相続の際の戸籍の追跡
遺言書がない相続が発生した場合、相続関係を確定させるために関係するすべての戸籍謄本を取得しなければなりません。
被相続人に存命の配偶者とお子さんがいらっしゃれば、1/2の遺産は配偶者の方に権利がありますが、残りの1/2はお子さんで等分します。お子さんといっても現在の配偶者の方のお子様だけではなく、離婚歴がある場合はその方との間にできたお子さん、また非嫡出子でも認知しているお子さんがあればその方、また離縁されていない養子の方も同権利になります。
相続が発生した時点ですでに亡くなられているお子さんがいらっしゃれば、そのまたお子さん(孫)が代襲相続しますので、その方々の戸籍や住民票が必要になります。戸籍を取得する際に併せて「戸籍の附票」というものも取得し、その方が引っ越された履歴を追い、現在ご存命で相続の権利があることを証明していきます。
さて、相続人が被相続人のご兄弟のみの場合は、難易度が一段上がっていきます。前述の場合同様、ご兄弟に知れていない兄弟が存命か確認していく作業が必要になります。これは被相続人のご両親の出生時に遡った(銀行等によっては出産一定年齢等の場合があります)戸籍謄本を取得し、知れていないご兄弟が存命か確認しなければなりません。
その方を含めたご兄弟が亡くなられていた場合は、同様に代襲相続が発生します。ただしお子さんの相続の場合は、代襲者の死亡による再代襲制度がありますが、兄弟姉妹の場合は再代襲は認められていませんので、それ以下の方は調べる必要はありません。
戸籍取得は場合によっては数10枚に及び、またご兄弟の場合は戸籍を取得し追跡していく権限はありませんので、行政書士にご依頼をいただければと存じます。
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今日は「公正証書遺言」についてお話します。
「公正証書遺言」とは、「自筆証書遺言」と同様に民法の規定に則って書かれた遺言書ですが、公証役場で公証人と証人の立会によってその内容や方式を確認され公証された遺言書です。ですので方式や内容に誤りのないものとなります。
また作成された遺言書は、公証役場に保管され、遺言者や遺言執行者にも正副本が渡されます。この方式にも長所短所があります。
短所は、
①行政書士の費用の他にも公証役場や証人費用等、作成に費用がかかります。公証役場での手数料は財産額に応じて決められており、相続人数分の費用がかかります。
②交渉人や証人に内容を確認されますので、遺言書の存在と内容の秘密が確保できません。またご家族等も、公証役場のシステムによって、遺言の存在は確認できます。
一方の長所ですが、
①公証人が関与しますので、方式の不備や内容の不備による無効を避けることができます。
②遺言書が公証役場で保管されますので、紛失や改ざんの恐れがありません。
③家庭裁判所での検認手続きは不要です。
④遺言書の内容がほぼ確実に実現される可能性が極めて高いものです。
以上「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について書きましたが、特に行政書士等に依頼される方式としてはほとんどが公正証書遺言となります。
遺言書を残される方の多くはご自身の意思を伝えたいことももちろんですが、遺された家族の方々の心身の負担を軽くすることを第一に望まれていることが多いようです。円満な相続と遺言の確実な実現のためにも、費用はかかってもスムーズなお手続きを取ることのできる、公正証書遺言をおすすめします。
http://gyosei-suzuki-office.com/category2/entry19.html
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相続分野の改正民法が、本年7月1日に施行となります。
すでに施行された「自筆遺言書の方式緩和」、2020年4月1日施行の「配偶者の居住権を保護するための方策(短期、長期)」、2020年7月10日施行の「自筆証書遺言の保管制度」を除き、2019年7月1日より施行されます。
あと1月ほどとなりましたが、これには「遺留分制度」や「相続人以外の者の貢献」に関する改正が含まれますので、下記リンクより一度ご確認下さい。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html
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今日は物件の所有権について書いていきます。
相続にも通じる内容になりますが、所有権とは法令の範囲内で、自分の所有物を自由に使用したり処分したりする権利のことを言います。
所有権にはそれを得た経緯によって、承継取得と原始取得という2つの種類があります。
「承継取得」とは、先にその物権を所有する者がいて、その者から権利を引き継ぐことを言います。これには売買等によって権利を引き継ぐ「特定承継」と、相続等によって権利義務を一括して引き継ぐ「包括承継」があります。相続の分野では包括承継という言葉がよく出てきますね。
一方の「原始取得」とは、前の権利者の内容を前提としないで所有権を取得する場合をいい、これには無主物占有と遺失物拾得、埋蔵物発見、添付によるものがあります。
「無主物占有」とは、権利者のいない動産を占有することによって所有権を得ることであり、同様に遺失物拾得も埋蔵物発見も、所有者のいない動産の所有権を獲得することを言います。これらの場合に自分の物になる条件としては、必ず所有の意志をもって占有することが必要になります。
このように、所有者のいない動産の場合は別の者が権利者になることができますが、所有者のいない不動産の場合は原始取得をすることはできません。この場合は国庫に帰属することになります。
「添付」というものについて説明すると、添付には付合(ふごう)、混和、加工の3つの形態があります。
