今日は権利能力・意思能力・行為能力というものについて書いてみます。
まず権利能力とはどういうものでしょうか。権利能力とは、権利や義務の主体となりうる地位や資格のことであり、自然人である人間はもちろんのこと、法人も含む概念です。生まれた時に取得し、死亡した時に失います。相続の記事でも触れましたが、胎児については権利能力は認められませんが、相続や遺贈を受ける権利、また不法行為による損害賠償権は例外として、生きて生まれた場合にさかのぼって認められることになります。
次の意志能力とは、自分の行為の結果を理解(弁識)できるだけの精神能力のことをいい、一般的には10才程度の者であれば有するとされています。よく犯罪などで鑑定が行われますが、通常は意思能力を有するものであっても、泥酔している場合などは意思能力を有していないとされます。
意思能力は私的自治の前提となりますので、意思無能力者の行為はすべて無効となります。
行為能力とは、単独で有効な法律行為を出来る能力のことです。これは法律でその地位や資格が定められており、法律によって行為能力が制限されている者を制限行為能力者といいます。それらの人たちの行動を抑制するという趣旨ではなく、物事を単独で行ってしまった場合にその結果から守るという趣旨で、民法に明記されています。
制限行為能力者は未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4つが定められています。未成年を除く3者については、保護の必要性が大きい順に並べましたが、それらについて順に見てみましょう。
まず未成年者ですが、定義としては、20歳に満たない者を未成年者といいます。20歳になると成年となります。しかし婚姻をすれば成年擬制という制度によって、成年とみなされます。これは離婚してもその後も有効になります。成年擬制は法律のいろいろな場面で出てきますので、覚えておいたほうがよいです。
例えば養子をするのは成年でないとできませんが、成年擬制の場合はできます。また商法においても未成年は登録をしないと営業ができませんが、これも必要なくなります。
未成年者が契約等の法律行為を行う場合には、親権者などの法定代理人の同意が必要になります。そしてこの規定に反して行った行為については、本人または法定代理人が取り消すことができます。
例外としてはむつかしい表現になりますが、「単に利益を得、義務を免れる法律行為」は単独でできます。贈与を受けたり債務を免除されたりがこれに当たります。成年になると様々な権利義務が発生しますが、成年擬制の場合にも権利も発生しますが、反面法律で守られる場面も減るということです。権利と義務は表裏一体です。
未成年者の法定代理人(親権者等)の権限としては、代理権、同意権、取消権、追認権があります。法定代理人は未成年が行なった法律行為について、同意をしたり後から認めることによって、行った法律行為を有効なものにすることができます。
次は成年被後見人です。これは精神上の障害によって、「事理弁識(じりべんしき)能力を欠く常況」にあり、他の者の後見が必要な者のことをいいます。事理弁識能力とは物事の結果などについて認識することができ、それに対して有効な判断が出来る能力のことです。常況とはいつでもそういう状態にあるということです。一時的な場合には使われません。成年被後見人は、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者がなることができます。
成年被後見人の行った法律行為は取り消せます。これは成年後見人が同意した行為でも取り消すことができます。裏を返せば、成年後見人には同意権はないということです。ただし日常品の購入など、日常生活に関する行為は取り消せません。成年後見人の権限は、代理権、取消権、追認権です。
次は被保佐人について見てみます。被保佐人は、精神上の障害によって、事理弁識(じりべんしき)能力が「著しく不十分」な者で、家庭裁判所の補佐開始の審判を受けた者をいいます。原則として単独で法律行為を行うことはできますが、不動産などの重要な財産の処分などは保佐人の同意が必要になります。
同意を欠いた場合は取り消すことができます。日常品の取り扱いに関しては取り消せません。保佐人の権限は民法13条1項に書かれている項目(不動産の処分や訴訟行為、相続に関すること等)についての同意権、取消権、追認権、代理権があります。この場合の代理権についてのみ、家庭裁判所の審判を受けるかどうかは本人自身の請求か同意が必要になります。本人が拒否すれば代理権は付与されません。
最後の被補助人とはどのような者でしょうか。これは事理弁識能力が「不十分」であり、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者をいいます。本人自身が審判開始を請求するか、本人以外の者が請求をした場合は、本人の同意が必要になります。前2者と異なり、補助開始の審判をする場合は同時に同意見付与の審判と代理権付与の審判、この一方または両方の審判をしなければなりません。被補助人の権限ですが、代理権付与の審判を受けた特定の行為については代理権をもち、同意権付与の審判を受けた特定の行為については同意権、取消権、追認権をもちます。以上において各後見人はひとりでも複数でも構いません。法人でもなることができます。また必要な場合には後見人を監督する立場の監督人も付けることができます。また後見人は任意に契約する(任意後見人)することもできますが、任意後見の場合は代理権のみが付与され、同意権や取消権は付与することができません。
