自筆証書遺言による方式の不備や内容の偏りや不明確さによるトラブルも危惧されています。 先に触れてしまいましたが、それではそれぞれの種類について、作成方法やメリット・デメリットについて見ていきましょう。 先に書きました、民法に規定される「普通方式」の遺言については、3種類の方式が定められています。各方式、厳密な作成ルールが規定されており、内容に不備があると法的効果が得られないことになります。3種類の方式は、①自筆証書遺言(民法968条)②公正証書遺言(同969条)③秘密証書遺言(同970条)になります。 まず①の自筆証書遺言について見ていきましょう。 「自筆証書遺言」の作成方法は、いたってシンプルです。遺言者本人が、遺言書の全文、日付および氏名を自書し、捺印して作成します。 全文には財産目録などすべてを含みますが、今回の民法改正によって、平成31年1月13日から目録については自書でなくても良いことになりました。財産が多い場合などは書く事が負担であった財産目録は、パソコンなどで作成しても良いことになります。時流に合わせた改正になりました。 ここで言う自書とは文字通り遺言者みずからが自分の手で記述することをいい、口述であったり他人が手を添えることも原則認められていません。 日付については、明確に作成した当日の日付を自書します。西暦であっても元号であっても構いませんが、日付印であったり特定されない日付、例えば9月吉日等の場合は無効となります。判例からは、遺言者自身の70歳の誕生日に書いたとか、11月末日に書いたという記載があれば、それは自書した日を特定できるということになります。 遺言は撤回することも書き直しすることも自由にできます。しかし法的効果を有する遺言が複数見つかった場合は、内容が矛盾する部分については必ず後の遺言が有効になります。ですので、遺言が書かれた日付というものが極めて重要になるのです。 次の氏名については、これも当然自書しなければなりません。しかし氏名は戸籍上の氏名である必要はなく、遺言者が誰であるか疑いのない程度の表示がなされていれば良いこととされ、ペンネーム等の通称でも問題ありません。また氏や名のどちらか一方のみであっても、他人との混同が生じない場合には有効とされます。これらは民法に直接の記載はありませんが、判例から確認されます。厳密な規定と言いながら腑に落ちない部分ではありますが、余計な問題を起こさないように、必ず自分の本名を自書するようにしましょう。 次は押印についてです。印を押す場合には捺印という言葉も使われますが、雑学として、一般的には自分で書いた名前(自書)に印を押す場合は「捺印」、自書以外に印を押す場合は「押印」と言うようです。「押捺」という場合には拇印も含むようです。ここでは名前に印を押す場合ばかりではないので、「押印」という言葉を使います。 押印する印については実印を押すという規定はないため、いわゆる認印や拇印でも良いとされています。しかしトラブルを防ぐ意味からも、実印や銀行印で押印することをお勧めします。 押印する場所も特に決まっていないので、どこに押しても構いませんが、やはり自書した上か横に押すのがセオリーでしょう。どちらにしても遺書本紙に押印することが必要で、封印した封筒のみへの押印は無効になります。 ここでもう一つ問題になることは、遺言が複数に渡った場合の押印は、各紙面に必要かどうかということです。通常契約書などの場合は、例えば1枚目と2枚目のあいだに後から作成された用紙が差し込まれないように、1枚目と2枚目のつなぎ目に「契印」というものを押します。「契印」は1枚目と同じ印を使用します。ここもトラブルがないように、契印を押しておきましょう。 次に訂正があった場合の方法について説明します。「加除訂正」と言いますが、遺言書の加除訂正の要件は、 ①遺言者自身によりなされること ②変更の場所を指示して訂正した旨を付記すること ③付記部分に署名すること ④変更箇所に押印すること です。 余白に文言を後から付け加えた場合もこの方法に則ります。この加除訂正の方式に間違いがあった場合は、その加除訂正自体が無効となりますが、遺言書全体は当然無効にはなりません。加除訂正される前の元の内容が判別できれば元の内容が生きることとなり、判別不能な場合はその部分が一切記載されていないものとして扱われます。 加除訂正は非常に面倒な手続きですし、誤りも発生しやすいものですので、変更等がある場合は新たに書き直された方が良いと考えます。またその際はトラブル防止のために、必ず前の遺言書は破棄しましょう。なお自筆証書遺言は日本語に限られず、外国語で作成することもできます。