「付合」という言葉は聞きなれない言葉なので簡単に説明します。付合とは主体をなすある物に、従う形でついていることを言います。この付合には不動産の場合と動産の場合があります。
不動産の場合の付合ですと、その不動産に従として付合した物の所有権も取得するという性質のものであります。例えば家の前に植えてある桜の木などがこれに当たります。また付合は不動産だけでなく動産の場合も同様になります。
ただ動産の付合については若干ややこしい場合があります。動産の付合で主従関係がわかる場合は、付合している物の所有権は主たる動産の所有者の物になるのでこの点は良いのですが、主従の区別ができない場合がちょっと問題になります。この場合は、元の価格の割合で共有するということになっています。
「混和」とは物が混じり合っている状態を言いますが、この場合は付合と同様の処理になります。
「加工」とは他人の所有している動産に対して、加工を施して価値を上げた場合を言いますが、通常の場合には加工物はその動産の所有者に帰属することになります。ただしその動産(加工する材料)よりも加工による価値が著しく上回る場合には、その所有権は加工者のものになります。
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今日は相続の承認について書いていきます。
相続は被相続人の死亡によって開始されますが、その時点で相続人が決まります。法定相続人は被相続人の配偶者や子、直系尊属および兄弟姉妹に限られますが、その中の配偶者と最優先順位の者が相続を受けることになります。
https://estima21-gunma-gyosei.com/archives/412
相続人が決まれば次は相続する財産を確定させます。あらかじめ公正証書遺言などで財産目録を作成してあれば良いのですが、ない場合は不動産登記簿や金融機関への調査を行うことになります。どちらにしても不動産は名義を変えなければいけないですし故人の口座も閉鎖しなくてはなりませんので、相続人が複数いる場合は必要な書類を整えなくてはなりません。相続人関係図や遺産分割協議書と同様に、財産目録も作成しておきましょう。
不動産や現金預金を調べて、プラスの財産がマイナスの財産より多ければ普通は相続することになりますし、明らかに借金の方が多ければ相続についても考えなくてはならなくなります。そういう場合を想定して民法では相続を受ける方法を規定し、選択の余地を残しています。
ただ選択するのには3ヶ月という期間が定められており、その期間内に決定をしなければいけません。その期間を「熟慮期間」といいます。ではその選択内容について見ていきましょう。
相続を受ける承諾することを、「承認」といいます。「承認」には「単純承認」と「限定承認」があり、これに「相続放棄」を加えて、相続の方法には3種類が規定されています。
「単純承認」とは文字通り単純に相続を受けることをいいます。マイナスの財産も含めた相続財産を、相続人全員がそのまま受け入れるものです。ですので万が一マイナスの財産の方が多かった場合でも、単純承認を選択した場合にはその負債等も無限に負わなければいけません。
自ら選択した場合はもちろん、自ら単純承認を選択しない場合でも、承認の意思表示をしないまま3ヶ月を経過してしまった場合や、相続財産の全部または一部を処分してしまった場合も単純承認をしたとみなされてしまいます。これらは法定単純承認と呼ばれます。大きな債務等のあることがわかっている場合には、くれぐれも熟慮期間を意識し、早めに財産目録を作成しましょう。
「限定承認」とは、マイナスの財産が多かった場合でも相続財産の限度内において債務を弁済すればよいというものです。債務が相続したプラスの財産を超えた場合には、支払いの義務はありません。ただ限定承認の場合は手続きが非常に面倒なものとなります。
まず財産目録を用意し、これを家庭裁判所に提出して申請することになります。申請する場合には共同相続人全員一緒にしなければなりません。ひとりでも反対をしたり単純承認をしてしまった場合にはすることができません。ですので、一人が財産を処分してしまった場合には、残りの共同相続人も申請することはできなくなってしまいます。なお共同相続人のうちの誰かが相続放棄をした場合には、残りの相続人全員で限定承認を申請することができます。
「相続放棄」とはマイナス財産が超過している等の理由で、相続を受けない選択をすることです。相続放棄をした場合は、最初から相続人ではなかったものとみなされます。ですので欠格や廃除の場合と異なり、代襲相続も認められません。
ただ相続放棄がなされた場合でも、その債務等が当然になくなるわけではありません。他の相続人に相続されていきます。プラスの財産は遺言等によっては法定相続分通りには配分されませんが、マイナスの財産は法定相続分通りに配分されます。ですので残った債務や連帯保証人の立場などは、他の相続人間で法定相続分通りに相続されることとなります。
相続放棄をしても単純に債務から逃れられるという性質のものではありませんので、放棄する際には事前に他の相続人と相談をし、のちのちの関係を壊さないようにしたほうが賢明だと思われます。
http://yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry46.html
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今日は遺贈と死因贈与についてもう少し詳しく書いてきます。
まず「遺贈」についてですが、遺贈される者を「受遺者」といいます。相続と同様、遺贈も被相続人の死亡によって開始されます。
受遺者になる要件はひとつ、遺言によって遺贈をする旨の内容が残されていることですが、被相続人の死亡時に遺贈をされる者が既に死亡していた場合は、受遺者となることはできません。また受遺者については代襲の定めはありませんので、この場合はその子等に権利が移ることもありません。遺贈はなかったことになります。
