今日は贈与というものについて書いていきます。
贈与は遺言相続の場面でも多く出てくる言葉であり、私のホームページでも説明を記載していますが、今回はそのもとになる民法の規定について見ていきます。
「贈与」とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受諾することによってその効力が生じるものです。贈与も民法の定める典型契約(贈与契約)になりますが、契約と言っても贈与者が受贈者に無償で財産的利益を与えるという合意のみで成立する契約になります。
これは書面でなく口頭ですることもできますし、契約締結時に目的物を交付する必要もありません。また無償であげるのですから、贈与者はこれに瑕疵があっても担保責任を負うことはありません。最も瑕疵があることを知っていながらこれを受贈者に教えずに贈与した場合には、担保責任を負うことになります。
贈与は書面ですることを要しませんが、書面によらない贈与の場合は各当事者が自由に撤回することができます。書面によらないものならば、それほど重要な契約ではないでしょうということです。裏を返せば贈与も契約であるのだから軽々に口約束にせず、書面によって権利移転の意思を明確にし、トラブルを防止する措置が必要ですよということです。
しかし自由に撤回できると言っても、既に動産の引渡しが完了していたり不動産の引渡しや登記が完了しているといった、履行の完了している部分については撤回することはできません。
これは遺言の記事でも書いていますが、贈与には次の特殊なものもあります。
①負担付き贈与
②死因贈与
③定期贈与
です。
「負担付き贈与」とは、受贈者に贈与の条件として一定の義務を負担させる贈与契約になります。例えば、私が生きているあいだは私の看護をする、ことを条件に贈与を行なう場合などです。贈与者は受贈者の負担の限度において担保責任を負うとされていますので、負担が履行された場合には必ずその贈与が行われることとなります。
「死因贈与」とは、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与契約になります。似たようなものに「遺贈」がありますが、遺贈は被相続人の一方的な単独の意思表示となりますので、贈与契約とは趣旨が異なります。
しかし性質自体は似ているものになりますので、遺贈に関する規定は準用され、贈与者はいつでも一方的に贈与契約を撤回することができます。対して受贈者はこれを放棄することはできません。
「定期贈与」とは、一定期間ごとに無償で財産を与えるという契約になります。定期贈与は当事者同士の個人間の関係性によるものですので相続はされず、当事者の一方の死亡によって効力が失われることとなります。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category2/entry65.html
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今日は公正証書遺言を作成する際のメリット・デメリットについて書いていきます。
まずデメリットは
①遺言書作成に費用がかかる
②公証役場に出向いて作成し、2名以上の証人が必要
③遺言書の内容を秘密にできないこと
です。
①については、自筆証書遺言とは対照的に当然費用が発生します。行政書士が協力する場合にはその報酬と、公証人への手数料が必要になります。公証人の手数料は遺言に記載される、目的の財産の額によって異なります。
例えば3000万円までは23000円、5000万円までは29000円になります。これは相続人1名あたりの額であって、相続人が複数いる場合は、相続人それぞれの手数料を算出し、相続人全員分を足し込みます。
例えば相続人が子供2人であり、それぞれが2000万円相当の財産を相続したとします。その場合の基本手数料は、23000円+23000円=46000円ということになります。それに総額が1億円以下の場合は11000円が加算されます。
少なからぬ金額になりますが、もとより公正証書遺言書を遺される方はご家族の相続の負担を減らすことを願ってすることですので、円満・安心への対価としては相当額として考えられる場合が多くなります。
②公正証書の作成については、厳密な方法が取られます。公証人の前で遺言者が遺言書の内容について口述するか、公証人が遺言書の内容を読み上げて遺言者と証人の確認をとるという方法によって行われます。ここで遺言者に行為能力があるかどうかも判断します。
証人も公正証書を作成する重要な要件になりますので、途中退出することは許されず、作成の最初から最後まで立ち会うこととなります。
③については公正証書作成の過程で、内容が公証人や証人にわかることとなります。当然公証人や証人には守秘義務がありますので、ここから外部に内容が漏れる心配はありません。他の相続人等については内容を知ることはできません。
ではメリットはどのようなものになるでしょうか。