相続の場面では、共同相続人がいる場合には必ず遺産分割協議が行われます。この協議では相続人全員の参加と合意が必要となります。ですので、相続人の事理弁識能力に問題がある場合は代理人の選任が必須となる場合があります。その者がまだ代理人を有していない場合には、状況をみて家庭裁判所への選任請求をしなければなりません。また相続人に未成年がいる場合には、親との利益相反との関係から特別代理人の選任も請求しなければならないので、注意が必要です。特別代理人についてはあらためて別の記事で書いていきます。
https://www.yuigon-souzoku-gunma.com/category13/entry62.html
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今日は代理における無権代理と表見代理について書いていきます。
代理人には本人から直接依頼を受けた者、あるいは法的に代理することを認められた者がなりますが、本人の意思に関わりのないところで行われる代理というものも存在します。これらは無権代理と表見代理というものになりますが、表見代理も広義には無権代理に含まれます。ではこれらを見ていきましょう。
まず「無権代理」とはどのようなものでしょうか。これは文字通り、代理権がないのにされる代理行為のことを言います。勝手に代理人を名乗って代理行為をした場合などがこれに当たりますが、この場合の効果は本人に帰属せずまた代理人に帰属することもありません。
代理行為の記事の中で自己契約や双方代理は禁止されると書きましたが、これらをした場合は無権代理となります。
https://estima21-gunma-gyosei.com/archives/856
無権代理をされた場合に本人が否定すれば当然本人は責めを負いませんが、一方本人はその行為を有効なものと確定することができる「追認権」も有しています。追認すればさかのぼってその法律行為は有効なものとなります。またこの場合に本人が一旦追認してしまうと、その追認は取り消すことができません。
無権代理をした場合に本人にも無権代理人にも法律効果が帰属しないとなると、無権代理をされた相手方はどうすれば良いのでしょうか。やられ損でしょうか。いえいえそんなことはありません。次の3つの権利を有することとなります。
①催告権
②取消権
③履行または損害賠償の請求権
です。まず「催告権」として、相手方の善悪を問わず(知っていても知らなくても)本人に対して、相当の期間内での追認の可否を求めることができます。期間内に追認がなければ、追認拒絶とみなされます。
「取消権」とはその行為について取り消すことのできる権利のことをいいます。この場合はその無権代理について善意の場合に限ります。また相手方が取消権を行使した場合は、本人はもはや追認をすることはできなくなります。
最後の「履行または損害賠償の請求権」ですが、これは相手方が善意無過失の場合にのみ有する権利となります。
一方無権代理を行った者の責任はどのようなものになるのでしょうか。まず本人が追認を拒絶した場合はその行為の無効が確定します。無権代理人は相手方の選択に従い、契約の履行または損害賠償責任を負うこととなります。
無権代理人は無過失責任であり、どのような場合も責任を免れません。無権代理人が制限行為能力者であった場合は、その内容によって責任を追及できないこととなります。
無権代理の場合は特に親子間での場合が多く見られますので、相続との関係を判例から見てみましょう。4つの事例を挙げてみます。
①無権代理人が本人を相続した場合
②本人が無権代理人を相続した場合
③無権代理人を単独相続した者が、その後本人を相続した場合
④無権代理人を本人とともに共同相続した者が、その後本人を相続した場合
です。まず①を見てみましょう。被相続人の子が被相続人の無権代理をした場合などがこれに当たりますが、この場合は単独相続では本人が自ら法律行為をしたのと同様の法律上の地位になりますし、追認拒絶もできません。共同相続の場合では、他の共同相続人全員が追認しない限りは無権代理行為は有効とはなりません。逆に共同相続人全員が追認をした場合には、信義則上追認拒絶はできないこととなります。
②では被相続人自身が、相続人である子の無権代理をした場合などがこれに当たります。単独相続の場合は追認を拒絶することができますし、無権行為は当然有効とはなりません。しかし追認を拒絶しても、相手方から損害賠償等を請求された場合には、相続によってこの責任を負うことになります。共同相続の場合もこの債務を免れることはできません。