一方、被相続人の死亡時には遺贈をされる者がまだ生存しており、その後すぐに死亡した場合については、遺贈の効果は有効となります。ですのでその財産は受遺者の子等に相続されることとなります。
遺贈には2つのものがあります。ひとつは「包括遺贈」とよばれるもので、財産の全部または一定の割合を指定してする遺贈です。この場合は具体的な財産は決められていないことになりますので、他の相続人がいる場合は、これらの者と一緒に遺産分割協議に参加しなくてはなりません。
また包括遺贈の特徴は、相続同様プラスの財産のみならずマイナスの財産も含むことです。マイナスの財産が多い場合もありますので、これも相続同様、受遺者に受ける受けないの選択権が設けられており、3ヶ月の期間内に放棄することも認められています。放棄する場合は、家庭裁判所に申請をする必要があります。
もうひとつは「特定遺贈」とよばれ、特定の財産を指定してなされる遺贈です。特にマイナスの財産を指定して行われない限りは、プラスの財産のみの遺贈となります。特定遺贈では遺産分割協議への参加もする必要はなく、また遺贈の承認や放棄の意思表示の期間も特に定められてはいません。しかし他の相続人が協議をすすめる必要性もあるため、これらの者から早期に意思表示を求められる場合が多くなります。
遺贈の場合の税金については、贈与税ではなく相続税として申告する必要があります。また相続人ほどの権利は認められていませんので、不動産の場合は登記をしなければ第三者に対抗できず、農地であった場合は農地転用が必要となります。
遺贈には「負担付き遺贈」と呼ばれるものがあります。これは、与えた条件(負担)を履行した場合のみ遺贈が行われるという性質のものです。たとえば、被相続人の配偶者の面倒を見ることを条件に遺贈を行う、といった場合がこれに当たります。
では負担が履行されなかった場合はどうなるのでしょうか。
負担を履行しなかった場合には、多くは遺言執行者や相続人から、遺贈の取り消しを請求されることとなります。この場合の遺贈する予定だった財産は負担付き遺贈者には渡されず、他の相続人に渡ることとなります。相続人が複数いる場合は、この部分について再度分割協議が行われます。
では負担の大部分は履行したが、全部の履行は行われなかった場合はどうでしょうか。判例では遺贈が認められた場合があります。当然負担を行った程度だけではなく、様々な状況も異なると思いますので、個別具体的に判断する必要があるということでしょう。
「死因贈与」とはどのようなものでしょうか。財産を与える者を「贈与者」、受ける者を「受贈者」とよびますが、これはお互いの契約になりますので、受贈者が一方的に放棄することはできません。死因贈与の際に納める税金も遺贈同様、贈与税ではなく相続税になります。
なお死因贈与の場合も条件付きの贈与があり、これを「負担付き死因贈与」とよびます。負担付き贈与の場合は、受贈者が亡くなる前であれば一方的に破棄することができますが、負担が履行され始めた場合には撤回することはできません。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category2/entry65.html
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今日は相続にも大きく関係してくる、親族というものについて書いていきます。
相続を受けることのできる者(相続人)は「相続人」である「配偶者」「子」「直系尊属」「兄弟姉妹」になりますので、親族の範囲を見た上で、これらの者がどの位置にいるのかを見てみます。
また今回成立した相続関係の民法改正において、「相続人以外の親族の貢献を考慮する方策」が加えられましたので、今まで以上に「親族」という言葉が使われる機会が多くなると思います。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html
「親族」とはどのようなものを言うのでしょうか。民法における「親族」とは、次の者を言います。
①6親等以内の血族
②配偶者
③3親等以内の姻族
です。
まず「血族」とは、血縁関係のある者相互間(誰から見てもお互いに)および、法的に血縁があると制度上みなされる(擬制)者相互間を言います。前者を「自然血族」、後者を「法定血族」と言います。
「自然血族関係」は出生によって生じ、死亡によって終了します。「法定血族関係」は養子縁組によって生じ、離縁や縁組みの取り消しによって終了します。
次の「配偶者」は、婚姻によって戸籍上の地位を得た者になりますが、配偶者は血族にも姻族にも属さず親等もありません。
「姻族」とは「配偶者側の血族あるいは血族の配偶者相互間」を言います。例えば配偶者の父や、本人の父の兄弟(叔父)の配偶者は姻族になります。「姻族関係」は配偶者を通じての関係になりますので、配偶者の一方の血族と他方の血族は姻族にはなりません。具体的に言うと、本人の父と配偶者の父は姻族関係には当たりません。
また姻族関係は婚姻によって生じ、離婚によって終了することになります。離婚した元配偶者の親とは知り合いではあっても、法的つながりはなくなるということです。これは離婚の場合であり、死別の場合は届出を行わない限りは姻族関係は当然には消滅しません。
では先に出てきた「親等」とはどのようなものでしょうか。
「親等」とは親族間の遠近度を比較する尺度であり、親族間の「世代」によって決まります。本人から見て「世代」がひとつ変われば1親等という数え方をします。
相続人に当てはめて見ますと、配偶者に親等はありません。子と直系尊属(父母)が1親等、孫や祖父母は2親等になります。兄弟姉妹は親を経由して下がりますので、これも2親等と数えます。本人の叔父や叔母は祖父母を経由しますので3親等、その子であるいとこは4親等になります。
親族については世代をまたがる垂直の広がりと、直系から枝分かれをした横への広がりがあります。