①最終的に法律の専門家である公証人が関与しますので、方式不備や内容の不備による無効は回避できます。
②遺言書が公証役場に保管されるので、紛失や改ざん等のおそれはありません。
③遺言者の死後、相続人が容易に探すことができます(相続が開始された場合、遺言書の存在を知らない場合でも通常は段取りとして公証役場を当たります)。
④家庭裁判所での「検認手続き」は不要です。
⑤自分で直接作成することができなくても、遺言能力があれば作成することができます。
⑥公正証書遺言の場合は、遺言書の内容がほぼ確実に実現されます。
自筆証書遺言の記事で書きましたが、自筆証書遺言のデメリットとされていることの多くは、法律の専門家が関与しないことで起こるものです。公正証書遺言の場合は作成の過程で専門家が必ず関与しますので、そういったトラブルを防ぐことができます。
ただ自筆証書遺言も、費用がかからず手軽に書く事ができるというメリットは大きいものですので、できれば自筆証書遺言を欠かれる際にも、行政書士のアドバイスに従って(費用はかかりますが)書かれることをお勧めします。
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遺言書がない相続が発生した場合、相続関係を確定させるために関係するすべての戸籍謄本を取得しなければなりません。
被相続人に存命の配偶者とお子さんがいらっしゃれば、1/2の遺産は配偶者の方に権利がありますが、残りの1/2はお子さんで等分します。お子さんといっても現在の配偶者の方のお子様だけではなく、離婚歴がある場合はその方との間にできたお子さん、また非嫡出子でも認知しているお子さんがあればその方、また離縁されていない養子の方も同権利になります。
相続が発生した時点ですでに亡くなられているお子さんがいらっしゃれば、そのまたお子さん(孫)が代襲相続しますので、その方々の戸籍や住民票が必要になります。戸籍を取得する際に併せて「戸籍の附票」というものも取得し、その方が引っ越された履歴を追い、現在ご存命で相続の権利があることを証明していきます。
さて、相続人が被相続人のご兄弟のみの場合は、難易度が一段上がっていきます。前述の場合同様、ご兄弟に知れていない兄弟が存命か確認していく作業が必要になります。これは被相続人のご両親の出生時に遡った(銀行等によっては出産一定年齢等の場合があります)戸籍謄本を取得し、知れていないご兄弟が存命か確認しなければなりません。
その方を含めたご兄弟が亡くなられていた場合は、同様に代襲相続が発生します。ただしお子さんの相続の場合は、代襲者の死亡による再代襲制度がありますが、兄弟姉妹の場合は再代襲は認められていませんので、それ以下の方は調べる必要はありません。
戸籍取得は場合によっては数10枚に及び、またご兄弟の場合は戸籍を取得し追跡していく権限はありませんので、行政書士にご依頼をいただければと存じます。
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相続分野の改正民法が、本年7月1日に施行となります。
すでに施行された「自筆遺言書の方式緩和」、2020年4月1日施行の「配偶者の居住権を保護するための方策(短期、長期)」、2020年7月10日施行の「自筆証書遺言の保管制度」を除き、2019年7月1日より施行されます。
あと1月ほどとなりましたが、これには「遺留分制度」や「相続人以外の者の貢献」に関する改正が含まれますので、下記リンクより一度ご確認下さい。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry69.html
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今日は民法に規定される契約というものについて書いていきます。
まず契約とはどのようなものを言うのでしょうか。契約とは、一定の債権関係の発生を目的として、互いに対立する複数の意思表示が合致することによって成立する法律行為のことを言います。
Aさんがある物を"買いたい"という意思表示をし、Bさんがこれに対して"売ります"という意思表示をすれば、対立する意思表示が合致したことによって契約が成立することになります。先にしたAさんの意思表示を「申込」と言い、Bさんの意思表示を「承諾」と言います。仮に立場が逆で、Aさんが先に"売りたい"という意思表示をした場合でもこれは「申込」となり、Bさんがそれに応じて"買います"という意思表示をしたならば、これは「承諾」をしたことになり契約が成立します。
先にする意思表示を「申込」、「後」にする意思表示を「承諾」と言います。ここでいう「申込」とは、一定の契約を締結しようとする意思表示のことです。気をつけなければいけないのは、この申込は単に申込をした場合と、承諾期間を定めて申込をした場合では扱いが異なってくることです。