③では本人自ら法律行為をしたことと同様に、無権代理行為の効果が自己に帰属することとなります。
④では無権代理行為の追認を拒絶することはできません。
次に「表見代理」について見てみましょう。表見代理とは、表見代理人と本人との特別な関係性を誤って信用している者を保護するための制度です。この責任は無権代理の場合と異なり、本人に帰属します。表見代理には次の3つのパターンがあります。
①代理権授与表示による表見代理
②権限外の行為の表見代理
③代理権消滅後の表見代理
です。それぞれ無権代理が成立する要件を
てみましょう。①ではまず本人が第三者に対して、ある人に代理権を与えた旨の表示をしていることと、無権代理人が表示された代理権の範囲内で代理行為を行っていること、また代理権がないことについて相手方が善意無過失であることが必要となります。
②では基本代理権があることと、権限外の代理行為をしたこと、また相手方が代理人に権限があると信ずべき正当な理由があること、相手方が善意無過失であることが必要です。
③ではかつて所有していた代理権が代理行為の時には消滅していたこと、かつての代理権の範囲内で代理行為を行っていること、代理権の消滅について相手方が善意無過失であることが必要になります。
これらの要件を満たした場合は表見代理が行われたことになりますが、その法律効果の責任は本人が負うこととなります。
表見代理の場合の相手方の対処の仕方としては、行為者に対して表見代理を主張せずに、無権代理人として責任を追及することができます。また本人が追認するまでの間、取消権を行使することができます。
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今日は婚姻の無効や解消について書いていきます。
まず婚姻の解消についてです。「婚姻の解消」理由には、
①離婚
②死亡・失踪宣告による解消
があります。
「離婚」については「協議上の離婚」と「裁判上の離婚」がありますが、まず協議上の離婚について見てみましょう。
「協議上の離婚」とは、夫婦お互いの協議によって成立する離婚になります。この場合には夫婦ともに離婚する意思があること(離婚意思の合致)と、離婚の届出を行うことが必要とされています。なお判例ではこの離婚意思の合致について、離婚そのものをする意思は必要とせず、届出をする意思のみで足りるとしています。
また離婚の際に未成年の子がいる場合は、必ず一方を「親権者」にしなければなりません。
離婚そのものをする意思であれ、届出をする意思のみであれ、それらを含む離婚意思のない者の離婚は当然に無効となります。「意思のない離婚」とは、詐欺または強迫によって協議離婚がなされる場合であり、この場合は取り消しを請求することができます。この取消権は、詐欺を見つけた時または強迫から免れた時点から3ヶ月で消滅します。また追認によっても消滅することになります。
協議上の離婚が成立しなかった場合は「裁判上の離婚」になります。離婚の場合は原則、訴訟を起こす前に家庭裁判所に調停の申し立てを行い、調停離婚が成立しない場合に裁判上の離婚に向かいます。
離婚の訴えを提起する場合には、次の理由が必要になります。
①配偶者の不貞行為
②悪意の遺棄
③3年以上の生死不明
④回復の見込みのない強度の精神病
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由
です。
裁判所はそれらの事情を考慮して、離婚の訴えを認めるか棄却します。なお②の悪意の遺棄とは、理由もないのに同居を拒んだり家計費を差し入れないなど、積極的な意思で夫婦関係を行わないことを言います。
以上、協議上であれ裁判上であれ、離婚が成立した場合には次の効果がもたらされます。
①身分上の効果
②子の処遇
③財産上の効果
です。
「身分上の効果」により、婚姻関係とそれに伴う姻族関係が消滅します。また姓(氏)を改めた者については、「婚氏続称の届出」をしない場合は、結婚前の姓に戻ります。
「子の処遇」についてはまず、その子の嫡出子たる身分には影響は及ぼしません。また未成年の子の場合は親権者が決められます。
「財産上の効果」としては、一方が他方に財産分与を請求することができます。その額や方法は当事者の協議によりますが、協議が成立しない場合は離婚から2年以内であれば家庭裁判所にも処分を請求できます。
次は婚姻の無効と取り消しについて見てみましょう。無効と取り消しはその効果や影響が異なりますので、婚姻の瑕疵の程度に応じて規定がなされています。
まず、より影響の大きい無効について見てみましょう。
「無効」とされた場合は、婚姻が最初から無効であるとされ、夫婦としての効果は何ら生じません。婚姻の無効は、次の場合に限りなされます。
①婚姻意思を欠く場合
②届出を欠く場合
です。
無効は請求がなされて成立しますが、無効を請求することができる者は当事者だけでなく、利害関係者は誰でも主張することができます。これは当事者が死亡していても主張することができます。