縦への広がりで見てみますと、本人から世代が上の者たちを「尊属」、世代が下の者たちを「卑属」と言います。ですので父は尊属、子は卑属になります。兄弟姉妹やいとこは世代が同じですので、尊属にも卑属にも当たりません。
横への広がりで見てみますと、本人から垂直に遡ることのできる父母や祖父母や曽祖父母、あるいは垂直に下がることのできる子や孫やひ孫などは「直系」になります。
縦横併せてマトリックスで見ますと、上の世代を「直系尊属」、下の世代を「直系卑属」と言います。垂直から枝分かれをした叔父叔母などは「傍系」と言います。これも上の世代を「傍系尊属」、下の世代を「傍系卑属」と言います。
整理してみますと、血族には直系血族と傍系血族があり、直系血族には直系尊属と直系卑属があります。また傍系血族にも傍系存続と傍系卑属があることになります。姻族にも同様の、直系傍系、尊属卑属の関係があります。
改正民法の特別寄与に関しては、具体的に権利の範囲にあるかは事案ごとに確認を要するとことになります。
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今日は遺産分割協議について書いていきます。
「遺産分割協議」とは、相続人全員で相続財産の配分や分割方法を決める協議をいいます。通常は遺言書がなかった場合に行われますが、遺言書があってもその相続分を変えるために行う場合もあります。
相続財産は分けることが容易である現金預貯金等だけでなく、通常は分けることが困難な家などの不動産である場合が多く見られます。そのような財産も相続税を納める等の都合もあり、定められた期限内にはその配分を決める必要が出てきます。
遺産分割協議は通常、相続人の代表者が中心となって進めていきます。代表者は多くの場合は一番たくさん財産を相続する者がなりますが、行政書士等の代理人の場合もあります。
協議の進め方は、概ね次のとおりになります。
①まず遺言書を探します。
②相続人を確定し、「相続人関係図」を作成します。
③相続財産を確定し、「財産目録」を作成します。
④相続人全員に連絡を取ります。
⑤遺産分割協議案を作成します。
⑥遺産分割協議開催の段取りをつけます。
⑦遺産分割協議書の案をもとに相続人全員参加の遺産分割協議を行います。
⑧相続人全員の合意により相続分を決めます。
⑨遺産分割協議が成立したら「遺産分割協議書」を作成します。
⑩遺産分割協議書をもとに、金融機関の手続きや不動産の相続登記等を行います。
以上の段取となりますが、遺言書があれば基本はそれに従って相続を行うこととなります。協議を行ったあとで遺言書が発見された場合は、相続人の主張によっては相続のやり直しとなる場合もありますので、まずは遺言書を探します。
探すのは可能性の高いところから当たりますが、親しい知り合いに士業の方などがいた場合は、そちらに相談がなかったかの確認をとります。それから公証役場に行き、公正証書遺言の存在を確認します。そこでもない場合は銀行の貸金庫や自宅を探します。
遺言書があった場合は、基本的にはそれに従いますが、自筆遺言の場合は家庭裁判所に検認の手続きをとり、その後は遺言書の真偽や合法性を確認します。最初に相続人全員での協議が整えば、遺言書があってもその合意が優先すると書きましたが、遺言執行人がいる場合はその者の執行義務との兼ね合いもありますので、必ず遺言執行人と事前に打ち合わせを行ないます。また被相続人の意思を尊重するという意味からも、出来る限りは遺言書に沿う形の執行が望まれます。
次は相続人および相続財産を確定します。相続人については通常はわかっている範囲での協議になりますが、前妻の子や認知している非嫡出子も相続人となりますので、戸籍をたどって相続人関係図を作成します。相続手続きで必要となる場合がありますので、一般的には作成することをおすすめします。
財産については心当たりのある金融機関に問い合わせを行い、また不動産等の登記簿を確認します。こちらも財産目録を作成します。そしてこれらをもとに遺産分割の案を作成します。基本的には法定相続分をもとに、相続人の寄与分や不動産の実態(配偶者が自宅に居住している等)を鑑み配分を行います。
それからその案をもとに協議を行うことになりますので、まずは相続人全員に連絡をとり、遺産分割協議を開催します。ここで注意することは、遺産分割協議は相続人全員の参加が必要となることです。海外等に居住し参加できない者も原則は参加するものとなりますので、もし参加できない場合には事前に、他の意見に従う等の同意書を取得する必要があります。
やっかいなのは行方不明者がいた場合の措置であり、この場合は家庭裁判所に「失踪申告の申し立て」等を行うこととなります。また成年被後見人等の制限行為能力者がいる場合は後見人等の代理が必要となり、未成年がいる場合は「特別代理人」による代理が必要となります。
未成年は基本的に法律行為は行えませんので、その場合は代理人が必要になります。通常の代理人はその親がなることが一般的ですが、相続の場合はその親と子で同じ相続人という利益相反の立場となるため、代理人となることができません。そのため家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行うこととなります。
それらの者が整いましたら遺産分割協議を行い、原案をもとに協議を整います。協議が成立した場合は、その内容で遺産分割協議書を作成することとなります。金融機関等の相続において必要となるため、協議書はたとえ親子2人での協議の場合であっても作成します。協議が成立しなかった場合は家庭裁判所への調停の申し立てを行い、それでも整わなければ裁判ということになります。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry62.html
