日別アーカイブ: 木曜日 - 26 4月 2018

農地転用とはなんでしょうか

今日はすかっぱれですね。まだ気温は上がってきませんが、先週あたりからトマトやなすなどの苗も出始めましたので、家庭菜園にはもってこいの季節ですね。

昨日と前後しますが、今日は農地転用とは何かについて書いてみます。

「農地転用」とは街に住んでいる転勤族には耳慣れない言葉ですが、文字通り「農地を転用」する際に必要な許可申請や届出のことです。自分の土地をどのように使おうが勝手だろうと私でも思っていましたが、実は土地の立地する場所等によって、土地の利用法や、そもそも開発して良い土地かどうかも法律や条例等によって定められています。

農地転用は農地法という法律で定められた許可制度のことです。日本は農作が可能な国土も狭いため、無計画に農地が宅地や商工業地に変えられてしまうと農業生産力が維持できません。その農地本来の目的から転用することを、行政で管理していこうという制度が農地転用となります。

許可の運用は時代の要請によって緩和されたり強化されたりしてきていますが、従来は農地として最重要であり転用がほとんど許可されなかった第1種農地であっても、地域活性化促進のための法改正によって許可がおりるケースも出てきました。

一方食料自給率が年々低くなっていく状況を鑑み、優良な農地を守るために平成21年に農地法改正によっては農地転用規制がより強化されました。この時の改正では市街化区域を除いた農地転用の規制が厳しくなり、相続による農地の取得であっても、農業委員会への届出が義務付けられました。この際には農業産業の促進を図るために、一般法人が農業法人として農業参入することも認められました

農地転用ではその土地が農地であるときは、その利用法を変えたり(小屋を立てたり駐車場に変えたり等)名義を変えたり(売ったり買ったり等)する場合も、申請や届出をすれば単純に許可が下りるわけではありません。多数の書類や厳密な証拠を揃えて初めて許可が下りる(あるいは許可されない)ことを理解しなければいけません。

許可を取得しようとする場合はまずその土地がどのような「農地」であるのかを調べます。役所に問い合わせれば(窓口に電話して要件を伝えれば必要な部署につないでもらえます)許可が下りるかどうかの可能性も含めて教えてくれます。

まずその農地の立地区分を聞き、そもそも農地転用が可能な土地かも教えてもらいます。その農地が市街化区域にあれば届出だけですみますし、農地転用できないいわゆる「青地」である場合はできません。

うしても申請をしたい場合には農振除外という手続きを経る必要もあります。

http://gyosei-suzuki-office.com/category3/entry25.html

役所と打ち合わせをし「許可を取るための書類」を提出することとなります。すべての農地が農地転用できるわけではなく、地域によってはかなりハードルが高いものとなります。

農業振興地域の「農用地区域」に該当している場合は、農地転用許可を受ける前に更に農用地区域からの除外をする申請(農振除外)をし、その上で農地転用を申請することとなります。この場合は農振除外の証拠固めから始めて、農地転用許可まで数年を要することもあります。

もっとも農地転用の可能性が低いと言われても単純に引き下がるばかりではありません。お客さんの熱意次第となりますが、役所と交渉をし転用許可に持っていくのも行政書士の腕の見せどころでしょうか。

農地転用は書類の要件を満たせば許可がおりるという性質のものではなく、各市町村に置かれる農業委員会の判断においてなされます。市町村によって異なりますが、おおむね月1回開かれる農業委員会で申請された書類の内容を精査して許可が決まります。

書類はその外形だけではなく、書類の種類や内容をきちんと整えることが重要となります。これには事前準備として役所へ申請内容を相談し、転用許可の可能性とともに必要な書類やポイント等を打ち合わせることも重要になります。

これには交渉術や交渉能力も欠かせないものかなと考えます。

ちなみに高崎市における平成28年度の許可件数は、3条が198件、4条が44件、5条が600件でした。農地転用は区域によっては非常にわずらわしい申請となりますので、是非とも当事務所にご相談くださいませ。