承諾期間を定めて(返答の期限を切って)申込をした場合には、その定めた期間中はその申込の撤回をすることはできません。一方、期間を定めないでした申込であっても、相手が即答できない離れた場所にいる場合(隔地者といいます)には、"承諾を受けるのに相当な期間"を経過するまでは撤回することができないと規定されています。
相当ってこれまた曖昧な表現ですが、"かなり長い"というような意味ではなく、それをするのに通常要する期間とでも言いましょうか。また「承諾」とは申込を受けて、これに同意することによって契約を成立させるという意思表示になります。ではもう少し「承諾」というものについて見ていきましょう。
「承諾」をすると契約が成立するといいましたが、相手が目の前にいる場合は返事をしたときが契約の効力が発生する時点ですが、先ほどの隔地者間の場合ですと事情が変わってきます。電話で話をしている最中ならば寸分置かずに返答が帰ってきますが、例えば連絡がつかなかった場合はいつ返事が来るかわかりません。承諾期間をまたいだ場合などはトラブルのもとになりますので、法律で明確に効力の発生する時点を決めてあります。
隔地者間の意思表示は、原則論から言えば、その通知が相手方に到達した時に契約が成立するはずです。これを「到達主義」と言います。しかし取引においては、通知が到達していなくても契約の成立を認めることが迅速な取引に通じ取引界の要望にも合致するということで、民法では例外的に、隔地者間の契約については承諾の通知を発した時に成立すると規定されています。これを「発信主義」と言います。
なんだか余計に面倒な話になってきました。メールなどで発信すればすぐに到達しますよね。この話は最後にまたします。
ここでひとつ問題になるのは、申込に変更を加えた承諾をした場合です。例えばAさんがリンゴを3つ200円で買ってくださいと申込をしたとします。それにBさんが、1つおまけしてもらって4つ200円で買いますという承諾をしたとします。この場合は最初の申込と承諾と内容が変わってしまっているので、先の申し込みをBさんが拒絶をし、それとともに新たな申込をしたとみなされることになります。
本来承諾をすべきBさんが今度は新たに申込者となり、Aさんが承諾者になるというように立場が入れ替わります。到達主義と発信主義の違いは以上です。
次に承諾期間を定めてした申込に対して、その期間内に申込者に承諾の通知が届かなかった場合についてです。この場合の申込は抗力を失うとされ、契約は成立しないこととなります。しかし契約の場合は先ほどの「発信主義」となりますので、たとえ到達していなくても、その期間中に承諾の通知を発信をしていれば契約は成立することとなります。クイズなどでよく使われる、当日消印有効と同じようなものです。
この期間後に到達した承諾について民法では、申込者が新たな申し込みをおこなったとみなされます。なお民法では、遅れて承諾が届いた場合には、申込者は遅滞なくその旨を承諾者に対して通知しなければならないとされています。もしその旨の通知をしなかった場合には、遅れて届かなかったものとみなされ、契約は通常に成立することになります。
承諾期間を定めないでした申込の場合は特に効力消滅の規定はないため、相当な期間内に承諾の通知を発信すれば契約は成立します。この場合も発信主義をとります。
とここまで書いてきましたが、どんでん返し。実はこの民法は約120年前に制定されていますが、通信の発達した現代においては発信主義を取る合理性が失われたとし、2020年4月1日施行の改正民法においては、発信主義の条項は削除され、契約の成立時期は「発信主義」から「到達主義」に変わることとなります。
併せて、発信主義の条文に付随していた、遅れて届いた通知の条文も削除されることとなりました。以前から発信主義については議論があったようですので、やっとスッキリと見直されたということになります。
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今日は付言について書いてみます。
「付言」は「ふげん」と読みます。付言とは遺言書に自分のメッセージとして付け加える言葉です。付言自体には法的効果はありませんので、遺言書の方式を満たす要件にはなっていません。しかし多くの方が文面に残されているようですし、行政書士としても基本的にはおすすめをすることにしています。
また書面への付言という形ではなく、別途手紙という形で残される場合もあります。しかしこの場合は公正証書遺言のように公証役場で保管がなされず、またその真偽も定かではないため信ぴょう性が疑われることもあり、お勧めはできません。
付という文字がつくと、付記や追記という言葉が思い浮かんでしまいますが、もちろんこれらのように、後から付け加える(意図的な場合もあるでしょうが)という性質のものではありません。むしろその遺言書を書かれた本来の動機や目的から発する言葉だと考えます。
遺言を残す動機はいろいろあると思いますが、ひとつには自分が苦労して残した財産を、自分の意思で自分の思う通りに配分したいという考えです。これは自分がいなくなっても、その財産を有効に活用することのできる子を中心に相続させたいというような合理的な理由もあるでしょうし、今まで自分にしてくれた行為や与えてくれた愛情への論功行賞的な理由の場合もあるかも知れません。