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本年平成30年7月6日の参院本会議で、相続分野に関する改正民法が可決成立しました。約40年ぶりの大幅見直しとなりますが、一部の条項を除き、1年を経過しない来年の7月までに施行される予定です。
今回の見直しについてはかねてより問題化されていた、超高齢社会における配偶者への居住権の確保等が主軸になっています。主な改正点は次のとおりです。
①配偶者の居住権を保護するための方策
②遺産分割等に関する見直し
③遺言制度に関する見直し
④遺留分制度に関する見直し
⑤相続の効力に関する見直し
⑥相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
になります。
では具体的に各内容について見ていきましょう。
第1の配偶者の居住権保護については、短期的な保護と長期的な保護の両面から確保されることとなりました。
まず短期的な方策について見てみましょう。現行法における配偶者の居住権については判例から、相続開始時に被相続人所有の建物に居住していれば、原則被相続人と相続人の間で使用貸借契約が成立していたと推認され、そのまま居住することができます。しかし第三者にその建物が遺贈されてしまったり、配偶者が居住することに被相続人が反対の意思表示をしていた場合には、使用貸借が推認されずに居住が保護されないことになってしまいます。
その事態を回避すべく、「配偶者短期居住権」というものが設けられました。これは配偶者が相続開始時に被相続人の建物に無償で住んでいた場合について、
①配偶者が居住建物の遺産分割に関与する場合は、居住建物の帰属が確定するまでの間の期間。ただし帰属が6ヶ月以内に確定した場合でも、最低6ヶ月は保障される
②居住建物が第三者に遺贈された場合や配偶者が相続放棄をした場合には、居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6ヶ月間、配偶者は居住建物を無償で使用する「配偶者短期居住権」を取得する
というものです。
被相続人の建物に無償で住んでいなかった場合にはこの権利は取得できないことになりますが、権利を取得すれば必ず最低6ヶ月間は居住が保護されることになります。
長期的な方策では、「配偶者居住権」というものが新設されました。これは、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間の配偶者の建物使用権を認める内容となります。配偶者居住権は「物権」であり、「登記」することもできます。しかし売買することや譲渡をすることはできません。
現行制度では遺言書がない相続でその相続財産の多くが土地建物等の不動産だった場合など、法定相続分の規定によって、配偶者が建物以外の預貯金等を取得できなかったり、あるいは建物を売って共同相続人に金銭を渡さなければならないケースも出てきます。
配偶者とその子供が1人いた場合を例に挙げますと、法定相続分は配偶者1/2、子1/2(複数いる場合はその子らで等分します)になりますので、相続財産が自宅(土地建物)2000万円、預貯金が2000万円の場合では総額4000万円となり、配偶者が自宅を相続すると預貯金の2000万円はすべて子の相続分となります。
預貯金が1000万円だったとしますと相続合計は3,000万円になりますので、1/2ですと1500万円になり、配偶者が自宅を相続した場合で子から請求があった場合は、子に500万円を支払わなくてはなりません。これでは相続によって配偶者が住む自宅を失いかねません。
それを解決するために設けられた制度が「配偶者居住権」になります。これは相続された自宅を、「配偶者居住権」と「負担付き所有権」に分け、配偶者の自宅の相続額を低く設定する効果が生じます。
先の相続総額4000万円の例で言いますと、配偶者居住権が1000万円とされればその居住権をもって住み続けることが可能となり、残りの負担付き所有権を子が相続した場合には、配偶者の相続額は2000万円ですので、1000万円分の預貯金を相続できるという仕組みになります。子には負担付き所有権1000万円と預貯金1000万円が相続されることとなります。
どういうことかと言いますと、相続が開始した年齢にもよりますが、配偶者はその先何十年も生きることはないと仮定し、平均余命から割り出した住み続けられる間の価値が配偶者居住権になります。あるいは何年か後には老人ホームに移るので、自宅にはそれまでしか住まない、という選択肢もあるかもしれません。配偶者が亡くなった場合は自宅は子のものとなりますので、それが負担付き所有権となります。
この規定によって、現在の自宅の価値がまるまる配偶者の相続分になってしまい、その他の財産を相続する権利を失ってしまうことから回避されることになります。
とはいえこの改正内容については、負担付き所有権が付いている建物の資産価値の低下や売買する際の市場性の問題(買い手がいない)、配偶者居住権と抵当権の問題など権利関係が複雑になっており、実際の運用面では非常にやっかいな問題をはらんでいるようです。
相続人間でこのような制度を用いざるを得ない関係性があるようでしたら、遺言を残しておくことが最善策だと思われます。
これらの算出は個別具体的になされるものですが、単純に式で表すと、建物敷地の現在価値-負担付き所有権=配偶者居住権の価値ということになります。よろしいでしょうか。
では第2の遺産分割に関する見直しについて見てみます。これについては次の3つの内容が含まれています。
①配偶者保護のための持戻し免除の意思表示推定規定の新設
②仮払い制度等の創設・要件明確化
③遺産分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲
です。
①については、婚姻期間が20年以上であれば、配偶者に居住用の不動産を生前贈与または遺贈した場合でも、原則として計算上「特別受益」(遺産の先渡し)を受けたものとして取り扱わなくてよいという内容になります。