次の「取り消し」ですが、これは無効よりも限定的な効果であり、取り消しの効果は婚姻成立時までは遡及しません。取り消しまでの期間は婚姻が有効とされ、その期間は財産分与などの財産関係も適用されます。
婚姻の取り消しを請求できる者は、当事者およびその親族、また検察官になります。
無効は当事者の死亡後も請求できますが、取り消しでは当事者の死亡後の請求は当事者や親族のみが行え、検察官は請求をすることはできません。また重婚違反の場合は当事者の配偶者および前配偶者も請求できます。これも失踪宣告の記事で確認ください。
再婚禁止期間の違反については親子関係の証明も関わりますので、前夫についても取り消しを請求することができます。詐欺・強迫の場合は当事者のみの請求となります。
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今日は普通養子縁組の解消について書いていきます。
縁組も婚姻同様、他人同士の意思の合致による行為になりますので、お互いの意思が合致しなくなった場合も、婚姻同様にその関係が解消されることとなります。
婚姻の場合の離婚に当たるものが、「離縁」になります。「離縁」には
①協議離縁
②裁判離縁
があります。
「協議離縁」とは、当事者同士の協議によってするものを言います。離縁の成立要件は縁組の時と同様に、形式的要件と実質的要件になります。形式的要件はこれも届出になります。実質的要件は当事者間の、養親子関係を終了させる意思の合致になります。
未成年や成年被後見人の場合は通常単独で協議を行うことはできませんが、未成年であっても15才以上の者は単独で離縁をすることができ、成年被後見人の場合も本心に復している場合は単独ですることができます。
配偶者のある者が未成年者と縁組をするには、夫婦揃っての縁組が必要でしたが、離縁についても夫婦がともにしなければなりません。
縁組の当事者の一方が死亡した場合はどうでしょうか。この場合の一方の生存者は、家庭裁判所の許可を得て離縁することができます。これを「死後離縁」と言います。養親子関係自体は当事者の一方または双方が死亡すれば消滅しますが、法定関係は存続しますので、相続も発生します。
また配偶者死亡の時同様、縁組によって生じた法定血族関係は当然には消滅しませんので、これらの関係を消滅させるには、家庭裁判所の許可が必要になります。
離縁の無効や取り消しの場合も、婚姻の場合と同じです。離縁意思の合致を欠いたり、代諾権のない者が代諾した場合は無効になります。
また詐欺や強迫によって行われた離縁は取り消しをすることができます。この場合は詐欺を発見し、または脅迫から免れた時から6ヶ月以内に、家庭裁判所に請求をします。取り消しの効果は離縁の時点に遡及することとなり、離縁はなかったものとなります。
「裁判離縁」は、協議離縁が成立しなかった場合に、家庭裁判所への請求によってなされます。裁判離縁の成立する要件としては、
①他の一方から悪意で遺棄されたとき
②他の一方の生死が3年以上明らかでないとき
③縁組を継続し難い重大な事由があるとき
になります。
離縁の効果によって、養親子関係および法定親族関係が、離縁の日から消滅することになります。
また養子は離縁前の氏に戻ることになり、原則として離縁前の戸籍に入ることになります。離婚の場合の氏については婚氏続称という制度がありますが、離縁にもあります。
離縁の場合に離縁前の氏を継続する時は離婚よりも要件は厳しいものとなり、縁組が7年以上継続されている必要があり、離縁の日から3ヶ月以内に届出を行う必要があります。
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今日は養子縁組のうち、普通養子縁組について書いていきます。
養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」がありますが、通常行われる養子縁組が普通養子縁組になります。
「縁組」とは、養子とする行為を言います。「普通養子縁組」が成立する要件としては形式的要件と実質的要件がありますが、形式的要件は「届出」になります。婚姻などと同様に、養子縁組も「届出」を行わないと縁組は成立しません。
では実質的要件とはどのようなものでしょうか。実質的要件には次の2つがあります。
①縁組意思の合致
②縁組障害事由の不存在
です。
「縁組意思の合致」とは、養子縁組を行う当事者双方に、真に親子関係を形成して養子縁組を成立させようという意思があることを言います。この意思がなく、他の目的のために行う縁組は無効になります。他の目的とは、相続人になるためにすることなどが挙げられます。
次のような場合は縁組をすることができません。縁組をすることに障害となる事由があるということであり、「縁組障害事由の不存在」とは、縁組をすることに障害となる事由がない、つまり縁組をしても良いですよということになります。
①養親が未成年の場合は、縁組をすることができません。ただし未成年が婚姻をした場合には、「成年擬制」により養親となることができます。
②養子となる者が養親になる者より年長者の場合、または養親の尊属の場合は縁組をすることができません。