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改正民法 遺留分侵害額請求権について
以前、相続人の相続分の記事の中で遺留分について触れましたが、今日はそれを補完していきます。 遺留分とは遺言者が遺言書などによっても奪うことのできない、相続人に最低限保証された相続分を言います。その遺留分を侵害された(遺留分の侵害といいます)相続人は、侵害された額を遺留分を侵害した者に請求することができます。 例えば被相続人に妻と子が1人いた場合に公正証書遺言書で、「自分の弟に全部を遺贈する」という公正証書遺言を残したとします。本来は相続人である妻と子がいますので、この場合の弟は相続人ではありません。しかし遺贈するということですので、問題はないことになります。そうすると本来は財産の1/2づつを相続するはずだった妻と子は、まったく遺産を相続することができません。 遺言があるなら仕方がないと諦める方もいらっしゃるでしょうが、普通は「自分たちの相続分をどうしてくれるの」と思われる方が多いと思います。当然です。知人や専門家に聞いたり、インターネットで調べることになるでしょう。 世の中には不条理なことも多々あると思いますが、法律の世界では様々な場面を想定して救済措置や解決に向けての手順が示されています。この場合は民法の規定によって、遺留分を侵害された妻と子が、侵害された遺留分を弟に請求することができるわけです。この権利を「遺留分減殺請求権」と言います。 「遺留分減殺請求権」においては、請求された遺産分の返還についての返還物の選択(現金なのかどの不動産なのか)権は請求された側にしかありませんでしたが、今回の民法改正(2019年7月1日施行)によって、遺留分権利者側が遺留分侵害額を金銭で請求できる権利になります。これに伴い名称も「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」に改称されます(以下遺留分侵害額請求権とします)。 遺留分を請求する権利のある者(遺留分侵害額請求権利者)は、配偶者と子および直系尊属のみになります。兄弟姉妹は法定相続人ではありますが、遺留分は有しません。つまり、遺留分侵害額請求権者が自分の遺留分を侵害された場合にのみ、遺留分侵害額請求をすることができます。先ほどの例で言うと、妻と子は請求権を有する訳です。 一方、仮に被相続人の妻と被相続人の兄弟姉妹が法定相続人である場合に、公正証書遺言書によって、「妻に全財産を相続させる」とあった場合はどうでしょうか。この場合は兄弟姉妹に遺留分侵害額請求権はありませんので、全財産が妻に相続されることになります。 ちなみに遺留分侵害額請求できる額等については従来民法と変わらず、遺留分権利者が配偶者や子を含む場合は、法定相続分の2分の1が遺留分の割合になります。遺留分権利者が直系尊属のみの場合は、法定相続分の3分の1が遺留分の割合になります。 最後に、遺留分侵害額請求は訴訟を起こすことなく、裁判外でも行うことができます。遺留分権利者が遺留分侵害者に、「この分は私の遺留分だから、返して下さい」と口頭で伝えても、遺留分侵害者には侵害額分を金銭で返す義務が生じます。ただ通常はトラブルを避けるためにも「内容郵便証明」等で送達することをお勧めします。 また遺留分侵害額請求もいつまでもできると言うことではなく、「遺留分権利者が、相続と遺留分侵害の事実を知ってから1年間」という時効がありますのでお気をつけ下さい。
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相続における民法について
しばらく民法について書いていきたいと思います。相続や遺言については民法に規定されています。また私人間の契約関係や家族関係についても民法に規定されていますので、民法を学んでおくことは、相続の際にも役に立ちます。 民法は、私人間の生活関係を規律する私法の一般法であり、財産法と家族法からなります。全体は①総則②物権法③債権法④親族法⑤相続法の5つに分けて整理されています。 財産法である物権については、所有権絶対の原則が支配しています。私人は自己の所有物を自由に支配できるというものです。しかしこれにも唯一、公共の福祉の制約があります。 公共の福祉の制約は民法のみならず、憲法をはじめとしたあらゆる法律のベースにあるものです。