現行制度では、被相続人が配偶者のためを思って自宅を生前贈与していた場合でも、「持戻し制度」というものによってその自宅は「特別受益」とされ、遺言による「持戻し免除」の表示がない限り、相続財産に合算されてしまいます。
どういうことかと言うと、先ほどの総額4000万円の例で見ますと、現行法では生前贈与された2000万円の自宅も相続総額に含まれることとなります。配偶者の相続分はこの自宅のみとなってしまい、残りの預貯金2000万円はすべて子に相続されることになります。
これでは生前贈与した意図が相続に反映されないこととなってしまいます。今回の見直しでは、20年以上法律上の婚姻期間がある者については、その貢献に報い、老後の生活を保障すべきものとして、「持戻し免除」の表示がなくても表示があったと推定して(被相続人の意思の推定規定)、遺産の先渡しとして扱わずに相続財産総額に含めないことになります。
先の例で言いますと、遺産総額は自宅を含まない預貯金2000万円となり、配偶者と子がそれぞれ1000万円ずつ相続することになります。
次に②の仮払い制度について、現行法では判例から、遺産分割が終了するまでの間は、相続人単独では預貯金の払い戻しをすることができません。相続される預貯金債権は相続人全員の共有債権になりますので、それぞれの相続分が確定するまでは生活費や葬儀費用、相続債務の弁済などの必要性があっても払い戻しができず、相続人が立替える必要がありました。
今回の見直しにおいてはこれが緩和され、2つの仮払い制度が設けられることとなりました。
ひとつは預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮処分の要件が緩和されます。従来も訴えにより認められることはありましたが、見直しによって、仮払いの必要性があると認められる場合は他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断(手続き)で仮払いが認められるようになりました。
もうひとつは、家庭裁判所の判断を経なくても払い戻しが受けられる制度が新たに設けられました。これは相続人としての相続分であれば、そのうちの一定額について単独で払い戻しが認められるという制度です。具体的には、(相続開始時の預貯金総額×1/3×払い戻しを受ける共同相続人の法定相続分)まで、払い戻しが認められることとなります。
③の相続開始後の共同相続人による財産処分についてですが、現行法では特別受益のある相続人が遺産分割前に遺産を処分してしまった場合には、他の共同相続人に不公平な結果が生じてしまいます。
例を挙げますと、配偶者がなく子が兄弟2人あったとします。相続される預貯金が2000万円で、長男に2000万円が生前贈与されていた場合には、この贈与分は持戻しとなり、相続総額は4000万円になります。長男にはすでに2000万円が渡されていますので、今回の預貯金2000万円はすべて次男に相続されることとなります。
しかしこの2000万円のうち1000万円分を長男がだまって引き出していた場合には、残りの預貯金が1000万円となってしまいます。すると相続預貯金総額はもち戻しを含めて3000万円となり、法定相続分にしたがって兄弟それぞれが1500万円ずつ相続します。ここでは長男はすでに2000万円を贈与されていますので相続分は0円となり、次男が預貯金総額の1000万円を相続することになります。
これでは長男が贈与分の2000万円と引き出し分の1000万円の合わせて3000万円を受け取ることになり、次男は1000万円しか受け取れず不公平な結果となってしまいます。この場合は裁判に訴えても、結論から言うと次男の受け取り分は本来の2000万円に届くことはありません。
その不公平を是正するために、遺産を処分した者以外の同意(この例では次男)があれば、処分したもの(長男)の同意を得なくても処分した預貯金(1000万円)を遺産分割の対象とすることができる、という法律上の規定が加えられることとなりました。
これによって、たとえ共同相続人の一人がこっそり分割前の預貯金を引き出してしまった場合でも不公平が起こらない制度となりました。今の例で言うと、相続財産の総額は4000万円とされ、次男は1/2の2000万円を相続することができます。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/
次に第3の遺言制度の見直しについて見てみましょう。これには次の3つの内容があります。
①自筆証書遺言の方式緩和
②遺言執行者の権限の明確化
③法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(民法ではなく遺言書保管法によります)
です。
①について、現行法で自筆遺言に法的効果を生じさせるには遺言書の全文を自書する必要があり、財産が多数ある場合には相当な負担が伴いました。
今回の見直しでは、自書によらないパソコンなどで作成した財産目録を添付することができ、合わせて銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を添付することでも法的効果が生じることとなります。
②の遺言執行者の権限の明確化については、遺言執行者の一般的な権限として、遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は相続人に対し直接にその効力を生ずる、ということが明文化され、また特定遺贈又は特定財産承継遺言(遺産分割方法の指定として特定の財産の承継が定められたもの)がされた場合における、遺言執行者の権限等が明確化されました。
③について、現行法では自筆証書遺言の管理は遺言者に任されていましたが、見直しによって法務局という公的機関に保管できる制度が創設されました。