③後見人が被後見人を養子にする場合は、縁組をすることができません。ただし家庭裁判所の許可があれば認められます。
④配偶者のある者が未成年者を養子にする場合には、原則共同して縁組しなければなりません。ただし、配偶者の嫡出子を養子にする場合(再婚時の連れ子等)は共同でする必要はありません。
⑤配偶者のある者が養子になる場合、または配偶者のある者が成年者を養子にする場合は、配偶者の同意があれば単独で縁組をすることができます。
⑥養子となる子が15才未満の場合は、法定代理人が縁組の承諾をすることができます(代諾養子)。
⑦未成年者を養子とする場合には、自分や配偶者の直系卑属を養子とする場合を除き、原則家庭裁判所の許可が必要になります。
普通養子縁組が成立した場合には、次のような効果が発生します。
①養親の嫡出子たる身分
②法定血族関係
③養親の氏の取得
です。
「養親の嫡出子たる身分」は縁組の日から効果が生じます。養子が未成年者の場合は、養親が親権者になります。
養子となった者は嫡出子と同様の、相続権や養親の扶養義務が発生することとなりますが、縁組前の実親やその血族との親族関係は存続しますので、実親も相続することができます。「普通養子」となった者は、実親と養親の両方を相続することができます。
「法定血族関係の発生」について、養親やその血族との間の法定血族関係も、縁組の日から発生します。
「養親の氏の取得」についても同様の効果となります。ただし婚姻によってその氏を改めた場合は、夫婦同氏の原則が優先します。
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今日は遺言について書いていきます。遺言については以前にも書きましたが、相続遺言に関する民法がこの7月に約40年ぶりに大幅改正されましたので、それも含めて見てみましょう。
遺言を残そうとされる目的の多くは、ご自分の作られた財産をきちんとご自分の手で、ご自分の意思で配分したいというところにあると思います。考えられるきっかけはちょっとしたことからかもしれませんが、その動機の多くは遺されるご家族のことを考え、円満でスムーズに相続を終えてもらいたいという気持ちから発せられるようです。
中には家族親族がいがみあっていたり、複雑な関係性であったり、また相続人がいないなどの理由からトラブル防止のための遺言を書かれる場合もあると思います。また事業承継にあっては、自ら思い描く将来のために、きちんと整理した形で財産を相続させる場合もあろうかと思います。
いずれにせよ遺言を残される以上、法的に効果のある遺言にしなければなりません。では法的に効果のある遺言とはどのようなものでしょうか。
遺言自体はどのような形でも残すことができます。口頭で伝える場合もあれば、録音やビデオで伝える場合もあります。また通常は皆さん考えられるところの書面で残すことが多くなります。しかし法的に効果のある遺言は、きちんと法律に従った形式で、書面として残さなくてはいけないものになります。
きちんとビデオに撮っていても、それがそれぞれの相続人が納得するものであれば問題ありませんが、争いになった場合は法的に根拠がないものとして認められないものになります。
昨日たまたまビデオで「激動の1750日」という映画を見ていて、三代目姐が「先代が言い残した」という一言で後継が決まってしまいました。実際に言い残してはいないので争いになった場合は法的根拠のないものとなりますが、特殊な世界であれ、「故人が言っていた」の一言で相続が決まってしまってはたまりません。そこかしこでトラブルが頻発するでしょう。そんなトラブルを起こさないためにも、法律が遺言の形式を定めています。
ここでの法律は「民法」になります。民法は、私人間の生活関係を規律する「私法」の一般法(国家等の公権力と私人の関係を規律する法である法律を「公法」といい、これには憲法・行政法・民事手続法・刑法・刑事手続法があります)であり、その内容は「財産法」(ここには物件法と債権法があります)と「家族法」に分かれます。
「家族法」には家族や親族の範囲や関係性について規定する「親族法」の部分と、相続や遺言について規定している「相続法」の部分があり、ここで遺言についても明確に規定してます。
では民法に規定する遺言について見ていきましょう。遺言の方式について、民法では「普通方式」と「特別方式」を定めています。我々が一般的に理解している遺言とは普通方式のものになりますが、簡単に特別方式の遺言について見てみます。
「特別方式」の遺言については滅多にお目にはかかれませんし、またそういう立場になっては困るのですが、緊急時に発する遺言になります。ここでは詳細は省きますが、災難がまさに降りかかっている際に発する「危急時遺言」と、世間から隔絶された場所にあるときに発する「隔絶地遺言」があります。
「危急時遺言」には「死亡危急者遺言」と「船舶避難者遺言」がありますが、前者は病気やけが、あるいは災害が差し迫っている際に発っするものであり、後者は船舶が遭難にあっている際に発するものになります。