その解釈についてはむつかしい争いがあるようですが、要はいくら自分が自由にできるといっても、公共(周りの人々)の権利や迷惑を冒してまでは認められませんよということですね。 自分の家の裏手の道路に障害物を置いて、住民の通行を妨害していたおじさんが捕まりましたが、公共の福祉の制約は知らなかったようですね。また自分の家の木の枝が境界線を道路に思い切りはみ出して、いくら危険であっても、頑として枝を切らないじいさんがいましたね。民法の規定では、近所の人がこの空中に突き出た枝を自ら切ることはできなくて、切ってくれと要請するしかありません。境界線をはみ出した根っこの場合は、住民自ら切ることができますが。行政の怠慢ではありますが、この場合は道路法で対処するか、万が一この枝によって負傷した場合に管理責任を問うて損害賠償を請求するかですかね。 話が脱線しましたが、もうひとつ財産法には債権があります。債権関係は私的自治の原則というものが支配しています。 私人間の私的法律関係は個人の自由意思で形成されるものであり、国家は介入できないとされています。しかしこれには様々な制約があります。 今回の民法改正にもありましたが、債権は特に法律が強く関与しているため、時代や経済の要請によって変化して然るべきものでもあります。現代では経済的弱者(賃借人等)救済のための制約が種々設けられています。 一方の家族法について現在の民法では、戦前までの旧民法とは考え方において根本から変更されたものとなっています。 家族法の基本原理は、個人の尊厳と両性の本質的平等を基礎として、家族は夫婦を中心としたもの規律されています。戦前までの民法における家族の考え方は、夫婦ではなく親子を中心とした考え方でした。これが家長制度の裏付けともなっています。 家族法はあくまで夫婦二人を主な対象としていますので、前述の財産法における自由な個人の権利義務とは相容れない部分もあります。ですので一般的に財産法の基本原理は家族法には適合しないものとなっています。 さて、民法のような「私法」とはどのようなものでしょうか。 私法とは、国家と国民の基本的な関係について定めた憲法のような「公法」に対し、「私人と私人との法律関係」を規律する法をいいます。言い換えると、社会生活上当然に生ずる私人間相互の関係を規律する法ということです。 私法によって保護される権利を「私権」といいます。私法は、法律関係を充足すると法律効果が発生するというスタイルをとりますが、私権の行使に関しては「制約原理」というものがあります。私権は法律で認められはしても、そこには一定のルールがありますということです。 1つめは先ほどの公共の福祉の原則です。2つめは「信義誠実の原則」といって、よく「信義則」という言葉で使われます。今の国会では特によく出てきますが、相手の信頼を裏切らないように行動しましょうということです。 これに関連しては、「禁反言の法理」や「クリーンハンズの原則」といった言葉も使われます。前者は自らの行為と矛盾した態度は許されないということ、後者は法を尊重する者のみが法の尊重を要求できるというものです。 3つめは「権利濫用の禁止」です。たとえ認められた権利であっても、社会性に反しての濫用は認められないというものです。濫用の基準は、得る権利と失う利益を比較検討して判断するとされています。 これら信義則や権利濫用については、表立って出されるものではなく、他の条文で決着しない場合に適用されるものとなります。
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民法 債権者の権利について
今日は債務不履行が発生した場合の、債権者の権利について書いていきます。 債務不履行の際に債権者が債務者に請求する方法としては、 ①履行されていない債務を強制的に行わせること ②更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する この2通りが考えられます。 まず債務を強制的に行わせることについて見てみましょう。債務不履行とは債務者が履行を完全に行わない場合に発生しますので、これを強制的に行わせましょうということになります。これを「強制履行」といいます。強制履行の方法としては次の3つになります。 ①直接強制 ②代替執行 ③間接強制 です。 直接強制とは、裁判所への請求などによって、国家権力(執行機関)が債務者の意思にかかわりなく、直接的に債務内容の実現を図る方法になります。 