また例えば子供ごとに異なるそれまでの支援状況も加味した上で、それらを差し引いてそれぞれ平等な相続額にという場合もあるでしょうし、それぞれの暮らしぶりから行く末を案じてということもあるかも知れません。
もうひとつの動機は、自分が亡くなったあとも、相続でもめることの無いようにとの家族への配慮や愛情から発せられるものです。遺言書を書こうか悩まれている方の多くは、むしろこちらの動機が強いのではないかと思います。
でもそのような愛情から発した遺言書も、内要によっては感情的なしこりを残す場合も出てきます。
多くの場合には相続財産は不動産など、簡単に分割できないものになります。また現に今どなたかが住まわれている家も相続財産(生前贈与されていても相続財産に加わります)になりますので、それを相続の段階で分割しようといってもなかなかできることではありません。
遺言書がなかった場合の相続では必ずおこる問題ですが、そもそもそういうゴタゴタでご家族の方に心身の負担をかけたくないという思いで遺言書を書かれたはずです。かといって実際にはその住まわれている家や不動産などの財産を均等に分けることは非常に困難なことですし、多少なりとも偏りが出てしまいます。そこにどなたかの不満がでないとも限りません。
遺言書というものは元来無味乾燥なものです。そこには相続人や相続財産などが淡々と記載されているだけで、ご本人の本来の意思など確認しようもありません。意思を読み取ったり推察することはできるでしょうが、誤解の生まれる余地も多分にあります。ましてや相続分に偏りがあった場合などは、相続分の少ない方からの不満はあって当然だと思います。
財産を偏りなく相続させることはとてもむつかしいことです。不動産が多い場合などはなおさらです。愛情の多い少ないで相続分を考えたのではなく、事情があってしたことであれば、その理由は伝えてあげた方が良いと思います。
付言はご自分の感情を伝える最後の方法であるとともに、ご遺族の方にとっても、あなたのご意思を知る最後の機会に違いありません。
最後にひとつ。くれぐれも愚痴や恨み言は残さないようにしましょう。
ご家族が円満に相続を終えていただくためにも、あなたが遺言書を書かれた動機や意図を伝えることが重要になります。付言とはそのときそこにいないあなたに代って、そのメッセージを伝える役割を担っています。
http://yuigon-souzoku-gunma.com/category2/entry21.html
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今日は寄託契約というものについて書いていきます。
「寄託」とは、当事者の一方が相手方のために「特定物」の保管をすることを約束して、その特定物を受け取ることによって効力を生じる契約を言います。保管する者を「受寄者」、預ける側を「寄託者」と言います。
寄託は無償で行う場合と有償で行う場合がありますが、無償で寄託を受けた場合は、"自己の財産に対するのと同一の注意義務"で保管すれば良いとされています。無償の場合は、日常自分の物を管理するのと同じくらいの注意で足りるということです。
一方有償の場合は、"善良な管理者の注意義務"、いわゆる「善管注意義務」を負います。
この2者の違いですが、前者は重過失の場合には損害賠償責任を負いますが、軽過失の場合は責任を負いません。これに対して善管注意義務がある場合は、軽過失でも責任を負うこととなります。
前回委任契約の義務について触れましたが、保管するのに必要な費用については委任の規定が準用され、寄託者に対して請求することができます。なお受寄者は寄託者の承諾なしには寄託物を使用することも第三者に保管させることもできません。無償であっても有償であっても同様です。
寄託契約は寄託物が返還されれば終了します。
返還についてですが、寄託者側は、たとえ当事者同士で返還の時期を定めた場合であっても、いつでも返還を請求することができます。一方の受寄者においては、返還の時期の定めがある場合には、やむを得ない事由がない限り期限前に返還することはできません。
では返還の定めがない場合はどうでしょうか。寄託者はいつでも返還の請求をすることができますし、受寄者においてもいつでも返還することができます。
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今日は抵当権について書いていきます。
抵当権は相続の場合に現れることも多いものです。内容によっては相続放棄ということもあるかも知れません。一応の知識は身につけておきましょう。
抵当権の定義としては、「抵当権者が、債務者または第三者(物上保証人)が占有を移転しない で債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利」です。抵当権の特徴としては、