この制度では相続開始後に相続人が遺言書の写しの請求や閲覧をすることが可能となり(その場合は他の相続人にも遺言書の保管の事実が通知されます)、紛失や改ざんの恐れがなくなることになります。
保管については申請者が撤回することもできます。なおこの制度では現行自筆証書遺言で負担になっている、「検認」の規定は適用されません。
第4の遺留分制度に関する見直しについて見てみましょう。これも2つの内容からなります。
①遺留分減殺請求権から生じる権利を金銭債権化する
②減殺請求がなされた場合に、請求された側が金銭を直ちに用意できないときは、請求された側である受遺者などが裁判所に請求することによって、金銭債務の全部または一部の支払いについて、相当の期限を与えられる
というものになります。
①の遺留分減殺請求の金銭債権化とは、現行法では請求がなされた際にその財産が金銭でなかった場合には、共有状態が生じてしまい事業承継などの支障になってしまいます。その状況を回避するために、減殺請求された債権は金銭で支払われることを明文化したものです。
②については遺贈などされた財産の額が大きい場合であっても、実際に別途金銭を用意できるとは限りませんので、この内容も加えられています。
第5の相続の効力等に関する見直しですが、これは"相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記なくして第三者に対抗することができる"、ことについての見直しとなります。
どういうことかと言いますと、登記なくして第三者に対抗できるという内容自体は問題ないのですが、相続人の債権者において債務回収の差し押さえなどが発生する場合は、通常法定相続分を想定して計算することになります。ここで遺言によって法定相続分を下回る内容でしか相続されなかった場合は、債権者等の第三者の取引の安全が確保されないことになります。
この観点から今回の見直しにおいては、法定相続分を超える部分の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないと改正されました。登記されれば債権者もその内容について知ることができますので、取引の安全性が確保されることになります。
法定相続分までは現行法とおり、登記なくして第三者に対抗することができます。
第6の相続人以外の者の貢献を考慮する方策ですが、相続は相続人にしかすることができません。相続人以外の者には、例えば親身になって世話をしてくれた長男の妻にも相続はなされません。これらの者に財産を贈りたい場合には贈与によるか、遺言書による遺贈や死因贈与の方法をとります。
しかしこの遺言書がなかった場合には、どんなに被相続人に尽くした者であっても、遺産分割協議に加わることはできません。この不公平を見直すべく、特別の寄与の規定が設けられました。
これは相続人以外の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合に、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭の支払いを請求することができるという制度になります。請求できる親族とは6親等以内の血族および配偶者、3親等以内の姻族を言います。
遺産分割は現行とおり相続人だけで行われ、それとは別に特別の寄与があった者が相続人に請求を行ないます。これには算出式などありませんので、当事者同士の話し合いになります。
以上が改正の内容となりますが、現時点では改正法全体の具体的な施行日は決まっていませんが(公布の日から1年以内)、自筆証書遺言の方式緩和(自書以外の目録可)は平成31年1月13日に施行されます。また自筆証書遺言の保管制度は、公布の日から2年を超えない範囲内での施行とされました。
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今日は養子縁組のうち、普通養子縁組について書いていきます。
養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」がありますが、通常行われる養子縁組が普通養子縁組になります。
「縁組」とは、養子とする行為を言います。「普通養子縁組」が成立する要件としては形式的要件と実質的要件がありますが、形式的要件は「届出」になります。婚姻などと同様に、養子縁組も「届出」を行わないと縁組は成立しません。
では実質的要件とはどのようなものでしょうか。実質的要件には次の2つがあります。
①縁組意思の合致
②縁組障害事由の不存在
です。
「縁組意思の合致」とは、養子縁組を行う当事者双方に、真に親子関係を形成して養子縁組を成立させようという意思があることを言います。この意思がなく、他の目的のために行う縁組は無効になります。他の目的とは、相続人になるためにすることなどが挙げられます。
次のような場合は縁組をすることができません。縁組をすることに障害となる事由があるということであり、「縁組障害事由の不存在」とは、縁組をすることに障害となる事由がない、つまり縁組をしても良いですよということになります。
①養親が未成年の場合は、縁組をすることができません。ただし未成年が婚姻をした場合には、「成年擬制」により養親となることができます。
②養子となる者が養親になる者より年長者の場合、または養親の尊属の場合は縁組をすることができません。
③後見人が被後見人を養子にする場合は、縁組をすることができません。ただし家庭裁判所の許可があれば認められます。
④配偶者のある者が未成年者を養子にする場合には、原則共同して縁組しなければなりません。ただし、配偶者の嫡出子を養子にする場合(再婚時の連れ子等)は共同でする必要はありません。
⑤配偶者のある者が養子になる場合、または配偶者のある者が成年者を養子にする場合は、配偶者の同意があれば単独で縁組をすることができます。
⑥養子となる子が15才未満の場合は、法定代理人が縁組の承諾をすることができます(代諾養子)。