代替執行とは、債権者や第三者によって、債務者に代って債務内容を実現させることです。特にこの場合は、実現にかかった費用は債務者から強制的に取り立てることとなります。 間接強制とは、債務の履行をさせるために一定額の支払いを命じて、その心理的な圧迫によって履行をさせようという方法になります。例としては、一定期間内に目的物を渡さない場合に、一定額の支払いを命じる場合などがあります。 次に、更なる履行を請求せずに、損害賠償を請求する方法について見てみましょう。 損害賠償とは、履行されなかった契約で生じた損害分の埋め合わせをさせるものであり、これを目的として金銭を請求できる権利を「損害賠償請求権」といいます。損害賠償請求は、特に特定のものを指定する意思表示がない場合は、通常は金銭に換算して行われます。これを金銭賠償の原則といいます。 埋め合わせをする損害の範囲ですが、これは「通常生ずべき損害」とされています。債務不履行が原因で直接失われた損害分を指します。 例外としては、当事者が予見したりまたは予見することができた「特別な事情」から生じた損害も含めることができます。履行が行われていたら、土地の値上がりによってさらに利益が得られた場合などがこれに当たります。 なお特別な事情とはあくまで発生するであろう事実をいうものであって、その時点で特別な損害が発生している必要はありません。 債務不履行に関しては債権者に過失がある場合も考えられますが、債権者に過失があった場合はその過失分を賠償額から差し引くことができます。この制度は「過失相殺」といいます。 過失相殺の制度は交通事故などの不法行為の場合にも適用されますが(歩行者の飛び出し等)、不法行為の場合の過失相殺はこれが行われてもその行為自体が免責されるものではなく、責任が軽減されるに過ぎません。また過失割合についても必ず相殺されるものではなく、事案によって任意的に決められる性質のものとなります。 一方この債務不履行に関する過失相殺については、債務者の損害賠償責任自体を免責することもでき、また過失割合についてはすべての事案について必要的に、必ず適用されます。 債務不履行による損害賠償については事後的に算出されるものだけでなく、「違約金」などの名目で契約によって、あらかじめ当事者間で金額を決めておくこともできます。これを「賠償額の予定」といいます。この額を定めていた場合は、債権者は損害額を証明する必要はなくなり、当事者はこの額に拘束されることとなります。 債務不履行における債務については、いろいろなものがあります。例えば家の建築を請け負った場合なども、この請負は「債務」になります。また特に債務が金銭によるものである場合は、特別なルールが定められています。 金銭は万能であり融通性が非常に高いために設けられたルールで、これを「金銭債務の特則」といいます。「金銭債務の特則」とは次の3つになります。 ひとつめは、金銭債務が不履行と言われる場合は常に「履行遅滞」の状態にあるとされ、「履行不能」の状態にはならないことです。この特則によって債務者は、弁済の義務から免れないこととなります。 2つめは、債権者側の損害の有無は問題とされず、債権者は債務不履行の事実さえ立証すれば良いとされることです。これによって損害額のみならず、その期間の利息も当然に賠償する義務が発生します。 3つめは債務者は、「不可抗力をもって抗弁とすることができない」ということです。これは自分に過失がないことを証明しても、責任からは免れることは許されないという意味です。
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民法における養子縁組について
今日は養子縁組のうち、普通養子縁組について書いていきます。 養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」がありますが、通常行われる養子縁組が普通養子縁組になります。 「縁組」とは、養子とする行為を言います。「普通養子縁組」が成立する要件としては形式的要件と実質的要件がありますが、形式的要件は「届出」になります。婚姻などと同様に、養子縁組も「届出」を行わないと縁組は成立しません。 では実質的要件とはどのようなものでしょうか。実質的要件には次の2つがあります。 ①縁組意思の合致 ②縁組障害事由の不存在 です。 「縁組意思の合致」とは、養子縁組を行う当事者双方に、真に親子関係を形成して養子縁組を成立させようという意思があることを言います。