日別アーカイブ: 火曜日 - 17 7月 2018

民法 保証債務について

今日は保証債務について書いていきます。

「保証」とは他人が負った債務が履行されない場合に、これに代って債務を履行する契約を言います。他人の債務を保証した者を「保証人」といい、保証される他人の債務を「主たる債務」といいます。また保証人の負う債務は「保証債務」といいます。

保証債務は債権者と保証人との保証契約によって成立しますが、これは書面でしなければ効力は生じません。保証債務には次の3つの性質があります。

①付従性

②随伴性

③補充性

になります。

「付従性」とはその債務に付加されている性質を言います。主債務がなければ保証債務は成立せず、主債務が消滅すればそれに応じて保証債務も消滅することになります。保証債務は、主たる債務より重くすることはできません。

「随伴性」とは付き従う性質であり、主たる債務が移転した際には保証債務も一緒に移転します。例えば債権譲渡などによって債権がAからBに移転した場合には、保証も移転するということです。

「補充性」とは足りないことを補う性質であり、主たる債務が履行されなかった時に初めて保証人の履行責任が発生することを言います。補充すべき責任とは言っても、保証人は無条件に責任を負うわけではなく、弁済する前に2つの権利を行使することができます。

これは催告の抗弁権と検索の抗弁権というものになります。

「催告の抗弁権」とは、保証人に請求する前に、まず主債務者に請求しなさいと言える権利です。あくまでもまず弁済すべきは主債務者であると主張できます。

「検索の抗弁権」とは、保証人が主債務者に弁済の資力がありかつその執行が容易であることを証明した場合に、主債務者に執行させる権利を言います。また主たる債務者が債権者に対する反対債務を有している場合には、保証人は相殺をもって債権者からの請求に対抗することができます。

次に保証債務の内容などを見てみましょう。

保証債務は、債権者と保証人との間での書面による保証契約によって成立します。ここに債務者自身は関与しません。

保証人になる資格に制限はありませんが、債務者が法律や契約によって立てる保証人の場合は、行為能力者であることと、弁済する資力があることが必要になります。

保証債務は主債務の元本だけでなく、利息や損害賠償金その他の、債務に従たるものすべてを含みます。ですので保証人が弁済する場合もこれらを含めるものとなります。

主債務と保証債務の関係性を見てみますと、主債務に生じた事由はすべて保証債務に影響を及ぼします。一方保証債務に生じた事由は、主債務を消滅させる行為(全額返済)以外は主債務に影響を及ぼしません。

では、主債務者が弁済を履行できずに保証人が弁済した場合には、主債務者の義務はなくなってしまうのでしょうか。この場合には債権者から保証人に請求する権利が移り、保証人が主たる債務者に対して「求償権」を有することとなります。

「保証債務」には「連帯保証」という制度があります。これは非常に怖い制度でありますが、実は保証契約の多くは連帯保証だったりしますので、保証人になる際にはくれぐれもその内容を精査する必要があります。

「連帯保証」とは、保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担することを言いますが、連帯保証人には催告の抗弁権も検索の抗弁権もなく、債権者から請求された場合には必ず、支払いの義務が生じることとなります。

連帯保証人の多くは、主たる債務者の経済状況を把握せずに安易に契約を結ぶ場合が多いことから、今回の改正民法においては情報提供の項目が多く付け加えられています。

https://www.gyosei-suzuki-office.com/category8/category10/entry38.html