⑦未成年者を養子とする場合には、自分や配偶者の直系卑属を養子とする場合を除き、原則家庭裁判所の許可が必要になります。
普通養子縁組が成立した場合には、次のような効果が発生します。
①養親の嫡出子たる身分
②法定血族関係
③養親の氏の取得
です。
「養親の嫡出子たる身分」は縁組の日から効果が生じます。養子が未成年者の場合は、養親が親権者になります。
養子となった者は嫡出子と同様の、相続権や養親の扶養義務が発生することとなりますが、縁組前の実親やその血族との親族関係は存続しますので、実親も相続することができます。「普通養子」となった者は、実親と養親の両方を相続することができます。
「法定血族関係の発生」について、養親やその血族との間の法定血族関係も、縁組の日から発生します。
「養親の氏の取得」についても同様の効果となります。ただし婚姻によってその氏を改めた場合は、夫婦同氏の原則が優先します。
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今日は認知について書いていきます。認知は相続にも関係してくる分野になります。
配偶者を除き、相続人の第一順位は子になります。だんなさんが亡くなられていざ相続だという場合に、奥様と同居している成人のお子さんが3人いた場合には、通常はこの4人が相続人ということで相続の手続きを済ませることでしょう。
しかし相続を終えた後に、認知された非嫡出子が現れ、相続がやり直しになる場合があります。「嫡出子」とは法律上婚姻している夫婦間に生まれた子供を言い、「非嫡出子」とは法律上婚姻関係にない者の間で生まれた子になります。
この非嫡出子ですが、相続に際しては関わりを持ってくる場合があります。お子様たちとは血縁関係があることでしょうが、相続においては認知されているかいないかが重要な意味を持ってきます。認知されていなければ相続に関わりをもちませんが、「認知された非嫡出子」の場合は、相続権のある子になります。
「認知された非嫡出子」も他の子と同等の立場になりますので、遺言書のない相続の場合には、必ず戸籍をたどって相続関係を明らかにしておくことが重要になります。
では認知について見ていきましょう。前述した通り、「非嫡出子」とは婚姻関係にない男女間に生まれた子(婚外子)を言います。法的には婚姻関係にない内縁の妻との間に生まれた子も、家族が知らないいわゆる愛人との間に生まれた子もともに「非嫡出子」となります。
通常の婚姻関係にある男女間に生まれた子は「嫡出子」と言います。「非嫡出子」はその親との間に法律上の親子関係はありませんが、「認知」されると法律上の親子関係が生じます。
「認知」とは、非嫡出子の親が、その非嫡出子を自分の子として認める行為を言います。認知は生前に行うこともできますし、遺言で行うことも認められています(遺言認知)。また認知とは通常は父子関係における行為であり、母子関係においては分娩の事実により親子関係が当然に発生しますので、認知は不要になります。
認知により認知された非嫡出子は、父親との相続関係が認められることになります。法的に血族関係が認められ法定相続人になります。
たまにドラマなどで、愛人との間に生まれた子を、子供のない自分たちの実の子、非嫡出子として届け出るストーリーがあります。この場合はどうなるのでしょうか。
養子以外の子には血縁関係が必要となりますので、血縁関係のない戸籍上の妻の嫡出子となることはありません。不正の届出となり、事実が判明すれば嫡出子であることは否定されます。ただし判例からは「認知」の効果が認められ、認知された非嫡出子となります。
認知について話を戻します。「認知」には次のものがあります。
①任意認知
②強制認知
です。
では「任意認知」とはどのようなものを言うのでしょうか。
「任意認知」とは、父が自ら役所に「認知届」を提出して行う方法になり、遺言による方法も認められます。また認知は身分行為になりますので、未成年者や成年被後見人であっても、法定代理人の同意なしにすることができます。
なお任意認知は自らの意思ですることが必要になりますので、認知者の意思に基づかない認知届けは無効になります。
認知には次の例外を除き、子の承諾は不要です。認知に子の承諾を必要とする場合は次のとおりです。
①成年の子を認知する場合は、本人の承諾が必要になります
②胎児を認知する場合は、その母親の承諾が必要になります
③成年者の直系卑属(孫等)がいる、死亡した子を認知する場合は、その成年である直系卑属の承諾が必要になります
「強制認知」とは、父または母が認知をしないときに、その子や直系卑属が裁判により求めるものになります。ただしこれは父または母の死亡から3年以内にする必要があります。
任意認知も強制認知も、その効果は子の出生時にさかのぼって親子関係が生じます。この際も、第三者が既に何らかの権利を取得している場合には、その権利を害することはできません。
最後に「準正」について付け加えておきます。
「準正」とは、非嫡出子を嫡出子にする制度を言います。準正の要件は、「認知」+「婚姻」になります。認知により相続権が発生しますが、あくまでも「認知された非嫡出子」であることには変わりありません。これを嫡出子に変える制度になります。
「準正」には認知と婚姻の順序によって2つのパターンがあります。
①婚姻準正
②認知準正
です。
「婚姻準正」とは、認知が確定した後に父母が婚姻した場合で、婚姻の時から準正が発生します。
「認知準正」は婚姻をした父母が認知をした場合で、認知の時から準正が生じます(この場合も実務上は婚姻の時からとされています)。
順番はどちらであっても、準正が生じた子(準正子)は、嫡出子の身分を取得します。なお現在の民法では、相続においても嫡出子と認知された非嫡出子の相続分は変わりませんが、改正前は差がありましたので、この準正の手続きはより重要なものでした。
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