まちづくり三法 大規模店舗立地法について

今日はまちづくり三法のうちの、大規模店舗立地法について書いていきます。

まちづくり三法はそれぞれ相互補完的な役割をなしています。先に書きました都市計画法では、それを補完する法律として建築基準法の改正もなされましたが、その改正点は大規模集客施設に関するものでした。

具体的には用途地域等における立地制限の見直しとして、次のものが主な改正点とされました。

①大規模集客施設の立地規制として、商業地域や近隣商業地域、準工業地域以外の用途地域での床面積1万㎡を超える劇場・店舗・飲食店の建築が禁止されました。

②近隣商業地域での建築物使用用途として、客席床面積200㎡以上の劇場・映画館・演劇場が緩和策されています。

では大規模小売店舗立地法とはどのようなものでしょうか。この法律は2000年に制定されましたが、もともとは大規模小売店法、いわゆる大店法として1974年に施行された法律がもとになりますが、これを2000年に廃止し、引き継いだ形で制定されました。

大店法は中小小売店の保護と発展を目的とした、大規模店舗の出店を規制する法律でしたが、大規模店舗立地法は、国際社会からの要請を反映した形で制定されました。つまり、アメリカをはじめとする諸外国から、我々も参入しやすい法律に変えてくれと言われたわけですね。そのため大店立地法は、大店法のような中小小売業保護の観点ではなく、大規模店舗の参入しやすい形へと変わっています。

それまでの「規制」を主眼とするものから、「配慮」を主眼とする内容に形を変えています。

まずその目的については、立地法の名のとおり大規模小売店舗の立地に関し、「周辺地域の生活環境の保持のために、施設の配置及び運営方法について適正な配慮がなされることを確保することにより、小売業の健全な発達を図り、もって国民経済及び地域社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与する」こととされています。

この法律では店舗面積10,000㎡を超える大規模小売店舗がその対象となります。店舗面積には小売業を行うための施設が含まれますが、付随するものは除かれています。具体的には売り場やサービス施設(案内所や預かり所等)は含まれますが、飲食店やエレベーター・エスカレーター・売り場間通路、あるいはトイレや事務所、催場等は含まれません。

なお出店の届出については、都道府県や政令指定都市にすることとなります。店舗面積や開店閉店時刻、駐車場・駐輪場の収容台数、騒音や廃棄物等といった周辺への配慮を要するものが届出の内容となります。これらの内容については、少ない内容に変更があった場合にも届出を行う必要があります。

計画の段階では当然出店調査を行いますが、特に周辺環境に配慮するために休日の車の流れを調査したりと、来店ピーク時の環境を想定して行ないます。なお変更時の届出については、変更がより便利になされた場合は必要ありません。例えば駐輪場の台数を増やしたとか、ごみの収集台数を増やした場合は届出をしなくても良いことになります。買い物環境や周辺環境に悪い影響が想定される変更の場合には届出を行う必要があります。

この大店立地法においては、周辺環境への配慮を名目とした前述の駐車場などの台数規制等によって、大規模店舗と周辺環境の共存は果たすことができましたが、その出店地域については、用地の取得や出店条件を満たすことがしやすい郊外が中心となっていきました

用地取得や環境条件を整えるという要件から、大型店舗が中心部に出店することがますます困難となり、商業の郊外化に拍車がかかりました。

都市計画法の記事で書いたように、これらの大規模小売店舗については一旦すべての出店を禁止した上で、出店する場合はその内容について都道府県と市町村、地元住民が意見を交わし、届出を受理するという形式をとります。

この課程において地元住民は、意見を申し出ることができ、周辺地域の生活環境に悪影響を及ぼすと判断された場合は、行政が勧告を行いこれを公表することになっています。しかし雇用機会の増大や税収増加への期待から、誘致を否定する市町村は多くはありませんでした

以上のように国際社会からの要請とはいえ、大型店規制の緩和とも言えるこの大店立地法によって、大型店の郊外化が加速され、その影響から中心市街地の機能低下が懸念されたことから、中心市街地活性化法が制定されることともなりました。 

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