①抵当不動産の占有を債務者から移転しないで、債務者に占有させたままにすること
②抵当不動産の交換価値を把握する権利
であることにあります。債務者の住んでいる自宅や営業している店舗、工場などの占有を移転せずに担保の目的物として設定し、営業を継続しながらそこから生み出された利益を返済に充てるという効果的な制度になります。
抵当権は、債権者と抵当権設定者の合意のみで成立します(諾成契約といいます)。必ずしも債務者が抵当権設定者になるとは限らず、債務者以外の者が設定者になる場合もあります。この者を物上保証人といいます。
また抵当権の設定は債権発生の先でも後でも構いません。金銭貸借の場合に事前に手続きを行っても問題ありませんし、将来発生するであろう債権のために設定することも可能です。
抵当権は何にでも設定できるものではなく、不動産や地上権、永小作権といった、公示が可能なもの(登記)に限られます。抵当権は対抗要件(登記)を備えた場合は、第三者に対抗できます。
債務者は同じ目的物について、ひとつだけでなく複数の抵当権を設定することができます。この場合は抵当権に順位が付けられますが、その順位は登記の先後によります。第1順位の抵当権は1番抵当権、次位は2番抵当権といいます。
では抵当権の効力などについて見ていきましょう。抵当権を発生させる非担保債権は、金銭債権でもその他の債権でも構いません。既に発生している債権でも、将来発生する債権のも設定することができます。
元本の債権は全額担保されますが、当然そこで発生した利息も抵当権から得ることができます。しかし利息についてはすべてを充てられるわけではなく、後順位の者や順位の付いていない一般債権者がいる場合は、直近2年分しか認められません。
抵当権は主として不動産を目的物としますが、その不動産は単独という場合だけではなく、建物や家具類、あるいは庭木といったものまで付いている場合が多くあります。この場合には、抵当権が及ぶものと及ばないものが規定されています。抵当権の及ぶものとしては、次のものが挙げられます。
①付加物(付加一体物)
②従物
③従たる権利
④果実
⑤分離物
です。付加物とは庭に植えられている木や、増築された部屋といった、土地や建物に固定されて一体になっているもののことです。
従物とは必ずしも分離ができないものではありませんが、その目的物に従って用をなしているもののことです。例としてはガソリンスタンドのタンクが挙げられます。
次の従たる権利とは、建物を目的物とした場合の敷地利用権などがこれに当たります。
果実とは、その目的物が生み出すもののことであり、駐車場の賃貸料等がこれに当たります。弁済の不履行があった場合は、果実にも抵当権が及ぶこととなります。
分離物とは抵当権の目的物と切り離せることのできる動産になりますが、この動産が抵当権の目的物となっている場合には、もしその動産が不動産等から持ち出された場合には、返還を請求できることとなります。
最後にここで、当事者以外の第三者が抵当権の目的物を破損させた場合はどうなるのでしょうか。抵当権設定権者は債務者の場合と同様に、この第三者に対しても損害賠償請求や妨害排除請求を行うことができます。
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今日は相続の承認や放棄について、前回の補足として書いていきます。5月にこの記事について書きましたので簡単におさらいをしてみます。
相続は被相続人の死亡によって開始することになりますが、遺言のない相続の場合は相続人全員参加で遺産分割協議を開催し、その協議によってそれぞれの相続配分を決めることになります。これは「法定相続」と言って、その配分は民法によって定められています。
基本的には各自の相続分はこの規定に基づいて決めていくことになるのですが、相続される財産は預貯金や不動産といったプラスの財産に限られるわけではなく、借金などのマイナスの財産もあります。
これらが不明の場合には、きちんと負債を含むすべての財産を調べ、財産目録を作成していくわけですが、マイナスの財産の方が多かった場合は相続を受ける意味がありません。相続によってわざわざ借金を背負う必要がないからです。
そのために相続を受ける(承認と言います)か受けないか(相続放棄と言います)を選択する権利が、相続人には与えられているのです。これは3ヶ月の熟慮期間中に裁判所に申請をしなければいけません。
申請をしないまま期間が過ぎてしまいますと、「単純承認」と言ってプラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する判断をしたとみなされます。たとえ借金の方が多くても撤回することはできませんので、財産の調査は重要になってきます。
この「熟慮期間」は、財産の状態等を調査する期間として設けられています。詳しくは前回の記事で確認してください。
https://estima21-gunma-gyosei.com/archives/427