また「隔絶地遺言」には、「伝染病隔離者遺言」と「在船者遺言」があります。前者は伝染病隔離施設や刑務所服役中などの場合、後者は遭難していない船舶の中で作成されます。
いずれも危難は迫ってはいませんので、本人が書く事になります。以上4種類が特別方式になりますが、それぞれ証人であったり検認であったり、その手続きは詳細に決められています。民法は約120年前に制定されましたので、情報の発達していない時代を背景としています。
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今日は民法家族法の、親権について書いていきます。
「親権」とは、父母である者の、「養育者としての地位」に由来する権利義務のことを言います。その親権に服する者は子供全般ではなく、「未成年の子」になります。子供が未成年であれば、親権が発生するということです。
親権を行うものは子の父母になります。原則父母が共同して親権を行いますが、一方が共同名義で代理行為をした場合は、仮に他方が反対していたとしても効力を生じます。しかしこの場合に相手方が悪意であった場合には効力は認められません。
次の場合は例外として父母の一方が単独で行うことができます。
①父母の一方が親権を行使できないとき
②父母が離婚したとき
③非嫡出子の親権を原則として母が行使するとき
です。
なお、子の利益のために必要と認められるときは、子の親族が家庭裁判所に請求することによって、親権者を他の一方に変更することができます。
では具体的に、「親権者」にはどのような権利義務があるのでしょうか。
「親権者」は子の利益のために、子の監護および教育をする権利を有し義務を負い、必要な範囲で居所指定権や懲戒権を有し、子が職業を営むことができるとされています。
身分上の行為においては、親権者はその子に代わって親権を行うことができます。これは民法上個別に規定されており、これは、
①嫡出否認の訴えの相手方
②認知の訴え
③子の氏の変更
④縁組の代諾
⑤未成年者の養子縁組取り消し請求
⑥相続の承認放棄
になります。
また財産上の行為の代理権もあり、親権者は法定代理人として、財産上の行為について一般的に代理権を有します。
この場合に親権者は、子の財産を管理しその財産に関する法律行為について代理することができますが、その子の何らかの行為を伴う時は、本人の同意が必要になります。
また民法の規定上、親権者に利益があって子に不利益が生じる場合や、子の一方に利益があって他方に不利益があるというような「利益相反行為」については、親権者は子に対する代理権も同意権も有しません。この場合は家庭裁判所に、「特別代理人」の選任を請求します。
これは相続の場合にもよくありますが、被相続人の子が未成年である場合には配偶者は法定代理人とはなれず、必ず特別代理人を請求することになります。
次に親権を喪失する場合について見てみましょう。
特別養子縁組(この場合は一定の年齢制限がありましたが)の記事にもありましたが、父母による虐待や悪意の遺棄があるとき、あるいは父母による親権の行使が著しく困難であったり不適当であることによって子の利益を著しく害する時は、2年以内にその原因が消滅する見込みがある時を除き、家庭裁判所は「親権喪失の審判」をすることができます。
この親権喪失の請求者は、子やその親族、未成年後見人、検察官等になります。また親権喪失には至りませんが、同様に2年以内の期間を定めて親権停止の審判を行う、「親権停止の審判」も創設されています。
親権とは別に、もう一つ相続にも関連する内容についても触れておきます。「扶養」についてです。「扶養」とはもちろん親権者が子に対する義務でもありますが、民法では「親族間の扶養」についても規定しています。
「扶養」とは自力で生活できない者に対して、一定の親族関係にある者が行う経済的給付とされています。扶養の内容については次のとおりになります。
①要扶養者(扶養される必要のある者)は、自分の財力等で生活できない者である必要があります。
②直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養義務を負担します。
③3親等以内の親族については、特別の事情があるときに家庭裁判所が扶養の義務を負わせることができます。
④扶養の内容等について当事者間で整わない場合は、家庭裁判所の判断に委ねることができます。
「扶養」については負担付き遺贈であったり、今回改正された相続における特別の貢献にも関係してくる事柄になります。
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今日は民法における事務管理というものについて書いていきます。
「事務管理」というとピンときませんが、いわゆる人のためにする「おせっかい」のことです。良かれとおせっかいでしたことも、場合によっては費用や損害が発生してしまうこともありますので、民法では「事務管理」という用語で法律効果を与えています。
具体的にはAさんの旅行中に台風でAさん宅の窓が割れてしまった場合に、Bさんが見過ごすことができずに業者に頼んで窓を応急修理した場合などです。