この意思がなく、他の目的のために行う縁組は無効になります。他の目的とは、相続人になるためにすることなどが挙げられます。 次のような場合は縁組をすることができません。縁組をすることに障害となる事由があるということであり、「縁組障害事由の不存在」とは、縁組をすることに障害となる事由がない、つまり縁組をしても良いですよということになります。 ①養親が未成年の場合は、縁組をすることができません。ただし未成年が婚姻をした場合には、「成年擬制」により養親となることができます。 ②養子となる者が養親になる者より年長者の場合、または養親の尊属の場合は縁組をすることができません。 ③後見人が被後見人を養子にする場合は、縁組をすることができません。ただし家庭裁判所の許可があれば認められます。 ④配偶者のある者が未成年者を養子にする場合には、原則共同して縁組しなければなりません。ただし、配偶者の嫡出子を養子にする場合(再婚時の連れ子等)は共同でする必要はありません。 ⑤配偶者のある者が養子になる場合、または配偶者のある者が成年者を養子にする場合は、配偶者の同意があれば単独で縁組をすることができます。 ⑥養子となる子が15才未満の場合は、法定代理人が縁組の承諾をすることができます(代諾養子)。 ⑦未成年者を養子とする場合には、自分や配偶者の直系卑属を養子とする場合を除き、原則家庭裁判所の許可が必要になります。 普通養子縁組が成立した場合には、次のような効果が発生します。 ①養親の嫡出子たる身分 ②法定血族関係 ③養親の氏の取得 です。 「養親の嫡出子たる身分」は縁組の日から効果が生じます。養子が未成年者の場合は、養親が親権者になります。 養子となった者は嫡出子と同様の、相続権や養親の扶養義務が発生することとなりますが、縁組前の実親やその血族との親族関係は存続しますので、実親も相続することができます。「普通養子」となった者は、実親と養親の両方を相続することができます。 「法定血族関係の発生」について、養親やその血族との間の法定血族関係も、縁組の日から発生します。 「養親の氏の取得」についても同様の効果となります。ただし婚姻によってその氏を改めた場合は、夫婦同氏の原則が優先します。
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民法 詐害行為取消権について
今日は詐害行為取消権について書いていきます。 「詐害行為取消権」とは、債務者がその責任財産を減少させる法律行為(詐害行為)をした場合に、債権者がその行為を取り消し、減少した財産を回復させる権利をいいます。これは強制執行を行う前の準備段階として、総債権者の責任財産の保全を目的とした制度になります。 「詐害行為取消権」の成立要件としては、次の6つが挙げられます。 ①保全される財産が金銭債権であること ②保全される財産が、詐害行為前に成立していること ③債務者が詐害行為時および取消権行使時に無資力であること ④財産権を目的とした法律行為であること ⑤債務者に詐害の意思があること ⑥受益者や転得者が悪意であること です。 では、詐害行為取消権の行使の方法や効果について見ていきましょう。 詐害行為取消権は、債権者が必ず「自己の名」で行ないます。また債権者代位権と異なり、必ず「裁判上」で行わなければなりません。 取り消しを行える範囲は、債権者の被保全債権額の範囲に限定されます。建物のように目的物が不可分の場合は、被保全債権額が建物価格に足りなくても、詐害行為の全部を取り消すことができます。 詐害行為取消権を行使できる期間は、債権者が取り消しの原因(詐害行為)を知った時から2年間(消滅時効)となります。知らない場合も詐害行為から20年で時効(除斥期間)となります。 詐害行為取消権の効力は全債権者の利益のために発生することとなり、受益者や転得者から取り戻された財産は、全債権者の共同担保となります。目的物の引渡しについては債権者代位権同様、原則は債務者への引渡しとなりますが、直接債権者への引渡しを請求することもできます。 とは言っても、詐害行為取消権には効果の及ぶ範囲が定められています。債務者であっても自分の財産を処分することは自由であるはずですが、詐害行為取消権はこの自由を制約するものとなりますので、その制約を最小限に抑える内容となっています。 これから、詐害行為取消権の被告は債務者ではなく、受益者または転得者にすべきとしています。 また取り消し判決がなされる場合でも、その効力の及ぶ範囲は取り消し債権者と相手方(受益者または転得者)の関係でのみ詐害行為の抗力を失わせるものであって、第三者の法律関係には影響は及ぼさないとされています。