相続放棄も含めて、一度決めてしまうと撤回することはできません。ただし承認や放棄を行ったとしても、例外として無効や取り消しになる場合があります。錯誤や詐欺・強迫といった場合です。
承認や放棄に際して、錯誤や詐欺・強迫の事実があれば、また制限行為能力者が単独でした行為であれば、それらは家庭裁判所への申し立てによって無効または取り消すことができます。これらの権利は、追認出来る時から6ヶ月、または行為の時点から10年で消滅します。他の権利と比較しても短期間となっていますので、相続はいかに早期に行われるべきものかがわかります。
もうひとつ、「行方不明者」の問題があります。承認のうちの限定承認や遺産分割協議においても、共同相続人全員で行う必要がありますので、相続人の中に安否が未確認の行方不明者がいた場合は厄介なものになります。
この者がいなければ相続人全員とはなりませんし、仮に協議等を行ったとしても後から現れた場合には協議もやり直しをしなければなりません。ですので、きちんと手続きを整えて臨むことが必要になります。「行方不明者」がいた場合には、遺産分割協議を行う前に次の手続きを行ないます。
①家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます
②家庭裁判所に「行方不明者の失踪宣告」の申し立てを行ないます
ともに申し立てを行う家庭裁判所は、行方不明者の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
①の「不在者財産管理人」についてですが、この者は基本的には行方不明者の財産を管理する(相続財産を法人化します)ことが役割となります。しかしそれでは協議が進みませんので、申請をすることによって遺産分割協議に加わります。
利害関係のない者が選任されますが、多くは弁護士等が就任します。遺産分割協議においては行方不明者の利益を確保することを前提に、法定相続分を上回る主張をすることになります。協議が整った場合は、行方不明者が現れる期限までその相続財産を管理することになります。
②の失踪宣告については、家庭裁判所が官報などに「不在者捜索の公告」を行い、行方不明から7年(災害などで行方不明の場合は1年)で、法律上死亡したものとみなされます。
失踪宣告には通常1年以上かかるため、遺産分割協議には間に合いません。ですので、通常の段取りとしては、失踪宣告をした上で、不在者財産管理人を含めた分割協議を進めていきます。
期限内に失踪者が現れた場合にはその者は相続人に復帰しますし、そうでない場合はその者の相続分は共同相続人の財産になります。
被相続人の財産調査や相続関係の調査は、行政書士にお任せください。
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今日は遺産分割協議について書いていきます。
「遺産分割協議」とは、相続人全員で相続財産の配分や分割方法を決める協議をいいます。通常は遺言書がなかった場合に行われますが、遺言書があってもその相続分を変えるために行う場合もあります。
相続財産は分けることが容易である現金預貯金等だけでなく、通常は分けることが困難な家などの不動産である場合が多く見られます。そのような財産も相続税を納める等の都合もあり、定められた期限内にはその配分を決める必要が出てきます。
遺産分割協議は通常、相続人の代表者が中心となって進めていきます。代表者は多くの場合は一番たくさん財産を相続する者がなりますが、行政書士等の代理人の場合もあります。
協議の進め方は、概ね次のとおりになります。
①まず遺言書を探します。
②相続人を確定し、「相続人関係図」を作成します。
③相続財産を確定し、「財産目録」を作成します。
④相続人全員に連絡を取ります。
⑤遺産分割協議案を作成します。
⑥遺産分割協議開催の段取りをつけます。
⑦遺産分割協議書の案をもとに相続人全員参加の遺産分割協議を行います。
⑧相続人全員の合意により相続分を決めます。
⑨遺産分割協議が成立したら「遺産分割協議書」を作成します。
⑩遺産分割協議書をもとに、金融機関の手続きや不動産の相続登記等を行います。
以上の段取となりますが、遺言書があれば基本はそれに従って相続を行うこととなります。協議を行ったあとで遺言書が発見された場合は、相続人の主張によっては相続のやり直しとなる場合もありますので、まずは遺言書を探します。
探すのは可能性の高いところから当たりますが、親しい知り合いに士業の方などがいた場合は、そちらに相談がなかったかの確認をとります。それから公証役場に行き、公正証書遺言の存在を確認します。そこでもない場合は銀行の貸金庫や自宅を探します。
遺言書があった場合は、基本的にはそれに従いますが、自筆遺言の場合は家庭裁判所に検認の手続きをとり、その後は遺言書の真偽や合法性を確認します。最初に相続人全員での協議が整えば、遺言書があってもその合意が優先すると書きましたが、遺言執行人がいる場合はその者の執行義務との兼ね合いもありますので、必ず遺言執行人と事前に打ち合わせを行ないます。また被相続人の意思を尊重するという意味からも、出来る限りは遺言書に沿う形の執行が望まれます。