ではあらためて見ていきます。「事務管理」とは、法律上の義務がないのに、他人のためにその事務を行う行為を言います。事務とは行った行為のことです。この行為は契約に基づくものでもありませんし私人間の行為なので、本来法律の立ち入る必要のないことではありますが、おせっかいをした者に一定の法的保護を与えるために設けられた規定になります。
その条項では、義務なく他人の事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い最も本人の利益に適合する方法によってその事務管理をしなければならない、としています。またその者が本人の意思を知っている場合や推し量れる場合は、その意思に従って事務管理をしなければならないとされています。要は一旦事務管理をした場合には、必ず適切な手段をもって対応しなさいということになります。
事務管理の成立要件として、次の4つが挙げられます。
①法律上の義務がないこと
②他人の事務を管理すること
③他人のためにする意思があること
④本人の意志や利益に反することが明らかでないこと
です。
これらの要件が満たされると事務管理の効力が発生しますが、この場合はその違法性や費用の発生などが問題になってきます。
まず違法性についてですが、事務管理については勝手に他人のことについてするものですので、ともすれば権利の侵害にあたる場合も出てきます。しかしこの場合は違法性が排除され、不法行為には当たりません。
事務管理が開始した場合には、管理するものは原則、遅滞なく本人にその旨を通知しなければなりません。次に事務管理について発生した費用が問題になる場合があります。管理する上で必要な費用が発生した場合には、本人に請求することができます。これは単なるかかった費用ということでなく、本人にとって必要な者であれば認められます。
なお事務の管理方法が不適切なために損害が発生した場合については、事務管理の不履行責任を問われる場合があります。事務管理をする者は、一旦管理を始めた場合は本人等が管理できるようになるまで原則、善管注意義務を負うこととなります。この義務に反した場合には損害賠償が発生することもありますが、危急の場合には悪意重過失の場合のみ賠償責任を負うこととなります。
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今日は共同不法行為や正当防衛などについて書いていきます。
不法行為については先の記事に載せましたが、複数で行った不法行為を「共同不法行為」と言います。共同不法行為には、
①複数の者が共同で他人に損害を与えたとき(狭義の共同不法行為)
②共同行為者の中の誰が損害を与えたのかがわからない場合(加害者不明の共同不法行為)
があり、②の場合は直接損害を与えていなくても共同不法行為の責任を負います。
共同不法行為では、生じた損害全額について各自が連帯して責任を負います。
それぞれの共同不法行為の成立要件としては、狭義の場合は、
①各人の行為が不法行為の一般的要件を満たすこと
②共同行為者間に、社会的・客観的に見て数人の加害行為が一体と見られる関係にあること
であり、加害者不明の場合は、
①共同行為者であること
②各共同不法行為者が、因果関係以外の不法行為の一般的成立要件を満たしていること
③共同行為者のいずれかによって損害が発生したこと
になります。
次に「正当防衛」について見てみますが、同じ条項に同様の性質を有する「緊急避難」というものがありますので、対比して見てみましょう。
「正当防衛」とは刑事ドラマでも頻繁にでてくる言葉ですが、その定義は、他人の不法行為に対して自己または第三者の権利、または法律上保護される利益を防衛するために、やむを得ず行う加害行為を言います。
正当防衛が認められた場合は損害賠償の責任は負いません。ただしその被害者が損害賠償請求をすることはできます。
「緊急避難」では他人の不法行為は介在しませんが、他人の物から生じた差し迫っている危難を避けることを言い、それによって他人のその物を損傷した場合も正当防衛と同様の扱いになります。緊急避難の例としては、他人の飼い犬に襲われた際に、棒などでその犬に怪我を与えた場合などが考えられます。
民事上では法によらず自らの力で解決をはかる自力救済は禁止されていますが、正当防衛も緊急避難も自力救済ではありますが違法性は除かれ、不法行為には当たりません。
正当防衛の成立要件は次のとおりです、
①他人の不法行為が原因であること
②自己または第三者の権利または法律上保護される利益を守るためにすることであること
③やむを得ないものであること
④加害行為をしたこと
です。
緊急避難の成立要件は次のとおりです。
①他人の物から生じた急迫の危難が原因であること
②これを避けるためのものであること
③やむを得ないものであること
④その物を損傷したこと
になります。