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民法 意思表示について
今日は民法の意思表示について書いていきます。 法律用語の場合、前回の善意・悪意のように独特の表現や意味が使われています。その説明においても独特の微妙な解釈の出来る言い回しがされる場合が多いです。心理留保を「うそ」というように噛み砕いて平易な言葉で説明される場合もありますが、それだとかえって範囲が狭まってしまう場合もありますので、基本的には遠まわしでも回りくどい言い方を使っていきます。 私も行政書士のホームページで主要業務の説明をしていますが、例えば建設業許可など建設業法という法律で決まっていることなので、文として読みやすくこそすれ基本的には表現をあまりいじることなく書いています。グーグル対策なのか個性を出すためかわかりませんが、無理に表現をこねくり回しているものも多く見られますが、そこに意味を見い出せませんでしたのでそういう体裁で作りました。グーグル対策的には良くないことなのかな?まあよいので、話を続けます。 意思表示とは一定の法律効果を期待して、意思を外部に表示する行為のことです。意思表示は、 ①効果意思 ②表示意思 ③表示行為 という段階を経ますが、③の表示行為がなされても、①②の意思を欠く場合には、意思表示があったとはいえないとされています。これを意思主義と言いますが、ここでの効果意思とは、一定の効果の発生を期待してする意思のことであり、表示意思とは意思表示のことでもありますが、効果意思を表示しようとする意思のことです。表示行為はそれらの行為を行うことです。 意思主義では単に行為を行っただけでは意思表示とは言えず、期待する効果が存在しており、またそれを表に出したいという意思がないと意思表示には当たらないということです。 民法を含む私法には、 ①権利能力平等の原則 ②私的所有権絶対の原則 ③私的自治の原則 という3大原則があり、私的自治の原則からは意思主義が望ましいとされています。 効果意思を欠く場合を意思の不存在といい、効果意思を作る状況に瑕疵がある場合を瑕疵ある意思表示といいます。ちなみに「瑕疵」もよく使われる言葉ですが、これは本来備わっているものが備わっていない状況をいう概念です。単純に言えば「きず」のことですかね。 先ほどの効果意思を欠く場合を意思の欠缺(けんけつ)といいます。欠缺とは、ある要件が欠けていることを言います。 意思主義の対義語に表示主義がありますが、発信する側から見た場合には意思主義が有効とされますが、商売などにおいて相手方は表示をのみを見て判断するする場合が多くなります。その場合には効果意思や表示意思は推測でしかありませんので、相手方を保護するという立場から、表示そのものを重視する表示主義も認められています。 ではこれらの意思表示の中でも、法律で無効とされたり取り消されたりする意思表示について見ていきましょう。これらには、 ①心理留保 ②通謀虚偽表示 ③錯誤 ④詐欺 ⑤脅迫 の5つがあります。心理留保は相手方を保護する表示主義に基づいたものであり、他の4つは意思主義の意思の欠缺によるものとなります。 まず「心理留保」とは、表意者が表示行為に対応する真意のないことを知りながらする単独の意思表示のことです。平たく言えば冒頭の「うそ」のようなものです。表示主義に基づいていますのでその意思表示は有効となります。効果意思や表示意思がなくとも成立します。相手方を保護するものですね。 しかしこれはあくまでも相手方が善意であった場合に限られ、相手方が表意者の真意でないことを知っていた場合や知ることの出来た場合、いわゆる悪意の場合はその意思表示は無効になります。保護される必要がないということになります。 次の「通謀虚偽表示」とは複数の者が、相手方と通謀してする真意でない意思表示のことです。通謀とは、あらかじめ申し合わせて企むことです。これが成立する要件は、 ①意思表示が存在すること ②表示と具体的に期待する法律効果が不一致であること ③真意と異なる表示をすることについて、相手方と通謀している ということです。当事者間では保護されるべきものではありませんので、無効となります。 ここに関与してくる第三者に関してですが、表示後に登場した第三者には対抗できません。