次は相続人および相続財産を確定します。相続人については通常はわかっている範囲での協議になりますが、前妻の子や認知している非嫡出子も相続人となりますので、戸籍をたどって相続人関係図を作成します。相続手続きで必要となる場合がありますので、一般的には作成することをおすすめします。
財産については心当たりのある金融機関に問い合わせを行い、また不動産等の登記簿を確認します。こちらも財産目録を作成します。そしてこれらをもとに遺産分割の案を作成します。基本的には法定相続分をもとに、相続人の寄与分や不動産の実態(配偶者が自宅に居住している等)を鑑み配分を行います。
それからその案をもとに協議を行うことになりますので、まずは相続人全員に連絡をとり、遺産分割協議を開催します。ここで注意することは、遺産分割協議は相続人全員の参加が必要となることです。海外等に居住し参加できない者も原則は参加するものとなりますので、もし参加できない場合には事前に、他の意見に従う等の同意書を取得する必要があります。
やっかいなのは行方不明者がいた場合の措置であり、この場合は家庭裁判所に「失踪申告の申し立て」等を行うこととなります。また成年被後見人等の制限行為能力者がいる場合は後見人等の代理が必要となり、未成年がいる場合は「特別代理人」による代理が必要となります。
未成年は基本的に法律行為は行えませんので、その場合は代理人が必要になります。通常の代理人はその親がなることが一般的ですが、相続の場合はその親と子で同じ相続人という利益相反の立場となるため、代理人となることができません。そのため家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行うこととなります。
それらの者が整いましたら遺産分割協議を行い、原案をもとに協議を整います。協議が成立した場合は、その内容で遺産分割協議書を作成することとなります。金融機関等の相続において必要となるため、協議書はたとえ親子2人での協議の場合であっても作成します。協議が成立しなかった場合は家庭裁判所への調停の申し立てを行い、それでも整わなければ裁判ということになります。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry62.html
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戸籍を取得し相続人を確定していく中で、袋小路に出くわす場面があります。それは疎遠な共同相続人がいる場合に、その方を戸籍で法定相続人であることを確認し、存命かどうかの住所追跡をしていく中で、足取りが途絶えてしまうことです。
関係性が確認できた際はその方に遺産分割協議の旨をお伝えする文書なりを発送していくわけですが、最終住所地に文書を発送しても戻ってきてしまう場合があります。書留と通常郵便2パターンで送ったりもしますが、返送されるということは最終住所地に住んでいない、地番変更等で番地自体が現在は存在しない。あるいは建物自体がないどこにいるかわからないと言うことです。
この場合はその土地の登記確認をし、土地の現在の所有者や建物の存在等を確認します。そこから次の状況を推測していくわけですが、こちら側の血縁者から情報を得られない以上、次の手立てはその方のもう一方の血縁者から事情を聞くしか手立てはありません。この場合はさらに難易度が上がります。例えば兄弟相続の代襲者(妹等の代襲者)で、甥の父方の存命の血縁者をたどる場合などです。
行政書士にご依頼をいただいた場合は、職務上戸籍を取得することができますが、もう一方の血縁者は被相続人や依頼者からの縁が薄くなるので、個人情報保護の観点から、戸籍を役所からいただけない場合が出てきます。理由を説明してもいただけない役所もあります。そうなったら相続人の追跡は終わってしまいますが、複数の関係者がいる場合は、どこかの役所で戸籍や住民票を取得でき、その血縁者から相続人の消息を聞ける場合があります。ですので、ご依頼をいただいた場合は、手段がなくなるまで手を尽くすことになります。
ここでその相続人の行方をたどることができなかったり、行方不明であることがわかった場合は、手間はかかりますが、裁判所に財産管理人の申し立てをしたり失踪宣告を行うことによって相続を完了させていきます。
建物の滅失登記がなされ(取り壊し)て足取りがわからなくなっても、前述のとおり関係者に連絡が付くことによって消息がわかることがあります。具体的には認知症などによって長期に入院し、住居に戻る見込みがないので建物を取り壊してしまった場合などです。このような場合は成年被後見人等が付いている場合も多いので、その方の後見人などと遺産分割協議を進めていくことになります。
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