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遺産分割協議に請われて立ち会うことがあります。当然交渉に関与したり、協議自体に関わることはありませんが、相続人や財産関係等で差し支えない部分については、調査した内容などにお答えすることになります。公正証書遺言があればその内容にしたがって相続を行っていけばよいですし、遺留分が発生する場合は、問われれば遺留分減殺請求権(7月1日からは遺留分侵害額請求権)についてご説明することになります。
相続人が配偶者とその子たちであって、特段不仲でなければ代表相続人の方(通常は配偶者の方か高齢であれば長男等)がリードして、あうんでそれぞれの相続分を決めていかれることになると思います。通常は相続人がたとえ少人数であっても単独相続でない限りは、不動産登記や銀行の払い戻しに、「遺産分割協議書」「財産目録」「相続人関係説明図」を求められます。
まず相続財産をキチンと整理して財産目録を作成します。ここではプラスの資産だけでなく、負債などのマイナスの資産も明確に調査する必要があります。借金をしていた可能性があるのに単純に相続をしてしまいますと、負債の方が大きいマイナスの相続になってしまいます。
マイナスの相続の場合は、3ヶ月以内に相続放棄の手続きをとれば、負債を含めた一切の遺産相続を放棄することができます。3ヶ月というのはここで重要な期間になってきます。もし安易に一部の財産を処分してしまったり、3ヶ月を過ぎてしまいますと、「単純承認」をしたことになり、もう相続放棄をすることができなくなり、負債の一切も相続人全員で返済する義務が生じてしまいます。遺産相続を受けるかどうかの判断材料とすることが、「財産目録」を作成することの目的のひとつになります。また相続人全員で合理的に遺産分割するための判断材料になる書類でもあります。
次の「相続関係説明図」とは、法定相続人全員の相続関係を証明した一覧になります。遺言書がなければこれを基に各自の相続分を調整していきますし、遺言書があれば遺留分算定の基礎となります。相続税には基礎控除というものがありますが、ここで法定相続人の人数を確定しませんと、控除額を確定することもできません。
また調べなくても明らかに法定相続人が確定できる場合は大きな問題はないですが、被相続人が離婚をしていた場合や人間関係が複雑な場合には、戸籍を厳格にたどって相続人を確定しておきませんと、後からあたふたする事態となります。
普段わかっている相続人以外に相続人がいる場合(離婚した妻との間にできた子や認知した子など)は、相続人の特定をしっかりしておかないとトラブルの原因になります。いいわいいわで現在生活している親子だけで相続をしてしまうと、後からそれらの相続人が現れた場合には相続のやり直しになってしまいますので注意が必要です。もっとも登記や払い戻しの際もすべての戸籍謄本も求められますので、相続人の確定は必須になります。「遺産分割協議書」と併せ、過去ブログやホームページで確認下さい。あとは後編に記載します。
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前回は遺産分割協議について触れましたが、相続人が少人数で関係も良好な場合は大きな問題になることはそれほど多くはありません。各自がそれぞれの立場も理解できており、またその後に直系の相続も発生することも想定できるからです。
しかし相続人同士が仲が良くなかったり、金銭関係が良好でない方が居る場合は途端に状況が変わってきます。また相続人が多かったり、相続人が兄弟のみで代襲相続が発生している場合などは特に問題がある場合が多くなります。よく「相続」は「争族」だとも言われますが、くれぐれも「争族」にならないように気をつけなければなりません。
多くの方は「うちに限って心配はない」と言われますが、そんな場面ばかりではないようです。親子関係、兄弟姉妹の関係は悪くはなくても、その方々の身内や関係者による口出しがある場合があります。またちょっとした言葉がきっかけで、一気にかたくなになってしまわれる方もいらっしゃいます。
相続というものは場面も場面でありますし、金額の多い少ないにかかわらず無条件でお金がもらえる機会になります。人情として気にならないはずはありません。通常は相続人が複数いらっしゃる場合は、相続分の一番多い方(配偶者など)や、一番しっかりされている方が代表相続人になられます。この方がしっかり方向性を決め、意見をまとめていきませんととんでもないことになります。協議がまとまらず、事案が法定にもちこまれることになりかねません。
遺産分割協議は、相続人全員の合意がないとまとまりません。たとえ相続分の少ない方であっても、その方が合意しない限りは協議は成立しません。ですので代表相続人の方は仲の良い方だけをまとめるのではなく、対応しにくいとんでもない共同相続人にも事前にしっかり皆さんの意向を説明し、協議前に大方の合意にこぎ着けていく必要があります。
そのためにも事前にしっかりとした遺産分割協議書案を作成し、当日は全員の実印をもらえるような段取りで協議に臨みましょう。トラブルメーカーはどこにでもいます。そういう方も直視して、期限内に円満な相続を終えましょう。
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