「第三者」というのは「当事者および包括承継人以外のもので、虚偽表示の外形を基礎として新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者」を言います。めんどくさい表現ですが、法律できちんと定義されているんだから仕方がありません。これは覚えどころで、私も記述の試験対策で覚えました。新たに云々の前には、それぞれの法律の場面に関与してくる第三者の状況が入ってくることになります。 行政書士の勉強は合格基本書と過去問があれば独学でも問題ないと思いますが(私もそうでしたが)、自分でノート(バインダー式)を作ることと、記述式の想定問題集(私はLECのものを買いましたが、試験に出るまで何年でも使えますよ)は買ったほうが良いと思います。バインダー式であれば、別の参考書からの違う観点を追記したりできますし。
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民法上の委任契約について
今日は民法における委任契約というものについて書いていきます。 「委任」とは当事者の一方が「法律行為」をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力が生じる諾成契約になります。 「諾成契約」とは、当事者の意思表示のみで成立する契約のことを言います。ちなみに当事者の合意のみでは足らず、物の引渡しや給付を成立要件とする契約は「要物契約」と言います。 委託する側を「委任者」、承諾する側を「受任者」と言います。ここで委任とは法律行為を委託すると言いましたが、法律行為以外の事務の委託も当然あるわけで、それは「準委任」と言い委任の規定が準用されます。 委任をするにあたっては、委任者側にも受任者側にも義務や責任が発生します。 ではまず委任者側の義務について見ていきましょう。委任者は原則、受任者に経済的に負担をかけないという義務を負い、具体的には次のような義務が発生します。 ①報酬支払い義務 ②費用前払い義務 ③立替費用償還義務 ④債務の弁済または担保供与義務 ⑤損害賠償義務 です。 まず①についてですが、民法においては委任というものは、原則無償委任になります。ですので、報酬の支払い義務が発生するためには報酬支払いの特約が必要になります。また特約があった場合でも、その報酬は原則後払いになります。 ②では、委任された事務を処理するについての必要な費用について、事前に受任者から請求があった場合には前払いをする必要があります。あくまでも遂行に必要な費用の場合です。 ③の立替費用とは、必要な費用が前払いされずに、受任者によって立替えられた費用のことです。この場合は立替えた費用を請求できるのみならず、支出以降の利息も請求することができます。 ④の債務とは、委任事務を行うについての費用的なものに収まりきらず、受任者が債務を負った場合のものを言います。この場合の債務は必要と認められる範囲に限られますが、その弁済を自分に代わってするようにと、受任者は委任者に対して請求することができます。まだ弁済期の到来していない債務については、委任者に担保を請求することもできます。 ⑤の損害賠償義務とは、受任者が自分に過失がないにもかかわらず損害を被った場合に、委任者に損害賠償を請求できる権利になります。この場合の委任者の責任は無過失責任(委任者に責任がなくても負う責任です)になります。 委任契約はその目的を完了したときに終了しますが、それ以外にも終了となる場合があります。 まず、理由がなくても当事者双方が一方的にいつでも解除が行える、「無理由解除」(告知と言います)というものがあります。もともと委任契約というものは無償契約が原則であるように、当事者間の信頼関係が基礎となるものになります。ですので、この信頼関係が崩れた時など、委任契約を継続することが難しいからです。 しかし関係が崩れたから一方的にというのも理不尽ではありますので、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方に不利な時期の解除については、損害賠償を条件に認められることとなります。 また告知以外でも、委任者が死亡したり破産手続開始の決定を受けたときや受任者が死亡したり破産手続開始の決定を受けたとき、あるいは後見開始の審判を受けた場合は、当然に終了します。
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